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2025/05/17(土) 13:16

井戸・池・せせらぎの価値は1億円超/年 小田急バス×ブルースタジオ「meedo」

投稿者:  牧田司

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「meedo(みいど)」(手前は小田急バスのターミナル)

 小田急バスとブルースタジオは5月15・16日、なりわい賃貸住宅の第2弾「meedo(みいど)」(全13棟)が完成したのに伴う関係者・メディア向け完成内覧会を実施した。小田急バスのターミナル(終点)で、1低層の建設規制を巧みに利用し、地域に開かれた施設にしたのが特徴だ。シンボルの国分寺崖線からくみ上げた水を池に注ぎ、さらに遊歩道に沿って設けたせせらぎに流し、水はまた地下に戻す演出が見事。賃料は相場より3割高いそうだが、8戸が契約済みでリーシングも順調に進んでいる。断熱性能Ua値0.46を確保している。

 物件は、JR中央線三鷹駅南口から「晃華学園東」行き小田急バス28分「晃華学園東」バス停隣接、または京王線つつじヶ丘駅北口から「深大寺」行き京王バス7分「晃華学園」バス停徒歩数分、調布市深大寺東町2丁目の第一種低層住居専用地域、第一・二種中高層住居専用地域に位置する敷地面積約1,774㎡、建物は木造2階建て延床面積約299㎡のA棟(住居5戸・店舗1軒)、延床面積約498㎡のB棟(住居8戸)。賃料は、住居専用タイプは約72㎡で21.2万円(坪賃料約9.7千円)、店舗可のなりわいタイプは約53㎡で19.3万円(坪賃料11.8千円)。工期は令和6年5月~令和7年3月。事業主・貸主は小田急バス、建築設計監理はブルースタジオ、施工はジェクト。

 内覧会で小田急バス取締役不動産ソリューション部長・下村友明氏は「モビリティとコミュニティを掛け合わせた地域価値創造型のプロジェクトで、『hocco(ホッコ)』に続く第2弾。地域防災と共助がテーマ。太陽光発電システムを利用し、地下50mの井戸水を汲み上げ、製氷機で凍らせ、氷はかき氷に使用する」と話した。

 ブルースタジオ専務取締役/クリエイティブディレクター・大島義彦氏は「当社は10年以上前から100以上の自治体と地域創生の取り組みを行ってきた。今回のプロジェクトはその経験を生かしたもの。1低層などの住居系用途地域の再生・活性化が社会課題になっているが、なりわい賃貸住宅はソーシャルビジネスのモデルケースになるはず」と語った。

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「meedo(みいど)」エントランス部分(外壁は屋久島杉)

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遊歩道(左)とせせらぎ

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井戸(左)と水の量をペットボトルで測る下村氏

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池で泳ぐメダカ(記者の小さい頃は農業用水で泳ぐメダカを掬って食べた)

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下村氏(左)と大島氏

◇        ◆     ◇

 「hocco(ホッコ)」と「meedo(みいど)」についてはこれまでも記事にしているので、参照していただきたい。

 完成した「meedo(みいど)」は、地域レジリエンス機能のシンボルとして設けた井戸(深井戸)が最高に素晴らしい。1日24時間、365日稼働させるとのことだ。池にはメダカが泳いでいた。

 飲めるのかどうか、下村氏に聞いたら、「大丈夫。試験の結果、大腸菌はいないことが分かった。ミネラルが豊富で、コーヒーを淹れる水には適さないそうだが、水質検査を行い、かき氷にも利用する」とのことだった。試飲もさせてもらった。無味無臭、普通の水だった。

 1日当たりどれくらいの井戸水を汲みあげるのか聞いた。機転を利かした下村氏は500ml入りの空のペットボトルを持ち出し、一杯になるまでの時間をスタッフに計らせた。7.5秒で一杯になった。

 記者の計算が間違っていなければ(Chatでも確認したので間違っていないはず)、年間にすると2,102,400lになった。2lの水をスーパーで買うと約120円だそうだから、約1億2,614万円の価値があることが分かった。

 井戸を掘るのにいくらかかったかわからないが、メンテナンス費用はそれほど掛からないはずで、居住者や施設利用者らの心を癒し、地表温度を下げ、さらにまた水を地下に戻す仕掛けの利用価値は1億円をはるかに超えるはずだ。(この水の量を東京都の上下水道料金に換算すると約89万円だとChatは計算した。これが高いか安いかはわからない)

 1低層の建築規制についても一言。記者はこのあと、パナソニックホームズの分譲戸建て「パークナードテラス南荻窪 景邸」(23戸)を見学取材した。取材後、京王井の頭線富士見ヶ丘駅まで徒歩20~22分の表示だったので歩くことにした。途中で一服し、タバコを吸いコーヒー、酒でも飲もうと思ったからだ。

 ところが、周辺は1低層なので休めるカフェや居酒屋など1軒もなく、道に迷ったために駅に辿り着くまで1時間近くかかった。へとへとに疲れた。調整区域の一号店舗と同じように、1低層でのカフェや〝生業(なりわい)〟を可能にするよう法律を改正すべきだと思う。

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バス停留所の名前もこの日から「晃華学園東」に「晃華学園東」に「「meedo」が加わり「晃華学園東 meedo」に変更になった

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居住専用の2回からは生産緑地の借景が望める(居室内の床は3ミリのナラ材、窓は高断熱の樹脂サッシ)

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マンホールトイレ(普段は倉庫に保管されている)

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なりわい賃貸「meedo」イメージ(ホームページから)

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