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2025/12/05(金) 15:38

「葉山に住みたい」「湯沢買った」「誰も本音はかない」三菱地所レジ宮島社長

投稿者:  牧田司

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マンション市況について語る三菱地所レジデンス宮島社長(大手町ファイナンシャルシティ グランキューブで)

 三菱地所レジデンスは12月3日、メディア向け懇談会を開催し、同社代表取締役社長・宮島正治氏が第一部のマンション市況と同社の事業戦略について約40分間、第二部の飲食を伴う懇親会で約1時間、一滴の酒も飲まずかなり個人的なことを含めて縦横無尽に語った。メディア関係者は40~50人が集まった模様だ。

 第一部では、マンション価格高騰の要因として①建築コストの上昇②土地価格の上昇③需要の集中と供給不足④金融政策・低金利の影響④株価の上昇⑤一部の目玉物件で短期転売による影響-などについて説明した。

 首都圏マンションの平均成約価格が1億円に達しても販売が好調に推移している理由として、野村総研のデータを引用し、超富裕層(2021年9.0万世帯⇒2023年11.8万世帯)、富裕層(同139.5万世帯⇒同153.5万世帯)、準富裕層(同325.4万世帯⇒同403.9万世帯)、アッパーマス層(同726.3万世帯⇒同576.5万世帯)、マス層(同4,213.2万世帯⇒同4,424.7万世帯)の数値が示す通り、需要層の二極化がコロナ後急速に広がっていると指摘した。

 なかでも、市場を牽引している「パワーカップル」については、ニッセイ基礎研究所の調査から、過去10年間で2倍、2024年は45万世帯、うち子育て世帯が約66%と説明し、ペアローン利用者も大幅に増加し、現在では3組に1組以上に上っていると語った。

 また、子育てファミリーは、住宅価格が相対的に安く、教育環境が整っており、自治体の支援策が充実している都心部のほか江戸川区、文京区、世田谷区、品川区などの偏差値の高いエリアを選択していると話した。

 最近話題になっている投機的短期転売問題については、不動産協会のリリースを示しながら、①登録・購入戸数の上限設定②契約・登記など名義の厳格化③引渡しまでの売却活動禁止をあげ、同社も来年1月から引渡しまでの売却活動禁止を徹底させると語った。一方で、「外国人であれ日本人であれ(管理規約など)ルールを守るのが基本。国籍によって差別するのはいかがなものか」と、過剰な外国人対応には疑問を呈した。

 同社のマンション事業戦略については、これまでの〝選ばれ続ける〟基本姿勢を堅持し、利用価値(機能的な役立ち)から使用価値(体験的な満足感)へ、暮らしの質、住み心地等情緒的な価値を高めることで差別化を図ると述べた。

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今気が付いた。このメガネは近眼ではないはず

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 宮島氏の説明は的を射ていると思った(記者は相撲に例えれば今の市況は序ノ口に過ぎないと思っているが)。住宅ローン金利が引き上げられそうなことについてメディアから質問が飛んだが、宮島氏は「現場からは当社の需要対象は飲み込める(影響は限定的)との報告を受けているが、(年収が限られている)郊外部は影響を受けるのは必至」などと答えた。ローン減税対象面積が50㎡から40㎡に引き下げられることについては大歓迎の姿勢を表明した。

 当日は、多くのメディアの方が参加していたので、宮島氏には注文もした。同社に限らず、デベロッパー各社はコロナ以降、マンション見学会をほとんどやらなくなった。モデルルームは数か所に集約し、営業体制も土日を挟んで週3~4日に絞っている。スタッブの負担を軽くするためだ。

 このため、供給大手10社に絞ればメディア向け見学会は年間10物件くらいだと思われる(記者などは厳しいことを書くためか排除されているデベロッパーもある)。この日集まったメディアの方々のうち現地をきちんと取材している人は数人いるかどうかだろう。

 現地を観なくてマンションは語れない。デベロッパーの〝暴走〟をチェックするのも記者の役割だ。宮島氏には「三井不動産リアルティの嘉村社長、東京建物の小沢社長、野村不動産の松尾社長などとは同級生ではないか。みんなで話し合って、見学会を増やしてほしい」とお願いした…来年増えることを期待したい。

