一般社団法人不動産クラウドファンディング協会は12月10日、日本不動産クラウドファンディング協会との統合記念式典を衆議院第二議員会館で開催し、同協会代表理事・横田大造氏(クリアル代表取締役社長)と、新たに理事に就任した杉本宏之氏(シーラテクノロジーズ代表取締役会長グループ執行役員CEO)がそれぞれ業界の信頼性・透明性・認知度の向上に寄与し、業界の発展拡大を目指すとあいさつした。記念式典には多くの国会議員、国土交通省、金融庁、内閣府の担当者も出席し祝辞を述べ、早稲田大学ビジネススクール(大学院経営管理研究科)教授・川口有一郎氏による「新しい不動産金融とクラウドファンディング」と題する講演も行われた。式典には61名が参加した。
横田氏は冒頭のあいさつで、統合により会員は41社、不動産クラウドファンディングサービスを提供する会社は81社にのぼり、累計出資額は1,206億円、利回りは2023年1月の6.20%から現在は9.16%と上昇トレンドにあり、「不動産クラウドファンディング業界の信頼性・透明性・認知度の向上に寄与し、業界の発展拡大を目指す」と述べた。
杉本氏は、「業界には玉石混交の部分もあり、健全性と自主規制にしっかり取り組み、『貯蓄から投資へ』を後押しする使命感を持ち、業界全体を発展させたい」と語った。
自由民主党不動産クラウドファンディング振興議員連盟事務局長・宮路拓馬衆議院議員は「不動産クラウドファンディングは金融商品、証券、あるいは地方創生の武器にもなりうる可能性を秘めた新しい業態。われわれもしっかりサポートし、消費者、事業者、国のWin-Winの関係を構築していきたい」と語った。
川口氏は、過去30年間の国債金利は「水没」から「金利ある世界」へ移行し、現在、50兆円の証券化不動産は2050年までに100兆円に伸ばすのは無理なことではなく、25万人に達した不動産クラウドファンディング投資家を増加させ、ロボアドバイザー(ノボアド)の役割、不動産クラウドファンディング×REIT×ロボアドの重なり合うAPI(アプリケーションプログラミングインターフェイス)の重要性などについて話した。
不動産クラウドファンディング協会は2023年8月設立。公平な視点でのデータベースの作成や事業者間の情報交換の機会、勉強会などの活動を行ってきた。日本不動産クラウドファンディング協会は2023年11月設立。自主規制ルールの策定や関係省庁への政策提言を行ってきた。両協会は2024年9月に統合した。
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わが国の家計金融資産の半分以上を占める現預金が投資に向かい、「成長と分配の好循環」の実現を目指す政府の投資運用立国の取り組みもよくわかる。
ただ、記者はマルコー、杉山商事、ライベックスの時代から投資用マンションを取材してきた。失礼だが、玉石混交の業界だと見ている。利回り優先で、質の向上は後回しにされてきた。本業以外の不祥事も発覚し、そのビヘイビアーが問題だと思っている(マンションデベロッパーにも言えることだが)。
だからこそ、信頼性・透明性・認知度が協会の目的になっているのだろう。逆に言えば、この業界は信頼性や透明性が欠けているとも受けとれる。記念式典だから、主催者はもちろん国会議員、関係省庁の担当者が祝意を評すのはよくわかるが、川口教授には業界が抱える負の側面にも触れてほしかった。あまりにも楽観にすぎると正直感じた(川口氏は「賢い楽観主義」と自説をそう呼んだ)。「玉石混交の部分」について触れたのは、当の杉本理事一人だった。杉本氏は自主規制策定にも意欲を見せた。
わが国のマンション市場は、都心の一等地では坪単価3,000~5,000万円、23区内の投資用・コンパクトマンションも坪単価は最低でも400万円以上となり、知裕子マンション価格が新築マンション価格を上回るなど1980年代後半のバブル期に近い投機的な取引も活発になっており、過熱市場に対する警戒感が増している。
しかし、記者は「富の再分配・所得の再分配」が機能しているとはいいがたく、持つ者と持たざる者の格差は途方もなく拡大していると認識しているのだが、基本的には「貯蓄から投資へ」には賛成だ。「ミドルリスク ミドルリターン」のJリートとは別の選択肢があってもいいと思う。
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記念式典には、わが三重県の2区選出国会議員の川崎ひでと氏も参加し、川崎氏は「金をため込んでいる県」として三重県を紹介し「余計な規制があったら取っ払う」と語った。川崎氏は、三重県人ならだれでも知っている政治家・川崎秀二の系譜のようだ。
総務省の家計調査によると、これまで都道府県別平均貯蓄額で三重県はベスト10に入っている。確かに田舎の各家庭は昔から結構お金をため込んでいた。県民性なのだろう。記者はどちらかといえば浪費家で、鉦があったらみんな使うタイプだ。Jリートが初上場したときはかなり儲かったが、その他株で儲けたお金はほとんど全て飲み食いに費やした。投資した会社が倒産し、紙くずになった株もある。
先生、それよりも隣の選挙区の伊勢、松阪市は人口10万人以上の都市の地価下落率ベスト3に入っている。これを何とかしていただけないか。
令和6年地価公示バブル期の〝半値戻し〟上昇20市のみ福岡県4市がベスト10入り(2024/4/6)