
左から角田氏、中岡氏、藤田氏(大和ハウス工業東京本社で)
大和ハウス工業は9月11日、令和8年都道府県地価に関する報道関係者向け「記者レクチャー会」を開催。ハウジング・ソリューション本部事業統括部副統括部長・角田卓也氏がマンション事業について、同部事業推進部分譲住宅推進グループグループ長・中岡敬典氏が分譲住宅について、ビジネス・ソリューション本部事業統括部ロジスティクス推進室開発グループグループ長・藤田渉氏が物流施設事業について、それぞれ最近の市況や同社の取り組みなどを説明した。以下、各氏の説明の概要。
マンション市場は、都心部のマンションは価格上昇や投資需要の変化を背景に、湾岸エリアのタワーマンションでは、投資目的の一部契約者が手付金を放棄して契約を解除する事例もみられ、東京西部は、供給増加と価格上昇により来場・契約ともに減少傾向にある。また、住宅ローンでは、審査金利の上昇により希望額を借りられないケースがみられ、若年層(20代~30代)では50年ローンが一般化しつつある。
全国の市況は、北海道は継続して本州からの富裕層やシニア層のセカンド・投資・移住ニーズの需要が見られ、九州は2025年の平均坪単価は約241万円、平均価格は約5,300万円と過去最高水準に達している。沖縄は、那覇市の新築分譲マンションは坪単価が2020年の約250万円から足元で400万円超へ上昇し、今後は、一等地では坪600~700万円台も視野に入る市場となっている。
用地仕入れ環境は、首都圏では中国からの購入客の減少に伴い高額マンションの販売が鈍化していること、転売目的の売買が頭打ちになっていることからマンション用地としての土地評価の上昇は止まりつつある。近畿圏では、販売が好調な大阪市中心部、京都市中心部を中心にデベロッパーの買い意欲が集中し、土地価格の上昇は継続している。地方圏では、札幌、沖縄は民泊対応マンション向けの用地買収が土地値を牽引。福岡は県外やインバウンドの流入が多く、ホテル、賃貸向けの用地買収とも競合して価格は上昇傾向にある。
投資需要は、円安による割安感により新たな海外投資家が日本に参入しており、賃貸マンションの賃料のアップが顕在化している。インバウンド需要については、ラグジュアリーホテル等の開発が加速化しており、観光需要があるエリアは土地の取得が激化しており、土地価格は高騰している。
同社の販売物件として、販売好調の「モンドミオ札幌駅 北九条(北海道札幌市)」(48戸)は坪単価423万円、「プレミストつくば研究学園(茨城県つくば市)」(602戸)は坪単価270万円、今後分譲する「プレミスト鷺沼(神奈川県川崎市)」(68戸)と、「プレミスト甲子園口(兵庫県西宮市)」(60戸)はそれぞれ坪単価400万円台半ばを予定。近く第2期の販売を開始する「モンドミオ福岡博多HIGASHIHIE STATION(福岡県福岡市)」(117戸)の坪単価は450~460万円、分譲中の「モンドミオ沖縄リゾート 恩納村冨着」(103戸)の坪単価は450万円。
戸建て分譲住宅は、新設住宅着工戸数は2022年度から大きく下落しているが、同社は販売戸数・契約金額とも伸長。エリア別では、全体の販売対象戸数は約30%減となっているが、契約金額(土地・建物)は前年同時期比で12%増となっている。
同社の主な施策として、GX志向型・東京ゼロエミ住宅の取り組みを強化しており、断熱等級6の標準化を推進し、分譲住宅ZEH率は99%に達している。
高額・高級住宅の取り組みも進めており、2025年度は1億~2.5億円の高額は東京で50棟、大阪で10棟を販売。価格が2.5億円以上の高級は東京で11棟、大阪で1棟をそれぞれ販売した。
物流施設は、首都圏大型マルチテナント型物流施設の空室率は7.8%と低水準であり、首都圏の全体の実質賃料は4,600円/坪で、対前年比1.5%上昇。東京ベイエリア、外環道エリアの上昇が際立っており、地方都市でも荷主企業による地方拠点拡充の動きがあり、市場は堅調に推移している。
堅調な市況を受け、同社の2026年4月~2026年9月のテナント契約件数は19件、契約面積は約239,508㎡で、2027年9月までの竣工予定は11件、開発面積は440,604㎡になる。
また、先端技術と地域連携の取り組みを強化しており、水素社会の実現に向けた物流拠点の構築や地域産業との連携を推進。次世代物流拠点や環境配慮型住宅の標準化を進めている。
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記者は、角田氏が何を話すか注目していた。首都圏マンションは、このところの価格高騰、金利上昇、投機目的に対する規制の動きなどを背景に、踊り場に差し掛かっているとみているからだ。東日本レインズが先に発表した令和8年8月の中古マンション成約坪単価269.3万円となり、前年比マイナス3.8%と4か月連続で下落し、90年10月 (275.6万円)の水準を下回ったことでも(このレインズの文言は誤解を招く。正確には90年10月の水準までほぼ回復しているというのが正確な表現)、角田氏の「手付放棄」「来場・契約ともに減少傾向」「審査金利の上昇により希望額を借りられない」言葉にもその予兆・変調がうかがわれる。
同社には、短期売買の税率強化が及ぼすマンション市場への影響について文書によって質問したところ、同社からは「増税の実施や税率の水準が現時点では確定していないため、市場への影響について見通すことは難しい状況です。また、適切な税率のあり方についても、現時点で特段の見解は持ち合わせておりません」との回答があった。今後、年末にかけ(投機目的の)短期売買の譲渡所得税の引き上げが論議される。成り行きによっては市場が激変するのは間違いない。当分マンション市場から目が離せない(記者は過度な規制強化には反対)。
藤田氏には〝嫌悪施設〟について質問した。藤田氏も「当社は物流(倉庫とは言わなかった)を嫌悪施設だとは考えていない」と答えたが、業界全体でロジスティクス・データセンターを〝嫌悪施設〟として例示している不動産流通促進センターに改めるよう働きかけるかどうかについては言葉を濁した。
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