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2026/01/31(土) 21:02

一般的工法と外断熱工法 「睡眠」に与える差異を検証する実験開始 小林住宅・創建

投稿者:  牧田司

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左から岡村氏、吉村氏、柳沢氏、伊香賀氏(新橋プレイスで)

 小林住宅と創建は1月30日、「究極の睡パ住宅」実証実験に関する記者発表会&実験デモンストレーションを行った。睡眠研究の第一人者である柳沢正史氏(筑波大学教授)と共同で、住宅環境の違いが睡眠の質にどのような影響を与えるかを検証するのが目的で、同一条件の立地、間取り、インテリアを備えた一般的な内断熱工法(断熱等級4)と小林住宅・創建の外断熱工法(断熱等級6)の住宅2棟を隣り合わせて建築し、被験者にそれぞれ宿泊してもらい、睡眠の質に影響を与える「温度」「音」「換気」「光」に関わるデータを集積・解析、検証結果を10月に報告する。この種の取り組みはわが国初と思われる。

 実験棟は、創建が分譲中の「ルナつくば陣場」に建設したもので、一般的な住宅は断熱等級4で、窓はアルミ樹脂複合サッシ・ペアガラス、換気システムは第三種換気(自然換気+機械換気)、総隙間面積は275㎠(C値2.1cm/㎡)。外断熱住宅は断熱等級6で、窓は樹脂サッシ・トリプルサッシ、換気システムは第一種換気(機械給気+機械排気)、隙間面積は36㎠(C値0.2㎠平/㎡)。

 実験は、真冬と真夏の2回にわたって行い、公募(20~70歳未満で、睡眠に不満を持つ健常者)によって選出された被験者20人が、1人2棟でそれぞれ2~3日間夜間に睡眠をとり、計4回の生態データ(脳波、心拍、呼吸、体動)とアンケートのデータと、住宅内の温度、湿度、照度などを掛け合わせて相関性のデータを獲得し、評価・解析する。

 プロジェクト発表会で、創建代表取締役社長・吉村卓也氏は、「睡眠時間はOECD33か国の平均は8時間18分なのに対し、わが国は最低の7時間22分。睡眠不足による経済損失は15兆円といわれている。気候変動の影響で四季は二季になりつつある。今回の実験では、住宅性能の違いで睡眠の質はどう変わるのか、世界的権威である柳沢先生と伊香賀先生の協力を得て、科学的に実証する」と語った。

 慶應義塾大学名誉教授・伊香賀俊治氏は、「柳沢さんとは石川県で一緒に仕事してからのおつきあい。世界的な権威である柳沢さんによる研究結果に大きな期待を寄せている」と話した。

 筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の機構長を務める柳沢正史氏は、睡眠の質の低下は万病のもと、睡眠不足による経済損失は15兆円、子どもの睡眠不足は脳の発達に影響している可能性が高い、室温18℃以上で発症・転倒が有意に減少するなどと語り、今回の研究は「科学的な信頼性を高めるため、同じ人が両方の環境を体験するクロスオーバー試験とした。外断熱による環境が、〝ぐっすり眠れる〟につながることを実証する」と述べた。

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治験のデモンストレーション

◇        ◆     ◇

 素晴らしい実験だ。記者は、外断熱マンションがわが国で分譲されてからずっと取材してきた。体験宿泊も経験している。しかし、住宅購入検討者は実際に体験しないと、どれだけの価値があるかを理解するのは難しいだろうとずっと考えてきた。

 その意味で、一般的な断熱等級4の住宅と断熱等級6の外断熱住宅双方を同時に体験できる実験は多分わが国初だと思う。どのような結果が得られるか楽しみだ。

 デモンストレーションでもその差が大きいのを体験した。詳細は省くが、温度などは記者が体験し、各種のデータが示している通りだった。外気温は6.5℃くらい、エアコンの設定温度は22℃だったが、外断熱はエアコン1台で居室はもちろん2階の床温度も同じで、トイレ、洗面、その他などもほとんど18℃以上に保たれていた。一方の断熱等級4の住宅もリビングなどは22℃くらいだったが、その他のところは13℃くらいだった。

 驚いたのは小林住宅経営企画室室長・岡村顕司氏や同社、創建関係者の説明だった。岡村氏は「被験者の方はバイアスがかかっている可能性が高いので、実験は公平を期し、予断を持たれないように説明は最小限にする」と語った。

 また、記者は断熱等級4の住宅は、実験終了後に分譲するのだろうと考えたので、「いったい価格差はどれくらいにするのか」と聞いたところ、関係者は「レベルの低い住宅は売らない。壊す。これは(吉村孝文)会長、(吉村)社長の判断」と語った。これには絶句した。建物を建てるのと壊すのに数千万円かかっているはずだ。さらにまた、外断熱住宅は大工さんの働きやすさにもつながるのだそうだ(なるほど。内装段階では温度差、湿度差は明らかだろう)。

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実験棟

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どちらが「断熱等級4」か「断熱等級6」かは見た目には分からない

◇        ◆     ◇

 実験は素晴らしいが、別の視点からさらに研究をしていただきたい。まず、睡眠時間と「愛」「自由」について。1日当たり平均睡眠時間がもっとも長いのは南アフリカの9.13時間で、2位は中国の9.01時間、3位はアメリカの8.51時間だ。

 記者は、アパルトヘイト政策で「自由」は白人しかなかった南アフリカの国民がいつからもっとも睡眠時間の長い国になったのか知らないが、同国は平均寿命(66.14)も幸福度ランキングでも世界最下層だ。同国の中にポツンと位置する小さな国レソトは「天空の王国」「アフリカのスイス」と称されるが、平均寿命は57.37歳で世界194位だ。覇権を争う中国とアメリカが2位、3位なのはなぜか。

 これ以上深入りしないが、何が言いたいかといえば、調査機関によって、その尺度によってデータはどのようにでも変化するということだ。

 記者はどうか。もう30年近く糖尿病の定期検診を受けている。お医者さんが金科玉条のごとく発するのは「睡眠をよくとれ」「バランスのいい食事をしろ」「運動をしろ」「酒とたばこをやめろ」だ。もっとも肝心な「愛」について語ることはない。

 そこで、記者は反論した。〝先生、生きようが死のうが私の権利だ。酒とたばこは文化だ。私は文化を否定するような生き方はしたくない。女と同じ、酒は2合を容認してほしい〟と。先生は黙りこんだ。つまり、2合(号)までは黙認するということだ。その後、糖尿の数値は薬と、かみさんの2合の計量カップ(これ以上は飲ませてくれないので、外で隠れて飲んでいるが)のお陰で、ずっと数値は安定している。

 ものはついでだ。この日、登壇した先生方に睡眠時間と酒の量について質問した。伊香賀先生は「睡眠時間は7時間、酒はビール1本」とか(信じられないが素晴らしい)。柳沢先生は「この日はつくばから来たので5時起きだったが、いつもは7時間。酒は医学的に1日1合とされているが、なかなか守れない」旨話した。吉村会長は「タバコは60本吸っていたが、かみさんに〝やめろ〟と言われてやめた。かみさんに感謝している。酒はもともと飲めないと話した(さすが。立派な会社に育て挙げたのは奥さんとご本人の決断力か)。息子さんの吉村社長は「10年位前までは酒は一升、体重は100キロあったが、父に諫められて今は毎日2合くらいで、会合などでは3~4合。体重は10キロ減って90キロ」と語った。

 要するに、睡眠時間や酒とたばこの量と「自由」「幸福度」「愛」との相関関係はあるようでない、致死量である閾値などないということだ。柳沢先生、伊香賀先生、記者は住宅の質にとって重要なのは広さや断熱・遮音・耐震性能も重要だが、仕上げ材(ほんものか偽物か)、デザイン(白か黒か、右か左か中道か)、緑環境、夫婦の愛情関係などがとても重要だと考えている。長寿は自然環境や労働環境、食生活などの影響も大きいはずだ。(わが国は長寿国だから、生涯睡眠時間は他国に負けないはずだ。睡眠は貯蓄できないのか…できるはずはない)

◇        ◆     ◇

 言いたくはないが、言わざるを得ない。この日、午前中の発表会に集まったメディアは20人くらいか。また、発表会場の新橋から送迎バスで送ってくれるつくばの実験デモンストレーションに参加した記者はその半分の10人くらいだった。

 この前のタカラレーベンの「人間洗濯機」の発表会は54人、一昨日の三井不動産の「舟運プロジェクト」は約40人だった。この差は何だ。何度も言う。ものを見ない記者は間違いなくAIに職を奪われる。世の中は進歩しているように見えるが、メデイアは間違いなく退行している。

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