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2023/03/16(木) 22:58

全国初 町会の民主的運営を問う裁判提起 二番町(日テレ通り)再開発の是非

投稿者:  牧田司

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大城氏(左)と堀氏(司法記者クラブで)

 グロービス経営大学院学長でもあるグロービス代表取締役・堀義人氏と大城聡氏(原告訴訟代理人)は3月16日、記者会見を行い、千代田区二番町(日テレ通り)の地区計画変更は適切な手続きが行われておらず、原告・堀氏の町会理事への立候補を妨害したしたのは不法行為として、二番町町会と諸亨町会長個人を被告として損害賠償訴訟を提起したと発表した。

 訴訟に至った経緯として、二番町を含む番町地区には、建築物の高さを最高60mに制限する地区計画が定められているにもかかわらず、千代田区は、同地区内の日本テレビだけに対し特別に90mの超高層ビル建設を許すために地区計画を変更しようとしており、その前提となる住民合意が得られていないと主張。

 提訴に踏み切った理由として、堀氏は2019年5月の二番町町会の総会前に二番町町会の理事に同社社員が立候補する意向を諸享町会長に伝えたにもかかわらず、「知らない人なので受けられない」「町会規約に詳しい規定がない」との理由で拒否されたとし、その後も立候補の意思を伝え、再三にわたって町内会のガバナンス問題について訴えているにもかかわらず、改善が見られないことから提訴に至ったとしている。

 請求の趣旨の第1として、二番町町会理事への立候補を妨害したことは不法行為でありとし、第2として、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に関する法律の規定が権利能力なき社団にも類推適用され、町会全員の同意の意思表示が必要であるにもかかわらず、町会員全員の同意を得ずに開催した書面総会は無効であり、前年度及び今年度の定期総会における各決議は不存在(同法265条1項類推適用)であるとしている。

 会見に臨んだ堀氏は「全ての方法が途絶えてしまったので、最後の手段、苦汁の決断として公の場で問うことにした。このような問題は全国で起きているのではないか。住民の声がきちんと町会に反映されることを願う」と語った。

 大城氏は「住民がみんなで話し合い、自分たちで街のことを考える意味で町会は大事な存在。しかし、(二番町会)は一部の人たちで運営されており、異なる意見を持つ人が排除されている実態がある。今回の町会のガバナンスを問うことは、民主主義の基盤をきちんと問い直すことに繋がる」「この種の町会のガバナンス問題に関する訴訟は前例がない」と話した。

 訴訟に合わせ、樋口高顕千代田区長及び都市計画審議会の岸井隆幸座長に対して同町会の意思決定過程に重大な問題があるため、問題の当事者である同町会長を二番町地区計画変更に関する都市計画審議会の審議に参加させないことを求める書面を提出した。

 今回の提訴について諸氏は区役所担当者を通じ「訴状を受け取っていないので何も言えない」とコメントし、(実名報道については)「ご判断に任せます」とのことだった。(本人の意向によっては実名を伏せることを考えていたが、すでにプレス・リリースで報道されており、諸氏は都計審の委員でもあり、公人に準ずると判断し実名とした)

◇        ◆     ◇

 堀氏が、区民の声を届ける手段・方法が途絶えたとし、苦渋の決断として今回の訴訟に訴えたのはよく分かる。全国に波及するのではないか。

 自治会・町内会への強制加入の勧誘は違法であり、マンション管理組合が町内会費を代理徴収するのも違法という判決が出されている。つまり、自治会・町内会は任意団体であり、加入も離脱も本人の自由意志が尊重されるということだ。

 この判決に倣うなら、町会理事への立候補を拒否し、その後も堀氏の提案を無視し続けてきた町会・町会長の言動・行動は極めて重大と言わざるを得ない。また、権利能力なき社団に「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」の規定が類推適用されるとすれば、民法第675条の「(1)組合の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができる。(2)組合の債権者は、各組合員に対して等しい割合でその権利を行使することができる」が準用されるはすだ。

 だが、しかし、住民側にも問題がないわけではない。憲法でいう「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」(第12条)ことを考えないといけない。

 今回の二番町もそうだが、神田警察通り道路整備計画問題の取材を通じで、町会は住民代表というよりは、区の上意下達の下請け機関になり下がっているとしか思えない。区もまた都合のいいときは町会(長)を住民の声として利用し、時には町会(長)は住民代表ではなく、つまり、ただ声を聞く置く機関とみなしている。戦前の隣組組織とほとんど変わらないではないか。

 町会だけではない。区民も同様だ。今回の二番町の問題でいえば、日テレの別動隊そのものの「日テレ通りまちづくり委員会」のアドバルーン150m提案に区民は浮足立った。いとも簡単に日テレの情報操作にはまった。神田警察通りの道路整備計画でも、住民らは〝寝耳に水〟〝知らなかった〟というが、行政にはそれは通用しない。先日、石丸俊之社長が話した「由らしむべし知らしむべからず」そのものだ。

 記者は、多摩市のマンション居住者(管理組合員、理事)として活動したことがあるが、町内会の役員、管理組合の理事、PTA役員、交番などの関係者はみんな平等で、自由に意見を言い合い、合意の上でなにごとも決めた。町会長の独断専行などありえない。それを許した千代田区民は反省しなければならない。

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