旭化成不動産レジデンス 品川区中延2丁目の防災街区整備事業に参画
旭化成不動産レジデンスが先ごろ、密集市街地の防災機能の確保を目的とした「中延二丁目旧同潤会地区防災街区整備事業」の準備組合結成の届けが完了したと発表した。東京都の「防災街区整備事業」はこれまで3事業が完了、2事業が告示されており、正式に認可されれば6例目になる見込み。
同事業は、東京都の「木密地域不燃化10年プロジェクト」の不燃化特区先行実施地区である東中延1・2丁目、中延2・3丁目エリア内のコア事業として位置づけられている。
同社は、2013年10月に品川区から旧同潤会地区共同化推進支援業務委託を受け、2014年3月15日に事業協力者として選定されている。コーディネーターの首都圏不燃建築公社、施設計画コンサルタントの日建ハウジングシステムなどと今後本組合結成に向けた取り組みを行っていく。
防災街区整備事業とは、「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律」に基づく事業で、木造家屋が密集し防災上の不安を抱えた地区を対象とし、密集市街地の防災機能の確保と土地の合理的かつ健全な利用を図ることを目的としている。
東京都の防災街区整備方針(2008年)では都内64地区、約3,770haが防災再開発促進地区に定められているが、これまで事業完了したのは板橋区の「板橋三丁目地区」、足立区の「関原一丁目中央地区」、「墨田区京島三丁目地区」の三地区のみで、告示済は品川区の「荏原町駅前地区」と目黒区の「目黒本町五丁目地区」の2カ所がある。
ポラス 学生・建築デザインコンペに458作品が応募 5作品が入選
受賞したみなさん
ポラスグループが8月5日、「第1回POLUS-ポラス-学生・建築デザインコンペティション」の公開審査会を行ない、応募458作品の中で最終審査に残った入選5作品のうち、入居者と街の人々がコミュニケーションできるシェアハウスを提案した東京芸大大学院・杉山由香氏と東京電機大大学院・藤井健太氏の「じじばばシェアハウス」を最優秀賞に選んだ。
コンペは創業45周年を記念したもので、木造による1棟~最大10棟の「自立型の共生を表現した住宅」が応募条件で、応募作品は458件。入賞5作品について各入賞者のプレゼン、質疑応答などが関係者や報道陣に公開された。
審査委員長の青木淳建築計画事務所・青木淳氏は、「社会的なテーマであり、それを木造で建築するという具体的な面もあり、アイデアを盛り込むという全領域をカバーしたコンペ。5作品ともそれぞれ方向が異なりバランスがよかった。これからの木造住宅の環境づくりのきっかけになる」と講評した。
主催者のポラスグループ・中内晃次郎代表は、「木造住宅にかかわる就業者は少なくないのに、学生さんの関心はRCやS造に向きがちなので、45周年を機会にこのようなコンペを行なった。予想をはるかに越える応募があったことに感謝したい。作品のレベルも高く、夢のある提案をたくさん行なっていただいた。作品の実用化を検討しており、現在2つの作品で具体化を進めている」と挨拶した。
受賞した杉山氏は「私なりのメッセージを伝えられて非常に嬉しい。これからも考えを深めブラッシュアップしていきたい」と、藤井氏は「質疑応答に上手に答えられない点もあったが、さらに精進していく」とそれぞれ喜びを語った。
最優秀賞の杉山氏(左)と藤井氏
◇ ◆ ◇
住宅に関するコンペはたくさん行なわれているが、プレゼン、質疑応答、審査投票が公開されるのはほとんど前例がないはずだ。記者もワクワクしながら一部始終を見守った。
5作品の中で一番いいと思ったのは、25票満点(審査員5人で一人5票)のうち8票を獲得した最優秀賞に次ぐ6票を得た芝浦工大大学院・吉澤芙美香氏と同・青柳野衣氏の「屋根裏の知恵」だった。
