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2026/03/10(火) 15:52

看過できない国交省「TSUNAG」有識者発言〝緑地制度は先進的〟〝委員の負担大〟

投稿者:  牧田司

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「BLUE FRONT SHIBAURA」に植えられているヒトツバタゴ

 昨日(3月9日)、槇総合計画事務所の創立60周年記念展覧会 「Vernacular Humanism/人と社会と建築と」プレス内覧会で、「BLUE FRONT SHIBAURA」のランドスケープデザインについて同社代表取締役・亀本ゲーリー氏としばし話し、その後、駅までの植栽計画などをみて回った。〝なんじゃもんじゃ〟の木として知られるヒトツバタゴの成木が植えられているのを発見した。最近か、巣箱もあちこちの樹木に設けられていた。

 記事化は考えていなかったのだが、家に帰り、国土交通省の優良緑地確保計画認定制度(TSUNAG:ツナグ)のホームページを見て、いささか腹が立った。看過できない。稿を改めて以下に書くことにした。

 〝腹が立った〟というのは、同省が昨年12月に開催した「TSUNAG」の評価基準の見直しについて「優良緑地確保計画認定制度における評価の基準に関する有識者会議」(座長:柳井重人千葉大学大学院園芸学研究院教授)での各委員の発言についてだ。

 問題発言の第一は、「確認しなければならない資料が膨大であるため、審査委員の負担になっている」だ。これは笑止千万。この発言からは、各委員は審査に当たって、現地を確認していないことをさらけ出しているし、そもそも負担を感じるのであれば委員など受けなければいいではないか。早川和男「権力に迎合する学者たち――『反骨的学問』のススメ」(三五館、2007年)を思い出した。

 第二の「日本は緑地の評価については世界に先駆けて取り組んでいる」-この発言もまたひどい。その根拠を示すべきだ。大都市圏の公園など緑地面積はどんどん減少しているではないか。世界的潮流である樹冠被覆率を採用する動きはいまのところないし、i-Tree Ecoシステムの採用も限定的だ。

 まだある。「SEGESは常に上を目指し、最後殿堂入りとなる制度設計としている。安易にトリプルスターが取れるような設計だと事業者がわざわざ取りに来なくなる」-これはいったい何を言いたいのか。「TSUNAG 認定」第1号に認定された14件のうち記者は8件を見学しているが、「TSUNAG」制度の認定を受けるために設計したプロジェクトなど一つもないはずだ。国のお墨付きをもらうためにデベロッパー各社は街づくりを行ってなどいない。極めて不愉快な発言だ。

 しかし、納得できる発言もある。「シンガポールの例では敷地面積の140%が緑化されている物件もある」という。これはおそらく、壁面緑化、屋上緑化が施されているからだろうが、わが国でもどんどん壁面緑化、屋上緑化に取り組むべきだ。

 このほか、「現状は申請書類から審査委員がアピールポイントを読み取り、妥当性を評価する必要があるが、良質な緑地を評価するという観点からも、申請者が自らのアピールポイントを説明するというスタンスであるべきではないか」「目標設定およびそれに対するモニタリングに関しては、科学的根拠が不明確であり、指標設定の妥当性についての検討が不十分」「沿道からの景観など地域側の視点をより一層取り入れた評価基準とすべき」というのはその通りだと思う。

 冒頭、ヒトツバタゴを紹介したが、この樹木は神宮外苑の再開発で伐採・移植が注目されている。「BLUE FRONT SHIBAURA」に植えられているのは、「グラングリーン大阪」や「赤坂グリーンクロス」に植えられているのとほぼ同じ太さで、成木だった。樹木一本一本に各社は「心」を込めている。問題発言した委員の方はリテラシーに欠ける。

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緑道

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この小鳥の名前は知らないが、人の動きには無関心な様子だった

◇        ◆     ◇

 国土交通省昨年3月、令和6年11月に施行された都市緑地法に基づく優良緑地確保計画認定制度(TSUNAG:ツナグ)の「TSUNAG 認定」第1号に14件を発表した。認定ランクは★3つから★1までで、★3つには「大手町タワー」(東京建物)、「赤坂インターシティAIR」(日鉄興和不動産など)、「麻布台ヒルズ」(森ビル)、「東京ポートシティ竹芝オフィスタワー」(東急不動産)、「グラングリーン大阪」(三菱地所など)、「新梅田シティ」(積水ハウスなど)の6件と、★2つに「大丸有地区 ホトリア広場・一号館広場・丸ビル外構」(三菱地所)、「BLUE FRONT SHIBAURA」(野村不動産、東日本旅客鉄道)の2件が認定された。

 記者は、「TSUNAG 認定」が発表された時も書いたが、どうして「BLUE FRONT SHIBAURA」が★2なのか、★5の6件と比べどこが劣るのか理解できない。全体計画からして「BLUE FRONT SHIBAURA」の進捗はまだ半分くらいだろうが、完成したら★3つにまず負けないと思う。浜松町駅を中心に「旧芝離宮恩賜公園」-「新浜公園」-「BLUE FRONT SHIBAURA」に至る広場・公園面積は10ha近くになる。面積的には「グラングリーン大阪」の次だ。

 いずれにしろ、制度の見直しにより「BLUE FRONT SHIBAURA」と「大丸有」(仲通りはわが国を代表するウォーカブルでウェルビーイングの街づくりが行われていると思う)が★3つに格上げされることを期待したい。

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