風呂好き68% なのに洗面・脱衣場は居心地のいい場所ではない 積水ハウスの調査結果
積水ハウス住生活研究所は1月25日、全国の20~60代の男女500人を対象にした「入浴に関する調査(2023)」をまとめ発表した。
調査の結果、冬に心身の不調を感じた人は「肌が乾燥する」44.5%、「身体が冷える」37.2%、「身体がだるい」33.2%、「眠気がとれない」31.0%、「下痢・便秘」31.0%などと続き、冬に心身の不調を感じる「冬バテ」という言葉を認知している人は23.4%しかいないことが分かった。
冬の体調管理で行っていることでは、「うがい・手洗いを徹底する」57.4%、、「マスクを着用する」51.6%などに続き、「入浴をする(湯船につかる)」が5位にランクされた。効果実感率は「入浴をする(湯船につかる)」が73.5%ともっとも高い結果になった。
季節を問わず風呂時間が好きな人は68.0%で、この層の人が毎回湯船に浸かる割合は冬場が49.2%、夏場が27.0%。
季節に関わらず風呂時間が「嫌い」の人は10.8%で、「どちらかというと嫌い」の人も含めたの理由は、「風呂に入るまでが面倒」「体や髪を洗うのが面倒」「風呂後のドライヤーが面倒」「浴室内が寒い」「脱衣場が寒い」など。
風呂時間を快適にするための工夫を男性は約5割、女性は約7割が行っていると回答。「入浴剤・バスボムを使う」49.8%、「好きなシャンプー・トリートメントなどをそろえておく」33.7%、「シャワーヘッドにこだわる」16.8%をはじめ、音楽や動画などの設備が目立った。
快適に過ごすために洗面室や脱衣所に工夫しているかの問いでは、半数以上が特に何もしていないと回答。工夫をしていることでもっとも多かったのは「こまめに掃除する」43.5%、「換気扇をつける」27.6%、「ものを減らす」27.2%、「収納を整理する」25.1%など。洗面室で4人家族のものを並べてみると約3畳分もあることが分かったと。
これらの結果から、同研究所は「調光・調色のできる照明を取り入れる」「バスルームに置ける観葉植物やバスライトを持ち込む」などの提案を行っており、同社フェローR&D本部・河﨑由美子氏は「私は、お湯にどっぷりと入浴すると疲れてしまうことが多く、冬でもシャワー派です。椅子に座って、少し熱めのお湯を2~3分ゆっくり浴びると、シャワーの音や刺激も心地良く、心身の疲れが解けていくのを感じます」とメッセージを寄せている。
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記者は、季節に関わらず風呂時間が「(大)嫌い」の10.8%に該当する一人だ。なぜ嫌いなのか。第一の理由は「重労働」だ。昔の民家はどこもトイレも浴室も別棟。毎日のように、井戸から10メートル近く離れた風呂場までバケツで水を運ばされた。五右衛門の浴槽を満たすのは相当の時間がかかった。風呂焚きもやらされた。薪炭の時代だ。火吹竹を吹くと煙が襲ってくる。むせ返り涙があふれる。家父長制は徹底されており、風呂に入る順番も決まっており、よく言えばルノワールの描く農婦、悪く言えば縄文の土偶のような母親と一緒に入ることはほとんどなかった。母親は風呂から上がってもタオルなどで身を隠すことなどしなかった。桃色に染まった全身から湯気が昇った。今でも忘れない。
結婚してからは、風呂場担当になったが、掃除が大変、いつも水浸しになった。いまのように自動ではなかったから水の量、温度に神経を使った。沸騰させたこともしばしばあった。
今も風呂嫌いは同じだ。かみさんに任せっぱなしなので掃除からは解放されたが、掃除の大変さが分かるから、寒くても「湯を張ってくれ」とはなかなか言えない。風呂好きな人は湯船に浸かり舟歌だか鼻歌を歌うのだろうが、記者は歌も大嫌いだし、たまに湯船に入ると寝込むのが常で〝死んじゃうわよ〟の罵声が飛んでくる。そのたびに、知人の子どもが湯船に転落して溺死した悲劇が思い出される。
なので、冬場でもシャワーで済ませる。浴室に入る前にシャワーを全開にし〝ぬるめの燗〟より高めの40度に設定するのだが、「糖尿の体に良くないわよ」と、またかみさんに怒られる。
時間も〝烏の行水〟だ。ほんの数分しか入らない。だから温まらない。出るとき、ドアを細目に開けて素早くバスタオルを取り込むのだが、洗面・脱衣場の寒気が一挙になだれ込む。あったまった分だけ寒くなる。
ここまで書けば小生がどうして風呂が嫌いか分かってもらえるはずだ。冬場でも飲むのはビールと焼酎。体は氷のように冷たくなるが、「肌が荒れる」症状は全くないのは幸いだ。
馬鹿馬鹿しいことを書いたが、同社に一つ提案だ。同社は戸建てもマンションもほとんどZEH仕様た。冬季でも洗面・脱衣場の温度は15~17度あるのではないか。アンケートはZEH仕様とそうでない住宅に分けて行ったら、ZEH住宅に住む人は冬季でも入浴が苦にならない人が絶対的多数を占めるのではないか。
洗面・脱衣室が必ずしも居心地のいい場所になっていないのは、供給サイドにも問題がある。注文住宅は分からないが、分譲住宅は総じて狭い。コストカットの対象にもなっている。タオルウォーマーを標準装備しろなどとは言わない。せめて浴室ドアにはタオル掛けを2つ付けてほしい。
どうなる今年の経済・景気、2024年問題、カーボンニュートラル ナイス講演会
ナイス「新春経済講演会」(グランドプリンスホテル新高輪で)
杉田氏
ナイスは1月17日、グランドプリンスホテル新高輪に約1,100人の聴衆を集め「新春経済講演会」を開催し、第三部では物流、弁護士、シンクタンク、木材、建設、住宅設備メーカーによるトークセッション「どうなる!?2024」を行った。
冒頭、コーディネーターを務めたナイス代表取締役社長・杉田理之氏は「昨今は不確実、不透明、非連続性の時代と言われ、見通しを立てるのが難しくなっている。そんな中で本日は3つのテーマで論議を進めていただきたい。一つ目(Ⅰ)は2024年の経済・景気の動向について、二つ目(Ⅱ)は法改正への対応とその課題について、三つ目(Ⅲ)はカーボンニュートラルの取り組みについてで、皆さんのご意見を伺いたい」と挨拶した。以下、社名・団体名五十音順に意見を紹介する。
ドル・円相場は130円 ゼロ金利政策は持続
シンクタンク 安藤範親近氏(農林中金総合研究所主任研究員)
安藤氏
Ⅰ 中国経済は不動産を中心に景気は減速する見込み。米国は労働市場とサプライの人不足、経済活動の正常化とインフレの鈍化が同時進行している。労働市場では直近の求人倍率が1.3倍になっており、景気は緩やかな回復傾向をたどるのではないか。欧州は景気減速が予想される。東南アジアは、中国や世界的な経済状況に左右されるが、2025年に向け緩やかに回復する。日本はコロナ後のサービス、インバウンド需要は一段落し、緩やかな成長率の中、為替は米国の利下げと日銀の利上げ要因からドル・円相場は円高に向かい130円くらいになると予測する。ゼロ金利政策は賃金・物価動向からして持続するのではないか。
Ⅲ 世界の景気変動、紛争、気候変動、環境規制などで需給がひっ迫し、ウッドショックはありうる。
悲観することない着工減 住宅の資産価値向上に取り組む
住宅設備メーカー 山田昌司氏(パナソニック ハウジングソリューションズ代表取締役 社長執行役員)
山田氏
Ⅰ 2023年の住宅着工は約83万戸で、前年比3.9%減。2024年もほぼ同じ水準ではないか。棟数は減少しているが、住宅投資額は17兆円レベルをキープしており、それほど悲観する必要はない。住宅の省エネ化、カーボンニュートラルへの取り組みなど住宅の資産の維持・向上への政策に向き合うことが必要。業界構造変化では、いわゆるパワービルダーへ需要がシフトし、地域の注文住宅を中心とするビルダーは苦しくなる。一方で、大手メーカーによる地域工務店への支援によって新しいビジネスモデルが生まれる。リフォーム、リニューアルは堅調に推移し、非住宅は改修期を迎えているものが多く、市場は拡大する。
Ⅱ 物流に関しては、必要な時に届けてもらえなくなってきている。運んでもらえないことも発生しており、深刻な問題。サプライチェーンはこれからの課題で、資材を運ぶことが住宅建設工程の計画の一部であるという考え方に転換しないと物流問題は解決しない。
Ⅲ パナソニックグループは2050年までに現在の世界のCO2総排出量の「約1%(3億トン)」の削減を目指しており、「Panasonic GREEN IMPACT」と称する3つ取り組みを行っている。一つは、自社工場など28の拠点でCO2排出量をゼロにする「OWN IMPACT」で、これはすでに達成済み。二つ目は、既存の水素、省エネ、再エネ技術、廃材利用などの「CONTRIBUTION IMPACT」、3つ目は新しい技術で進める「FUTURE IMPACT」。着実に進めていく。
2024年問題は織り込み済み 工期延長にはならない
建設 熊野聡氏(長谷工コーポレーション取締役専務執行役員)
熊野氏
Ⅰ 東京のマンション価格が1億円を突破したなどとショッキングな報道がなされたが、これは一部を切り取った情報。都心部で高級マンションが供給されたためで、23区の平均価格は8,424万円と前年比で30%上昇した。それ以外の平均は5,300万円で、そんなに大幅に上昇したという印象は持っていない。近畿圏の市場はほぼ横ばい。超高級マンションは経営者など富裕層、スタートアップなどの需要が旺盛で、実需も伴っておりバブルではない。今年は金利先高観による買い急ぎはあるかもしれないが、底堅い市場に支えられ、それほどぶれないと予想している。
Ⅱ 2024年問題は工期に大きな影響はない。ゼネコンでは4週8休は取り込み済み。運送コスト上昇による価格上昇への影響はある。現場技術者の残業を減らすDX、IT、職人の働きやすい環境をつくる、ロス少なくするなど生産性を高める取り組みを進めていく。
Ⅲ 当社も木造推進委員会を設けて研究している。すでに23件の共用部分の木質化を行っており、賃貸マンションの上層階の木造化も行っている。分譲でも生かせないか考えている。
残業規制は労働者の人権 脱法行為はありえない
法律 秋野卓生氏(弁護士 匠総合法律事務所 代表社員)
秋津氏
Ⅱ 最近は、人不足により残業時間制限720時間の上限を超えてしまうという相談が増えている。このような質問には、立法趣旨を説明する。月80時間以上残業すれば過労死する危険性があり、残業規制は労働者の人権を守ることで、法律を守らないということはありえないと。一方で、労基法は1日8時間、100%の力で働くことを経営者は労働者の要請していい法律。これを実践しているか、残業代が生活費の一部になっていないか、これをチェックする必要があると提案している。
Ⅱ DXで働き方改革が実現できるのであれば、建設業法、労働安全衛生法などの法律を改正すべき。デジタル臨調でもそのような論議がなされた。2027年度の全国展開を目指す国土交通省のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)確認申請にも注目している。現場三次元の取り組みも加速させる必要がある。
長距離輸送に理解を 再配達は有料に
物流 馬渡雅敏氏(全日本トラック協会副会長)
馬渡氏
Ⅱ 残業制限は建設業などは720時間となっているが、トラック業界は960時間。われわれの業界の長距離輸送は3~4割占める。法令を守れないから撤退する、あるいは長距離を受けないというところも出てきている。また、厚労省の法律も今年4月からより厳しくなる。住宅関連では、持ち帰り、転送などが多々ある。再配達でも1回分の配達料金しかいただけない。再配達は有料にするなど改善しないといけない。国土交通省の商習慣の見直しのガイドラインでもそのような方向性が示されるはずだ。
Ⅲ 国内のCO2排出量の2割が運輸部門。その中でわれわれのみどりナンバーの営業用はその2割、全体の4%がトラック業界。2030年までに2005年比で3割削減を目標に掲げているが、大型トラックはEVもハイブリッドもわが国では開発されていない。再配達とか物理的な無駄をなくしていくほかない。軽くて頑丈な国産材のパレットを開発していただきたい。プラパレばっかり。
用材自給率80%へ 熱を逃がす窓、ドアの木造化急げ
木材 鈴木信哉氏(ノースジャパン素材流通協同組合理事長)
鈴木氏
Ⅱ いま木材自給率は50%を超えつつある。今後は山の中から丸太をどのように下すのが最大のポイントとなるが、林道の整備が進んでいない。おろすまで3時間も4時間もかかる。林道整備とともに、中間ストックヤードを設けることも必要。納入するのに20台、30台も並ばなければならないようなことをなくさないと、残業時間を減らすことができない。受け入れ時間を長くし、かつての日本通運のような大型の事業体が出現することに期待したい。川下、川中、川上が連携して安定的な発注システムを構築しなければならない。
Ⅲ 10年後の用材自給率は80%まで伸びるのではないか。問題は梁桁。レッドウッド、ベイマツの集成材からどうやって奪い取るか。国産集成材に頑張ってもらう必要がある。木造のきれいな公共建築物を見ると、唯一木が見えないのがサッシとかドアの開口部。アルミと木材の熱伝導率は3600倍違う。寒いところで熱を逃すために造っているようなもの。これは10年間で木に変えないといけない。バス、トイレ、キッチンにどうやって木を使っていくか。クオーター契約の導入も必要。
「超競争時代 リーダーは人間らしくあれ」 元ソニー社長・平井一夫氏 ナイス講演会
平井氏(グランドプリンスホテル新高輪で)
1月17日に行われたナイス「新春経済講演会」で、元ソニー社長でソニーグループシニアアドバイザー、一般社団法人プロジェクト希望代表理事・平井一夫氏(63)が「変革のためのモチベーショナルリーダーシップ」と題する講演を質疑応答の30分間を含めて90分にわたって行った。
今更ソニーグループについて説明するまでもないが、売上高12兆4,000億円、営業利益1兆1,700億円、純利益8,800億円(2024年3月期決算予想)の、わが国上場企業売上高ランキング9位(日経新聞)のビッグカンパニーで、トヨタ、日産、パナソニックなどとともに世界に知られるグローバル企業だ。
記者は家電・電気機器業界のことはよく分からないのだが、上場企業は東証プライム市場だけで約130社にのぼる(Ullet)。業種別売上高ではトップの卸売業の約126.1兆円に次ぐ85.5兆円で、第3位の総合商社の66.2兆円を上回る。
主な企業は同社を筆頭にパナソニックホールディングス、日立製作所、リコー、東京エレクトン、三菱電機、キャノン、富士通、東芝、日本電気、シャープ、東京エレクトロン、リコー…わが国経済をけん引してきたメーカーが名を連ねる。
平井氏は講演会の冒頭、数分間費やしソニーの挑戦の歴史、変革の歴史について説明したが、平井氏より一世代上の記者は〝ガラパゴス〟そのもので、知っているのは「明るいナショナル ラジオ テレビ なんでもナショナル」であり「光る 光る 東芝」だ。ソニーといえば、カセットテープや商品名だけは知っている「ウォークマン」くらいだ。アップルのスマートフォンにソニーの技術が注がれているのも初めて聞いたし、ソニー・ホンダモビリティがどんなEV車を造ろうとしているのかも知らない。
事程左様に無知ではあるが、ソニーも総合商社などと同様、業績は2000年以降に落ち込み、最悪期の2012年には株価は801円(11月30日)の最安値を記録した。2000年3月1日に付けた上場来最高値33,900円から実に98%マイナスとなった。〝倒産危機〟までささやかれた。(現在の株価は14,800円=1月22日)
ところが、平井氏が社長に就任した2012年を底に業績はV字回復。競争が激しい家電事業からG&NS(ゲーム&ネットワークサービス)、音楽、映画のエンタテイメント3事業に事業をシフトしたのが奏功したといわれている。
平井氏が社長に就任して社内外にアピールしたのは「ソニーは感動を提供する会社」だった。ソニーグループは平井氏が会長を退任した2019年1月、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というパーパス(Purpose)を発表した。
平井氏は「感動を提供する」というパーパスがとても大事と強調したのち、本題である「モチベーショナルリーダーシップ」について、「現代は常に変革が求められる超競争時代であり、既存の相手と争うペースが上がっているだけでなく、予想もしなかった異業種、新規参入も相次いでおり、長い期間かけて築いたビジネスモデルは一昼夜で通用しなくなる」と語った。
そして、このような超競争時代に求められるリーダーは、社員のモチベーションを120%引き出せる資質の持ち主でなければならないと説いた。上場企業が130社に達し、日進月歩の技術革新が進む今日、「超競争時代」というのもなるほどと納得した。
その条件として「わたしのこれまでの経験からいって一丁目一番地」と語ったのは①正しい人間であることだ。しかし、平井氏は「正しい人間」とはどのような人間であるかについて一言も話さなかった。詭弁を弄する哲学者か金満宗教家のように、手あかまみれの陳腐な人生訓を垂れ、抹香臭い御託を並べていたら、聴衆はしらけ切ったはずだ。実学・実践に基づいた言葉だから心魂に徹する。
「正しい人」について具体的言及を避けたが、聴衆にとって耳が痛いこともストレートに語った。エン・ジャパンが行った社員が上司に期待するアンケート調査で、「自分の意見や考えに耳を傾けてくれる」「公平・公正な評価」「明確な判断」「具体的なアドバイス」「気分に浮き沈みがない」「いつでも相談に乗ってくれる」「的確なゴール設定をしてくける」-などの項目を上げ、この真逆のことを上司・経営者は行っていると指摘し、「このようなことをしていたら、社員のモチベーションを120%引き上げられるわけがない」と苦言を呈した。
②は高いEQ(Emotional Intelligence Quotient)、③はパーパス・ミッション・ビジョン・バリューのPMVV(Purpose・Mission・Value・Vision)、④は戦略立案、⑤は現場訪問だった。
②のEQが高い人の周りにはIQ(Intelligence quotient)の高い人が自然と集まるものであり、③のPMVVは年頭の社長の訓示や名刺の裏だけでなく、社員一人ひとりに至るまで毎日の行動に落とし込むことが重要で、「社員は上司の一挙手一投足を見ている。言行一致を貫かなければならない」と語った。④については、①~③の土台がしっかりしていて初めて可能になると、自らの体験を交えながら話した。
⑤では、ソニー社長時代の6年間に70回、月に1回のペースで世界を駆けまわりミーティングを行ったと話し、「大事なのはハート、人間と人間の対話にしないといけない。人事や広報が事前に用意した想定質問や模範解答の原稿を棒読みするようなことをやってはならない」と述べた。
30分間の質疑応答では「Q&Aのルールはないというのがわたしのルール。何を聞いていただいても結構」と約1,100人の聴衆に呼びかけ、一つひとつ丁寧に答えた。
最後に「実は、私は話すのが苦手。インタラクションついてはそれなりに勉強した」と明かし、「一番いけないのは知ったかぶり。分からないことは『教えて欲しい』と、間違ったら『間違った』という勇気、決めたことは自らが責任を取る自信が必要。改革にはマイナスもつきもの。人事面では社員が不利益を被らないようしっかり対応することも重要。これらを実践するとネガティブなことはアドバンテージになる」と締めくくった。
平井氏はこの種の講演会を月に多いときで7~8回、少ないときは4回くらいこなし、講演料は「あらゆる子どもに、きっかけになる、感動体験をつくる」をMISSIONに掲げる「プロジェクト希望」に寄付しているという。
ナイス 新春経済講演会(グランドプリンスホテル新高輪で)
ナイス 4年ぶりに「新春経済講演会」1,100人が参加(2024/1/19)
マンション管理適正評価の普及、DX対応などに全力 管理協・鉃谷副理事長 賀詞交歓会
鉃谷氏(第一ホテル東京で)
マンション管理業協会は1月16日、令和6年新年賀詞交換会を都内のホテルで開催した。冒頭、先の能登半島地震で亡くなられた方々へのご冥福を祈る黙とうを捧げたのち、新型コロナに感染したため欠席した同協会理事長・高松茂氏(三井不動産レジデンシャルサービス会長)に代わって同協会副理事長・鉃谷守男氏(近鉄住宅管理社長)が挨拶した。会は、開始前に理事の方が体調を崩し倒れたため、約10分間遅れて開催された。参加者は約330人。
鉃谷氏は、改めて能登半島地震で亡くなった方々へお悔やみと、被災者へのお見舞いの言葉を述べ、昨年1年間の国内外の動きなどについて語った後、「マンションを巡る状況を考えると、建物と人、いわゆる2つの高齢化は待ったなしの状況。築40年以上マンションストックは2022年末で126万戸、20年後には3.5倍の445万戸に急増すると推計されている。居住者の方々の高齢化も進んでおり、役員の担い手不足による組合運営の機能不全、必要な修繕積立金を確保できない建物の不具合の進行など課題は山積している。これらの課題に対して、マンション管理の現場に携わるものとして着実に対応するのが協会の使命であると考えている」と語った。
主な協会事業として①マンション管理適正評価事業②管理業務主任者試験及びその他の資格試験③管理業務主任者に関する講習等事業④マンション管理費等の保証事業⑤マンション管理に関する調査・研究・広報・苦情相談事業⑥各方面への政策提言-の6つを上げ、適正評価制度については、「マンション管理の状況を毎年評価するもので、いわばわれわれの健康診断と同じ。そして、適正評価をもとに計画的な修繕積立金の引き上げや適時適切な大規模修繕工事を行っていくことを通じ、マンションの長寿命化と居住価値の維持向上にも寄与する。協会は制度の社会的な定着に向け、令和6年度末に1万件の登録を目標として会委員各社が管理組合に働きかけを進めている。今日現在、2,752件の登録があり、評価結果について協会のホームページで公表している。また、不動産ポータルサイトや流通事業者の7つのサイトで連携、情報を公開しており、さらに、評価結果を登録したマンションに対する支援策として、昨年は地方銀行4行にてリフォームや購入時の住宅ローンの優遇金利サービスが開始されている。本年はこのような制度の周知活動、活用促進に向けた政策要望活動を推し進めていく」と述べた。
また、「学識経験者やシンクタンクとも連携し、良質なマンション管理と市場での高評価には正の相関関係があることを明らかにすることにより、適正評価によって管理の〝見える化〟がなされ、資産価値の維持向上につながっていくことを広く世に示していく」「関連税制としては、マンション長寿命化促進税制が昨年4月に施行された。長寿命化工事を実施した場合に、その翌年度の固定資産税が減額される制度協会がかねて要望してきた既存マンションに対する初めての税制特例措置で、大いに歓迎している。現在、同税制に関する事例調査を行っており、その実態を基に令和7年度の時限措置の延長、拡充に向けた活動を行っていく」と話した。
昨年のマンション標準管理委託契約書改訂については、「DX対応、カスタマーハラスメント対応、担い手確保、働き方改革、居住者の高齢化などマンション管理業の事業変化への対応の手当がなされた。その内容は、マンション管理業の成長発展と社会的評価の向上、DX推進を目指す協会の方向性と合致する。この趣旨にのっとった基本政策を進めていく」と話した。
国土交通省が設けている標準管理規約の見直しと外部専門家などのあり方に関するワーキンググループのとりまとめが3月末までに行われることに関しては、「協会としても管理現場の実態に即した意見具申、提案を行っていく」と語った。
まとめとして、「本年12月に当協会は45周年の節目を迎える。今後もマンション管理業界の発展のため全力を尽くしていく」と締めくくった。
来賓として登壇した国土交通省不動産・建設経済局長・塩見英之氏は、同協会のマンション管理適正評価制度などについて「力強くけん引している」と高く評価し、長寿命化促進税制や第三者管理者制度については「より使いやすいものにするなど着実に取り組んでいく」と挨拶した。
塩見氏
マンション管理業協会 令和6年新年賀詞交歓会(第一ホテル東京で)
神宮外苑再開発 全エリア全樹木データ 保存・移植・伐採と移植難易度の関係は不明
神宮外苑地区まちづくり計画の肝は、東京都の「公園まちづくり制度」だ。おおむね50年以上経過した「未供用区域」の面積が2.0ha以上存在することが適用要件となっており、神宮外苑の計画地約28.4haには秩父宮ラグビー場を中心とするエリア約4.7haが都市計画法の「未供用」となってきた。実態として「共用」であろうと「未供用」であろうと問われない。法律とはそのようなものだ。
この問題に関連するので、令和4年2月9日に開催された第236回東京都都市計画審議会(会長:原田保夫・東日本建設業保証社長)の神宮外苑地区地区計画(64.3ha)に関する議事録を紹介する。
青山佾委員(東京都農業会議会長)は次のように語っている。
「東京都の公園まちづくり制度という制度を今回活用して、特にラグビー場と野球場を入れ替えるという形で、特に観客の多い野球場を青山一丁目駅という地下鉄3線があるところに帰りやすいという形で変えたというような絶妙な配置計画だと、私はそう思います」「今はやはり東京都の公園まちづくり制度の趣旨にあるように、民間による都市開発の機会を捉えて公園を守っていく、あるいは充実していく、あるいは利活用できるようにしていくという考え方が私は大切なんだと思います」
これに対して、原田あきら委員(東京都議会議員)は次のように反論している。
「今、青山先生は、今は民間の力を使って公園を作る時代だとおっしゃいましたが、この計画は正に公園の環境を民間に切り売りするような、そういう計画になっているじゃないかと私は指摘をしたんです」「今回、公園まちづくり制度で。そこに公園の中から容積率が移転されて、公園を見下ろす超巨大ビルができると。悪魔の錬金術ですよ」
(この日の都計審には専門家として青山氏のほかに横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院教授・松行美帆子氏が出席し、千葉大学大学院園芸学研究院教授・秋田典子氏、日本女子大学家政学部住居学科教授・定行まり子氏、ビジネス・ブレークスルー大学副学長・経営学部長教授・宇田左近氏は欠席。発言したのは青山氏のみ。審議会委員の果たしている役割についてはいずれ記事にしたい)
最多はカイヅカイブキ外来種のヒマラヤシダー、フウなど目立つ神宮外苑の既存樹木(2024/1/9)
氷の微笑、根回し、考え方更新、都市公園とは…神宮外苑を考えるシンポ 千葉商大(2023/12/19)
秩父宮ラグビー場が「未供用」の謎 「広場」は都市公園ではない 神宮外苑再開発(2023/8/9)
秩父宮ラグビー場 保存12本 移植46本 伐採37本 合計95本
秩父宮ラグビー場に植わっている樹木は95本で、内訳は保存12本、移植46本、伐採37本。伐採される樹木の中で最多はカイヅカイブキの12本。樹高平均は保存が8.6m、移植が3.9m、伐採が7.1m。移植不可19本のうちヒマラヤシダー、サワラなど巨木が大半を占める。
現在の秩父宮ラグビー場は日本スポーツ振興センターが土地所有者で、現在、明治神宮が土地所有者の第二球場を中心とするエリア約4.3haに移転する。新ラグビー場は、鹿島建設を代表幹事とする三井不動産、東京建物、東京ドームの4社が建設することが昨年決まった。7階建て延床面積約7.0haとなる。最終完成予定は2034年5月末。
これに伴い、新しいラグビー場敷地は日本スポーツ振興センターが、現在の秩父宮ラグビー場敷地は明治神宮が所有(権利変換)することになる。
現在の秩父宮ラグビー場には新しいホテル併設の14階建て野球場が建設される。
4列のイチョウ並木 保存128本 移植0本 伐採18本 合計146本
神宮外苑のシンボルである4列のイチョウ並木は全木146本が保存されることが決まっている。しかし、日本イコモスはイチョウ並木西側の10本は衰退が著しい・衰退の兆候かみられるとし、ほとんどを健全木と判定した全木調査は「重大な『虚偽の報告』」とし、再審を要求している。
ラグビー場に通じる舗道に植わっているイチョウ18本については、移植が検討されているが、日本イコモスは「データシートにおける樹木医の診断の項は『移植不可』となっている」と指摘している。
興味深いのは樹高で、施設に近接する西側は平均22.3mなのに対し、東側は22.9mと高くなっている。これは、東側のイチョウ並木はさらにその東側に植林帯があるためと思われる。
イチヨウ並木の東側 保存289本 移植2本 伐採38本 合計329本
このエリアは保存される樹木が圧倒的に多い。ほとんど再開発の影響を受けないようだ。
テニスコート北側 保存6本 移植35本 伐採105本 合計146本
保存されるのは樹高20mのメタセコイア、15、10mのクロマツなど6本のみ。伐採される67本のカイヅカイブキをはじめ105本はほとんどか移植不可と判定されている。しかし、秩父宮ラグビー場のカイヅカイブキ20本は移植可能として移植され、移植が難しい10本は伐採されるように、その基準は不明。写真はカイヅカイブキ
テニスコート場内 保存12本 移植8本 伐採52本 合計72本
保存されるのは高木のイチョウ、マテバシイなど12本。伐採される52本のうち樹高15mのシイノキ3本を除いた樹木の樹高平均は3.8m。施設建設の支障木として伐採されるのもやむを得ないか。
野球場 保存134本 移植16本 伐採93本 合計247本
野球場一塁側と三塁側は、一塁側は176本のうち保存は99本、移植は14本、伐採は63本。三塁側は67本のうち保存は35本、移植は2本、伐採は30本。ここでもカイヅカイブキが17本保存される一方で、41本が伐採される。「移植不可」と判定された樹木も多く保存されることになっているなど保存・移植・伐採の基準はまったく分からない。
整備後は約1.5haの中央広場など新たな植林地となる。
第二球場 保存14本 移植46本 伐採60本 合計120本
整備後は新ラグビー場となる第二球場は、樹高が10m超のシイノキ8本など14本が保存されるほか、樹高16mのヒマラヤシダー5本、樹高10m以上のケヤキ12本など60本が伐採される。樹高が3mのモクセイは16本が移植され、移植が難しい5本は伐採される。写真は新ラグビー場完成予想図
建国記念文庫 保存58本 移植50本 伐採41本 合計149本
既存樹120本のうち保存は58本、移植は50本、伐採は41本。貴重樹とされるヒトツバダコ34本のうち5本は伐採される。このほかヤマザクラ12本全て、シイノキ21本のうち11本がそれぞれ伐採される。
軟式野球場 保存381本 移植81本 伐採260本 合計722本
過去35年間に年間6回、少なくとも200回はRBA野球大会の取材で訪れている〝軟式野球の聖地〟が芝生広場やテニスコート場、駐車場に変わるのは何とも残念だが、これも時代の流れか。伐採樹木は260本に上る。
伊藤忠通り 保存0本 移植0本 伐採149本 合計149本
伊藤忠商事ビルのエリアは、149本すべてが伐採される。この中にはほとんど樹高10m以上のクスノキ24本も含まれる。その他の樹木の樹高平均は6.5m。
ビルは地区計画変更により地区面積1.6ha、容積率1,150%、高さ190mのビルに建て替えられるが、都市計画公園外となる。
◇ ◆ ◇
事業者のPDFによる全木調査データをエクセルに変換し、ようやく記事にまとめることができた。通算すると約2週間、時間にして50時間以上かけた。正確を期すため何度も集計のやり直しを行ったが、間違いもまだかなりあるような気がする。樹木にも読者の皆さんにも謝るほかない。
樹木は生き物だし、向こう10年もかかるプロジェクトだ。全木調査はエクセルでも公表し、日本イコモスも要求しているように最新のデータを更新すべきだ。そうすれば素人でもいろいろな角度で分析することができる。
評価したいこともある。事業者は、昨年7月から昨年末までQ&Aの形で375件の質問を受け付け(意見は92件)、一つひとつ答えてきた。月を経るごとに質問、意見は減少している。全て出尽くした感を受ける。
そこで事業者に提案だ。記者は基本的には再開発に賛成だ。日本イコモスなどが「虚偽の報告」と批判している部分すべてに同意しているわけではない。みどり率を25%から30%へ、オープンスペースは21%から44%へ、樹木は既存の1904本から1998本に増加することを評価したい。
事業者が公表している伐採予定の556本(全木調査には反映されていない)のうち、伊藤忠の149本、新しい球場やラグビー場建設のために〝支障木〟として伐採せざるを得ない樹木、さらにはみどり環境にそれほど影響を及ぼさない低中木を除けば、樹齢100年超の巨木は200本くらいではないか。
その大半は軟式野球場に存在する。外周部の巨木はそのまま残し、駐車場とテニスコートを地下にしてはどうか。そうすれば雨が降ろうが雪が降ろうがヤリが降ろうが全天候型だ。グラウンド部分を芝生張りの広場にするのも結構だが、お金持ちが楽しそうにテニスをしているのを横目に眺めるしかない庶民の感情を考えて頂きたい。広いだけの広場は誰も利用しないという調査報告書を読んだことがある。
施設の地下化の好例もある。三井不動産レジデンシャルの「パークシティ浜田山」も「HARUMI FLAG」も駐車場を地下化した。地上は緑で溢れている。「浜田山」や「HARUMI FLAG」のようになることを〝見える化〟〝見せる化〟の取り組みが必要だ。やろうと思えば容易なはずだ。
絵画館のヒマラヤシダー
三井不「MAG!C」発〝孤育て〟支援 ママ・パパ休憩室付き一時預かり保育施設開設
「YASMO武蔵小杉」のFureaoスペース(約40㎡)
三井不動産は1月12日、都市部での孤独な子育て(孤育て)を支援する、民間初のママ・パパ用休憩室を併設した一時預かり保育施設の第一号「YASMO武蔵小杉」を1月15日(月)にオープンすると発表した。同社グループの事業提案制度「MAG!C」に採択されたもので、子育てしやすい街づくりを通じてわが国の少子化対策やD&Iの推進に寄与するのが目的。同日、施設のメディア向け内覧会を行った。
保育対象は、生後3か月から未就学児で、製作遊びやこだわりの遊具を通じて楽しい時間を提供するとともに、ママ・パパ用休憩室は「Nemuro(ねむろ)」「Komoro(こもろ)」「Hoguso(ほぐそ)」の3種類を用意。部屋数は12部屋。3年間で10店舗の開設が目標という。
同社グループの事業提案制度「MAG!C」に採択されたもので、提案者は大阪出身の同社ビジネスイノベーション推進部事業グループ・吉田裕太氏(28)と、鹿児島出身の同社ビジネスイノベーション推進部事業グループ・増井友加里氏(38)の二人。
吉田氏は施設のポイントについて、「都市部では核家族化の進行により、実家の支援を受けられない子育て世帯が増えており、『孤独な子育て(孤育て)』が日本の深刻化する少子化の課題の一つになっている。一方で、乳児を預けることや子供と離れることに抵抗を感じ、一時預かり保育を利用しない人も多い」ことに着目し、「一時預かり保育サービスと休息するための個室を同一店舗内で提供し、子どものすぐそばで安心して自分時間を過ごせること。私自身も子どもが二人おり、コロナの真っ最中には体調を崩したことがある」と語った。
また、増井氏は「わたしも3人の子どもがおり、同じマンションに住む人たちも子育てと仕事の両立を希望する人が多いのが、事業提案するきっかけとなった」と話した。
取材に訪れていた女性記者は「わたしも3人子どもを育てた。このようなサービスは理解できる。ありがたい施設」と納得していた。
施設は、JR・東急線武蔵小杉駅から徒歩1分、川崎市中原区小杉町一丁目に位置。面積は約118㎡。営業時間は9時~17時(不定休)。料金は1,650円/30分。最短30分から最長4時間の利用が可能。公式LINEで予約を受け付け、空きがあれば予約なしでも利用可能。最多で18人の受け入れが可能。2021年に設立された同社が主要株主であるShareTomorrowとともに運営する。
「MAG!C」は2018年に設けられた制度で、毎年50件くらいの応募があり、吉田氏と増井氏の共同提案は2023年に採択された4件のうちの1件。
左から「Nemuro(ねむろ)」「Komoro(こもろ)」「Hoguso(ほぐそ)」
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記者も二人の子どもがいて、共働きだったので保育園に預けた経験がある。また、女房を若いときに亡くしたので約10年間〝主夫〟をやった。食事は和食も中華もイタリアンもマスターしたが、子育ては失敗した。ハグすることができなかったのがその理由だと気がついたときは遅かった。
施設を見学して驚いたのは利用料金だった。30分で1,650円、1時間だと3,300円。酒もたばこも不可という。この種のサービスの相場は1時間2,000~3,000円だそうだが、厚労省の最低賃金(東京都)の約3倍だし、蔦屋のシェアラウンジや、最近覚えた〝せんべろ〟の2倍だ。
記者も自らの家事労働・育児時間を賃金に換算したら月額30万円とはじいたことがある。住宅価格の高騰はさておき、人の命を預かるのだから分からないわけではないが、もっと安価で利用できるよう自治体がサポートし、社会全体で子どもを育てる環境を整備することが必要だ。「孤育て」なる言葉を初めて聞いた。
もう一つ気になったのは、この施設は「認可保育施設」ではなく、「認可外保育施設」であることだ。全国で約20万人が利用しているという。
「認可(認定)」があるのだから「認可外」(無認可)もあるのは当然かもしれないが、「有料老人ホーム」「特別養護老人ホーム」「後期高齢者」(記者は自ら〝光輝〟高齢者と呼ぶことにした)と同じだ。どうして法律用語は貧困なのか。無認可保育園よりはましかもしれないが、もっと気の利いた言葉はないのか。
ともあれ、吉田氏と増井氏には無理しないで頑張っていただきたい。多様な保育ニーズに応えられるようにしないといけないことを学んだ。
「MAG!C」も応援したい。同社の植田俊社長のモットーである「産業デベロッパー目指し、日々妄想」はとてつもないことをしでかすかもしれない。
休憩室スペース
休憩室
いまどきの30代夫 完璧に家事こなすのは3割 旭化成ホームズが調査(2014/7/12)
時代の要請の変化にスピード感を持って対応 プレ協・堀内容介会長 新年賀詞交歓会
堀内氏(アルカディア市ヶ谷で)
プレハブ建築協会は1月12日、新年賀詞交換会を行い、冒頭、参加者全員が先の能登半島地震で亡くなられた方々にご冥福を祈る黙とうをささげたのち、同協会会長・堀内容介氏(積水ハウス副会長)が次のように挨拶した。賀詞交歓会には400人超が参加した。
初めに、元日の能登半島地震でお亡くなりになられました皆様、並びに翌2日航空機事故で亡くなられた海上保安庁職員の皆様へ心よりご冥福をお祈り申し上げます。そして、被災されました全ての皆様には、心よりお見舞いを申し上げます。
当協会は1月2日、応急仮設住宅建設本部を設置して、被災県担当者とコンタクトをとり、甚大な被害を受けられた石川県には4 日より担当者を派遣しました。
そして、自治体からの応急仮設住宅への要望に対して、速やかに対応できるように、災害対策本部並びに現地建設本部を立ち上げました。
本日12日に輪島市と珠洲市において計55戸分の建設工事を開始し、今後、建設箇所を拡げ、1 日でも早く多くの被災者の方々に入居していただき、安心・安全な生活ができますように迅速に進めてまいります。
さて、皆様、新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。日頃よりお世話になっています行政・友好団体・研究機関、及び会員会社の皆様に多数ご出席をいただき、誠に有難うございます。厚く御礼を申し上げます。
昨年11月には「デフレ完全脱却のための総合経済対策」が打ち出され、その裏付けとなる補正予算には、①「こどもエコすまい支援事業」の後継事業として、「子育てエコホーム支援事業」の創設と大幅な予算額増の計上、(令和6年度当初予算と併せて2,500億円)②断熱窓への改修促進、高効率給湯器導入促進のための「住宅の省エネリフォームへの支援」の強化などが盛り込まれました。
また、昨年末の税制改正大綱では、住宅ローン減税制度において、子育て・若年夫婦世帯が、高い環境性能を有する住宅を購入する場合には、借入限度額の上限が1 年間延長して、維持されることとなりました。
これらの施策の実現にご尽力と、切れ目が実質的に生じないよう特段のご配慮を賜りました関係者の皆さまに、心より感謝申し上げます。
コロナ禍の3年間を乗り越え、わが国の経済は改善しつつありますが、住宅市場の足元の環境は、資材の高騰や地価の上昇に伴い、新設住宅着工動向を始め、大変厳しい状況が続いております。
また、住宅ストックにおきましては、十分な耐震性能や省エネ性能を満たさない住宅が数多くあり、課題は山積しております。
本協会といたしましては、関係の皆様との連携を強化しつつ、新たに措置された施策を有効に活用し、将来世代に継承できる、良質な住宅ストックの形成と円滑な流通に全力で取り組んで、市場の回復に繋げていきたいと考えております。
特に、今回の国の施策におきまして、一層鮮明化されましたZEH等の低炭素住宅や、長期優良住宅の普及の加速化、既存住宅の省エネリフォーム促進等の政策テーマについて、当協会としては、積極的に先導役を担ってきたところであり、辰年の今年は、戸建住宅はもちろんのこと、低層集合住宅においても目標値を掲げて、弾みをつけて大きく発展させていきたいと考えております。
近年、豪雨・台風災害は激甚化、頻発化しており、石川県能登地方で大きな地震が昨年に続き発生する中で、首都直下地震や南海トラフ地震も想定されています。
本協会の大きな使命として、自然災害発生時における、応急仮設住宅の供給や災害公営住宅の建設で役割を果たしていかなければなりません。
引き続き、平常時からの地方公共団体との連携の一層の強化、デジタル・トランスフォーメーションなど新たな技術の導入を図りながら、災害発生時に迅速に対応できるよう体制を充実してまいります。
本協会は、昨年1月に創立60周年の節目を迎え、これから先、カーボンニュートラルの実現や豊かで暮らしやすい持続可能な社会を創っていくためにも、住宅業界が果たすべき役割は、以前にも増して大きくなっていると考えております。
今年も時代の要請の変化に、スピード感をもって対応し、活発な協会活動を展開していく所存です。
引き続きご支援・ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
結びになりますが、被災地の復旧・復興、そして本日ご参加の皆様のご健勝を心より祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせて頂きます。ありがとうございました。
環境・都市・住宅政策の取り組み強化 不動産協会・吉田理事長 新年賀詞交歓会
吉田氏(オークラ東京で)
不動産協会と不動産流通経営協会は1月10日、新年合同賀詞交歓会を都内のホテルで開催した。会の冒頭、参加者全員が能登半島地震で亡くなられた方々のご冥福を祈る黙とうをささげたのち、不動産協会理事長・吉田淳一氏が以下の通り挨拶した。参加者は1,050人。
皆様、それぞれお健やかに新しい年をお迎えのことと存じます。不動産協会理事長の吉田でございます。
本日は不動産協会、不動産流通経営協会合同の新年賀詞交換会に、堂故(どうこ)国土交通副大臣をはじめ、日頃よりご指導いただいております国会議員の先生方、関係諸官庁・友好団体や報道関係の皆様など、多数ご出席いただき、まことにありがとうございます。主催者を代表いたしまして、ひとこと年頭のご挨拶を申し上げます。
まずは、今般の能登半島地震で亡くなられた方へご冥福をお祈りするとともに、被災された方々へ心よりお見舞いを申し上げます。被災地の一刻も早い復旧・復興を心から願っております。
さて、今年の新年賀詞交換会は人数制限なく通常にお食事を提供して開催しております。活気ある会にしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
昨年を振り返ってみますと、コロナの5類移行により完全にコロナ禍からの脱却が図られ、社会経済活動の正常化が進められてきました。インバウンド観光客もコロナ前を上回る勢いで増加しており、経済の活性化に貢献しています。
スポーツにおける明るい話題もありました。WBCでの侍ジャパンの優勝をはじめ、バスケットボールやラグビーのワールドカップでの日本チームの健闘には、大きな感動を覚えました。スポーツの力の大きさを改めて実感した次第です。スポーツやエンターテイメントへの取り組みを魅力的なまちづくりにも活かしていきたいと考えています。
一方、ロシアによるウクライナ侵攻は、いまだ終結の兆しがなく長期化しており、さらにはパレスチナでの紛争が勃発し、こちらも停戦の兆しが見えません。国際秩序の維持に向けて、各国が連携を深めていくことが期待されます。
そうした中で、我が国の経済は緩やかな回復基調にありますが、物価上昇や世界経済の下振れリスク等の不透明な状況により、先行きについては予断を許しません。また、少子化・人口減少をはじめとした構造的な課題にも直面しています。
こうした中、GXやDXを加速させ、経済社会の変革を進め、持続的な成長を実現するためには、様々な社会課題の解決を経済成長のエンジンに変え、民間投資を拡大、我が国の競争力を一層強化するとともに、分厚い中間層を形成していくことが不可欠です。
当協会では、そうした観点から、税制について、要望活動を積極的に進めてきました。先日決定された令和6年度与党税制改正大綱では、最重点要望であった住宅ローン減税の借入限度額の維持について、1年間、子育て世代に対して認められたのをはじめ、土地固定資産税の負担調整措置や国家戦略特区の特例の延長など、当協会の主要な要望は概ね認めていただいています。経済の力強い成長に寄与する措置として大いに歓迎したいと思います。ご尽力いただいた先生方、関係の皆様方に、厚く御礼申し上げます。
さて、今後の協会の活動について簡潔にお話しいたします。
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、官民連携してGXを促進する取り組みが進んでおります。環境政策につきましては、持続的成長と経済合理性、社会課題解決、顧客共感という三要素の共通理解・同時実現が不可欠です。当協会としても不動産業界におけるGXを加速させるための環境整備に引き続き取り組んでいきます。
そうした中で、普及促進の途上にあるZEH、ZEB水準への取り組み加速や、中高層建築物の木造化促進、SCOPE(スコープ)3への取り組みについてもしっかりと行っていくことが重要です。
都市政策につきましては、都市の国際競争力の強化が引き続き重要です。世界中から多様な人を呼び込むビジネス・生活環境の整備として、都市の魅力を高める機能集積を図り、質の高い賑わい空間を創出すべく、まちづくりGXの推進、ウォーカブルな空間形成、エリアマネジメントの着実な進展に取り組みます。
住宅政策につきましては、豊かな住生活の基盤となる安心・安全で良質な住宅ストックの形成・循環に向け、質の高い住宅の供給、こども・子育て世代等、多様なニーズへの対応を進めてまいります。
とりわけ、マンションにおいては建物と居住者の両方における高齢化の「2つの老い」が進行し、課題となっています。今後、高経年マンションストックの急増が見込まれる中、区分所有法の改正が議論されており、マンション建替え決議の多数決要件引下げなど合意形成の円滑化、適正な管理の推進に向けて取り組んでいきます。また、子育て世帯等を支える住まいと環境づくりについては、今般、政策支援をいただいておりますが、継続・充実化に努めてまいります。
その他、国際化への対応を進めるほか、事業環境の整備について、2024年問題への対応も踏まえ ますます重要性を増す物流不動産、インバウンドの回復により事業機会が拡がるリゾートの開発なども対象として、幅広く取り組んでまいります。
当協会としては、国民の暮らしを豊かにするまちづくりや住環境の整備を通じ、我が国の経済・社会の発展に向けて、貢献していきたいと考えておりますので、引き続きご理解、ご支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
結びにあたりまして、皆様の一層のご活躍とご健勝をお祈りし、また今年一年が皆様や国民にとって明るく良い年となることを祈念申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。
ありがとうございました。
左から三菱地所元社長・杉山博孝氏、三井不動産会長・菰田正信氏、吉田氏
吉田氏(左)と鹿島建設・押味会長
最多はカイヅカイブキ 外来種のヒマラヤシダー、フウなど目立つ 神宮外苑の既存樹木
神宮外苑イチョウ並木(青山通りから写す)
全樹木の樹種分布
年末年始は神宮外苑再開発の既存樹調査に没頭した。昨年末に行われた千葉商大主催のシンポジウム「神宮外苑の歴史的文化的資産の価値を守る-イチョウ並木と100年の森-」で、基調講演を行った中央大学研究開発機構教授・石川幹子氏(イコモス日本国内委員会理事/東京大学名誉教授)が「なぜマスコミは事実を報道しないのか」の一語に触発されたからだ。
小生もメディアの端くれだ。「事実」とは何かという問題はあるが、どのような樹木がどこにどれだけ植えられているかを伝えるべきと判断して調べることにした。誤解を招かないように改めて旗幟を鮮明にする。記者は再開発に反対ではない。秩父宮ラグビー場には一度も行ったことがないが、神宮球場は老朽化か進んでいる。西武球場や東京ドームもいいが、エスコンフィールドのようないい環境でヤクルト(対戦相手も同様)、六大学、東都大学の野球選手が活躍できるようにしてほしい。
問題なのは、再開発の根拠になっている東京都の公園街づくり制度であり、神宮外苑を都市公園と考えている人たちへの説明が不足しており、歴史的、文化的に貴重な巨木を大量に伐採する計画であることだ。これらについては何回も記事にしてきた。再開発を主導している三井不動産は「parkシティ浜田山」や「HARUMI FLAG」などで素晴らしい街づくりを行っている。どうして今回は分かりやすい説明をしないのか、不思議でならない。
まあ、こんな繰り言はともかく、既存樹木のデータは揃っている。事業者は2022年8月、ホームページに85ページにわたる膨大な「既存樹木調査データ」(PDF)を公表した。3m以上の樹木が対象で、本数は2,470本。秩父宮ラグビー場、イチヨウ並木、野球場、建国記念文庫、軟式野球場などエリア別に樹種名、樹高、幹周りなどの規格、活力度評価、保存の必要性、移植の難易度、現況などの関連事項、保存・移植・伐採などについて1樹木につき43列の詳細な調査結果がまとめられている。
しかし、データはPDFであるため1本1本の樹木の現況は把握できるが、全体として神宮外苑の森がどうなっているのかを把握するのは難しい。
そこで、弊社のスタッフに全データをエクセルに変換してもらい集計した。別表がそれだ。確認できたのは1,931本。内訳は保存が901本、移植が253本、伐採が777本(うち秩父宮ラグビー場のイチョウ18本は移植検討)となった。公表データより539本少ない。(事業者は「既存樹木については、一本一本を大切に扱い、様々な工夫により、極力、保存又は移植し、四列のいちょう並木は保存するとともに、新たなみどりも創出することとして、みどりの割合は約25%から約30%に、樹木の本数は1,904本から1,998本に増加させる」「3m以上の樹木の伐採本数は743本」としている)
集計ミスだろうと何度もやり直した。結果は変わらなかった。理由は分かった。PDFデータには連番が付されているが、ほとんどのエリアで番号が飛んでいる。例えば軟式野球場西側は445本のはずが330本しか表示されない。軟式野球場東側も277本のうち207本しかない。
なぜか。考えられるのは、調査を行ったのは2018年12月25日~2019年1月28日で、2022年5月12日に436本を対象に追加調査した結果をデータとして公表しているので、この間に枯損木として処分された樹木に敬意を払い、永久欠番にしたではないかということだ。
それにしても539本の差は大きい。消えた樹木はどうなったのか、3m未満なので切り捨てたのか、通し番号通りになっていない理由を聞きたいものだ。(小生の集計ミスか)
しかし、そんなことを考えていてもらちが明かないので全樹木のリストを紹介した。一般的な寺社仏閣とは全然異なることが分かる。わが故郷・伊勢神宮の象徴であるスギ(学名:Cryptomeria japonica=日本の隠れた財産)(は2本のみで、〝松竹梅〟のうち松はクロマツとアカマツ合わせて33本、梅は2本、竹は1本もない。その逆に、樹高が20mを超えるヒマラヤシダー73本、フウ18本、ユリノキ9本、プラタナス9本、メタセコイア7本、タイサンボク5本など明治時代以降に輸入された外来種が存在感を示していることが分かる。
伐採樹木でもっとも多い204本のカイヅカイブキも同じだ。コニファーに似ていることから昭和の時代に洋風生垣として多用されたようだが、小生の田舎で生垣といばマキノキが主流だった。創建の目的が明治天皇を奉ることであり、デザインもそうだが欧米の文化を積極的に取り込んでいた当時の社会状況を反映しているのは明らかだ。
カイヅカイブキはこのうち164本が伐採されることになっており、全伐採樹木777本の21%を占める。樹高はほとんど5m以下なので代替えもきく。みどり環境に及ぼす影響は少ないのではないか。同様に樹高が5m以下の樹木は49本のサンゴジュ、25本のモクセイ、13本のツバキ、9本のサザンカなどもそうだ。
これらのことを考慮すると、事業者が現在のみどり率25%を30%に引き上げる計画としているのはそれなりに説得力がある。再開発に反対する人たちは屋上緑化も「みどり」に含めると批判しているが、足元のみどりを増やすことは可能だと思う。
2番目に多い166本のマテバシイはどこにでもよくある常緑広葉樹で、3番目の158本のイチョウはほとんど樹高が20mを超えている神宮外苑のシンボルだ。
鈴木敏・澤田晴智郎氏著「公園の話」(技報堂出版)によると、このイチョウ並木は「1923年(大正12年)から4年がかりで、新宿御苑の一本のイチョウから取れた実を育て、その苗を植えたものだそうです」とあるから凄いではないか。みんな兄弟姉妹だ。地下では根を絡ませて仲良くしているのか、分捕合戦を演じているのか。「母」の枕詞として知られる垂乳根は雄株にも生えるというのも面白い。施設に近接している西側より東側のイチョウのほうが樹高が2mくらい高いのは、その東側に植樹帯があるためだ。
このほか、総じて常緑樹が多いのも特徴で、〝なんじゃもんじゃ〟の愛称で知られるヒトツバダコは59本。
細かいことだが、気になった樹種名もある。シダレザク48本、ヤエザクラ33本、ヤマザクラ18本、ソメイヨシノ29本、カンヒザクラ」4本、カワヅザクラ1本と品種で表示されているのに、「サクラ」も39本ある。このほか、43本のモクセイと9本のキンモクセイは異なるのか、24本のイロハモミジと6本のノムラモミジ、7本のモミジはどうなっているのか。
以下は小生にもなじみが深い樹木について。カキやビワ、イチョウ(銀杏)はもちろんだが、ヤマモモが最高に美味しかった。裏山の至るところに自生しており、初夏のころになると、父親と木に登ってかごいっぱいに収穫し、砂糖をふりかけて食べた。クワの実もなかなか美味しい。カヤノキの実は、形はアーモンドに似ており、拾っては家に持って帰り、炒ってもらってよく食べた。それほど美味しいものではない。シイノキの実も美味しくはないが、よく食べた。モチノキは、実を擦ってメジロ獲りに使った。これも美味しくはない。カクスノキはもっとも好きな木の一つで、いつも葉っぱをちぎっては匂いをかぐことにしている。ドクダミの葉っぱと同じで、記者にとって鎮静剤だ。
各エリアの樹木については稿を改めて紹介する。活力度と保存・移植・伐採の関連性も探ってみたい。
カイヅカイブキ
日本イコモスなどは左側の「ロイヤルガーデン カフェ青山」に面するイチョウが弱っていると警告している
秩父宮ラグビー場のイチョウ(立派な垂乳根もある。雄株か雌株か)
,メタセコイアの葉っぱ
ヒトツバダコ(絵画館前広場)
倒壊した5階建て(7階建てか)ビル含む約3割の建築物が旧耐震 石川県
北國新聞は1月1日20時30分、令和6年1月1日16時10分に発生した最大震度7の令和6年能登半島地震によって「輪島市内で大規模な火災が発生し、中心部の河井町では輪島塗の五島屋のビルが横倒しとなった。中に人が取り残されているとの情報がある」と報じた。
五島屋のホームページによると、創業は大正13年(1924年)で、「昭和47年(1972年)地上7階地下1階(現在地下は埋設)工場兼店舗の社屋建設」とある。
昭和56年(1981年)6月1日施行の新耐震基準以前なので、いわゆる旧耐震基準によって建設されたものと推測される。(耐震補強が行われているかどうかは不明)。
石川県県ホームページには、平成25年(2013年)現在、県内の住宅戸数439,900戸の約32%(139,000 戸)、多数の者が利用する建築物では、総数約5,500棟の約36%(1,959 棟)が旧耐震(昭和56年以前)の建築物で、同県では平成37年度(2025年度)までに住宅は95%、多数の者が利用する建築物は95%の耐震化を目標としている。
また、「平成19年3月25日午前9時41分、最大震度6強の能登半島地震が発生し、約700棟の住宅が全壊し、2,600人を超える人が避難所生活を余儀なくされました」とあるが、今回の地震は最大震度7なので、被害の拡大が心配される。