神宮外苑イチョウ並木(青山通りから昨年8月写す)
神宮外苑地区まちづくり事業者の三井不動産、日本スポーツ振興センター、明治神宮、伊藤忠商事の4者は9月9日、2023年9月12日付の東京都からの要請を受け、事業者間で協議した結果、当初計画では再開発前の3m以上の樹木1,904本から再開発後は94本増の1,998本としていたのを、再開発後は400本増の2,304本になると、東京都へ報告したと発表した。
増加する400本は、伐採本数減少124本、今回の新植本数増加261本、当初計画での樹木増加94本の合計から、枯損など79本を差し引いた本数。
新ラグビー場敷地及び聖徳記念絵画館前の既存樹木について、施設計画の工夫により伐採本数を66本削減し、2023年に実施した毎木調査の結果、樹木の樹勢回復などを踏まえ、16本を伐採から移植へ見直したほか、枯損などによる伐採予定樹木42本の減少を反映した結果、伐採本数は当初計画の743本から619本へ124本減少となる。新植樹木は当初計画の837本から261本増加し1,098 本となる。
4列イチョウ並木を保全するため、新野球場棟のセットバック幅を当初計画の約8mら約10.3m拡大し、約18.3mに設定する方針とする。方針は、複数の樹木医などの専門家の意見をもとに、調査方法の検討や結果分析を行い、第三者からのセカンドオピニオンを得たうえで決定したとしている。
都は2023年9月23日付の事業者宛て要請文で「神宮外苑地区のまちづくりの推進にあたっては、多くの都民の理解と共感を得ることが極めて重要であり、都は、既存樹木について、設計の工夫などにより極力保存又は移植するなど、一本一本を大切に扱い、神宮外苑の豊かな自然環境の質の保全に努めること…新ラグビー場敷地の既存樹木の伐採に着手する前までに、環境影響評価書で示された検討を行った結果として樹木の保全に関する具体的な見直し案をお示しください。併せて、その他の区域についても、施設の設計の工夫等による更なる樹木の保全策を検討し、お示しいただくよう要請します」としていた。
神宮外苑軟式野球場
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今回のリリースでは、どの樹種を伐採から保存に変更するかなどの詳細な報告はないが、記者は評価したい。特に、絵画館前事業で当初伐採が予定されていた57本が保存へ変更され、18本が枯損による伐採予定から外されたのを歓迎したい。軟式野球場をなくすのはやむを得ないとしても、テニスコートや駐車場を整備し、広場を確保するのに、どうして樹齢100年超の巨木を伐採しないといけないのかの説明はなかったし、巨木を避けて整備できるはずだとずっと思っていた。
一つ、事業者にお願いしたいのは、量の増加によって質はどうなるかについてだ。専門家などが指摘している樹冠被覆率は再開発前と再開発完了時点でどのように変わるのか。20年後、30年後にはどうなるのか、分かりやすく説明すべきだと思う。
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