古書店が古書の交換会を行なって循環させているのにヒントを得て、有効に使われていない戸建ての屋根裏をつなぎあわせ、住民同士が自由に出入りできるようにすれば街の図書館になるという提案だった。戸建ての居住部分と屋根裏の間には多目的に利用できる緩衝スペースを設けることも盛り込まれていた。
これには驚いた。権利関係や容積率、高さ制限などの問題があると思ったが、「屋根裏」はヨーロッパの小説にはしばしば登場するし、本来、絶対的所有権を主張する戸建てに共同利用できる空間を提案するという発想がとても面白いと思った。
審査員からは技術的な問題が指摘されたが、「大丈夫だと思います」の「思います」は余分だった。「大丈夫です」と答えていたら最優秀賞に輝いたのではないか。
他では、森林・林業の再生をテーマにした東京電機大大学院・坂本裕太氏の「式年遷住」もよかったが、テーマの割りには提案が平凡だったのが残念だった。街全体を活性化させるようなダイナミックなアイデアを盛り込んでほしかった。それでも、他の審査委員が1作品に2票というのが最多だったのに対し、3票を投じた青木審査委員長が懇親会で「君のが一番よかった」と坂本氏声をかけられたのは、記者も嬉しかった。
青木氏(左)と中内氏
左から審査委員のUID一級建築士事務所・前田圭介氏、法政大学准教授・赤松佳珠子氏、青柳氏、青木審査委員長氏、吉澤氏、審査委員の東大生産技術研究所教授・今井公太郎氏、ポラス暮し科学研究所所長・菅原庸光氏
審査会場(ポラテック本社)
木造のポラテック本社ビル1階
積水ハウス和田勇会長は住宅のキッズデザイン・UD普及活動に軸足を
第8回キッズデザイン賞優秀賞が決定
和田会長
キッズデザイン協議会(会長:和田勇・積水ハウス会長兼CEO)は8月4日、子どもの安全・安心と健やかな成長発達に役立つデザインを顕彰する「第8回キッズデザイン賞」の最優秀賞など36点を決定した。
全受賞作品の中からもっとも優れた作品に贈られる「内閣総理大臣賞」にはマツダ「MAZDA TECHNOLOGY FOR KIDS」が選ばれた。車酔いをさせないスムーズな運転の習得を目指すプログラム、子どもによる誤始動を防ぐシステム、子ども歩行者を発見しやすいミラーの開発などが評価された。
8作品の中で住宅関連では、積水ハウス「子どもの生きる力を育むまち、子育て世帯応援タウン~ニッケガーデン花水木~」が経済産業大臣賞に選ばれた。
積水ハウスはこのほか、同社がキッコーマンなどと共同開発した「子どもの生きる力をはぐくむ『弁当の日』応援プロジェクト」が消費者担当大臣賞を、「震災で得た教訓を生かした、子どもと女性にやさしい『おりひめトイレ』」が復興支援デザイン部門賞をそれぞれ受賞した。
「ニッケガーデン花水木」
◇ ◆ ◇
記者発表会の冒頭で挨拶した和田会長は、「昨年から内閣総理大臣賞を新設したこともあり、今回の応募作品は過去最高の408点(第1回は287点)になった。子どもの安心・安全、健やかな成長を願う理念を実現する質の高い製品を開発し、日本にとどまらず世界にアピールしていきたい」と語った。
その通りだと思う。記者は住宅・マンションを取材フィールドにしているので、子どもはもちろん大人にもそしてお年寄りや身障者にも使い勝手がいいユニバーサルデザイン(UD)の視点でいつも考えている。
その意味からすると、確かに積水ハウスは間違いなく業界の最先端を走っている。しかし、デベロッパーを含めた業界のUDの取り組みはまだまだ遅れている。同社の取り組みが突出していること自体が情けない。
戸建てだろうがマンションだろうが住宅には子どもやお年寄りに危険なところがいっぱいある。ダイワサービス会長でマンション管理業協会理事長の山根弘美氏は1歳にもならないお子さんを浴室で溺死させたのを今でも悔やんでいる。小さい子どもの頭部にあるドアノブは凶器にもなる。廊下・階段の幅はメーターモジュールにほとんどなっていない。健常者が車椅子利用を強いられるようになったとき、果たしてどれくらいの住宅が軽微な改良でそのまま使用することができるだろうか。転居、建て替えを余儀なくされる住宅は相当数にのぼるはずだ。白内障や色覚障害者に配慮した住宅なども少ない。
そこで提案だ。キッズデザインとUDを含めた常設の展示場をぜひ都内に設置してほしいということだ。住宅部門でのUD、キッズデザインに関する実物、商品、書籍などを常設・常備し、若い研究者、学生が常時利用・研究できるような施設だ。キッズデザイン賞の審査委員長を務める益田文和・東京造形大学教授も「おっしゃる通り、キッズデザインはUDの視点が必要。常設の展示場は設置したい」と後押しした。
費用は年間どれくらいかかるか分からないが、同社の売上額の100分の1どころか1000分の1くらいで十分だろう。そのような施設を設けたところで社会から称賛されても、株主その他から批判されることは絶対ないはずだ。
和田氏は同社を立派な会社に育てたのだから、これからは会社や業界の利益よりも社会の利益を最優先する社会貢献活動に軸足を移していただきたい。〝5本の樹計画〟〝積水のUD〟が住宅・不動産業界の〝当たり前〟になるような活動だ。
益田教授
三井不動産レジデンシャル 女性向けwebサイト「モチイエ女子web」
三井不動産レジデンシャルが販売する新築マンション購入者のうち女性単身者の購入者推移
三井不動産レジデンシャルは7月29日、女性が「住」について興味を持つ機会を提供する女性向けwebサイト「モチイエ女子web」(http://www.mochiiejoshi.com/mj/)を公開した。運営は女性メンバーで構成するチーム「モチイエ女子project」が行う。
同社は公開の理由を、女性単身者のマンション購入が増えているにもかかわらず、「そのイキイキとした実情とはかけ離れたイメージを持たれているのが現状」とし、「このような現状を打ち破り、彼女たちがより輝ける文化を醸成することを目的」としたという。
切り口はマンガ、写真、コラム、インタビューなど6つのコンテンツから構成されている。
リリースによると、同社が販売するマンションを購入する単身女性は2009年が250人くらいだったのが年々増加しており、2013年には750人くらいに達している。
◇ ◆ ◇
公開されたwebのトップページを見ただけで記者は退散したが、結構なことだと思う。
女性単身者がマンションを購入する動きは平成7~8年あたりから顕在化した。記者も特集で記事にしたことがあるし、「女性のための快適住まいづくり研究会」の小島ひろ美代表には何度か取材している。
男性と異なり、手堅く自己資金を貯め、劣悪なワンルームマンションではなく、広めのマンションを購入していることがよく分かった。リリースにある「イキイキとした実情とはかけ離れたイメージ」がどのようなものかはここでは書かないが、男性よりはるかに賢明な選択をしている女性というイメージのほうが記者は強い。最近は2戸、3戸と買い増ししている女性も多いと聞く。
いまどきの30代夫 完璧に家事こなすのは3割 旭化成ホームズが調査
「マルチアイランドキッチン」
旭化成ホームズは7月11日、今年25周年を迎える同社の「共働き家族研究所」が調査・研究した報告書「いまどき30代夫の家事参加の実態と意識~25年間の調査を踏まえて~」(A4判86ページ)をまとめ発表した。
調査の結果、①夫の家事参加が大幅に進み、5割の夫は洗濯ものを干す②夫の7割近くが、出産後も妻に仕事を続けてほしいと思っている③家事を完璧にこなせる夫は3割で、意欲はあっても上手にできない「チョイカジパパ」が多い-ことなどがわかった。
また、今回の調査結果を踏まえ、同研究所と永大産業が共同して、夫の家事参加を促す「マルチアイランドキッチン」「ランドリーサンルーム」「デイリークローゼット」を開発、住宅展示場や「街かどヘーベルハウス」などで提案していく。
◇ ◆ ◇
記者はこの種の発表会でいつも思うのだが、社会、経済環境は昔と比べ大きく変化している。「専業主婦」「配偶者・扶養控除」「寡婦(夫)控除」「共働き」などの呼称・文言について考え直すべきだと思っている。
記者は約10年間、妻が死亡したためだが2人の子どもを育て仕事もこなしてきた。同社が夫の家事・育児関与度を21項目に分類した評価では21項目、つまり調理も洗濯も掃除も育児も程度の差はあれ全て行なった。特に食材では白、黒、赤、緑、黄を盛り込むことは忘れなかった。鰹節やトリガラで出汁を取ったこともあるし、砂糖を用いなくても甘みを出すことも覚えた。アップルパイは毎週のようにつくった。
同社はまた、妻のしっかり家事度を13項目に分類して評価したもの、例えば「雑巾がけ」「水拭きする」などは全然行なわなかったので、2~3項目しかやらなかった。それでも家事・育児労働は1日3~4時間くらいはやったはずだ。
家事・育児労働を金額にも換算したことがある。自己評価では月額30万円くらいになった。しかし、それでも記者は専業主婦(夫)でも兼業主婦(夫)でもなく、「孤閨」を守ったわけではないし、うじがわく「男やもめで」もなかったが、税法上は「寡夫」だ。そんな経験から、先にあげた言葉がしっくり受け入れられないのだ。
例えば専業主婦。ウィキペディアによると、専業主婦は「『働く女性(賃金労働者)』と『専業主婦』はもともと対立概念ではなく、様々な理由から多くの女性が『働く女性(賃金労働者)』と『専業主婦』というライフコースを行き来する。賃金労働に従事していない時期名である為、『無職』に分類される。…専業主婦は家庭という組織内部で貢献しつつ内部分配を受けることから、企業における製造・営業に対する『総務・経理的役割』と同等の『家庭内の役割』だと考えられている」とある。
これはこの通りだろう。しかし、必ずしも女性の労働環境は良好といえないから、働く女性と対立して考えざるを得ない現実がある。賃金労働者でないから「無職」とする一方で、企業における『総務・経理的役割』と同等」の役割を担っているとしていることに矛盾はないか。「家事労働」という言葉もあるくらいだから、「専業主婦」の労働価値を正当に評価すべきだと思う。
また、「配偶者控除・手当て」もよく分からない制度だ。103万円だとか130万円の壁が論議されているが、女性の雇用促進を考えるのなら、働く女性が不利にならないように、また多様な生き方が選択できるような仕組みにすべきだ。「寡婦(夫)」もいやな言葉だし差別的だ。「未亡人」「やもめ」「孤閨」などと同じだ。税制面での支援策があるが、ならばどうしてシングルマザー、シングルファザーには支援がないのかもよく分からない。
ことほどさように生き方は様々だ。家父長制が貫徹されていた昔と異なる。このあたりの制度なり意識改革を抜本的に行なわない限り、女性の社会進出促進や男女共同参画社会は実現しないのではないか。「男女参画社会」もまたよく分からない概念で、どうして「男女平等社会」でいけないのか。
◇ ◆ ◇
調査結果は予想していた通りだし、「マルチアイランドキッチン」「ランドリーサンルーム」「デイリークローゼット」の提案もなかなかいい。アイランドキッチンは他社も採用しておりかなり増えてきたが、2帖ほどのランドリーサンルームとそれに隣接した「タタミコーナー」「デイリークローゼット」がいい。記者も洗濯には難儀した。ティッシュを取り忘れたときなどはパニックになった。室内にコンパクトに洗濯作業場があると助かる。
ついでだが、いかに「寡夫」にとって家事・育児労働が大変であるかを紹介しよう。
だいたい自分の時間が持てるのは夜10時過ぎだ。それから酒のつまみをつくり1時、2時まで飲む。もちろん原稿も書く。遠足用の弁当つくりもこの時間まで掛かる。
困るのは子どもに持たせるこまごました道具類だ。あるとき「ナプキン」を持たせるようにと学級便りにあった。これには頭にきた。記者は妻がいないことを先生は承知しているのにどうして生理用品を持ってこいというのか、怒鳴りつけようかと思ったが、義妹に相談した。「よく読みなさいよ。そんなもの持ってこいというはずない」と電話口で言われたので、よく見たら「ナフキン」だった。それまで「布巾」は知っていたが、「ナフキン」など知らなかった。「トイレ」を持ってこいというのもあった。これにも呻吟した。先生を呪った。しかし、これもよく見たら「トレイ」だった。
読者の方々は笑うかもしれないが、忙しいときはゆっくり学級便りなど読んでいる暇は全然ない。やってみれば分かる。
三井ホーム ゼロエネルギー目指す実験住宅「ミディアス」リニューアル
「ミディアス(MIDEAS)」
三井ホームは7月7日、三井不動産グループの次世代型都市「柏の葉スマートシティ」の街びらきに合わせゼロエネルギーを目指す実証実験住宅「ミディアス(MIDEAS)」をリニューアルオープンした。
過去2年間の実証実験の結果、外気温の変動に対してトータル空調により安定した室温が保たれ、想定した太陽光発電や蓄電容量により自給自足を可能とするゼロエネルギー住宅(ZEH)を十分上回る能力を備わっているとし、新たな技術を盛り込んで開発を進めていく。
新たに盛り込んだ技術は①ナチュラルユーザーインターフェイスVer.2②タッチユーザーインターフェイス③スマート家電④EVワイヤレス給電⑤電気配線が不要の振動発電スイッチ-など。
ナチュラルユーザーインターフェイスでは、これまで手振りで窓やブラインドの開閉、お湯張りなどを操作する技術に音声対応が加わった。その結果、「開けゴマ」で窓が開き、「風呂を沸かせ」でお湯張りが可能となる。
タッチユーザーインターフェイスは、太陽光発電や使用電力の「見せる化」を意識した技術で、楽しみながら居住環境をコントロール仕組み。スマート家電では、外出先から冷蔵庫の中身の確認や室温の調節ができる。
ナチュラルユーザーインターフェイスVer.2
◇ ◆ ◇
「ミディアス(MIDEAS)」は一昨年に報道陣に公開されているので、今回見学するのは2度目だ。高気密・高断熱の住宅ではあるが、パッシブ技術を最大限取り入れているのが特徴だ。全てがすぐ実現するものでもないようだが、実験住宅は約50坪で8,000万円だとか。坪単価は160万円だ。実用化されるのはそう遠くないと見た。
◇ ◆ ◇
よくわからなかったのがナチュラルユーザーインターフェイス。身振り手振りで窓を開閉したりりテレビのチャンネルを変えたりするのはそれはそれで結構だし、さらに音声によってコンピュータが人に変わって家事労働をやってくれるのは便利だと思う。実用化は近いのだろう。
しかし、夫婦、あるいは親子関係はそう単純ではない。同じ言葉でもそのときの感情によって微妙に意味が異なってくるし、第一、誰の声にコンピュータは反応するのか。「暑いな」「私は寒いのよ」「早く寝ろ」「いやだ」「西武戦が見たい」「パパ、ドラえもんだよ」「暗くして」「明るいほうがいい」…コンピュータはパニックになるはずだ。
ならば、声が大きいほうに反応したり、特定の人間のみに言うことを聞くようになったら、これはこれで問題も多い。夫婦が怒鳴りあうようになり、全ての実権を握った夫あるいは妻が家族全てをコントロールすることにならないか。単身者なら問題はないというが、そんなことはない。ロボットとしか会話を交せなくなったら人は生きる価値を何に見いだすのか。
タッチユーザーインターフェイス
アキュラホーム 高田・京大教授以外の5人全て女性の研究所設立
研究所設立について話す伊藤氏
アキュラホームは7月3日、住まいと暮らしに関する調査研究を行う「アキュラホーム住生活研究所」を企業内研究所として6月1日に設立したと発表した。
単に住宅を供給するだけでなく、住まう人が豊かさを感じながら末永く暮らしていくことが重要との考えに基づき設立したもので、当面は京都大学京都大学院髙田教授との共同研究「都市型木造住宅の住みこなし過程に関する研究」を行なうほか、つくり手、住まい手双方の立場から研究する「住みごこち・住みごたえ・住みこなし推進研究会」の運営、シンポジウム・セミナーの開催や研究レポートなどを発信していく。
