
「THE LIVE Supported by大和地所」
三井不動産を代表企業とするコンソーシアム8社は3月12日、横浜市役所跡地の大規模複合施設「BASEGATE 横浜関内 内覧会・記者発表会」を開催。記者は、このうちディー・エヌ・エー(DeNA)が主催したライブビューイングアリーナ「THE LIVE Supported by大和地所」と没入型体験施設「ワンダリア横浜Supported by Umios」、既存施設をリノヘーションしたホテル「OMO7横浜by星野リゾート」を見学取材した。ホテルはともかく「THE LIVE」「ワンダリア横浜」は初めて経験するものなので、ただただ驚くばかりだった。取材の帰りの電車の中で高校生と思われる女性二人が〝マジ〟〝ヤバイ〟を連発していたので、それに倣って〝マジ〟〝ヤバイ〟施設というのが率直な感想だ。
DeNAの記者発表会の冒頭、同社代表取締役会長・南場智子氏は次のように語った。
「私は今日、特別な気持ちでここに立たせていただいております。今年は、横浜のシビックプライドである球団を取得してから15年目、横浜スタジアムの株式を取得してから10年目の節目の年になります。球団取得が第一幕、球場取得が第二幕とすれば、今日は、我々としては初めて街づくりに参加するという意味で第三幕の始まりとなります。
1978年に完成した横浜スタジアムは、市民有志の方々が発案し、市民の方々が出資し、市に寄贈するという当時としては画期的な公営民設の取り組みでした。大変な道のりだったわけですが、自分たちの手で横浜を盛り上げるんだという強い思いと決意が、行政を動かしました。
その運営を任せていただいてから10年、安心・安全の環境で観戦していただき、楽しんでいただくだけでなく、試合のない290日をどうするのか、どう盛り上げていくのか、建物を作り上げてきた皆様の思い、苦しみ、感動をどう具現化するかを考えて運営してまいりました。そして今回、新たなプロジェクト『BASEGATE横浜関内』に参加させていただき、2つの施設を完成させました。
『THE LIVE』に関しては、私も海外のスタジアムやアリーナ、チームを見てまいりました。その中から、スタジアムの横でやるということ、関内でやるということを考え、胸を膨らませて作ったものです。ライブ会場としてはおそらく世界最高のものができたのではないかと思います。これだけの大きさのビジョン、関内への街への溶け込み、素晴らしいものができたと思います。
没入型体験施設『ワンダリア横浜』は、お子さんに笑顔を届けようと作ってまいりましたが、カップルの皆さんも、いろんな世代の方も楽しんでいただけるものです。
わたしたちIT企業は、プロダクトを作って世の中に出した、その瞬間が始まりなんです。そこからお客さまからフィードバックをお受けしてどんどん進化させていただくのが我々の強みになります。今日、皆さんから、そしてお客さまからフィードバックさせていただき進化させていく、そのスピード感も見ていただきたいと思います。
本日、本当に球団運営、スタジアム運営から街づくりへの第一歩を踏み出した記念の日を皆様とともに迎えられること感謝申し上げます」
続いて登壇した同社ディー・エヌ・エー スポーツ・スマートシティ事業本部 本部長・對馬誠英氏は、「ホームゲームでは試合前、試合中、試合後も様々な企画を準備しており、大変なにぎわいになるはずです。ビジターの試合も全試合放映することが決まっており、このほかサッカーやバスケットなどのスポーツはもちろん365日楽しんでいただける仕掛けを準備しています。デベロッパーの街づくりは、集客力のあるテナントを誘致して収益を上げるのが基本でしょうが、我々はコンテンツをアップさせ、場所と掛け合わせることで足し算ではなく掛け算で収益増を図るのをポイントにおいています。目指すのはDelightfull Cityです」と語った。
また、横浜DeNAベイスターズ取締役副社長・林裕幸氏は、「球団設立から15年目を迎える今シーズンのコーポレートビジョンは『〝The 〟STAR』-唯一無二の存在になるべく新たな挑戦として今回の施設をオープンする。3つのフロアで見て、食べて、グッズで楽しい価値を提供する。その熱量、歓声が地域に広がる空間を演出する。常にアップデートさせていく」と話した。
「THE LIVE Supported by大和地所」は、「毎日が〝LIVE〟で満たされる、訪れた人々が心をひとつにする街の新しい居場所」をコンセプトに、横浜スタジアムでのプロ野球試合(年間71試合)のほか、ビジター試合(同)やその他のスポーツ、ライブエンターテイメント、飲食が楽しめる日本最大級のライブビューイングアリーナ。店舗面積は約2,800㎡。
1階の「LIVE FOOD HALL」は、日本最大級のライブビューイングアリーナで、入場無料。幅約18m、高さ約8mの大型LEDビジョンと9つの飲食店舗から構成。客席数はビジョンを直接鑑賞可能な246席と、FOODHALL内の座席の80席。「CENTRAL BAR」では球団オリジナルのクラフトビール「BAYSTARS SESSION IPA」が提供される。球団オフィシャルパフォーマンスチームdianaのOG4名が、MCとして毎試合2名ずつ登場する。ビジターゲームも放映するほか、バスケットボールやサッカー、音楽ライブなどのコンテンツも放映し、年間を通じて横浜の街の賑わいを生み出す。
2階の「BAYSTORE Flagship YOKOHAMA」は、約2,000アイテムの球団オフィシャルグッズを販売。
3階の「FOOD TERRACE」は、テラス付きのレストランで、バーベキューコーナー(最大利用人数56名)の利用料金は大人2,000円(平日)、小学生1,000円(同)。
全ての飲食店舗では、モバイルオーダーシステムを導入する。
「ワンダリア横浜Supported by Umios」は、DeNAが手掛ける没入型体験施設で、施設面積は約4,200㎡。営業時間は月曜日から木曜日が10:00~19:00、金曜日から日曜日/大型連休等が10:00~21:00。チケット料金は大人(18歳以上):2,900円~、中学生・高校生:2,200円、幼児(4歳以上):1,000円。3歳以下:無料。
没入空間は「高原」「深海」「原生林」「洞窟」「湖と大空」「都市」の6つのゾーンで構成し、日常では体験できないような生き物や自然との出会いを楽しむことができる。また、施設公式「ワンダリアアプリ」を使うことで、映像に登場する生き物の情報を入手することもできる。ワンダリアカフェも併設されている。

