RBA OFFICIAL
 
2026/01/07(水) 16:11

日本を強く豊かにし、将来世代への責任を果たす 吉田理事長 不動協・FRK賀詞交歓会

投稿者:  牧田司

 IMG_3887.jpg
吉田氏(オークラ東京で)

 不動産協会と不動産流通経営協会は1月7日、「不動産協会・不動産流通経営協会新年合同賀詞交歓会」を開催。不動産協会理事長・吉田淳一氏(三菱地所取締役会長)があいさつしたほか、金子恭之国土交通大臣、片山 さつき財務大臣が来賓として祝辞を述べ、不動産流通経営協会理事長・遠藤靖氏(三井不動産リアルティ社長)が乾杯の音頭を取った。賀詞交歓会には1,150人が参加した。

 賀詞交歓会の冒頭、吉田理事長は次のように述べた。

 皆様、新年あけましておめでとうございます。不動産協会理事長の吉田でございます。

 本日は不動産協会、不動産流通経営協会合同の新年賀詞交歓会に、金子国土交通大臣をはじめ、日頃よりご指導いただいております、国会議員の先生方、関係諸官庁・友好団体や報道関係の皆様など、多数ご出席いただき、誠にありがとうございます。主催者を代表いたしまして、ひとこと年頭のご挨拶を申し上げます。

 まず、令和8年度の税制改正についてお話をしたいと思います。

 昨年末に与党の大綱が決定されました。今回の税制改正は、非常に数多くの不動産関連税制が期限切れを迎える、大きな節目の年にあたりました。結果として、最重点項目であった住宅ローン減税、長期保有土地等にかかる事業用資産の買換え特例、都市再生促進税制、国家戦略特区税制などの延長をはじめ、ほぼ当協会の要望を認めていただく形となり、胸を撫で下ろしております。

 特に最大の焦点であった住宅ローン減税については、新築住宅はほぼ現行の制度を維持しつつ、中古住宅における拡充が行われ、また、今後5年間にわたって枠組みが堅持されることとなりました。特に若年層世帯の方々の住宅取得を支援する環境を継続することができたこと誠に喜ばしい結果であったと感謝いたしております。ご尽力いただいた先生方、関係の皆様方に、厚く御礼申し上げます。

 昨年を振り返ってみますと、春先は、いわゆる「トランプ関税」に国際社会が翻弄される事態となりました。日々風向きの変わる米国の経済政策や地政学リスクの高まりなど、先行きが不透明な状況が続いています。我が国においても、7月の参院選で参議院においても少数与党となり、10月に高市新内閣が発足するなか、連立与党の枠組みが変わるなど、政治においては目まぐるしい変化が起こった激動の1年でした。

 新しい年を迎え、先行きを展望しますと、日本経済は全体としては堅調に推移しており、「失われた30年」における「デフレ・コストカット型経済」から、ようやく脱却したように思います。しかしながら、物価上昇と賃上げのバランスにおいて、国民の景気回復の実感はまだまだ乏しいというのが現実ではないでしょうか。ウクライナ危機等に端を発した「コストプッシュ型の物価上昇」から、経済成長と所得増加を伴う「健全な物価上昇」の社会へ移行しなければなりません。

 政府の新しい経済対策に「“強い経済”の実現」ということが謳われています。政官民の総力を挙げて、我が国経済を牽引し、社会課題の解決にも資する投資を拡大し、暮らしの安全・安心を確保して、日本を強く、豊かにし、将来世代への責任を果たす。

 私ども不動産業界は、まさしくその重要な一翼を担っていくと、あらためて意を強くしています。

 こうした認識のもとで、今後の課題とそれに対する当協会の活動について、ポイントを絞ってお話をします。

 まず、環境政策の分野ですが、2050カーボンニュートラルの実現に向けて、官民一体となって、省エネ・再エネを加速・深化させる取り組みを推進して参ります。さらに、ライフサイクルカーボンの削減にも本格的に取り組んで参ります。

 次に、都市政策の分野では、骨太の方針、国土強靭化計画等に基づき、都市の個性の確立と質や価値の向上に資する「成熟社会」における都市再生を推進しなければなりません。

 しかしながら、昨今の建築費の高騰、人手不足などの問題により都市再生に大きな支障が生じる事態となっています。これらは、我が国における、国土強靭化、国際競争力の強化、インフラの再整備などにも影響が出る、非常に重要な問題であると考えています。建設業界だけではなく、私どもも、国も、一緒になってこの問題を考え、10年後、20年後も見据えて、サステナブルにまちづくりを推進できるよう、できることから実行に移していく必要があると考えています。

