RBA OFFICIAL
 
2022/07/27(水) 14:41

自然と共生するワークスペース「コモレビズ」実装した「ザ・パークレックス天王洲」

投稿者:  牧田司

ザ・パークレックス天王洲1.jpg
「ザ・パークレックス天王洲[the DOCK]」

 パソナ・パナソニック ビジネスサービス(PBS)のファシリティマネジメント事業の一つ「COMORE BIZ(コモレビズ)」を実装した三菱地所レジデンスのワークプレース「ザ・パークレックス天王洲[the DOCK]」を取材した。

 コモレビズは2017年から展開しているもので、ワークプレース[職場環境]を、科学的なエビデンスに基づきGREEN(緑化)、SOUND(音)、LIGHT(照明・灯り)、AROMA(香り・森林成分)など五感に訴えるバイオフィリックデザインを設計し、その効果を「見える化」するものだ。

 「バイオフィリックデザイン」とは、1984年にアメリカの生物学者エドワード.O.ウィルソンによって提唱された「人間には“自然とつながりたい”という本能的欲求がある」という概念を具現化した、より自然な自然環境を取り込んだ空間デザイン手法のこと。

 コモレビズは、このバイオフィリックデザインを採用。ストレス軽減につながる最適な「緑視率」10~15%という実証実験結果や独自の植物データベースに基づき、顧客企業のニーズに応じたオフィス空間を提供している。働く人と企業のウェルビーイングに貢献し、生産性の向上を促進するソリューションビジネスだ。

 同社COMORE BIZ推進部部長兼事業企画チームマネージャー・和田えり子氏からレクチャーを受けた後、見学した。

 これまで緑をふんだんに用いたオフィス・モデルルーム・ロジスティクスなどはたくさん見学している。優れたものを3つ挙げるとすれば、三菱地所ホームのボタニカルモデルハウス、積水ハウスの「SUMUFUMU TERRACE 新宿」、コスモスイニシアの総合マンションギャラリー「イニシアラウンジ三田」だ(三井デザインテック新本社が素晴らしいとは聞いているが見ていない)。

 「ザ・パークレックス天王洲[the DOCK]」は、そのどれと比べても勝るとも劣らない。室内に入った途端、素晴らしい〝景観〟が目に飛び込んできた。執務用のデスクにはオリズルラン、アスパラガスナナス、エバーフレッシュが植えられており、水盤も配されていた。そして、スケルトン天井のどこかから小鳥のさえずり、足元からは虫の鳴き声が聞こえてきた。別のコワーキングスペースでは、白い壁に中木の枝が揺れ、チョウが舞う影が映し出された。雨だれの映像もあった。

 これらを見学して、パナソニックの音響装置(Technics)・映像の技術が採用されていることがすぐわかった。

 スピーカーは、天井部分ではなく床の造作の中にビルトインされており、そこから音をあちらこちらに反響させて、小鳥のさえずりは天井から、虫の音や川のせせらぎは床面から流れるように工夫されている。これは凄い。

ザ・パークレックス天王洲2.jpg

◇        ◆     ◇

 導入事例を十数か所紹介されたのだが、そのうち東京建物本社、ポラスグループ本社、ポラスグループ第一エネルギー設備、ミサワホーム高井戸展示場、大和ハウス工業総合技術研究所、総合地所「ルネ湘南茅ヶ崎」共用施設、総合地所「MID WARD CITY」共用施設、日鉄興和不動産「リビオシティ南砂町」共用施設など半数くらいがデベロッパー、ハウスメーカーだった。そして、コワーキングスペース「ザ・パークレックス 天王洲[the DOCK]」は三菱地所レジデンスだ。

 これまでしつこいほどマンションモデルルームなどの観葉植物の〝フェイクを止めよ〟と書いてきた甲斐があったと思った。少しは記者の主張が受け入れられたと理解した。

image001.png
東京建物本社

ENEOSホールディングス株式会社.jpg
ENEOSホールディングス

Suita SST base.jpg
Suita SST base

パナソニック株式会社(大阪本社総務).jpg
パナソニック(大阪本社総務)

ポラスグループ 第一エネルギー設備株式会社.jpg
ポラスグループ 第一エネルギー設備

ポラス株式会社.jpg
ポラスグループ本社

ミサワホーム株式会社.jpg
ミサワホーム高井戸展示場

株式会社エム・シー・ファシリティーズ.jpg
エム・シー・ファシリティーズ

株式会社オーク情報システム.jpg
オーク情報システム

◇      ◆     ◇

 気になっていることもある。同社は全て本物の観葉植物を配置していたが、仮に①本物をフェイクだと思い込んでいた場合②偽物を本物と誤認していた場合③本物と偽物が混在していた場合④本物とフェイクの区別がつかなかった場合-これらのケースによってストレス軽減の効果はどう異なるのか、あるいは変わらないのかということだ。

 記者の経験から言えば、明らかにフェイクと分かる植物と本物が混在していた時は、全てがフェイクに見え興ざめする。却ってストレスの種になるのではないか。

 この問題については、三井デザインテックと職業能力開発総合大学校・橋本幸博教授によるオフィス空間における植物配置に関する共同研究があり、「人工植物や過剰な植物量、あるいは不具合な配置にすると、心理面以外に作業効率にも好ましくない影響を及ぼすことがある」と指摘している。詳細な研究を期待したい。

 これに関連することだが、記者は2010年にサントリーミドリエを取材したことがある。同社はその2年後、中国資本と提携し、上海に合弁会社を設立した。いまホームページを確認したら社名は「トヨタサントリーミドリエ(上海)園芸有限会社」になっていた。トヨタ自動車も資本参加したようだ。

 PBSはトヨタ自動車、パナソニックとエビデンスの深化に向けて共同研究を行っている。環境ビジネス市場は現在100兆円を突破しており、年率10%以上の伸びが予想されている。

ボタニカルが最高4つの商品・開発を発表 三菱地所ホーム(2018/5/30)

最高の〝働く場・接遇スペース〟 積水ハウス「SUMUFUMU TERRACE 新宿」(2022/2/17)

木漏れ日、渓流の音…イニシアの世界観を表現 総合ギャラリー「三田」(2021/7/30)

第一園芸 独自に考案したオフィス空間デザイン 三井デザインテック新本社に採用(2021/8/11)

わが意を得たり 人工植物は販売促進に逆効果 三井デザインテック調査研究(2018/9/25)

売上げ倍々増 これはヒットする サントリーミドリエ「パフカル」(2010/6/7)

 

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン