「ザ・パークハウス南麻布」
三菱地所レジデンスは8月22日、期間50年の定期借地権付きマンション「ザ・パークハウス南麻布」のメディア向けプロジェクト発表会を開催した。日比谷線広尾駅から徒歩2分の10階建て全26戸で、2階住戸の階高を標準階の約1.5倍の4.5mにした「Class1.5プラン」を採用しているのが特徴。
物件は、東京メトロ日比谷線広尾駅(3番出口)から徒歩2分、港区南麻布5丁目の第一種住居地域(建ぺい率70%、容積率400%)、絶対高さ35m高度地区に位置する敷地面積約414 ㎡の10階建て全26戸。期間50年の一般定期借地権付きで、専有面積は43.84~93.00㎡、価格は未定。完成予定は2023年12月上旬。施工は森本組。販売開始予定は10月下旬。これまでに1,400件の反響を集めている。
現地は外苑西通りに接道。敷地は宗教法人の所有地。対面は広尾学園。7階以上からは有栖川宮公園が望める立地。主な基本性能・設備仕様は二重床・二重天井、標準階高約3m、ディスポーザー、食洗機、御影石・クオーツストーンキッチンカウンター(選択制)、グローエ水栓など。
最終的なプランは確定していないようだが、2階の約60㎡の住戸の階高を約4.5m確保した「Class1.5プラン」が特徴の一つ。この階高を利用した吹き抜け空間のLDKを外苑西通り側に設置し、居室の下段は収納スペースとし、建築基準法92条の規定により専有面積に含まれない天井高1.4m以下のロフトを玄関・土間スペースの上部に設けている。
発表会で同社執行役員パートナー事業部長・林祐輔氏は「2階住戸の階高を約4.5mのスキップフロアとし、LDKは吹き抜け空間、居室の下には収納、ロフト付きとするなど多様なライフスタイルに応える新しい住まい心地を提案した」とあいさつ。
また、同社建築マネジメント部主任・上原那奈氏は「最近の地価・建築費の上昇などでマンションの専有面積圧縮が進み、1970年代に流行した田の字型プランが主流になっているが、デベロッパーの役割として(商品企画などを)進化させる必要があると考え、ワーキンググループを立ち上げ、今回のプランを提案した。三菱地所ホームとも連携して専有面積に算入されないロフトを採用した」と話した。
発表会が行われたのはリニューアル工事が完了した大手町ビル1階の「大手町ギャラリー」で、今回のマンションのほか「ザ・パークハウス広尾」「ザ・パークハウス自由が丘フロント」など都心物件の販売を行っていく。
「Class1.5プラン」イメージ図(手前がLDK。左端の階段がロフトに続く。その左隣のドアの奥が土間・玄関。右上が居室(広さは4畳大か)、右下が収納。イメージ図ではよく分からないが、右端のキッチンの奥に居室に上がる階段がある)
「Class1.5プラン」
「Class1.5プラン」洋室
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まず、価格について。同社は「価格は未定」としているが、記者は立地条件、敷地形状などから総合的に判断して坪600万円~650万円が妥当と判断した。(2007年に分譲された同社と三井不動産の期間50年の定借マンション「広尾ガーデンフォレスト」670戸は坪533万円だったが、物が違う)
外れたらごめんなさいという他ないのだが、今回の発表会で嬉しかったのは、上段で紹介したように、上原氏が最近のマンションの質の退行に言及したことだ。記者も同感だ。最近の間取りプランは40年も50年も昔に逆戻りしている。今回の「Class1.5プラン」は絶対高さ規制35mと関係がありそうだが、ユーザーに支持されるはずだ。コンセプトルームもよくできていると思う。
ただ、この種のプラン提案は皆無ではない。最近では今年3月に竣工した大和地所レジデンス「ヴェレーナグラン赤羽北フロント」があるし、ヒューマンランドもかつて分譲したことがある。一時期は「クロス・メゾネット」も流行った。
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記者は、「南麻布」よりもむしろ「ザ・パークハウス広尾」に注目している。広尾散歩通りから一歩入った6階建て22戸という小さな規模だが、道路を挟んだ対面が聖心女子大のキャンパスという立地が最高にいい。キャンパス内の森を眺められるのは上層階に限られるかもしれないが、住むなら「南麻布」よりこちらだ。坪単価800万円でどうだろう。東大赤門を睥睨する野村不動産「プラウドタワー本郷東大前」の記事も添付したので比較していただきたい。
最後に同業他社とメディアに一言。この日、発表会に参加した報道関係者は約20人とか。先日のあるデベロッパーの極めて優れたマンション見学会の参加者は小生を含めて4人だった。コロナ禍でもきちんと情報を発信する三菱地所はさすがだが、同業他社もアピールできる案件はたくさんあるはずだ。メディアもメディアだ。声が掛からなければ取材しない、しかも大手だけ。流れに身を任す病葉と一緒だ。これでは刻々と変わる市場動向や消費動向を把握することなどできない。事大主義も甚だしいといったら失礼か。
現地
以上3点は取材の帰りに立ち寄った最高に素晴らしい「Marunouchi Street Park 2022 Summer」
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