約40年にもわたる積年の不審・疑問がこの日2024年10月25日、きれいさっぱり払しょくされた。こんなうれしいことはない。疑問とは、不動産流通推進センターに対する記者の考え方で、それが完全な思い違い、偏見であることが取材で分かったからだ。
取材とは、この日実現した「物流施設が嫌悪施設になっている」(資料参照)ことに関する取材だ。同センター教育事業部統括参事・金子雅生氏と同センター教育事業部専門次官兼開発課長・櫻井弘久氏は、物流施設を「嫌悪施設」と決めつける意図は全くなく、不動産取引を円滑に進めるためには、重要な事項の不告知、不実告知を定めた宅建業法第47条第1号ニの「宅地若しくは建物の所在、規模、形質、現在若しくは将来の利用の制限、環境…宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの」については、事前に調査し、相手方に説明し、了解を得ることが必要と話した。
それともう一つ、同センターの前呼称「不動産近代化センター」を現在の「不動産流通推進センター」に変更した経緯を聞き(これは書かない)、記者が40年間にわたって抱き続けてきた不信感・疑問も雲散霧消した。
そればかりか、お二人は宅建士の最高位に位置付けられている「宅建マイスター」(現在約670人)事業を担当されており、今後「宅建マイスター」を取材するきっかけを与えてもらった。以前、「宅建マイスター」試験に挑戦したことがあるが、全然歯が立たなかった。「宅建マイスター」の頭脳がどうなっているのかとても興味がある。
◇ ◆ ◇
取材をお願いしたのは、今から6年前の2018年5月、当時の三井不動産常務執行役員ロジスティクス本部長・三木孝行氏(現、顧問)は大勢の記者団の前で「もはや物流施設は嫌悪施設ではない」と語った言葉が頭の中にこびりついているのと、現在、シンガポールに本拠を置く日本法人「日本GLP」が計画している昭島市の「昭和の森ゴルフコース」など約65haを含む81.5haにも及ぶ物流拠点「玉川上水南側地区地区計画」(素案)の行方が気になっているからだ。
この点については上段で書いた通り。考えないといけないのは物流業界だ。具体的な事実に基づき「物流施設は嫌悪施設ではない」ことを地域住民らに説明・証明する必要があるのではないか。施設で働く人はみんなエッセンシャル・ワーカーだ。
(添付資料)物流施設が嫌悪施設になっていることに関する取材のお願い
貴センターのホームページ「不動産相談」(掲載日:2016年2月、重要事項説明における「嫌悪施設」の調査範囲)では、「通常『嫌悪施設』と言われるものには、騒音や振動の発生、煤煙や臭気(悪臭)の恐れ、危険を感じさせる、心理的に忌避されるものなどがあるが、嫌悪施設の明確な定義はないと言わざるを得ない。嫌悪を感じるかどうかは個々人により判断が異なり、また、時代背景や技術の進歩により嫌悪感が薄れることもあり、一概に言えない。宅建業者はそれらを踏まえ、説明すべきかどうかの判断をせざるを得ない」としながら、<住宅地近辺における主な嫌悪施設>として、「騒音や振動の発生」生じさせる施設として「大型車両出入りの物流施設」を例示されています。
私も、物流施設は小規模なものを除き、建設が許可されるのは工業系用途地域のみなので「嫌悪施設」と理解していましたが、添付いたしました記事の通り、「物流施設はもはや嫌悪施設ではない」と語り、街づくり、地域共生に力を入れている事業者がいます。
そこで、「物流施設」を嫌悪施設から除外することはないか、除外するには何が必要かなどを取材形式でお聞きしたいと思います。
売上高、営業利益、営業利益率とも拡大・向上大和ハウス事業施設(物流)事業(2024/10/12)
◇ ◆ ◇
「不動産近代化センター」の呼称変更については2014年と2015年に書いた記事を添付する。次のように書いている。
「この呼称についてはもう30年も前から変更すべきという記事を書いてきたし、直接訪ねて呼称変更を〝お願い〟したことがある。(この日10月25日、2~3人の方に対応していただいたが、けんもほろろだったのを思い出した)
なぜか。当時、記者はデベロッパーを取材していたのだが、不動産業界に『近代化』なる言葉が付けられた公益法人があるのに驚いた。『近代化』なる言葉は歴史の教科書に出てくる『戦前』のことだ。『もはや戦後ではない』と経済白書が謳ったのは昭和31年だ。どうして昭和の50年代にもなって『近代化』をわざわざつけなければならないのか不思議に思った。
確かに『全国宅地建物取引業協会連合会』(全宅連)という会員数が約11万(当時約14万)を擁す、主に街の不動産会社などからなる業界団体があり、『前近代的』と思われる部分も少なくなかった。
しかし、それでも大手デベロッパーや大手流通会社は良好な街づくりや住宅供給を行っており、他の業種を含めトップランナーだと記者は思っていた。『近代化』などと言われると、自分自身が時代遅れの俗物と言われているような気がした。
そこで『近代化』が付された団体があるかどうか調べた。今でこそネットで検索できるが、当時は電話帳やらその他の刊行物を調べ、『近代化』が付いている団体は不動産流通近代化センターのほかには、昭和44年に設立された財団法人東京タクシー近代化センターしかないことを突き止めた。東京タクシー近代化センターは平成14年に『東京タクシーセンター』に呼称変更されているので、現在、『近代化』のついている団体は不動産流通近代化センターしかないはずだ。」
◇ ◆ ◇
以上の記事で書いているように、30年昔(当時)といえば、記者が業界紙の記者として働きだしてから数年経過したころだ。全宅連系の会社が主な事業とする賃貸管理業は、時代遅れの「礼金」なる商習慣にかじりつき、墨守していた(今でもそうだろう)。今は、外国人に「礼金」は通用しないはずなので〝room charge〟(飲食店などの「お通し」「突き出し」はそう呼んでいるのではないか)とでも説明しているのだろうか。
記者は幸か不幸か、全宅連担当になったことは一度もないが(マンション・建売住宅担当にしてもらうよう当時の編集長に直談判した)、「前近代的」な業界を取材することなどしたくなかったし、「俗物」にもなりたくなかったのは事実だ。
今でもそうだろうが、不動産業界紙は取材対象ごとに、例えば行政、大手デベロッパー、ハウスメーカー、流通業界、賃貸業、中小業界団体などに分かれており、しかも数年ごとに配置換えが行われる。これでは絶対自立した記者にはなれない。業界紙も変わらないといけない。
81.5haの物流「GLP昭島プロジェクト」敷地内に4.5haの樹林地開発に疑問の声も(2024/9/21)
「近代化」が消えた 近代化センターが「不動産流通推進センター」に名称変更(2015/4/20)
唯一残っていた「近代化」が消える 不動産流通近代化センターが名称変更(2014/11/4)