 ご存じない方もいるかもしれないので、主なデベロッパー社長、マンション担当役員生年月日を紹介する。

・住友不動産仁島浩順社長は1961年3月6日生まれ
・三井不動産植田俊社長は1661年2月16日生まれ
・長谷工コーポレーション熊野聡社長は1961年9月7日生まれ
・三菱地所中島篤社長は1963年8月9日生まれ
・大和ハウス冨樫紀夫執行役員は1963年11月20日生まれ
・東京建物小澤克人社長は1964年2月1日生まれ
・三菱地所レジデンス・宮島正治社長は1964年5月26日生まれ
・三井不動産レジデンシャル・嘉村徹社長は1964年10月7日生まれ
・野村不動産・松尾大作社長は1964年10月18日生まれ
・東急不動産星野浩社長は1965年9月28日生まれ
・ミラースHD島田和一社長は1965年12月4日生まれ

 交流はないと思われるが、飛ぶ鳥を落とす勢いにあるオープンハウスの荒井正昭会長は1965年10月29日生まれだ。この他、同年代のデベロッパー社長・役員は数えきれないほどいるはずだ。共通項は、バブルのおこぼれ・おすそ分けにあずかった人はいるかもしれないが、誰一人として甘い汁を吸ったことはなく、バブル処理に追われた人ばかりということだ。これから、誰も経験したことがない市況に突入する。〝みんなで渡れば怖くない〟になるのか、怖気ついて手を離す人が出てくるのか、興味津々。

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懇親会で自身について語る宮島氏

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 場を移した飲食を伴った懇親会でも宮島社長の独演会は続いた。記者などは飲むのが目的だから、一部始終を観ていなかったが、宮島氏は「昭和の住宅すごろく」ならぬ「モノポリー」(記者は何のことかさっぱり分からない)を持ち出した。慶大ヨット部出身であるためか「将来は、かみさんに遊んでもらえる葉山に住んで、釣りを楽しみたい」「湯沢に45㎡のマンションを買った」「坪30万円でしょ(記者)」「その通り(つまり470万円)。みんなを集めて、話しあっている。お互い手を組んだりしているが、内心では〝畜生〟と考えているので、腹のうち明かさない。愚痴ばっかり」(懇親会では本音を明かしたのか)「一番腹黒いのは誰ですか(記者)」「私です。みんな曲者」…このような話が延々と続いたはずだ。周りには娘か孫のような若い女性が蝟集していた(誰かがペアローンは離婚の足かせになると話したが、その逆だ。山分けしてさっさと別れたほうがいい。そうなるはずだ。口の悪い記者には男も女も一人も声を掛ける人はいなかった。同業に好かれるようでは記者はおしまいだと一人合点しているのだが、今確認したら、小生は高くもない安くもないワインを水のように飲んでいたのでどなたかよくわからないのだが、業界を代表する媒体のそれぞれ男女の記者2人の名刺がポケットに入っていた。とても嬉しい)。

 不動産投機についてはもう書かないが、バブル期には家族郎党はもちろん、友人・知人などを総動員し、あるいは日雇い労務者を雇って登録に並ばせるのが日常茶飯だった。公庫対象外は全て不動産業者が買い占めたマンションもあった。

 バブル崩壊後では、記事にも書いたが、2002年分譲の〝モッくん〟こと 本木雅弘氏をイメージキャラに起用した坪単価160万円を切る超割安の三菱地所他 「Wコンフォートタワーズ」1,149戸には申し込みが殺到し、完成後は分譲当初よりはるかに高い価格で取り引きされた。不動産業者が買い占めたからだ。規制する法律などない。私有権は絶対的・排他的に保護されている。完成する前に合理的理由がないのに転売するのは、あるいはそれを認めるのは法的に問題があると記者は思う。

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第2部の懇親会

東京都港区の億万長者納税者の1%超一人当たり所得は数十億円(2025/11/9)

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〝ハッとしてお台場、グッときて銀座〟〝トシちゃん〟マンション アップルタワーに注目(2005)

 

 


 

 

 

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