
ダイヤグリッド(DG)架構
三菱地所、三菱地所設計、清水建設は2月27日、日本の新たなランドマーク「TOKYO TORCH」の「Torch Tower」低層部ダイヤグリッド(DG)架構が完工したのに伴うメディア向け現地説明会を行った。高さ385m×100m四方の世界的にも珍しいプロポーションを支える、三菱地所の特許でもないダイヤグリッド(DG)構造なるものを目の当たりにし、〝モンスター級〟のビッグプロシェクトの一端を知ったような気がした。「TOKYO TORCH」の敷地内の沈丁花は満開で、甘い香りが鼻腔を満たした。
「ダイヤグリッド(DG)架構」とは、高さ385mの日本一の高さを誇る「Torch Tower」の低層部(1~9階、高さ52m)に採用されている中枢構造で、建物外周を巨大な斜め鉄骨柱と梁で構成される三角形の骨組みのこと。地震時の揺れを効果的に抑制し、建物全体を一本の強靭なチューブ状構造とすることで、タワー重量の約4割強を支える国内最大級の構造体。設計者の三菱地所設計、施工者の清水建設のそれぞれの構想力・技術開発力を結集して実現させたもの。
1枚のDG鉄骨板は最大1600mm×1400mm×90mm×90mmで、全体鉄骨重量は11,267t(1~9階)、全体溶接長さは456,156m。
鉄骨を運ぶのにタワークレーン1050t×4台、1000t×1台、クローラクレーン×4台を用いた。タワークレーンの巻き上げ速度は180m/分(他の一般的な工事は120m/分)で、吊荷25t、300m揚重に要した時間は5分(同14分)に短縮するなど、国内最速・最強の威力を発揮したという。
溶接工事に当たっては、全国の工事現場溶接(AW)資格者1,343人(関東圏内は700人)のうち120人/日が関わった。現場溶接の効率化を図った結果、当初予定工期より20日間工程を圧縮できたという。
施工を効率化するエレベータは、長さ5.8m×奥行き2m(同は4.6m×1.75m)で、一度に運べる人数は76人(同46人)、昇降速度は110m/分(同100m/分)。
三菱地所設計TOKYO TORCH設計室・デザインスタジオチーフアーキテクト・永田大輔氏は事業概要について説明。「Torch」の言葉が持つ「希望」「灯り」「つなぐ」というイメージをデザイン化するにあたっては、デザインアドバイザーに藤本壮介氏、福岡孝則氏、永山祐子を起用し、〝唯一無二〟の建物・空間を実現すると語った。
同社TOKYO TORCH設計室・構造設計部ユニットリーダー・石橋洋二氏は構造計画について、建物を支える耐震要素や設備機器、階段などを複雑に集約しなければならない従来の「コアの集中配置」ではなく、外周を構造に利用する「ダイヤ形状」を採用し、高さ385m×100m四方の世界的にも珍しいプロポーションとし、「東京ならでは」の耐震性能設定では建基法が定める耐震性能の2倍超の性能にし、「頑丈な構造ではあるが、〝いなし〟の要素も取り込んだ」と語った。
清水建設常盤橋プロジェクト建設所副所長・平野秀明氏は施工について説明。「逆打ち工法」「花びら拡底杭」「ニコントリンブル」など初めて聞く専門用語を多発し、「何かにつけモンスター級」と締めくくった。
「TOKYO TORCH」は、東京駅北口から徒歩数分の千代田区大手町に位置し、2009年から開発が進められている敷地面積約31,400㎡、総延面積約740,000㎡のビッグプロジェクト。「Torch Tower」は、地上63階建て、高さ385m、延床面積約553,000㎡のわが国最高峰の事務所、賃貸住宅、ホテル、ホール、店舗などを備える複合ビル。2023年9月に着工し、2028年度に竣工予定。設計監理は三菱地所設計、施工は清水建設。

左から永田氏、石橋氏、平野氏
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ダイヤグリッド(DG)構造は何となく分かる。三角形が一番強度が高いのは中学生のころに学んだような気がする。迫で考えた。つまり、三井の「井桁」では具合が悪く、三菱の「菱形」でないといけないということだ。(両社の創業の由来などからして、井桁と菱形のどっちが強いかを競ったわけではなさそうだ=記者注)
DC構造は、清水建設が施工した2008年竣工の「モード学園コクーンタワー」にも採用されているという。三菱地所設計の特許技術ではないようだ。
3氏の説明時間は約40分。前半部分は、資料も配布されていたのでまずまず理解できたのだが、平野氏の話は全然理解できなかった。「Shimizハイブリッド逆打工法」「中央順打ち」「花びら拡底杭」など難しい言葉が飛び交い、「外周部が斜め架構かつ外周へ傾いている」に至ってはパニック状態に陥った。(建物は頭頂部に向かって広がっているという意味か)分かったのは「モンスター級のプロジェクト」(平野氏)らしいということだ。
工事に投入されている工事関係者の人数も桁違いだ。DC工事は1,100人/日で、上棟後の内装工事が入る段階では7,000人/日に増えるという。全工程に関わる工事関係者は数万人ではきかないという。
工事現場を見学して、清水建設の「深海未来都市構想OCEAN SPIRAL」を思い出した。発表されたのは2008年、総工費は数兆円。ここにもDG構造が多用されている。現場説明者に実現性を聞いたら「わたしからは言えないが、ありえない話ではない」と語った。記者は近い将来、具体的プロジェクトが発表されるとみた。

ダイヤグリッド(DG)架構

大きさを比較していただきたい

約10メートルおきに設置されている柱の太さは約1m(太いのか細いのか分からないが、これで階高約6mの空間を支えるのだから凄いのかもしれない)

柱

模型(記者も試してみた。井桁は横から押すと曲がったが、DGはびくともしなかった)

沈丁花

工事中の現場

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