研究所長は同社初の女性執行役員・伊藤圭子氏。伊藤氏は、京都大学卒で、国交省、石川県土木部建築住宅課長、都市基盤整備公団(現都市再生機構)研究所室長、日本建築センター企画部長及び国際部長、千葉県印西市副市長などを歴任。研究所委員長は髙田光雄・京都大学大学院教授、研究委員は大久保恭子・風代表取締役、園田眞理子・明治大学教授、野間光輪子・日本ぐらし代表、檜谷美恵子・京都府立大学大学院教授。
◇ ◆ ◇
高田教授が「私以外は全て女性。こんな研究会はほかにないのでは」と驚いたそうだが、少なくとも住宅、不動産業界ではこのような企業内研究所はないはずだ。どのような研究、情報を発信していくのか楽しみだ。
その意図について宮沢俊哉社長は、「これからは女性の時代。当社もどんどん女性を登用していく」と話した。
ポラス 本社ビルにあるロダン「考える人」の側でタバコが吸える〝怪〟挙
ポラス本社ビルの敷地内にある高さ2mのロダン「考える人」
「社員・市民にやさしいビル100景」のひとつに推挙したい
ポラス本社ビルの裏手にある喫煙所にロダンの「考える人」が鎮座されているのを発見した。上野の国立西洋博物館に設置されているものと同じサイズの立派なブロンズ製だ。背後の高架道路を背にビルの壁面を見つめる格好で設置されていた。
さすがポラス。家庭でも外出先でも存在そのものが煙たがられる愛煙家にとっては肩身の狭い世の中になってきたのを慮った会社が、せめてこの場所では「思索」しながら心置きなく存分にタバコを吸えるようにした英断、快挙ではないかと考えたが、二束三文の張りぼてならともかくわざわざ喫煙者のために高価なブロンズ像を設置するわけがないと結論付けた。
そこで、周りにいた同社の社員や広報マンに聞いたら、意外な事実が判明した。やはり、同社の愛煙家のためではなかった。1997年10月、本社ビルが落成したのを記念して設置されたものだった。当時の社内報には同社グループ創業者で社長だった故・中内俊三氏が次のように語っている。
「ポラスビル落成にあたりポラス協力会の方々から何かお祝いをしたいというお話をいただき、『私も常日頃大変ご協力いただいておりますので結構です』とお断りしていたのですが、たってのこととおっしゃるのでお言葉に甘えました。
ポラスグループの社員は行動はすぐに起こすのですが、もう少し考慮も必要だと思っていたので、以前からロダンの『考える人』を社員教育用にと考えておりました。
設置場所もポラスビルの正面に置こうということで、これは自治会の方々とも話していました。しかし…お客様に『契約をちょっと考えさせてほしい』と言われても困るのでやめました」
つまり、「考える人」は、本社ビル建設に伴い同社の協力会社が寄贈したもので、最初は正面に設置することも検討されたが、「お客様に契約をためらわれても困る」ということからビルの裏側になったというわけだ。設置場所は一般市民にも開放されており、像の奥にある地域の自治会館へのアプローチにもなっている。
これらのことを考えると、行き場をなくした喫煙者に「それでもタバコを吸うか。よく考えろ」というロダンの警句にも見えてくる。しかし、記者は同社に取材に行ったら必ず利用しようと決めた。世界的にも少ないロダンの名作がただで拝め、その隣でタバコが吸えるなんてここ新越谷にしかないのではないか。「社員・市民にやさしいビル100景」のひとつに推挙したいぐらいだ。
手前が公道。「考える人」の奥に喫煙所があり、その奥の建物が自治会館。像の左が同社の本社ビル
「考える人」を寄贈した同社協力会社名が書かれた銘板もある
すぐ手前が喫煙所。なにやらこちらを見られているように感じると「思索」どころでなくなる
三井不動産 川崎市・東芝と連携して再生可能エネルギーの普及・啓発活動
「エコちゃんず」
川崎市・東芝・三井不動産の3者は7月1日、3者が連携して再生可能エネルギーの普及・啓発を推進する「グリーンパワーで描く川崎の未来プロジェクト」として商業施設での教育型イベントや川崎市内小学校で再生可能エネルギー学習教室などを行なっていくと発表した。
川崎市は”グリーンパワー(再生可能エネルギー)への取り組み”を発信、東芝は”次世代育成のプログラム”を提供、街づくりを推進する三井不動産グループは環境や社会貢献活動を知ってもらう“場ときっかけ”を提供する。
第1弾として9月7日(日)、「知ろう!グリーンパワー教室~グリーンパワーで描く川崎の未来プロジェクト~」を三井ショッピングパークラゾーナ川崎プラザで開催する。
ポラス 26年3月期決算 売上高は4期連続過去最高を更新
ポラスグループは6月30日、平成26年3月期の決算発表・説明会を行なった。連結決算は売上高1,734億円(前期比13.2%増)、営業利益110億円(同0.6%増)、経常利益114億円(同3.0%増)、当期純利益25億円(同2.0%減)となり、4期連続で売上高を更新、経常利益も4期連続して100億円を突破した。
セグメント別では、契約棟数は主力の分譲住宅が2,205棟(同4.5%増)、注文住宅が851棟(同8.1%増)と、トータルで3,056棟と初めて3,000棟を超えた。
プレカットも好調で、消費増税前の駆け込み需要に対応して外販受注、売上、加工棟数は全て過去最高を記録。4工場体制となり加工能力が拡大したことで、初めて構造材加工が年間100万坪を突破した。リフォームも83億円で前期比25.3%の増加。
連結会社26社全体の売上高は2,349億円(同12.8%増)。
平成27年3月期の連結業績予想は売上高1,850億円(同6.6%増)、経常利益は140億円(同22.7%増)。
ポラスグループ・中内晃次郎代表は、売上げを4期連続で更新したことについて、「消費増税の駆け込み需要もあったが、分譲住宅は街づくりやデザイン性が評価された。新規出店エリアも業績向上に寄与した。今季は消費増税の反動で4~6月は反響も契約もやや落ち込んでいるが、やがて回復するとみている。分譲は棟数にはそれほどこだわらない。いい商品を供給して結果が伴えばいい」と語った。
◇ ◆ ◇
記者の取材フィールドである分譲戸建てについて中央住宅社長・品川典久氏は「契約棟数も売り上げも過去最高となった。今期契約棟数は2,450棟を目指す」とし、新規出店した船橋・津田沼エリアでは前々期126棟から前期139棟となり、今期は4~6月ですでに50棟を契約、東武東上線・西武線エリアでは前々期13棟から前期28棟になり、4~6月で24棟を契約、今後100棟くらい供給すると話した。大宮を中心とする京浜東北線は前期607棟契約で、今期はすでに143棟を契、同社の地盤である東武スカイツリーラインと肩を並べるくらいに伸びているとした。
当欄でも紹介した「蔵のある街」は予定していたコーポラティブ方式は希望者が少なく、分譲戸建てとして供給することに変更したと話した。「蔵」を残したうえで、所有・権利関係をどうするかを決定して戸建てを分譲するという。
◇ ◆ ◇
同社の決算説明会で毎回思うことだが、同社が商圏とする埼玉県・千葉県・東京城東エリア36行政区の着工動向、人口動向、販売動向などをほぼ完璧に捕捉していることに驚かされる。
分譲戸建て市場については、民間の数社が調査しているが、大手が供給する物件が中心で全体市場に対する捕捉率は1~2割程度に過ぎない。いわゆるパワービルダーや地場業者の物件はほとんど調査対象外になっている。
これに対して、同社は商圏で着工された約2.2万戸(平成25年度)の分譲戸建ての動向を捕捉している。いくらで分譲開始され、いくらで契約されたのかも広告など様々な情報を集めチェックしているという。
こうした地道なリサーチが同社の分譲戸建ての用地取得や商品企画、値付けに役立っているのはいうまでもない。これほど詳細に調査しているデベロッパーはほとんどないはずだ。日々刻々と変化する市場動向を民間の調査会社任せでどうするといいたい。
RC造に匹敵する江戸の蔵残す ポラス「蔵のある街」プロジェクト(2014/3/15)