三井デザインテックは11月19日、恒例のプレスセミナー&懇親会をジョサイア・コンドルが設計したわが国の歴史的建築物「綱町三井倶楽部」で開催した。
プレスセミナーでは、「働き方改革を革新させるクロスオーバーデザイン」をテーマに、東京大学大学院経済学研究科・稲水伸行准教授と同社企画・マーケティング室長・大川貴史氏によるABWの効果についてのトークセッションと、同社ワークスタイル戦略室長・岡村英司氏によるオープンイノベーションの事例紹介などが行われた。懇親会では、NPO法人オペラ普及団体ミャゴラトーリのソプラノ・高橋絵理氏、バリトン・薮内俊弥氏、ピアノ・松岡なぎさ氏による生演奏も行われた。
セミナーの冒頭、同社・渋谷忠彦社長は業績について、「当社事業の2つの柱の一つ、オフィス、ホテル、商業施設向け事業は大規模開発やリニューアル工事が順調に進んでおり、オリンピック・パラリンピック以降も順調に推移すると予測している。もう一つの柱である住宅向け事業は、当社の関わっている高額マンションなど好調に推移している」と順調に進捗していると話した。
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ABWが世界的な潮流であることはよく分かる。働く場所を自ら選択でき、ストレスも軽減され、能率・効率も向上することが定量的に証明されているようだ。
セミナーで報告されたオフィスワーカーの行動を可視化する「Beacapp Here Pro」はいま一つよく分からない。労働者を24時間365日〝監視〟することにならないのか。肉牛、養豚、競走馬のタグ(自動管理システム)とどこがどう違うのか。
記者などはほぼ1時間に一度タバコを吸うために地階にある喫煙所に通う。時間にして数分。1日8時間労働として約40分。タバコを吸わない人は〝無駄〟〝怠業〟とみるかもしれないが、記者にとってはブレス(息継ぎ=息をしないと生きられない)と一緒だし、書いた記事をコピーしてタバコを吸いながら校閲する仕事の一環でもある。トイレで用を足すだけでなく化粧、食事、読書その他をする人の気持ちも分からないわけではない。
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エントランスホールにターナーの絵画が無造作に掲げられていることは一昨年紹介したが、そのとき渋谷社長からターナーの作品はもう一点あり、過去に同様の作品が50億円で落札されたと聞いた。
まさか、一介の記者なんぞに三井グループの役員クラスしか利用できない「綱町三井倶楽部」のターナーの絵が掲げられている部屋に入れてくれるはずはないと思い、そんなことをすっかり忘れていた。
ところが、この日、セミナーに参加するため受付を済ませたすぐ後、渋谷社長が右隣の同社専務取締役経営企画部長・檜木田敦氏に目配せし、檜木田氏は渋谷社長の意を酌んだのか、「ターナーの絵はここにある」と、ホールに隣接する「サロン」に掲げられているターナーのもう一点の作品を見せてくれたのだ。
冒頭の写真がそれだ。大きさは10号くらいか。エントランスホールの絵は100年以上前から飾られていたためかかなり劣化が進んでいるが、この作品はそれほど傷んでいない。価値はこちらのほうが大きいかもしれない。
檜木田氏は「館内に絵画だけでも20~30点はあるはず」と話した…話からすると、館内の絵画など芸術品だけで数百億円の価値があるとみたが…そんなに価値があるものを秘蔵、死蔵するのももったいない。修復を施し広く一般に公開したらどうだろう。三井の価値も上がるのではないか。
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同社インテリアデザイン事業部の方ともしばし歓談したのだが、記者は「モデルルームのフェイクの観葉植物をやめていただきたい」と懇願した。
この懇願が正しいことを「綱町三井倶楽部」の共用部で発見した。一つはホールに飾られていた盛花だ。甘い香りがホールを包んでいた。10万円はするはずだ。もう一つは、1階ベランダにさりげなく置かれていた「浮き花」だ。これにはもう絶句するしかなかった。ミレーの「オフィーリア」を思い出した。
これが賓客に対する「お・も・て・な・し」だ。価格が数千万円もするマンションのモデルルームに100円ショップでも買えそうなフェイクの仏花や、見たとたん食欲をなくす場末の飲食店のディスプレイにも似た観葉植物や造花をこれ見よがしに飾り立てるデベロッパーの神経が分からない。
そんな無礼を働くばかりか、「来場者プレゼント」なる意味不明の分譲価格に含まれる商品券やギフトカードを配付する-見え見えのおためごかしはやめたほうがいい。
接遇スペースやモデルルームの観葉植物を全て本物にして成功したコスモスイニシア「中央湊」の事例を添付する。
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