三井不動産グループの第一園芸は8月11日、同社の環境緑化・空間装飾ブランド「OASEEDS(オアシーズ)」が独自に算出した「植栽ボリューム指数」と「緑視率」を活用したオフィス空間デザインが三井デザインテック新本社「CROSSOVER Lab」に採用されたと発表した。
「人は自然と触れ合うことで、健康や幸せを得られる」というアメリカの生物研究者エドワード.O.ウィルソンが1984年に提唱したバイオフィリアの考え方をさらに推し進め、「オフィスの機能に応じた適切な緑のボリュームがあるのではないか? 」という視点から「植栽ボリューム指数」と「緑視率」を算出し、三井デザインテック新本社のデザインを行ったもの。
「植栽ボリューム指数」は、 空間に配置される植栽に対し、植栽のサイズごとに係数を割り当て、数値化したもの(植栽係数の合計÷測定範囲床面積)で、「緑視率」は、視界に入る緑の量を数値化したもの。実証実験を行い、指先脈波による計測で「心の柔軟性」「ストレス度」「リラックス度」「心拍数」「疲労度」を分析し、リラックスに最適な緑量を6~8%と算出した。
「CROSSOVER Lab」はDrive、Co-creation、Communityの3つのエリアと、その3エリアをシームレスにつなぐCROSSOVER ROADが設定されており、エリアの機能に応じた植栽ボリュームを設定し、様々な植栽スタイルを組み合わせて意匠デザインを行っている。インテリアとの調和やメンテナンス、ランニングコストにも配慮し、部分的にフェイクの植物も取り入れている。
例えば、ボリューム指数7.18のCommunityエリアには、リラックスに最適な緑視率6~8%を考慮した床置き・卓上・天井吊りなど多様な植栽スタイルを採用。3 階屋外テラスSORANIWA(空庭)では屋外菜園の実施を提案している。
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緑の効用は言うまでもないことだ。多少は美醜を分けることができるようになったのは、記者が生まれ育った田舎の豊かな自然環境のおかげだと信じている。
そして、あまりにも貧しい大都市圏の緑環境を何とかしようと無謀にもこの10年間、しつこいほど街路樹の強剪定、マンションや分譲戸建ての販売事務所・モデルルームのフェイクの観葉植物をやめろと書いてきた。トータルすると40~50本はあるはずで、記事1本で1万件のアクセスがあったものも少なくない。
少しは効果もあったようで、本物の観葉植物を置くモデルルームは増えているし、空き地に雑草が生い茂っているとある自治体を批判したら、その直後きれいに刈り取られたという話を聞いたし、公園が雑草だらけと書いたら、間もなくきれいになっていた事例も自分の目で確かめている。
それだけに、今回の同社の取り組みはとても嬉しい。「植栽ボリューム指数」と「緑視率」という視点も興味深い。緑が多ければいいということではないことはよく理解できる。何事も〝過ぎたるはなお及ばざるがごとし〟TPOだ。
もう一つ、プレス・リリースには嬉しい記述が見られる。三井デザインテック クリエイティブデザインセンター・梅岡佐知子氏は「新オフィスのデザインのテーマの一つがWell-Beingであったため、より精神的・肉体的な幸福度を向上させるバイオフィリックデザインを採り入れたいと考え、樹種の選定や緑視率の検証等、たくさんの魅力的なご提案をしていただきました。植物を豊かに配置した3階の空間は、特に社内の評判がよく、コミュニケーション促進に一役買っています」とコメントを寄せているのだが、梅岡氏は「柱や天井に木漏れ日が揺らぐSUNROOMがお気に入り」とあることだ。
同じようなシーンを記者は先日、コスモスイニシアの総合ギャラリー「イニシアラウンジ三田」で体験している。
そこで提案。「三田」ではせせらぎの音も聞こえた。これを発展させ、環境省が選定した「残したい日本の音風景100選」のように、宮城野のスズムシ、広瀬川のカジカガエルと野鳥、北上川河口のヨシ原(宮城県)、水琴亭の水琴窟(群馬県)、称名滝、エンナカの水音とおわら風の盆、井波の木彫りの音(富山県)、春日野の鹿と諸寺の鐘(奈良県)、出水のツル、千頭川の渓流とトロッコ(鹿児島県)などの音も聞こえるようにしてはどうか。香りを演出することだって可能なはずだ。そうすれば労働生産性は飛躍的に高まるのではないか。
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