「パークウェルステイト西麻布」(以下、記者撮影の★印以外の写真提供はすべて三井不動産レジデンシャル)
三井不動産レジデンシャルは7月29日、シニアレジデンス「パークウェルステイト(PWS)」のフラッグシップ物件となる「パークウェルステイト西麻布」(全400室)のメディア向け内覧会を開催し、10月1日に開業すると発表した。2022年から募集を開始しており、これまで一般居室340室のうち半数以上の180室が契約・申し込み済み。
「西麻布」は、PWS シリーズで初となる都心立地物件で、美しい水景と豊富な緑により四季の移ろいを感じることができるランドスケープ、帝国ホテルが提供するダイニングサービス、健康増進につながるスパ・フィットネスフロア、業界初となる顔認証システムなどシリーズ最高峰に相応しい商品企画・設備とサービスを備えているのが特徴。
外構は、SWA Groupが担当。空地率50%を確保し、2,200㎡のプライベートガーデンは、わが国の伝統的な「伊達冠石」「庵治石」を水景を囲むように配し、266本の中高木を植樹。
共用施設の9階のスパ・フィットネスフロアは、バイオフィリックデザインをテーマに、全体としてアール形状の空間とし、仕上げには木を、観葉植物には本物を使用し、「ウェルネスプール」「フィットネスジム」「リラクゼーションラウンジ」「大浴場」を用意。このほか、1階には1,800 冊以上の蔵書を誇る「文喫」監修のライブラリ―を設置している。
35階のダイニングフロアは天井高約6m。帝国ホテルが和食・洋食・中華を入れ替えながら調理・提供する。36階には3室のプライベートダイニングを設置。料理人を招き、家族そろっての食事会としても利用できる。1階のティーパビリオンでは、帝国ホテルのシェフが焼き上げたパンなど、ビュッフェスタイルの朝食を提供する。
また、有料老人ホームとしては国内初の共用部と全居室へ顔認証システムを導入。鍵を持たずに外出することが可能になるほか、アレルギー情報の確認、安否確認システムとの連携を図り、入居者の利便性と安全性の向上に貢献する。
看護・介護サービスは、24時間体制でスタッフが常駐。介護が必要になった際には、介護専用フロアをご利用することができる。東京海上日動ベターライフサービスによる介護保険事業所「TOKIORI」を同一建物内に開設し、訪問介護から家事代行まで入居者それぞれのニーズに応じたきめ細かなサービスを提供する。
物件は、東京メトロ広尾駅から徒歩12分(六本木駅、表参道駅からもほぼ同じ距離圏)、港区西麻布4丁目に位置する敷地面積約7,018㎡、36階建て居室数400室。一般居室(340室)の面積は約39~約142㎡、リビング天井高は2700ミリが標準、廊下幅は1100ミリ。2人入居限定の入居1時金は18,312万円(82歳)、26,268万円(75歳)、共益費は106,270円、基本サービス料は352,000円、合計458,270円。介護居室(60室)の面積は約22~35㎡。設計・施工は大林組、外観デザインは日建ハウジングシステム、ミサワアソシエイツ一級建築事務所、インテリアデザインは日建設計、外構デザインはSWA Group、介護・看護パートナーは東京海上日動ベターライフサービス、医療連携は医療法人社団慶永会、ダイニング運営は帝国ホテル。
2022年からホームページを開設。これまでの反響数は4,000件。一般居室340室のうち180室が契約・申し込み済み。平均年齢は78歳で、2人入居割合は3割。
「パークウェルステイト」シリーズは、2019年開業の第一号「パークウェルステイト浜田山」をはじめ「鴨川」「千里中央」の3物件約1,000室をこれまでに供給しているが、今回の「西麻布」とほぼ同時期に開業する「パークウェルステイト幕張ベイパーク」(617室)と「パークウェルステイト湘南藤沢SST」(566室)と合わせ居室数は約2,500室となる。
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これまで記者は、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、自立型シニア向け分譲マンションなどをそこそこ取材してきた。その数は100件をくだらないはずだ。特別養護老人ホーム(特養)と有料老人ホームはそれぞれ一泊体験取材もした。一言でいえば〝地獄の沙汰も金次第〟の世界だ。
今回の「南麻布」は、これまで取材してきた施設とは全く異なるものだった。契約者の平均年齢が78歳で、2人入居割合が3割という数字に、そのことが表れている。
では、何と比較すればいいか。これが難しいのだが、分譲マンションと比較してみた。バブル後の分譲マンションの最高峰は、同社の「パーク・マンション檜町公園」の坪3,000万円だと思うが、共用施設やサービスの価値を考えると「西麻布」の坪単価は4,000万円しても不思議でないと思った(関係者や記者の方と話しあったのだが、「アマン東京」は坪単価にして5,000万円で意見一致した。記者は数年前から東京駅の一等地は坪5,000万円になると予測してきた)。
共用施設では、1階のプライベートガーデンなどのランドスケープデザイン、24m×6mのプール、ジャンルが豊富なライブラリ―、天井高6mのダイニングが圧巻。見学した各フロアは本物の木が多用されており、観葉植物はすべて本物だった。
サービスでは、何といっても帝国ホテルだ。値段は朝食が648円、昼食が1,320円、夕食が1,980円。朝昼晩すべて利用すれば1日4,000円弱。1か月で約12万円だ(酒は別)。一般的なホテルの朝食は2,000~3,000円はするから格安か。
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事業戦略発表会で同社執行役員シニアレジデンス事業部長・井上貴嗣氏は「パークウェルステイト」の顧客像として、「Self-reliance(自立した暮らし)」「Satisfaction(自分自身の満足に貪欲)」「Seamless(場所と立場に縛られない)」の「3つのS」を上げた。その通りだと思う。
この記事を書いている今、2015年のフージャースコーポレーションのシニア向け分譲マンション「デュオセーヌつくばみらい」竣工見学会に三井不動産レジデンシャルの社員がたくさん参加していたのを思い出した。10人くらいの社員が参加しており、「三井不レジ関係者は『賃貸として検討している』と話した」と記事にしている。
当時からフージャースコーポとは異なった形態でシニア向け事業を検討していた。同社は、「パーク・マンション」など富裕層向け分譲マンション市場で他社を圧倒してきた。そのノウハウを生かし、高額マンションに住む居住者のニーズを取り込んだのが結実したといえる。
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