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2024/09/04(水) 15:47

時とともに成長する「うめきた公園」 美しい「JAM BASE」先行街びらき

投稿者:  牧田司

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「グラングリーン大阪」(写真提供:©Akira Ito.aifoto

総開発面積9.1haのうち約半分の4.5haが都市公園として整備される大阪駅北口の「うめきた2期」再開発事業である「グラングリーン大阪」の事業者9社は9月3日、メディア向け内覧会を行った。総事業費は第1期の約4,000億円の「グランフロント大阪」を含めると1兆円超のビッグプロジェクトだ。先行街びらきは96日行われる。以下、見学した各施設を紹介する。

駅直結の「うめきた公園 樹木・草花はすべて和名表記

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「うめきた公園」(クレジットなしは記者撮影)

大規模ターミナル駅直結の都市公園としては世界最大級と言われる4.5haの「うめきた公園」が素晴らしい。圧倒的な緑の量に感動した。ただ、本音を言えば、中高木は積水ハウスの「新・里山」はともかく、「赤坂グリーンクロス」や三菱地所の「ホトリア広場」のように成木がたくさん植えられているのを期待していたのだが、そうではなく、(予算に限界があったのだろう)人間に例えれば少年・少女ばかりだった。まあ、時の経過とともに成長し指定管理期限が切れる50年後には「新・里山」と一体となった森に成長するのは間違いない。未来の都市公園のあり方を示唆するものだ。

感動しながら公園のほぼ全域を見て回った。最初のころは、「黒松」「赤松」「博打木」「白樫」などと樹木や草花の表記が和名になっているのを変だとは思ったが、それほど気にも留めなかった。小説や俳句などの「樅ノ木は残った」「馬酔木」「女郎花」がカタカナでは具合が悪い。しかし、回っているうちに、フリガナは付されているが「一ッ葉櫤(ヒトツバタゴ)」
「躑躅(ツツジ)」など誰も読めそうもない樹木・草花も和名になっていたので、強い意図を感じた。

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左から「博打木」「一ッ葉櫤」「沙羅樹」

 そこで、関係者に説明して回っていたガイドさんに尋ねた。「カタカナではなく和名表記にしているのは、大阪府知事か大阪市長の指示ですか。それとも安藤忠雄さんですか」と。ガイドさんは答えなかったが、近くにいた関係者の一人の女性が「ランドスケープデザインを担当された、キャサリン・メモリアルを手掛けられたGGN(グスタフソン・ガスリー・ニコル)さんが決められたんだと思います」と話した。「えっ、専門家の方ですか」と名刺を差し出したら、その方は微笑みながら名刺をくれた。「池邊このみ」とあるではないか。すっかり忘れていた(小生も歳を取ったものだ。若いころは女性の名前と顔を忘れることは絶対なかった)。

 この機会を逃してなるものかと、コメントを求めた。池邊氏は「彼女は日本の固有種には和名がいいと判断されたのだと思います。私は安藤忠雄さんなどと『うめきた2期』の事業者選定の選定委員になっていました。公園? 非常によくできていると思います。森をうまく設計されているし、水辺をいい形で配され、美しい庭園を表現されている。ほら、あそこに蝶々が飛んでいるでしょ。生物多様性にもよく配慮されています」

 記者はすかさず、「大阪市の指定管理者選定に当たって、審査委員が100点満点で77点の評点をつけたのはいかがですか。5段階評価で5にはならない」と畳みかけた。「そうですね。5じゃないですね。指定管理公園では80点以上取るようにしないといけない」と語った。

 ついでに、池邊氏が昨年5月の東京都環境影響評価審議会の委員に選ばれなかったことと神宮外苑問題について聞こうと思ったら、随行人の方に「池邊さんはこれから見学もありますので」と遮られた。残念。

 1万人規模の集客開催も可能なイベントスペースとカフェ・レストランなどの飲食施設が入る「大屋根」の設計は、建築家の妹島和世と西沢立衛氏が率いるSANAA(サナア)だ。サナアは「南北に約120mの長さを持つ大屋根は、都市公園のランドスケープと呼応するようにゆるやかに起伏します。半屋外の大屋根イベントスペースと、情報発信棟、カフェ・レストラン棟を1つの屋根の下にそれぞれ配置することにより、中と外が自然とつながり、公園と地域に開いた場所となります」とコメントしている。

 公園について一つ提案だ。公園隣接の建築物は公園の環境価値を享受できるのだから、アメリカなどのように公園税を課すべきだと思う。大阪市は「うめきた2期」の開発に当たって、従前は日影規制が適用されていた準工業地域から規制がない商業地域に変更したように、公園の南側に位置する建築物に配慮している。緩和には見返りも必要だ。

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「うめきた公園」(写真提供:©Akira Ito.aifoto

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「グラングリーン大阪」(写真提供:©Akira Ito.aifoto)

安藤忠雄氏監修の「VS.」では11万円のコーヒーが飲める

建築家の安藤忠雄氏が設計監修した名称が意味深な「VS.」は、いかにも安藤氏らしいコンクリート打放しの内外観が特徴だ。安藤氏は「機能の大部分を地下に埋設し、地上部分は壁面緑化によって緑のボックスとすることで、周辺の公園環境に溶け込むような外観となることを意図しています。訪れる人々が、緑豊かな環境の中で、未来について施策を巡らすことのできる場となることを期待しています」とコメントしている。

施設内のコーヒーカクテルが楽しめる「LOHE(ローエ)」も安藤氏が設計したもので、端正なレイアウトが美しい。そして、何よりも世界大会で優勝したバリスタ・バーテンダーが監修した110,000円のコービー(記者が外出先で飲むコーヒーの1か月分)が飲めるのが〝売り〟の一つだ。Executive Managerの山口貴一氏によると「豆はパナマ産で、くらっとする、上質の酒のようなえも言われぬ味わい」だそうだ。豆を見せてもらった。深煎りしていないからなのか、ふっくらした琥珀色で、甘い香りが鼻腔を満たした。めまいがするコーヒーを飲みたい。

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LOHE(ローエ)」

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山口氏

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1杯10,000円のコーヒー豆

〝ごちゃまぜ感〟がする中核機能「JAM BASE」は美しい

民間、行政、経済団体が一丸となってイノベーション活動の拠点を目指す「JAM BASE」は、内装に木や本物の観葉植物がふんだんに用いられており、デザインも美しい。入居するさくらインターネットのスタッフの方々としばし談笑した。施設は「ごちゃまぜ感」がするのがよく、大阪の女性は心が広くて強いそうだ。

なるほど。取材を終えてからタバコを吸うため記者がいつも利用するコーヒー店で「ブレンドS」を注文したら、「ラージを注文された」と初めて見る特大が出された。値段は4割増し。「S」と「L」を同じと捉える、ごちゃまぜにするおおらかさはちょっと真似ができない。

1階の中華、ハンバーガー、コーヒー、居酒屋で構成される新食店「re:Dine」もごちゃまぜ店舗だ。96日から13日の1週間は生ビール・ハイボールが何倍でも1100で飲め、コーヒーが1か月500円で飲み放題のキャンペーン(930日まで)も行う。

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「JAM BASE」(写真提供:©Akira Ito.aifoto)

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「JAM BASE」(写真提供:©Akira Ito.aifoto)

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「JAM BASE」(写真提供:©Akira Ito.aifoto)

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「JAM BASE」(写真提供:©Akira Ito.aifoto)

公園、市街地が一望できる「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」

「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」(客室数308室、32㎡中心)は日本初のライフスタイルブランド。南西角の客室からは「うめきた公園」や市内の中心市街地が一望できる。インバウンド客を想定した和テイストはわからないわけではなく、最大127㎡でも客室料金は30万円~とのことで安いとは思ったが、記者の好みではなかった。設計・デザインは日建設計。

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「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」(写真提供:©Akira Ito.aifoto)

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「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」

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