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2024/08/27(火) 13:33

積水ハ「赤坂グリーンクロス」にオープンイノベーション施設「イノコム・スクエア」

投稿者:  牧田司

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「InnoCom Square(イノコム・スクエア)」エントランスゾーン

 積水ハウスと積水ハウスイノベーション&コミュニケーション(積水ハウスイノコム)は9月5日、港区赤坂2丁目の「赤坂グリーンクロス」にオープンイノベーション施設「InnoCom Square(イノコム・スクエア)」を開設する。開業を前にした8月26日、メディア向け内覧会を行った。

 「積水ハウスイノコム」は2024年2月1日に設立。積水ハウスグループのグローバルビジョン“「わが家」を世界一幸せな場所にする”を実現すべく、「住まいと暮らし」を基軸にした6つの大分類、16の中分類の領域技術、顧客基盤、データ、人財を活用し、オープンイノベーションのさらなる推進と人財育成を目指す。

 開設する「イノコム・スクエア」は、同社グループの人財や研究者が常駐することで、自然にイノベーションが生まれる「価値創造の場」として運営する。また、当社グループが事業や課題を提示し、スタートアップ企業を募るリバースピッチイベントなども積極的に行っていく。

 施設は、東京メトロ溜池山王駅直結、港区赤坂2丁目の「赤坂グリーンクロス」23階の約882㎡。天井高は2800ミリ。エントランスゾーンには屋根型の梁や無垢フローニングを採用しているほか、施設内全体に、同社グループ会社の建材や家具メーカーの技術による再利用が難しい端切れや廃盤木材を活用し、サーキュラーエコノミーを具現化している。

 内覧会で積水ハウスイノベーション&コミュにケーション代表取締役・辰井伸洋氏はリバースピッチでは、同社が培ってきた技術、顧客基盤、データ、人財(材)を活用し、「この指とまれ」を掛け声に事業者を募集し、向こう10年間のCVC投資規模50億円(組合存続期間10年)と掛け合わせて、住まいと暮らしを基軸とした社会課題の解決を目指すと話した。

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エントランスゾーンのロゴ

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「InnoCom Square(イノコム・スクエア)」おもてなしエリア

積水ハウス イノコム 代表取締役 辰井 伸洋①.jpg
辰井氏

◇        ◆     ◇

 取材の目的は2つあった。一つは、もちろん「InnoCom Square(イノコム・スクエア)」がどのような施設であるかを確認することで、もう一つは、同社と日本生命が共同事業主として建設した「赤坂グリーンクロス」がどのような建物かを見学することだった。

 後者から先に紹介する。同ビルは「BELS」認証の5つ星、「ZEB Oriented」評価、「CASBEE建築(新築)」Sランク(自己評価)を取得しているSクラスのビル。何が素晴らしいかといえば外構だ。ビルの四囲を見て回った。総合設計により建てられた建物だから、緑が豊富なのは当たり前だが、これほど豊かな植栽を施しているビルは赤坂・溜池山王・赤坂見付駅圏には「赤坂インターシティ」以外にはまずない。どこの都心部のオフィスビルと比較しても互角以上のはずだ(「新・里山」には負けるが)。

 草花や中高木にはほとんど名札・バーコードがつけられており、中高木はみんな成木が植えられていた。さすが「5本の樹」計画の積水ハウスだと思った。絶滅危惧種とされる「ヒトツバタゴ(なんじゃもんじゃ)」は、樹齢100年と言われる神宮外苑のそれより立派だった。

 溜池山王駅から直結の地下2階からエントランスホールの3階までの壁面などには、高性能吸音プラスター「BASWAphon・バスワフォン」が天井から吊り下げられていた。その数は何千本、何万本だろう(もっと多いか)。これまた素晴らしい。エレベータの庫内の床と手すりには本物の木が使われていた。

 施設内はどうか。エントランスはナラ材の屋根型梁とナラ材の無垢のフローリングが施されており、「Inno Com Square」のロゴはホワイトアッシュ、メープル、ゼブラウッド、ウォルナット、チェリー、ナラ、ブビンガで作られており、一部にわが国の伝統技法の「契り」や「草木染め」が採用されていた。このほか、スペース内には長さ7メートルの「ナラ枯」を用いたカウンター、同社グループのアイダ、マルホン製のソファ・テーブルなどが配されていた。

 一つ気になったのは、施設の目玉の一つでもある多目的スペース「おもてなしエリア」には観葉植物が4本(鉢)しかなかったことだ(窓際のくつろげるスペースは本物の観葉植物)。施設全体でも鉢植えは7つしかなかった。これまで見学してきた同社のマンションモデルルームやオフィスにはふんだんに緑が配されていたので、その落差が目立った。

 いくつか記事を添付する。「グランドメゾン伊勢山」「グランドメゾン品川シーサイドの杜」や「SUMUFUMU TERRACE」の記事を読んでいただきたい。同業他社の先進的な〝みどり〟の取り組みも紹介する。

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「赤坂グリーンクロス」外構

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ヒトツバタゴ 

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「赤坂グリーンクロス」共用部分(エスカレーターから)

◇        ◆     ◇

 辰井氏が話した「この指とまれ」はいかにも積水らしいと思う。累計CVC投資額が数百億円に達している同業の三井不動産や三菱地所とは桁違いだが、業態が異なる。例えていえば、積水ハウスはひがな一日、船上から釣り糸を垂れ、魚が引っ掛かるのを待つ漁法だ。一網打尽の底引き網漁法とどちらがいいか単純に比較などできない。 記者は小さい頃、人差し指を突き立て〝この指とまれ〟とトンボや蝶々をおびき寄せ、捕獲したことは何度もある(好きな女性に成功したことは一度もないが)。

 イノベーションによって人間は進化し、生き延びてきた。「住まいと暮らし」を基軸に同社がどのようなイノベーションを生み出し、気候変動、高齢化社会、食糧危機などの地球的課題をどう解決していくか期待したい。

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