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2026/09/06(日) 20:53

大和ハウス 新築住宅とストック事業の組織再編 ヘゲモニーを握れるか 展開次第

 大和ハウス工業は9月4日、戸建住宅事業を中心としたハウジング・ソリューション本部の組織・事業体制の変更を2027年4月1日付で実施すると発表した。新築戸建住宅事業は、需要が堅調な都市圏を中心に経営資源を重点配置し、住宅ストック事業は全国展開によるエリア拡大と機能統合による事業強化を図る。

 わが国の住宅市場は、人口減少や建築資材価格の高騰などを背景に新設住宅着工戸数は減少傾向にある一方で、リフォーム、買取再販、不動産仲介などストック市場は拡大を続けていることに対応するもので、市場環境の変化を成長機会と捉え、「新築住宅事業」と「住宅ストック事業」の両輪による持続的な成長を実現するのが目的。

 新築戸建住宅事業は、需要が堅調な都市圏を中心に14支社・支店に営業・設計・施工体制などの経営資源を重点配置し、23エリアで事業を展開。今後は地域特性に基づく商品開発や、デザインコードの導入によるブランド価値向上を図り、高付加価値提案を実現する。

 住宅ストック事業の再編では、大和ハウスリフォームを存続会社とする新会社「大和ハウスパートナーズ」を、大和ハウス賃貸リフォームの商号変更による新会社「D-ROOMパートナーズ」をそれぞれ発足。大和ハウスリアルエステートは賃貸管理事業を大和リビングに分割したうえで、「大和ハウスパートナーズ」に合併する。

 既存のオーナーへのアフターサービスについては、大和ハウスパートナーズが引き続き全国で提供し、住まいのメンテナンスからリフォーム、買取販売、不動産仲介、賃貸管理に至るまで、住まいのライフサイクル全体を支援するワンストップサービス体制を構築し、より高い付加価値の提供を目指す。

◇      ◆     ◇

 記者は、今回の組織再編は正解だと思う。むしろ遅きに失したのではとも思う。住宅着工戸数、とりわけ持家の着工減はいまに始まったことではない。バブルが崩壊してから分譲市場構造が激変した。詳しくは書かないが、2000年あたりから戸建てのローン支払いを終えた高齢者が、郊外の戸建てから〝駅近〟のマンションに移り住む層が激増した。

 2015年分譲の同社の「プレミスト高尾サクラシティ」(416戸)が典型的な物件だ。記事にも書いたが、契約者の約半数が八王子市居住者で、23区などの都市部からの契約者は約35%、神奈川エリアが約10%、20代~40代のファミリー層が約6割、50代以上のシニア層が約4割、契約者の持家率は約5割、住み替えが多いのが特徴だった。

 いまの若い層は〝コスパ〟やら〝タイパ〟〝メンパ〟を重視している。住宅選考にあたっても分譲か賃貸か、新築か中古か、マンションか戸建てか、その選択の幅は多様化している。住宅すごろくは〝死語〟博物館入りした。

 記者は、2021年9月の同社の基準地価に関する記者レクチャー会で、分譲戸建てについて、同社住宅事業本部事業統括部分譲住宅グループ部長・本間生志氏に「そもそも建築単価が倍くらい違う分譲戸建て御三家とは争わないで、大手デベロッパーのように都市型に絞り、経営資源もそこに集中したほうがいいと思いますが、いかがでしょうか」と質問したら、本間氏は「仰る通り。当社も含め大手ハウスメーカーは互角に戦えない。人的資源を都市部に移すよう着手している」と答えた。

 その後、同社は分譲戸建てを7,000体制へ拡大すると発表した。今回の事業再編と分譲戸建て7,000戸体制とどのような関係にあるのかは不明だが、おそらく大都市圏での高額戸建て分譲にシフトするのだろう。注文住宅では「希(MARE)」はどこにも負けない。

 今回の再編が成功するかどうかはわからない。ここまでマンション単価が高騰したら、一般的なファミリー層は〝駅近〟は住めない。戸建ても高くはなったが割安感がある。チャンスだと思う。大和ハウス関係者は見学していないだろうからあえて書くが(同業の記者も必見)、最近のコスモスイニシアの意欲的な分譲戸建ては参考になると思う。これまでも、リビング天井高4mとか、フルフラットバルコニーなどを提案してきたが、「二子玉川」「大森山王」は同業他社の戸建てを圧倒する。記事も添付する。

 参考までに戸建てに関する数値を紹介する。大和ハウスの2026年3月期の戸建住宅の売上高は1兆3,422億円、営業利益は1,556億円、営業利益率は11.61%だ。国内戸建住宅(請負)の売上戸数は2,810戸、分譲住宅(建売)は1,943戸で、合計4,753戸。国内戸建住宅の1戸当たり売上単価は開示されていないが、数値から類推すると約1兆円と思われる。

 比較するのはどうかと思うが、分譲戸建て事業を全国展開している(かつては空白県があったが、現在は47都道府県に営業拠点を設けているはず)飯田グループHDの数字はどうか。2026年3月期の売上高は1兆5,088億円で、営業利益は944億円、営業利益率は6.3%だ。分譲戸建ては売上高1兆2,185億円、販売戸数は36,989戸、1戸当たり販売価格は3,294万円。このほか注文住宅の売上高は835億円で、販売戸数は2,435戸。

 デベロッパーでトップを走る三井不動産の2026年3月期の分譲戸建て売上高は385億円、販売戸数は407戸、1戸当たり販売価格は9,461戸。完成在庫は10戸。マンションを含む国内分譲住宅の営業利益率は25.5%だ。

 飯田グループの販売戸数がいかに多いか、販売価格がいかに安いかが分かる。戸数は、2025年度の全国分譲戸建て着工戸数は115,200戸なので、飯田グループは実に32.1%を占める。同社に勝てるはずがない。

 住宅は幸せを売る商売だ。どこがヘゲモニーを握るか、ストック事業も含めて大激戦となる。傍観者としては野球観戦と同じ、とても面白い展開が期待できそうだ。

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