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2024/12/07(土) 11:43

コアなニーズ引き出した商品企画ヒット ポラス「すみかプラス行徳」

投稿者:  牧田司

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「Sumi-Ka+GYOTOKU(すみかプラス行徳)」

 ポラスグループ中央住宅は12月5日、分譲戸建て「Sumi-Ka+GYOTOKU(すみかプラス行徳)」のメディア向け見学会を行った。「Sumi-Ka+」のコンセプトは、「社会問題の解決を建築で目指す」という意欲的なもので、2022年にグッドデザイン賞を受賞した。今回はありきたりな都市型戸建てに満足できないコアなニーズに訴求し、周辺相場より1,000万円くらい高い価格設定にもかかわらず販売は好調に推移している。

 物件は、東京メトロ東西線行徳駅から徒歩12分、市川市新浜1丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する全18戸。土地面積は110.02~128.23㎡、建物面積は96.48~106.91㎡、価格は7,990万~9,490万円。完成予定は2025年3月上旬。

 現地は、フラットな行徳駅前通りから一歩入った住宅地。主な基本性能・設備仕様は、長期優良住宅、耐震等級3、ソーラーパネル搭載(1~10号棟)、リビング天井高2700ミリ、サッシ高2400ミリ、1階CP(防犯)ガラス、深型食洗機、床暖房、1.25坪浴室など。

 同社不動産ソリューション事業部不動産開発部企画設計課課長・村田嵩胤氏は、「当事業部は年間250棟くらい販売している部署で、不動産仲介などを担当したスタッフも多く、多様な顧客ニーズに応えられるのが強み。これまで供給し、グッドデザイン賞を受賞した『Sumi-Ka+』はファミリーだけでなく、DINKS、三世代同居、シニアなどのニーズを取り込んだ。部署内からは価格を抑制する必要はなかったのではないかという声があり、今回はコアなニーズを取り込むため付加価値を高め、敷地面積を100㎡ではなく110㎡確保し、外構も重厚感を演出し、モデルハウスも億ション並にした。価格は、周辺相場より1,000万円くらい高い強めに設定したが、供給した7棟のうち6棟が完売した。20代の購入者の方には、親からの援助や50年ローンを組み、投資目線で購入される方もいらっしゃった。残っているのは敷地延長のもっとも安い7,990万円の住戸」と語った。

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価格がもっとも高い南西角住戸1号棟の内観(グレーが基調で、その狙いはすぐ分かった)

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価格が1号棟より800万円安い2号棟の内観(〝耐えられない存在の軽さ〟ゆえ、記者はこちらの方が好きだ)

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村田氏

     ◇      ◆     ◇   

 いつものように道すがら、価格をはじいた。行徳はこれまでもマンションの取材などで結構訪れている。街路樹は貧弱だが、駅から徒歩12分のアクセスもまずまず。マンションだったら坪単価は300万円を超えると考えた。30坪で1億円だ。

 しかし、ポラスの戸建てだから8,000万円くらいで、商品企画によっては9,000万円でも売れると予想した。この時点で、物件を企画したのは同社不動産ソリューション事業部だとは全然知らなかった(最近は横着になり、マンションや戸建ても事前の調査をしなくなった)。

 現地に着いて、村田氏から「久しぶりです」と声を掛けられた。「えっ」(人の顔と名前が最近は全然覚えられない)。それでも、村田氏から「Sumi-Ka+」のプロジェクトの一つであるという説明を聞いて、ほとんど瞬時に企画意図を理解した。価格も予想した通りだった。村田氏と記者の考え方はぴたりと一致した。

 3年前に見学した「Sumi-Ka+」の「佇美の家(たびのいえ)」(市川市)」「空の稔」(松戸市)「新故郷」(松戸市)では、「従来の分譲戸建てのイメージ・概念の盲点をついた商品だ」と書いた。

 今回はどうか。特徴などについては上段で書いた通りだ。いくつか補足する。村田氏は「これまでのポラスっぽくない」と何度も語った。確かにそうだ。しかし、記者はこれまで同社の分譲戸建てを数えきれないほど見てきている。商品企画は極めて高い(同社の弱点を探すとすれば、他社物件と比べてどこがいいかを調べ切れていないことだと思う)。大手デベロッパーの物件とも互角に戦える。なので、「ポラスっぽくない」というのは「これもポラスの一つ」と記者は受け取った。

 モデルハウス2棟とも1階と2階の一部にはCPガラスが採用されていた。この前のリスト「リストガーデン武蔵新城セキュリティ・タウン」の記事を読んでいただきたい。「CPガラス」を採用し、「神奈川県防犯セキュリティ・ホーム認定」を受けたのちの来場者は6.5倍に増えた。価格は相場より1,000万円も2,000万円も高かったが、全10棟のうち残りは1戸だった。

 記者は、CPガラスは常識だろうと思っていたが、そうではないことも分かった。ポラスは1階部分の窓にCPガラスを標準としている(以前にもそう聞いたような気がする)。

 価格がもっとも高い9,490万円の南西角住戸の1階は掃き出し窓を設けず、高窓としているが、その企画意図をすぐ理解した。外からの視線を遮断したいと考える人はかなりいる。浴室も1.25坪で、食洗機は深型だった。

 村田氏の考えに一つだけ同意できないものがある。村田氏は「みどりの管理は大変だから、雑草を生えないよう防草シートを張り、その上に石を置いた」と話した。小生のマンションも5坪くらいの専用庭付きだから草取りなど管理が大変なのはよくわかる。しかし、真夏の地表温度は50℃にも60℃にもなる。緑は30℃強に抑えてくれる。地球温暖化防止に貢献するだけでなく、住宅の地域の街のポテンシャルを引き上げる。緑と地価形成は相関関係にあり、埼玉や千葉の住宅価格が相対的に低いのは、緑被率低いことに一因があると記者は見ている。

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パナソニック製の横並び三つ口コンロ(左)と深型食洗機

◇        ◆     ◇

 行徳駅前の街路樹の写真を撮った。見ていただきたい。樹種は常緑樹のクスノキのはずだが、強剪定されているため葉っぱはまばら、発狂寸前だ。どうしてこのように丸裸にされているのか、理由はすぐ分かった。ムクドリ対策だ。ムクドリは群れて生息するので、わからないわけではないが、これはあんまりだ。かつてムクドリは益鳥だった。生態系の崩壊は、人間にも大きな影響を与えることを考えないといけない。記者はスズメが激減しているのが気になる。高気密住宅はスズメの住処を奪っている。

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行徳駅前のクスノキの街路樹

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丸裸にされ、寒さに凍えるクスノキ(市民そのものか)

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