南場氏(左)と對馬氏

「LIVE FOOD HALL」

「LIVE FOOD HALL」

「CENTRAL BAR」

このクラフトビールが最高においしい

「BAYSTORE Flagship YOKOHAMA」

「FOOD TERRACE」
◇ ◆ ◇
プロ野球に興味のない方も多いだろうから少し説明する。横浜DeNAで特筆できるのは観客動員数だ。2025年は全71試合満席の約236万人(1試合平均約3.3万人)。12球団トップ阪神の約296万人、2位・読売の約282万人、3位・ソフトバンクの約272万人、4位・中日の約252万人に次ぎ5番目だ。これは収容人員によるもので、DeNAファンからは〝チケットが取れない〟などと贅沢な不満も聞かれる。わが西武は約173万人で、最小の東北楽天の約171万人に次ぐブービー。
DeNAの成績はどうかというと、12球団最低で通産勝率は.451。勝率トップは巨人の.579、わが西武はソフトバンクに続いて3位で勝率は.525。それまでは、球団名が大洋だった1960年、三原脩が監督に就任し優勝たのが最初で、1998年に権藤博監督のもとで優勝し、日本シリーズを制した。
ただ、DeNAが球団を取得してからの14年間を見ると、最初の4年間は5~6位に低迷していたが、その後の9年間はBクラスになったのは2度だけで、この5年間は連続してAクラス入りしている。一昨年の2024年はセ・リーグ3位からクライマックスシリーズを制し、日本シリーズでも福岡ソフトバンクホークスを下して1998年以来26年ぶり3度目の日本一に輝いている。
これらからすると、プロ野球球団の事業収益は、立地条件に恵まれていることは必須要件だろうが、観客動員数と成績の相関関係はあるようでないともいえる。一昨年亡くなった元巨人軍オーナーの渡邉恒雄氏は「野球は興行」として観客動員数を増やしてきたのは、ある意味で正解かもしれない。東京ドームシティの年間来街者は約4,000万人だ。DeNAがこのところ全試合満席なのもその運営手腕が奏功しているのかもしれない。観客動員数は球団取得前は約110万人だったのが、その後は、コロナ禍の3問間を除けば増え続けている。南場氏の人気も高いようだ。

没入空間

没入空間

没入空間
◇ ◆ ◇
施設について。どうしてもわが西武や巨人と比較してしまう。球場そのものは屋根付きの西武が勝るが、立地条件と顧客満足度の視点からすれば、西武の完敗を認めざるを得ない。記者はゲームやエンターテイメントには全く興味がなく、DeNAの売上高は他のプロ野球球団を所有する企業とは大きな差があるので甘く見ていたようだ。大型LEDビジョンや2,000種ものグッズ、眼がくらむような没入空間の演出などを目の当たりにして、この種の事業は無限の可能性を秘めていると考えを改めるに至った。
外野席で応援するより、この施設で応援したほうが安上がりで、飲食に回せる。喫煙ルームも完備している。映像・音響も素晴らしい。大ヒットする予感がする。
ただ一つ、課題もある。登壇者の話を座席で聞いていたのだが、外からの〝浜風〟(冷気)がストレートに入ってきた。震え上がるほどの寒さだった。「LIVE FOOD HALL」エントランスの風除機能は働いていないと感じた。これでは、夏場の熱波も防げないのではないか。
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