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2020/01/17(金) 13:37

「晴海」より面白い 坪500万円の攻防 目が離せない旭化成不レジ「アトラス築地」

投稿者:  牧田司

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「アトラス築地」完成予想図 

 旭化成不動産レジデンスが2月に分譲する「アトラス築地」を見学した。大成有楽不動産「オーベル」が戦線離脱したとはいえ、5物件408戸がそれぞれ徒歩数分圏に乱立する大激戦区で、もっとも駅に近い同社の値付け次第では、お互いが手を握り合う大凡戦になるのか、それとも大乱戦の展開になるのか。当事者でなくても目が離せない様相を呈している。

  物件は、東京メトロ日比谷線築地駅から徒歩3分、中央区築地6丁目の商業地域に位置する敷地面積約1,914㎡、11階建て全161戸(事業協力者住戸37戸含む)。専有面積は52.19~88.61㎡、価格は未定。竣工予定は2021年10月下旬。設計・監理は永山建築設計事務所。施工は松井建設。販売代理は野村不動産アーバンネット。

 現地は、築地本願寺の南側に位置。従前は狭小住宅が密集し、私道は緊急車両も通れない状況にあったのを、同社が2018年に事業参画し、100名以上の権利関係者から同意を得て、地権者38名と等価交換方式で建設するもの。

 敷地は4方接道。住戸は1フロア16戸。うち南向きが8戸、北東・北西向きが5戸、南西向きが3戸。北西向きの中層階以上の住戸からは築地本願寺越しに銀座方面が眺望できる。

 主な基本性能・設備仕様は、SI、リビング天井高2500ミリ、ディスポーザー、食洗機、シーザーストーン天板、ハンズグローエ水栓、室内物干し、ピクチャーレール、コロンボ製ドアノブ、御影石玄関、Low-Eガラスなど。

 販売を担当する「レジデンシャルサロン」チーフの野村不動産アーバンネット・松谷和則氏は「事前案内会の来場者は約200組。想定以上の数字で、1月11~13日も営業8名×3回転全て満席。『アトラスを見てから』というお客さまも多く、エリアナンバーワン物件として評価をいただいている」と語っている。

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ラウンジアート(ベンチは値段が付けられないほど高価な古材「神代木」)

◇       ◆     ◇

 大成有楽「オーベルアーバンツ銀座築地」55戸の戦線離脱があったとはいえ、5物件408戸がほぼ同時期に分譲される「築地」は大激戦地であることに変わりはなく、「アトラス築地」がエリア全体の販売を左右するキャスティングボートを握っているのは間違いない。

 築地駅から徒歩3分ともっとも駅に近いばかりではなく、4方接道の大規模、しかも、一部の北西向き住戸は近接する築地本願寺越しに銀座方面が眺望できる優位性を持っているからだ。

 さらにまた、ファサードデザインは上質な設計で定評のあるアーキサイトメビウスの今井敦氏の重厚で印象的なデザイン、ザ・リッツ・カールトンなどのホテルも手掛けた野口真理氏によるグラスアートが彩るエントランス、ジャパンメイドの白磁によって築地の海を表現したアートがほどこされるラウンジなどもユーザーの心に響くはずだ。

 こうした物件の特徴をシアタールームでもよく表現している。ソファーは上段と下段含めて12脚で、1脚数十万円はしそうな豪華なものだった。偶然出土したものを建築材に使用した古材「神代木」を利用したベンチを採用するようだが、これなどは数百万円の価値があるのではないか。

 ただ、専有部の設備仕様レベルは他の物件と比べ突出しているとはいいがたい。ほとんど横並びではないか。記者が特に注目したのはトイレで、便器は5物件ともLIXILのサティスSタイプ(DV-S716-R2)だったことだ。まさか各社が〝談合〟したわけではないだろうが、設備機器の流通はどうなっているのか。

 さて、肝心の価格。競合物件担当者は一様に「アトラスさんは坪500万円を切る」と見ているようだが、記者は坪500万円を割ることはないとみた。

 指標となるのが、2017年分譲の駅直結「アネシア築地」だ。記者は坪500万円を突破かと書いたが、最終的には495万円くらいに落ち着いた模様だ。

 その「アネシア」より、今回の物件のほうが価値は高いと記者は読んだ。いま人気の日本橋・人形町エリアの条件のいいマンションは坪500万円を突破している。約23haもある築地市場跡地の再開発を考えれば「築地」が「日本橋・人形町」より上位と見るのが妥当だ。同社が高値に挑戦すればするほど競合他社は〝割安感〟をアピールできるので歓迎するはずだ。

 だが、しかし、やはり坪500万円を切るかもしれないという予想も捨てきれない。同社が高値追求したマンションは数えるほどだからだ。販売事務所は大和ハウス工業と呉越同舟の同じビルの上と下。大和ハウスより価格を抑えて、顧客を総取りする戦略に出る可能性も否定できない。

 こうしてみると、大和ハウスと、旭化成不動産レジデンスの対決とも見えるし、ここに販売力では他社を圧倒する野村不動産アーバンネットも絡み、三つ巴の戦いと考えることもできる。大和ハウスと旭化成不動産レジデンスが激突すれば漁夫の利を得るのは駅からもっとも遠いコスモスイニシアだろう。

 どちらかといえば護送船団方式の「HARUMI」より「築地」のほうがはるかに面白い。

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ガラスアート

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