RBA OFFICIAL
 
2022/12/03(土) 12:04

木造賃貸&ZEH-M 満足度は98% 三井ホーム「稲城」入居者アンケート

投稿者:  牧田司

04外観南東 .jpg
「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」 

 三井ホームは12月2日、わが国最大級の5階建て(1階:RC造、2~5階:木造)耐火ハイブリッド構造の木造賃貸マンションで、ZEH-M(Oriented)を取得した「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」の入居者アンケート結果をメディア向けに公表した。同日行った賃貸マンション「(仮称)MOCXIONモクシオン四谷信濃町」 の構造見学会の参考資料として添付したもので、総合的満足度で98%に達するなど極めて高い数値を示している。

 首都圏のZEH-Mは30棟くらいが竣工しているはずだが、この種の入居者アンケートを公表するのは同社が初めてと思われる。今後のZEH-Mの展開に示唆する点が多いので紹介する。( )内は記者の感想。

 調査は「冬季」(2022年4月11日~5月2日)と「夏季」(2022年9月26日~10月7日)の2度に分けて実施され、回答率は冬季が87.2%(N47世帯、n41世帯)、夏季が85.1%(N47世帯、n40世帯)。回答率も極めて高い。

 まず、「総合的満足度」について。入居後4か月経過した時点の冬季の総合的な満足度は、「満足」53%と「やや満足」45%をあわせて実に98%に達している。

 主なコメントでは、「あたたかみ、ぬくもりがある」「エントランスなどで木の香りや色合いに癒される」「床に少しクッション性が感じられる」「天井も高く、断熱・遮音とも良いと思う」「結露が少なく、あたたかくて住み心地が良い」「環境負荷の低い暮らしがしたいので、満足です」などとある。

 一方で、「特に鉄筋コンクリートのマンションと変わりありません」「住んでいて特別『木造』と感じることはありません」「未だに木造とは思えません」の声もある。

 (小生は、何と比較するかだが、天井高は高いとは感じなかったが、断熱性が高く、結露が起きないという回答は期待通りだ。鉄筋と変わらないとか木造とは思えないという声はとても興味深い。これが木造の利点でもあり課題だと思う。「現しにしないといけないというのは木造コンプレックスの裏返し」と話した小松弘昭氏や、「現しで(木材を)使うより実を取る」と語った十文字将敏氏はしてやったり、ほくそ笑んでいるかもしれないが、記者は「やはり木のほうがいい」と評価されるべきだと思う。すっぴんでも十分美しい女性がどうして歌舞伎役者のように厚化粧しなければならないのか。

 「やや満足」の「やや」にはどのような意味が込められているのか。「十全」のマンションなどありえないが、「大満足」にはなっていないのはなぜか。立地条件にしては家賃が高いという意識が働いているためか…)

 「夏季」アンケートからは、入居者の74%がRC造、または鉄骨造からの住み替えで、82%が「住まいの脱炭素・省エネ」を意識していることも分かった。

 断熱性能に関する満足度では、「冬季」「夏季」とも「不満」は5%以下となり、南西、北東の方位による満足度でもそれほど差が出なかった。

 主なコメントでは、「1~2月でも暖かく過ごすことができた」「冬はエアコンいらす」「木造とは思えないほど快適」「コンクリの壁に囲まれた室内のような冷たさは感じない」(以上、冬季)「今年は酷暑日が続いたが、快適に過ごせた」「ペットを飼っているので常に冷房を使用していたが、3台中1台だけの稼働でも十分だった」「夜エアコンをタイマーにしておくと、冷気が持続して省エネだと感じた」「玄関を開けたとき、空気の淀みがないと感じた」(以上、夏季)など。

 (これこそZEH-Mの特長だ。これが浸透すれば、価格差をそれけほど付けなくても済むようになるはずだ)

 「冬季」の「界壁遮音」では、「左右からの音は全く聞こえない」など「満足」「やや満足」が73%に達し、「不満」は2%となり、「床遮音」では、「満足」「やや満足」が52%で、「やや不満」「不満」は24%となっている。

 (これはマンション全体の課題でもある。音の感じ方は人それぞれ。連れ合いのいびきを心地よく感じる人もいれば、息の根を止めたくなる人もいる。コミュニケーション、愛の問題だ)

 2022年3月17日には東京都で震度4の地震が発生したが、そのときの不満足度は7%(3件)とわずかだった。

 特に満足度が高かった設備仕様では、共用部は「外観デザイン」が100%、「24時間ゴミ出し」97.6%、「メールBOX」87.8%が、専用部では「セミオートバス」92.7%、「間取り」87.8%、「浴室乾燥機」82.9%がそれぞれベスト3。

 (外観デザインが100%の評価を得たのに注目したい。記者もマンションを見学する際もっとも重視するのがデザイン-単なる意匠ではないが-なのでとても嬉しい。同じプラン・スパンが連続する板状マンションではせめて分節デザインを採用するべき)

ショック! 木質空間なし 現し論議に決着RCと木造混構造の特養完成 三井ホーム(2022/8/31)

賃料は「調布並み」でも申し込み殺到 三井ホーム「稲城」の木造5階建て賃貸(2021/12/9)

外貌の呪縛を解き放つか 「現しを求めるのは木造コンプレックス」三井ホーム小松氏(2021/12/9)

美人を美人と褒めてどこが悪いのか/居直り記者が男女差別を考える(2021/11/15)

 

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン