三井不動産は8月5日、記者説明会を開催し、2030年を見据えた新たなグループDX方針「DX VISION 2030」を策定したと発表。今年4月に公表した新グループ長期経営方針「&INNOVATION 2030」で示した事業戦略①コア事業の更なる成長②新たなアセットクラスへの展開③新事業領域の探索・事業機会獲得-を支えるインフラの1つにDXを位置づけ、現在のDXの年間投資額200億円を2030年には350億円に拡大する。
記者説明会に臨んだ同社執行役員DX本部長・古田貴氏は、2017年を同社のDX元年として位置づけ、これまでの成果として主要システム刷新率は92%、クラウド移行率は96%、社員IT満足度調査は86%に達し、DX本部人材はエキスパートの中途採用は80名超、プロパー、出向を含む本部人材は2009年の15名から140名超に増員したと話した。
「DX VISION 2030」では、現在の年間DX投資額200億円を2030年には350億円に拡大し、リアル×デジタルの「&Customer」、AI/デジタル人材変革を目指す「&Crew」、デジタル基盤の変革による「&Platform」により、大夫化する顧客ニーズに合わせた体験価値の向上を推進し、不動産デベロッパーの枠を超えた「産業デベロッパー」として、社会のイノベーション・付加価値の創出に貢献すると述べた。
DX推進の具体的な取り組みとして、同社DX本部DX二部DXグループエンジニアリングマネージャー・山根隆行氏は、DX本部のエキスパートが事業部門へ6か月間異動し、また、事業部門のビジネス人材をDX本部へ1年間異動することなどを通じて双方向で理解度を深め、人材の育成に力を入れていくと説明した。
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この前の三井不動産レジデンシャルが行った吉永小百合さんの新CM発表会には、最前列に席を取り、一言一句を聞き逃すまいと耳を傾け、ボイスレコーダーにも記録し、ほとんど吉永さんが話した通りに記事で再現した。メディアはテレビ局9社をはじめ約80人だった。
この日の「DX VISION 2030」記者説明会へのメディアの参加者は40名を超え、CM発表会よりは少なかったが、関心の高さがうかがえた。記者は、スマホすら満足に扱えないアナログ人間なので、話を聞いてもさっぱりわからないだろうからいつものように最後列に座った。古田氏らの話はさっぱりわからなかった。耳が遠くなったばかりが理由ではない。
ところが、質疑応答で驚嘆すべき数字が飛び出した。ある記者の方が「DX投資額350億円…」と質問したのだが、胡乱な記者の頭脳もすぐ反応した。350億円といえば、同社の売上高2兆2,691億円(2024年3月期)の1%を超えるではないか(2030年でも1%くらいか)。広報担当者にも確認した。350億円は累積ではなく、年間投資額だ。
ものすごい額だとは思ったが、この額の意味するところが分からなかった。そこで、家に戻り、ChatGPTに次のように質問した。「売上高2兆2,691億円の三井不動産は、現在の年間DX投資額200億円を2030年には350億円にすると公表しました。この数値は同業、さらには他業種と比較してどのような意味を持つか説明してください」
回答は瞬時に返ってきた。一部を紹介する。
1. 業界内での競争力の向上
三井不動産は、不動産業界の中でも大手であり、業界の中ではかなりの規模の企業です。現在の年間DX投資額200億円から2030年までに350億円に増加させるという計画は、業界内でのデジタル技術の導入において積極的な姿勢を示しています。このような投資の増加は、より高度なデジタルソリューションを導入し、効率的な業務運営や顧客体験の向上を目指す意図を示しています。
2. デジタルシフトの推進
不動産業界は、他の業界に比べてデジタルシフトが遅れているとされていますが、三井不動産のような大手企業が大規模なDX投資を行うことで、業界全体のデジタル化を加速させる可能性があります。特に、顧客との接点やプロセスのデジタル化(例:バーチャル内見やAIによる物件推薦)に注力することで、市場全体のデジタル化の流れを先導する役割を果たすことができるでしょう。
3. 業界外の他業種との比較
他業種と比較すると、特にテクノロジー業界や金融業界では、より高い割合でのDX投資が行われていることが一般的です。例えば、テクノロジー企業は売上の大部分をデジタル関連の投資に回すことが多く、金融業界でもデジタル化は必須の戦略となっています。それに対して、不動産業界のDX投資は比較的少ないことが多いですが、三井不動産のような大手がこのような投資額を計画することで、業界全体の投資水準が引き上げられる可能性があります。
4. 長期的な戦略的アプローチ
2030年までの長期的な計画での投資額の増加は、三井不動産が将来にわたって持続的な成長を目指し、デジタル技術を駆使してビジネスモデルを進化させる意図を持っていることを示しています。これは、短期的な利益追求だけでなく、長期的な競争優位性の確保を目指した戦略的なアプローチであると言えます。
まとめ
三井不動産のDX投資額の増加計画は、業界内での競争力を高めるとともに、不動産業界全体のデジタル化を加速させる可能性があります。他業種と比較しても、大規模な投資が行われることで、業界全体のデジタルシフトが進むことが期待されます。また、長期的な視点での投資は、将来の成長に向けた戦略的な準備を示しています。
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瞬時に回答が返ってきたのはさすがだ。しかし、350億円の意味するものへの具体的な回答はなかった。ChatGPTは文字を理解し考えているのではなく、情報を処理しているからだろうが、このあたりにChatGPTの限界を感じる。
一つ例示する。この前の吉永小百合さんのTVCMのセリフだ。記事にもしたのだが、吉永さんは「あなたはいつだって、今がいちばん好き」「ずっと昔から、そして今からも」は、日本語文法的には問題がある。「あなたは」は主語だが、述語の「好き」の間には目的語がないと意味は通じない。この点をChatGPTに聞いたら、「ご指摘の通り…何に対して『いちばん』と感じるのかが明確でない可能性があります…『今がいちばん好き』の『今』が何を指しているのかが曖昧です」と返ってきた。小生のような馬鹿もそうだが、ChatGPTも鋏と一緒、使いようだ。
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