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2020/09/14(月) 10:55

積水ハウス 「彩の国みどりの基金」へ累計1607万円寄付/課題も多い埼玉の緑環境

投稿者:  牧田司

 本日(9月14日)行われる予定だった、積水ハウスの「彩の国みどりの基金」への今回の寄付額が134万2千円となり、累計で18回1,607万4千円に達したことに対する大野元裕・埼玉県知事による感謝状贈呈式は延期となった。

 「彩の国みどりの基金」は、埼玉県の豊かな自然環境を次世代に引き継いでいくことを目的に平成20年4月に創設された制度で、自動車税収入の1.5%相当額と企業・個人からの寄附を基金に毎年積み立て、森林の整備・保全や身近な緑の保全・創出、県民運動などに活用しているもの。

 平成30年度までの累計積立額は、自動車税収入の1.5%相当額が約143億円、寄付額が約4億2,634万円となっている(他に運用益1億3,259万円)。活用額は約388億円で、「森林の整備・保全」の分野で11,409haの森林を整備、再生したほか、民間施設や公共施設の緑化、校庭・園庭の芝生化などによる「身近な緑の保全・創出」の分野で515か所の緑を創出している。

 同社は戸建て住宅1棟に〝3本は鳥のために、2本は蝶のために〟の「5本の樹」計画を盛り込むことを基本としていることから基金制度に賛同し、県内で建設した環境配慮型住宅「グリーンファースト」1棟につき2千円寄付を寄付している。基金への全寄付額に占める割合は約3.8%に達している。

◇             ◆     ◇

 小生は60年来の西武ライオンズファンだ。西武とつながっている埼玉も好きだ。〝ださいたま〟と揶揄されるのも受け入れられる。しかし、好きだからこそ、埼玉の弱点、課題も見えてくる。以下、埼玉が抱える課題などをデータで示す。

 埼玉県の平成27年度の都市計画に関するデータによると、県内の市街化調整区域住む人口は県人口の16.0%に当たる約115万人で、調整区域面積も北海道に次ぎ全国2位だ。

 調整区域が多いということは、それだけ〝緑〟が多いともいえるのだが、緑被率は東京、神奈川、大阪、愛知、福岡に次ぎ全国6位の少なさで、農耕地を除いた植林地、二次林だけで比較すると東京都より少なく全国最低だ。

 1人当たり都市公園面積も東京都とそれほど変わらない少なさだ。さいたま市の5.10㎡はむしろ多いほうで、所沢市4.02、春日部市3.27、川口市3.22、越谷市2.70、草加市1.92、蕨市1.85などと東京23区平均の4.42㎡を下回っている市が多い。

 都市のポテンシャルを計る指標の一つでもある、良好な低層住宅の環境を保護する第一種低層住居専用地域の全用途地域に占める面積割合も首都圏で埼玉県が〝断トツ〟に少ない。東京都は36.9%、神奈川県は30.4%、千葉県は31.3%であるのに対し、埼玉県は17.7%だ。調整区域が多いことを割り引いてもいかにも少ない。ちなみに大阪市は第一種低層住居専用地域が全くない。

 第二種低層住居専用地域を含めて50%を上回っている都市計画エリアはさいたま、志木、北本、富士見、朝霞、越谷、新座しかない。

 街路樹が貧しいことも戸田市、三郷市、白岡市、八潮市などの事例を紹介してきた。街路樹の豊かさと街のポテンシャルとは相関関係にあることは言うまでもない。

 以上、埼玉県の緑や住環境について問題を指摘したが、明るい材料もある。マンションの分譲単価は東京、神奈川より相対的に低いが、浦和、大宮、所沢、川口などは千葉県の各駅圏より高く、一方で第一次取得層に手が届くエリアも多い。自虐的な〝翔んで埼玉〟がヒットしたのも、他都県にない良さをアピールできているからではないか。

 彩の国みどりの基金が、少しでも県の緑環境の向上に役立ち、イメージアップにつながることを期待したい。

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 県庁の代表電話から都市計画課につないでもらう保留音に〝おお 埼玉 埼玉 輝く埼玉〟の音楽が流れた。埼玉県歌であることはすぐ分かった。保留音が何度も繰り返されても嫌にならない。もう50年以上東京に住んでいる小生は「東京音頭」なら歌に合わせて踊ったことはあるが、東京都歌があるのかどうかも知らないくらいだ。長野県歌を〝知らない県民はいない〟のは例外だ。

 そこで県庁に問い合わせた。県歌は昭和40年に制定されたもので、県庁の電話の着信音として採用したのは平成25年1月4日からという。

 県民への浸透度はいま一つで、マスコット「コバトン」には遠く及ばないようだ。県の施設などでどんどん流せばいいのではないか。(電話保留音で長くなっても嫌にならないのは積水ハウス「積水ハウスの歌」だが、デベロッパーでは三菱地所で、確かビバルディの「四季」だと思う)

 ついでに「みどりの基金」の表彰式について。行うのなら広く県民に理解してもらうようイベントがいいのではないか。同社には緑のプロ涌井史郎取締役(東京都市大学特別教授)がいる。トークショーを行えば参加者が殺到するはずだ。

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