「プラウドギャラリー新宿」エントランス
野村不動産は2月20日、新宿野村ビル35階に新たに設けたマンションの販売拠点「プラウドギャラリー新宿」のメディア向け見学会を行った。ギャラリーは2月18日(土)にオープンしたもので、随所に本物の木を使い、観葉植物を配置するなどまるで植物園にいるかのような錯覚を覚えた。同社のギャラリー「武蔵小杉」もよかったが、環境に配慮した施設としては他社を含めて今回のギャラリーが突出している。
ギャラリーは、JR・小田急線・京王線新宿駅西口から徒歩7分の新宿野村ビル35階。広さは約400坪。予約制で、[平日は11:00~18:00、土・日・祝日は 10:00~18:00(定休日は毎週火曜・水曜・木曜)。
今後、東京都内で分譲するマンションシリーズ「プラウド」を比較検討できる拠点とする。オープン時に「王子神谷」と「南阿佐ヶ谷」2物件を紹介し、将来的には10物件以上を取り扱う予定。
首都圏の既存のプラウドギャラリーにはない取組みとして、さまざまなデジタルデバイスを活用した「LABO ZONE」を設置。ヴァーチャル音声案内システムによる情報収集、VR模型、3面スクリーンへのプロジェクター投影を活用した、間取りの可変性体験コーナーなどを設けているのが特徴。
また、ギャラリーは国産木材・再生材の積極活用による環境対応を行うとともに、世界的な基準で健康・安全性を評価する国際認証「WELL Health-Safety Rating(以下、WHSR)」を国内のマンションギャラリーとしては初めて取得。
このほか、受付スタッフは、植物由来の素材「バイオ PET」でつくられた制服を着用。コクヨ監修のもと、お客様のウェイティングスペースからは、オフィス内執務スペースの様子が見えるガラス貼りのオープン空間を設置している。
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悲しい性か、それとも喜ばしい性向なのか、小生はマンションモデルルームだけでなくあらゆるものを見るとき、美しいかそうでないか、本物か偽物かをかぎ分ける習性が身についている。
今回もそうだ。35階のエレベータを降りたらすぐ、エレベーターホールの壁、ギャラリーエントランスのカウンターなどに格子デザインの〝木〟らしきものに目が留まった。〝まさか〟と思い叩いてみた。カンカンではなく、コツコツという音がした。
そして、全400坪の半分を占めるプレゼンテーションルームや接客ブース、オープンスペースに案内されて、目を見張った。植物園に入ったかのように感じた。また〝まさか〟と思い観葉植物に触れてみた。本物だった(一部フェイクもある)。どこかから甘いアロマの香りが鼻腔をくすぐり、小鳥のさえずりも聞こえてきた。
ギャラリーを案内した同社住宅事業部住宅営業二課営業二課長・頼富龍介氏は、「ギャラリーはわたしたち営業担当と商品企画担当が議論を戦わせて設けたもの。お客さまには五感を通じて体感していただけるようにしました。使用している木は全て国産材、床もクロスも環境に配慮した再生材。飲料容器も同様」と話した。
この時点で同社の力の入れよう、ギャラリーの質の高さ、取材の目的は達せられと思った。疑惑は確信に変わった。〝さすがプラウド〟だと。
小生がこれまで見学したマンション総合ギャラリーは20か所あるだろうか。広さでは710坪の住友不動産「総合マンションギャラリー新橋館」にかなわないが、これほど本物の自然素材をふんだんに用いたものは他にない。(マンションモデルルームでは、積水ハウス「グランドメゾン品川シーサイドの杜」と双璧。観葉植物の量と質では「ザ・パークレックス天王洲[the DOCK]」には負けるかもしれない)
もう一つ、強調したいのは「Mi-Liful(みらいふる)」だ。これは、2015年に同社と長谷工コーポレーション、ブリヂストンの3社が共同開発した「サイホン排水システム」の商品名で、その後、同社も長谷工コーポ施工物件に採用されてきた。
今回のギャラリーでも、かなりのスペースを割いて「Mi-Liful」を紹介しているのだが、同社が直床を除く物件に標準装備していることまでは知らなかった。
これは、大きな武器だ。ライフサイクルの変化によって間取りを変更することが容易だからだ。同業もやろうと思えばやれないことはないが、床下のふところ厚を確保しないといけないので容易ではない。
そしてまた、直床が多い長谷工コーポ施工物件ではほとんど採用されていないことにも気が付いた。これは長谷工コーポがそうしないのではなく、施主が望まないということだ。「床快full」も同じ。全館空調を開発したのは三菱地所ホーム「エアロテック」だが、マンションへの実装戸数では、後発の野村不動産「床快full」に瞬く間に追いつかれ抜き去られた。
野村不動産に独走を許していいのか、沓掛社長(次期会長)の高笑いを容認するのか、鼻柱をへし折ろうとするデベロッパーはいないのかと問いたい。
断っておくが、小生はLosing to Nomura、あるいはDefeated to Nomura(この英語表記は正しいのか分からないが)-野村不動産が勝つか負けるかではなく、隈研吾氏の名著「負ける建築」(岩波書店、英語表記「Architecture of Defeat」)と同じように、避けて通れない環境問題にどう対処するかを問いたいのだ。冒頭にも書いた美しいものは本物か、本物が美しいのはなぜか、偽物は美しくないのか、偽物は美しくなれないのかという問いだ。
70㎡と100㎡のコンセプトルームは、リビング天井高を2450ミリにしているように極めてオーソドックスなものだった。これはお客さんに誤解を与えないとように最低限の基本性能・設備仕様を紹介しているからだと解釈した。
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