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2022/12/04(日) 17:26

富裕層向け、地方展開、JRとの連携に注目 野村不HD 住宅事業ミーティング

投稿者:  牧田司

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「住宅事業スモールミーティング」(新宿野村ビルで)

 野村不動産ホールディングスは11月30日、メディア向け「住宅事業スモールミーティング」を実施し、野村不動産取締役兼専務執行役員 住宅事業本部長・中村治彦氏と同社常務執行役員 住宅事業副本部長・吉村哲己氏が最近の住宅市場や同社の事業などについて約1時間半にわたり説明した。

 全般的なマンション市場については、民間調査機関のデータを示しながら好調に推移していると話した。野村不動産HDの2023年3月期第2四半期決算でも、分譲住宅の契約戸数は2,446戸(前年同期比+400戸)となり、計上予定売上高2,800億円程度(前期は2,840億円)に対する契約進捗率は93.8%と好調に推移していることを裏付けた。

 同社の顧客動向では、首都圏マンション購入者の平均年齢が38.8歳に対し、同社は41.7歳で、世帯年収1,200万円超の世帯が増加傾向にあるとし、とくに「1億円超などの高予算顧客」が増えているとした。1~1.5億円の購入者は、会社員で5割、30・40代で6割、共働きは4割となっており、高額住戸が多い同社2物件でみると7割が駐車場を希望しない「堅実層」が目立つという。

 顧客ニーズの傾向では、テレワークの二極化により、「エリア」「駅距離」「広さ」などの趣向性が多様化しているという。

 住宅購入マインドは、首都圏の7割が取得に前向きであるとしながら、エリアによっては支払い余力に差が出始めており、注視が必要とした。環境配慮型住宅への意識は8割が持っているが、予算オーバーでも購入する層は約6%にとどまっていると説明した。

 今後の展開については、全国で年間4,000~5,000戸供給を継続し、住まいの総合サイトの開設、販売センターの拠点化を進める。来年1月には新宿に販売センターを開設する。

 今後の住宅市場動向では、価格動向、建築費動向、金利動向、住宅ローン控除の改正、コロナによるニーズの変化、ライフスタイルの多様化に注目しており、富裕層が増加していることから高額物件専門の部署を設けたことを明らかにした。

 脱炭素の取り組みでは、ZEH仕様の「プラウド向ヶ丘遊園」、低炭素住宅認定の「浦安市日の出四丁目Ⅱ計画」などを来年に分譲する。

◇        ◆     ◇

 歳をとったせいか、コロナの影響か、どうも最近の小生の記事はキレがなく、冗長・冗漫に流れると自覚しているのだが、その舌の根も乾かぬうちにその愚痴から。

 同社のマンションや分譲戸建ては「コープ野村」の時代を含めて40年以上、年間少なくとも10物件は見学してきたのだが、今年は5物件くらいしか見ていない。旧聞のマクロデータを示されたって〝そうなの〟と頷くほかなかった。

 やはり〝プラウド〟は他社とどこがどう違うのかをもっと話してほしかった。全館空調「床快Full」と樹脂サッシを採用した「亀戸」は市場を激変させたように、同社のマンションは絶えず市場をリードしてきた。同社もまたメディア向け見学会を頻繁に行ってきたではないか。

 まあ、愚痴はこれくらいにして、記者は高額物件専門の部署を新設したことに注目している。野村総研のデータによると、2019年の純金融資産保有額1億円以上5億円未満の世帯は124万世帯で、全体の2.30%を占め、純金融資産保有額5億円の世帯は8.7万世帯で、全体の0.16%となっている。数字は年々上昇している。

 2020年以降のデータは示されなかったが、記者は毎年、東京都港区の課税標準額が1億円以上の納税者の推移を調べており、今年度は前年度比241人、23.9%増の1,250人となり、この層の所得割額総額も前年度比65.8%増の約280億円となり、高額納税者数、所得割額とも過去最多だった2020年水準を大幅に更新した。アッパーミドル層も漸増している。

 同社は具体的にどの程度の層をターゲットにしているか明らかにしなかったが、記者は坪単価にして1,000万円以上、30坪として3億円以上を視野に入れているのではないかと想像する。高額マンション市場では、同社は三井不動産レジデンシャルや三菱地所レジデンスの後塵を拝している。沓掛英二社長は地団太を踏んでいるのではないか。

 もう一つ注目しているのは地方展開だ。同社はこれまで東京圏、関西圏、中部圏を中心に展開してきたが、最近は首都圏に近い政令指定都市や中核都市での供給を増やしており、今期計上予定戸数4,300戸のうち地方は800戸を予定している。同業他社も地方での攻勢を強めているが、同社としては〝プラウド〟のプライドが許さないはずだ。地方でもトップブランドを目指すとみた。

 ミーティングで質問することを一つ忘れた。マンションだけでなくオフィス事業などでJR各社とのJVを増やしていることだ。JR各社も鉄道事業が伸び悩むのは間違いなく、今後は社有地の活用や駅ビル再開発など加速させるためにはデベロッパーとの連携は欠かせないはずだ。同社とJR各社の動向に注目したい。

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