
三井不動産のロジスティクス事業実績
三井不動産は7月23日、「ロジスティクス事業」記者説明会を開催し、同社ロジスティクス本部ロジスティクス事業部長・涌井耕人氏が開発物件の紹介から物流プラットホーマーとしての成熟、サプライチェーンへの寄与、産業デベロッパーとしてデータセンターへの取り組みなどについて語った。
涌井氏は、ロジスティクス事業は、2012年に事業開始して以来、2026年6月末時点で、開発・運営する施設は計88物件(国内70物件・海外18物件)、総延床面積は約630万m2となり、累計総投資額は約1兆4,000億円に拡大していると報告。足元の市場については、「空室率の上昇、建築コストの上昇を受け、肌感覚でいえばプレーヤーは半減しているが、当社施設の空室率は2%台にとどまっており、今後も年間6~8物件を安定的に供給していく」と語った。
物流不動産開発については、「MFLP船橋」を筆頭にこれまでの「街づくり型物流施設」の開発に力を注ぎ、レジリエンス強化のほかペロブスカイト太陽電池など多機能先端技術の採用を検討していると話した。大規模フラッグシップ施設として延床面積約239,643㎡の「MFLP・LOGIFRONT京都八幡Ⅰ・Ⅱ」、延床面積約40,219㎡の「MFIP海老名&forest」を紹介。冷凍冷蔵庫・危険物倉庫などの高付加価値倉庫の開発も進めるとした。
物流課題解決によるサプライチェーンへの寄与として、圧倒的な不動産開発実績・ノウハウを基に、荷主や物流事業者向けの企画・提案、コンサルティング・ソリューションに注力しており、同社が運営する「MFLP&LOGI Community」の参加荷主は約130社、延べ参加者は約2,500人に達していると語った。
ESGへの取り組みでは、敷地内の既存樹木の保存や、施設の木造化・木質化、グリーン電力の創出と活用、生物多様性への配慮を通じ地域の価値向上につなげていくと語った。
〝産業デベロッパー〟としての取り組みでは、「MFIP羽田」「MFIP海老名 &forest」などの事例を紹介し、物流に限定されない複合用途施設の開発を積極化するという。データセンター事業は社会インフラとしての必要性・重要性が増しているとし、現在稼働中の3棟に加え7棟が進行中で、今後2035年度までに累計6,000億円超の投資を目指すと語った。「日野DC計画」(敷地面積約114,042㎡)では、敷地内に約6,900㎡の公園を整備するなど約15,000㎡の緑化面積を確保すると話した。

「SGリアルティ・MFLP大阪加島」

「MFIP海老名 &forest」

「MFLP・LOGIFRONT京都八幡Ⅰ」

涌井氏
◇ ◆ ◇
記者は、この種の物流不動産の説明会・見学会が行われるたびに、胸の奥でくすぶり続けている燠のようなものがせり出してくる。
それは、2018年5月、同社のロジスティクス事業に関する記者説明会で、当時の常務執行役員ロジスティクス本部長・三木孝行氏が「最早、後発でない」「嫌悪施設でもない」と宣言した言葉だ。
記者はそのとき、三木氏が〝先発〟企業として意識しているのは、98%が中小企業ではあるが三井、三菱、住友を代表する倉庫会社だろうと理解した。また、三木氏が〝嫌悪施設ではない〟と強弁しても、住居系エリアでの建設は認められず、「嫌悪施設」(法律にはそのような文言はないが)であることには変わりはないと思った。双方の連携も必要ではないかと感じた。最近注目されている「データセンター」も同様の扱いとなっている。
この日(7月23日)、涌井氏は記者団の質問に対して「データセンターは基本的には物流倉庫やロジスティクスとは別物。この三業態が連携し、法の整備も必要」と語った。記者はもっと具体的に聞きたかったが、その時間はなかった。
同社をはじめとするデベロッパー各社は物流不動産の開発に積極的に取り組んでいるが、1948年設立の〝先発〟業界団体である「一般社団法人日本倉庫協会(The Japan Warehousing Association Inc.)」にも、1970年設立の「一般社団法人日本物流団体連合会(Japan Association for Logistics and Transport)」にも加入していないはずだ。一方で、1992年設立の内閣府が所管の「公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会(Japan Institute of Logistics Systems)」には一部のデベロッパーが加入している。
また、国土交通省などが中心となって令和6年に開催した「物流拠点の今後のあり方に関する検討会」には日本倉庫協会や不動産協会も関係団体として名を連ねている。
この会合では「物流拠点(施設となっていないことに注目)」の課題として「地域との合意形成」についても論議されたはずだが、〝嫌悪施設〟に関する論議はされなかったようだ。
いま東京都昭島市では〝東京の軽井沢〟と呼ばれている「モリパーク」の隣接地で、開発面積81.5haという桁違いの物流施設「GLP昭島プロジェクト」(全体計画では約121万㎡、物流施設は約83万㎡超)が進行中だ。敷地の多くはゴルフ場だったが、用途地域は準工業地域だから開発が可能になった。
三井不のデータセンターの2035年までの累計投資額6,000億円から類推して、市場規模はその10倍として6兆円だ。関係省庁、業界団体が連携して法整備を含め課題解決に取り組んでほしい。〝嫌悪施設〟のままでいいのか。

国土交通省「物流拠点の今後のあり方に関する検討会」配布資料

国土交通省「物流拠点の今後のあり方に関する検討会」配布資料
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