 最後に、住宅政策の分野ですが、改正されたマンション関係法が今年4月に施行されるほか、新しい「住生活基本計画」が今年3月に閣議決定がなされる予定となっております。住宅ニーズが多様化するなか、政策の背景も踏まえ、引き続き安心・安全で良質な住宅ストックの形成・循環の実現に貢献して参ります。

 ここで分譲マンションの投機的短期転売についても触れておきたいと思います。今までも繰り返し申し上げてきたことですが、現在のマンション価格の上昇は、建築費高騰などによる「原価の上昇」と供給戸数の減少と旺盛な需要という「タイトな需給バランス」が主な要因であると認識しております。

 しかしながら、私どもが分譲したマンションが単なる投機の対象となる、これは決して好ましいことではない、という思いは一貫して変わっておりません。そのために、当協会として、現実的に実行可能な対策を考え、昨年11月に公表させていただきました。今後はこの対策を、会員会社においてしっかりと実行していくことが重要であると考えています。

 当協会としては、国民の暮らしを豊かにするまちづくりや、住環境の整備を通じ、我が国の経済・社会の発展に向けて、貢献していきたいと考えておりますので、引き続きご理解、ご支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 結びにあたりまして、皆様の一層のご活躍とご健勝をお祈りし、また今年一年が皆様や国民にとって明るく良い年となることを祈念申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

IMG_3891.jpg
金子氏

 続いて登壇した金子国交相は、「わが国経済は引き続き緩やかな回復基調にあるが、人口減少、少子高齢化をはじめ様々な課題に直面しており、豊かで魅力ある社会築く重要な役割を担っている不動産業界の皆さんの力が存分に発揮できるよう、国土交通省も各種施策を推進していく。

税制については、皆さんの心強い支援を頂き、令和8年度の税制改正大綱では、基幹税制である住宅ローンの延長など頂いた要望を全て盛り込むことができた。マンションの投機的取引対策としては昨年11月、調査結果を公表した。引き続き実態把握に努め、皆さんと連携し投機的取引の抑制に取り組んでいく。また、今年4月にはマンション改正法が本格施行されるが、マンションの新築から再生までを見通した管理の適正化を進めていく」と述べた。

IMG_3897.jpg
遠藤氏

乾杯の音頭を取った遠藤氏は、税制改正で住宅ローン減税の延長や、減税の対象となる面積要件の緩和、融資額の引き上げが不動産流通市場の活性化につながると謝意を表し、「私からはこれ以上申し上げることはない」と締めくくり、参加者の喝さいを浴びた。 

◇      ◆     ◇

記者は、高市内閣が意欲を見せている「デフレ脱却宣言」について、業界関係者はどう考えているか、片っ端から声を聴こうと準備していたのだが、同業の記者から「何をいまさら」と一喝されたので止めた。インフレとデフレが同時進行するスタグフレーションでもなく、なし崩し的にうやむやにされるのか。バブルが崩壊したのは平成2年(1990年)だ。あれから「失われた30年」ではなく35年だ。

年末から年始にかけて、ディストピア(反理想郷)小説の代表作であり、ジョージ・オーウェルの「一九八四年」(ハヤカワ文庫)の真逆の世界を描いたオルダス・ハクスリーの「すばらしき新世界」(光文社文庫)を難儀しながら読んだ。その矢先、年明けにはアメリカのベネズエラ攻撃が報じられた。それでも株価は上がる。善も悪も正も邪も美も醜も何もかもがあいまいに済まされる白内障の世界が蔓延しているということか。

今年も、記者のモットーである「記事はラブレター」=「誰も寝てはならぬ」(プッチーニ)記事を配信します。

総力挙げて「着実に未来を切り拓く年」に不動産協会・吉田淳一理事長(2025/1/8)

「今年に託す言葉」プレハブ建築協会新年賀詞交歓会出席者に聞く(2025/1/11)

「今年に託す言葉」不動産協会・FRK合同新年賀詞交歓会参加者に聞く(2025/1/9)

 

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン