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「MEGURO MARC(目黒マーク)」

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 JR東日本ビルディング、ジェイアール東日本都市開発、野村不動産は12月8・9日、品川区西五反田で開発を進めてきた複合開発「MEGURO MARC(目黒マーク)」が2023年10月16日に全棟完成したのに伴う〝まちびらき〟を開催した。今後は一般社団法人MEGUROMARCが街区と周辺エリアのエリアマネジメント活動に取り組んでいく。

 「MEGURO MARC」は目黒駅から徒歩9分、品川区西五反田3丁目に位置する敷地面積約2.2haのJR東日本グループ社宅跡地に完成した、オフィス・商業棟、賃貸住宅・保育所棟、分譲マンション棟の3棟からなる複合開発。3棟のほぼ中心部に1000㎡超の「GARDEN」を設置し、多摩産材ヒノキによる直径2.3m超のツリーサークルを備えた28本のカツラを植樹しているほか、3敷地一体で緑豊かな環境を整備した。生物多様性に配慮した「ABINC(一般社団法人いきもの共生事業推進協議会)」の認証を取得している。

 8日行われたまちびらきセレモニーでは、事業者を代表して東日本旅客鉄道マーケティング本部 まちづくり部門長・髙木浩一氏が「1996年の地区計画策定から27年が経過する。コンセプトは、樹木々に囲まれた広場を中心に、世代を超えた人々が集うつながりの街をつくること。『目黒MARC』の〝MARC〟には回って繋がるという想いを込めた。作って終わりというのではなくて、時代の変化、環境の変化に寄り添いながらエリアマネジメントによって居心地のよい日常とワクワクする非日常を演出し、安心で魅力ある街づくりを進めていく」と挨拶した。

 また、野村不動産事業創発本部長常務執行役員でもある梶貴之氏は一般社団法人代表として「3棟の基点としてこのような中庭・広場GARDENを整備したことを誇りに思う。『MEGURO MARC』は働く方々、住まう方々がこの中庭によって出会いが生まれ、接点が生まれ、温かい輪ができることを期待している。本日はわれわれが大切にしている風景、育んでいきたい雰囲気、風土を味わっていただきたい。今後、われわれも大きな責務を果たしていく」と語った。

 セレモニーでは、賃貸住宅棟に併設されたポピンズナーサリースクール目黒・上大崎によるポピンズキッズコンサートも行われ、2~5歳児の園児25人は「きらきらぼし」と「小さな世界」を披露した。

 「JR目黒MARCビル」は13階建て延床面積約約38,710㎡、事業主はJR東日本ビルディング、設計は日建設計、施工は竹中工務店、鉄建建設。JR東日本などが入居する。

 「目黒MARCレジデンスタワー」は、24階建て延床面積約18,560㎡の194戸の賃貸住宅棟(保育所併設)。事業主はジェイアール東日本都市開発、設計・施工は竹中工務店。

 「プラウドタワー目黒MARC」は、32階建て延床面積約36,630㎡の分譲マンション棟で全301戸。事業主は野村不動産・ジェイアール東日本都市開発、設計・施工は竹中工務店。全戸完売済み。

 一般社団・MEGURO MARCは、街区の敷地管理者のJR東日本ビルディング、ジェイアール東日本都市開発、プラウドタワー目黒MARK管理組合、エリアマネジメント活動の拠点となる施設を保有する野村不動産(ジェイアール東日本都市開発との共同所有)を正会員とし、街区居住者、ワーカー、活動に賛同する人も無料でメンバー登録でき、シェアスペースの利用(有料)も可能。

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髙木氏(左)と梶氏(背後はカツラ)

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GARDEN

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◇        ◆     ◇

 ランドスケープデザインが素晴らしい。どの位置からでも豊かな緑が途絶えることはない。分譲マンション棟だけの緑被率は43.4%に達している(全体では37%)。全ての樹木には名札も付いている。

 カツラの樹木は現在、樹高5~6mだが、20mくらいに育つはずで、ハート形のかわいい葉っぱをたくさんつけ、秋は紅葉する。ツリーサークルの高さも、園庭になる提供公園側は園児座れるよう低くし、だんだん高くする配慮もなされている。

 分譲マンション棟のフォルムも美しい。360度のラウンドバルコニーの施工には竹中工務店の技術が注ぎ込まれているとも聞いた。坪単価650万円超は高いと思ったが(今となっては安いか)、基本性能・設備仕様レベルが評価されたのだろう。

 エリアマネジメントの取り組みについて。同社がエリアマネジメント部を創設したのは2020年ということだが、それ以前の2014年の「ふなばし森のシティ」が端緒で、2018年の「Be ACTO」、2020年の「ACTO日吉」、2021年の「南山BASE」、2022年の「ACTO亀戸」が誕生した。

 「Be ACTO」に関連する同社と埼玉大学の共同プログラム「推しの木図鑑」も最高に素晴らしいと思っているのだが、記事は期待したほど読まれていない。なぜだ。

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「プラウドタワー目黒MARC」

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エリアマネジメント会員も利用できるHALL

読みだすと止まらない あらゆる関係者にお勧め 野村不&埼大「推しの木図鑑」(2023/6/24)

天井高2700ミリ 全戸ワイドスパンに高い評価 野村不・JR東日本都市開発「目黒」(2022/7/24)

 

カテゴリ: 2023年度

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「playground大手町」

 三菱地所は12月7日、同社の総合スマートサービス「HOMETACT(ホームタクト)」を体験できる「playground大手町」を12月8日にオープンし、mui Labと共同開発したスマートホームでの新たなエネルギーマネジメント体験「HOMETACT Energy Window」を公開すると発表した。

 「HOMETACT」は、同社が独自開発したスマートホームサービスで、専用アプリやスマートスピーカーでエアコンやテレビ、照明、カーテンといった複数メーカーの幅広いIoT機器をまとめてコントロールするもの。「おはよう」「行ってきます」といった「シーン」機能や、時間や位置情報などを実行条件とする「自動モード」の活用で、複数のIoT機器をまとめて動かし、設定どおりの住空間の制御が可能。2021年11月、三菱地所レジデンスの賃貸マンション「ザ・パークハビオ」シリーズに導入して以降これまで3棟に導入済み。もう1棟に導入することが決まっている。

 この種のサービスを行っているところがないことから、同業他社や賃貸管理会社、インフラ事業者など幅広い企業からの引き合い・相談を受けており、施設・システムを公開することで、ワンストップで課題解決に結びつけるのが狙いだ。

 「HOMETACT Energy Window」は、三菱地所とスタートアップ企業であるmui LabがHEMS技術の共同研究や新サービス開発に向けた協業を推進するため2023年8月に資本業務提携したのに伴い提供するもの。従来の住設機器・家電の制御に加え、電気・ガス・水道をはじめとした家庭内でのエネルギー使用量の「見える化」を図っているほか、Tips機能(節電アドバイス)により「行動の習慣化促進」と節電につながる仕掛けを施しているのが特徴。

 記者発表会に臨んだ同社住宅業務企画部 新事業・DX ユニット 統括・橘嘉宏氏は「今までのHEMSとは一線を画す。ZEHにも対応し、Tips機能は世界的に見てもチャレンジできる」と語った。

 「playground大手町」は、東京メトロ大手町駅他直結の「大手町ビルヂング」1階の56㎡。営業時間は平日(土・日・祝日休業)10:00~18:00(予約制)。

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内観

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左から橘氏、廣部氏、大木氏

◇        ◆     ◇

 HEMS、EMS、CEMS 、MEMS 、スマートタウン、スマートハウス、ZEH…取材先でいつも聞かされる耳にタコができるフレーズだ。同社の「HOMETACT」は、最初に導入した「ザ・パークハビオ 麻布十番」を取材しているので、どのような機能が盛り込まれているかはわかっており、今回のメディア向け見学会で発表された、消費者の省エネ行動を促そうという狙いの新機能の「HOMETACT Energy Window」もとてもいいと思った。

 ところが、施設について説明した橘氏や共同開発をしたMui Lab代表取締役社長CEO・大木和典氏、同社Creative Director・廣部延安氏からは、「麻布十番」でもそうだったが、わが国の後進性が改めて指摘された。〝ヘムスを開発したメーカーは撤退しつつある〟〝家庭に導入しても使われなくなる〟というものだ。

 HEMSなどが普及しない理由はなんとなくわかる。三菱地所レジデンスが2013年12月、他社に先駆けマンションの各住戸のエネルギー消費量をコスト(燃費・円)に置き換えて「見える化」した冊子「マンション家計簿」を今後首都圏で販売する全ての新築マンション購入検討者に配布すると発表したときに、小生は次のように書いた。

 「記者はこれだけでは不十分だと思っている。単に電気やガスの消費量の見える化だけでなく、日常生活におけるすべての二酸化炭素(CO2)排出量を『見える化』『見せる化』しなければならない。

 ガソリンから上下水道、生ごみ、食品、酒・たばこ、耐久消費財、旅行・レジャー、医療、交通移動手段などすべての消費財・サービスも含めてCO2の排出量を提供できるようにし、低炭素社会を構築すべきだ」

◇      ◆     ◇

 あれから10年だ。三菱地所レジは追跡調査を行っていないようだが、「マンション家計簿」の発行部数は数十万冊に達しているはずだ。この取り組みが「HOMETACT」の開発に繋がったのだろう。

 そこで、家計簿について考えてみた。かつて専業主婦が圧倒的多数を占めていた時代は、主婦向け雑誌は年末になると別冊付録の「家計簿」を販促につなげた。いま主婦向け雑誌がどうなっているか分からないが、ネットで調べた。ある社の360人を対象とした調査では、約6割の人が家計簿をつけており、うち女性は74%、既婚は63%、子育て世帯は37%で、お金を管理しているのは「自分」が71%という結果が出ている。立派というほかない。男性の人は正直に申告しているのだろうか(小生は領収書を受け取ることはほとんどない。そんなものをかみさんに渡したら、どこでどれだけ酒を飲んだか全て捕捉されるではないか)。

 ただ、子育て世帯は37%しかないことに注目する必要がありそうだ。家計簿をつける余裕などないのだ。一昨日の三井不動産レジデンシャルの記者発表会でも時間に追われている子育て世代(とくに女性)の実態が報告された。代わりにバーコードやQRコードをかざせば自動的に収入、支出項目ごとに記録されるようにすればいいと思うが…もう実用化されているか。そのデータをAIが解析し、アドバイスできるようにすれば生活は劇的に変わる。

 それはともかく一つ提案がある。アレクサはいいとは思うが、「おはよう」「行ってきます」「ただいま」「お休み」と声を掛けても、合成語とすぐわかる、小生のかみさんと一緒、どこかトゲのある「分かりました」としか答えない。その時々の雰囲気、様子によってもっと感情を露わにすべきだ。昔、夜中というより朝まだき、家に帰ったら「お父さん、今日も朝帰り」と息子に言われたことがある。金輪際酒など飲まないという誓いは1か月くらい持続した。

 これがアレクサだったら効き目はない。それより、鬼より怖いかみさんとか子どもにすべきで、起床の音楽はボレロがお勧めだ。小生は独身のとき、朝起きて身支度をし、出勤するまでの約15分間、この曲を聴くのを日課としていた。ぴったり15分間だ(朝食は会社の傍にあった喫茶店)。化粧に1時間くらい割く女性もいるそうだが、これは時間の無駄。多くの男性は女性の心を見ている。

 お休みの曲は、小生の記憶をたどると♪ねんねんころりよおころりよ~♪に勝るものはない。

 子どもの個室などない薪炭の時代だ。いつも祖母と一緒に寝ており、この童謡を聴きながら、しわくちゃのおっぱいをまさぐると、焼きもちを焼いた雄の飼い猫が布団に潜り込んできて、祖母と小生の間に入り、すぐゴロゴロと寝息を立てた。三人・匹が川の字になって眠りに落ちた。朝は、雄鶏のけたたましい〝コケコッコー〟で叩き起こされた。

 アレクサに頼っていては、いつまでたってもAmazonの支配から抜けだせない。高畑充希さんが「次に行こう」と呼び掛けているではないか。

スマホ一つで住設機器・家電など操作・ 管理 三菱地所 スマートホームサービス開始(2021/11/4)

三菱地所グループ 「マンション家計簿」が地球温暖化防止活動環境大臣賞(2015/12/2)

三菱地所レジデンス 「マンション家計簿」全マンションに導入(2013/12/19) 

 

カテゴリ: 2023年度

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綱町三井倶楽部

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檜木田氏

 三井デザインテックは12月5日、綱町三井倶楽部でプレスセミナー&懇親会を開催し、パンデミックによる社会の大きな変化を受け、価値観が反転したNew Normal社会が日常化した現在のWell-Beingを叶える「クロスオーバーデザイン3.0(2023年)を発表した。

 セミナーの冒頭、同社代表取締役社長・檜木田敦氏は「セミナーは2019年11月以来4年ぶりの開催。この間、価値観、ライフスタイルは大きく変化した。当社は2020年7月、三井不動産リフォームと統合し、新生デザイン会社として事業領域を広げていく。今回発表する『クロスオーバーデザイン3.0(2023年)』」はWell-Beingつながる価値観を提案するもの」と挨拶し、懇親会では「クロスオーバーデザイン3.0によってどんどん出番が増える」と乾杯の音頭を取った。

 続いて登壇した同社フェロー・見月伸一氏は、2015年の空間の融合を具現化した「クロスオーバーデザイン1.0」、2016年のアナログ要素のポテンシャルを引き出した「身体性伴う情緒的な体験」提供する「クロスオーバーデザイン2.0」を振り返り、今回の「クロスオーバーデザイン3.0」について次のように説明した。

 パンデミックを経て価値観が反転したNew Normal社会が日常となり、SDGsの社会通念化とAIが急速に普及しつつある現代において、ダイバーシティ&インクルージョンがますます重要性を増し、自分らしく居られるWell-Beingな環境を創造することが求められている。

 そのためには、既成概念にとらわれない「UNCONVENTIONAL」の発想で、リトリート・コミュニティ・イマーシブの3つの掛け離れた要素を融合し、化学反応を起こす「CROSSOVER INNOVATION」を当社は推進していく。

 トークセッションでは、世界的なフラワーアーティスト ニコライ・バーグマン氏、見月氏、同社ワークスタイルデザイン室 コンサルティング第1グループ長・酒井慎太郎氏がWell-Beingな社会などについて語り合った。

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見月氏

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トークセッション(左から見月氏、ニコライ氏、酒井氏)

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ニコライ氏の作品(左上がもう一つのターナー、右上がローレンスの作品)

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懇親会(大食堂)

◇      ◆     ◇

 同社のこの種のセミナーほど楽しい取材はない。何か楽しいかと言えば、何の資格もない〝記者〟と名乗るだけで、ジョサイア・コンドルによる歴史的建造物の「綱町三井倶楽部」の敷地内に堂々とただで入れることだ。

 完成は大正2年だから110年が経過する。その間、関東大震災では大きな被害を受け、戦後も米軍に撤収されたようだが、現在もほぼ原形をとどめている。その美しさに圧倒され、畏怖すら覚える。 

 同社もホテル関係者も鷹揚なもので、自由に動き回って館内の絵画や家具・調度品を撮ろうとおとがめは一切なし。今回も新しい発見があった。地階「BAR」の横に据えられている幅1.5m、高さ2mもある螺鈿仕上げの大鏡。値段を聞いたが「値はつけられない」代物だという。

 明治末期の作品だという英国Mappin社製のスプーンセットもケースの中に収められていた。ネットで調べた。同社は1897年にビクトリア女王から「王室御用達」の認定を受け、今でもMappin&Webbの職人が英国王室のクラウンジュエラー(王冠を作成する職人)として任命されているとか。

 クロスも調べた。張り替えられたように見えたが、ビニールクロスではなく紙か布クロスのようだった。

 肝心のセミナーはどうか。同社が手掛けたマンションやホテル、とくにマンションは数えきれないほど見学しており、その卓越したそのデザイン力に感服している(RBAホームページで「三井デザインテック」を検索すると2013年以降の約40件がヒットする。トータルするとアクセス数は約20万件)。

 しかし、小生は自分が見たものだけしか信じない質で、座学は苦手で、セミナーの中身を理解したかと問われれば、正直よく分からない部分もあった。「クロスオーバーデザイン3.0(2023年)」は、デザインとアート・音環境などを多用したインタラクディブな空間を創造するのだろうと解した。

 食べ放題&飲み放題の懇親会では、バランタインファイネストをかなり飲んだ。100年物のワインやウイスキーもあるようだが、われわれメディアには供されなかった。札幌から2時間くらいのホテルが1泊75万円(120㎡)と聞いたが、坪単価は2万円強だ。△△△ホテルだって坪2,000円超だ。ありえない話ではない。マンションの今後のデザインについて話を聞けなかったのは残念だった。

 檜木田社長も触れた、様々なアワードを受賞した東銀座の新社屋はコロナ禍で見学は断られたが、改めてお願いしレポートしたい。

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階段室

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大鏡

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螺鈿文様

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スプーンセット

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クロス(左)と床の文様

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小生が買っている記者が食べたデザート…こんな甘いものを食べるから記事も甘くなるんだ(小生はひとかけら食べただけで気持ちが悪くなる)

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小生も頂いたコーヒー(茶器は自宅にはないが、たくさん見たことがある)

 

もう一つのターナーを見た 三井デザインテック 綱町三井倶楽部でセミナー&懇親会(2019/11/20)

ターナー発見 椿姫 乾杯の歌に「ブラヴォー」 三井デザインテック セミナー・懇親会(2017/12/4)

デザインが企業・経営者、住宅を変える三井デザインテックが第2回セミナー(2016/10/20)

コンドルが設計した「綱町三井倶楽部」を観た三井デザインテックがセミナー(2015/10/22)

「麻布霞町」を超えるか三井不レジ「パークマンション三田綱町ザフォレスト」(2014/7/4

カテゴリ: 2023年度

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この日、会場に展示されたニコライ・バーグマン氏の作品

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ニコライ氏

 「ビニール(フェイク)はよくない」-世界的なフラワーアーティスト、ニコライ・バーグマン氏は12月5日、綱町三井倶楽部で行われた三井デザインテック主催のセミナー後の懇親会で世にはびこるフェイクグリーンを強く批判した。

◇        ◆     ◇

 この日(12月5日)は、かつては4日に1本空けていたバランタインの12年物ではなく普及版の〝ファイネスト〟をかなり飲んだので、これ以上書けないが、〝フェイクグリーンをやめよ〟としつこく書いてきた甲斐があった。

 バークマン氏は、昨年末に完成した三井不動産他「Otemachi One Garden」の開園イベントでフラワーライブパフォーマンスを演じ、つい先日に開業した「麻布台ヒルズ」にも「Nicolai Bergmann Flowers & Design・NOMU」を出店した。日本語はぺらぺら、日本人より日本人らしく、と同時に外からも日本人を捉えられるから、生け花のような流儀にとらわれない想像力が圧倒的な支持を得ているのだろうと理解した。

  だからこそ、今回の三井デザインテックのセミナー「クロスオーバーデザイン3.0(2023年)」のテーマである、かけ離れた要素を融合し、化学反応を起こすという「UNCONVENTIONAL」(既成概念を超えた)発想と合致し、トークセッションの主役に招かれたのだろう。

 「ビニール(フェイク)はよくない」をどう受け止めるかは、デベロッパー、ハウスメーカーの担当者だし、消費者のみなさんだ。「麻布台ヒルズ」にはフェイクグリーンなど1本もない。〝貧乏人はフェイクでいい〟は絶対に間違っていると記者は思う。

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作品(部分)作品に用いられている主な花はグロリオサ、アジサイ、アンスリウム、アランダ、シンビジウム、モカラ、オンシジウム、ユーフォルビア、ムサラキシキブ

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ターナーの作品(綱町三井倶楽部にはこの種の著名なアーティストの作品がさりげなく飾られている。小生は飲むのも目的だが、しっかり事前にチェックしている)

皇居と大丸有の緑のネットワーク形成 物産・三井不「Otemachi One Garden」完成(2022/12/17)

メタボ増えたが、あらゆるデータが向 三菱地所「本社オフィス体験・懇親(2023/11/12

木質化空間の〝匂い〟は心身にどのような影響をもたらすか 三井不×東大(2023/10/29

第一園芸 独自に考案したオフィス空間デザイン 三井デザインテック新本社に採用(2021/8/11)

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麻布台ヒルズ外観(ⒸDBOX for Mori Building Co., Ltd. - Azabudai Hills)

 森ビル「麻布台ヒルズ」を見学した。その開発規模もさることながら、70万円の万年筆、200万円台のソファ、100万円台の椅子、2,000円の耳かきほどの小さじ、5,000円のブラシ、10,000円の化粧石鹸、7,000円のお椀などに目を回し、1,000で10円のお釣りが出たグラスワイン1杯を飲んだだけで一挙に酔いが回った。

 最大の収穫は、ウェーブを多用した低層部のファサードデザインだ。ロンドンオリンピックの聖火台を手掛けたトーマス・ヘザウィック氏(英国)によるもので、商業エリアのデザイナーとして参画している藤本壮介氏らによる内観もアール形状を多用していた。ウェーブ、アール形状は建築物の世界的潮流ではないかと強く感じた。

 施設は、東京メトロ神谷町駅(直結)と六本木駅(2~3分)とをつなぐ開発区域面積約8.1ha、敷地面積約63,900㎡、延床面積約861,700㎡、オフィス面積約214,500㎡、緑化面積約2.4ha、住宅戸数約1,400戸。用途は事務所、住宅、店舗、ホテル、文化施設、インターナショナルスクールなど。就業者数約20,000人、居住者数約3,500人、想定年間来街者数2,500~3,000万人。施工は清水建設、三井住友建設、大林組他。2023年11月24日(金)に開業した。

 スケールは約6.9haの東京ミッドタウン六本木を上回り、約12haの六本木ヒルズに匹敵する。64階建て「森JPタワー」の高さ約330mは、現在建設中の62階建て三菱地所「トーチタワー」の385mに次ぐわが国2番目の高さとなる。

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(プレス・リリースより)

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桜麻通り(ⒸDBOX for Mori Building Co., Ltd. - Azabudai Hills)

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 もっとも驚いたのは、トーマス・ヘザウィック氏のわが国初の〝作品〟という低層部ファサードデザインだった。アシンメトリックな曲線美を強調しているようで、部分的には伝統的なシンメトリックな技法を用いている。全体として大河のような、あるいは交響曲のような印象を受けた。外観だけでなく、壁や柱、内観デザインもアール加工が施されている。

 神谷町から六本木一丁目までの緩やかな傾斜地のヒルトップに位置する64階建ての「森JPタワー」、54階建ての「レジデンスA」、64階建ての「レジデンスB」も圧迫感をそれほど感じさせないのは、低層部のデザインや足元のせせらぎを配した植栽計画にあるのではないか。稜線美が屹立している山の印象を和らげている富士山がそうだ。

 このウェーブ、アール形状は建築物の世界的潮流ではないかと上段で書いたが、ここ数年、記者は曲線美を強調したマンションやオフィス・商業ビルをたくさん見学しているからだ。主だった記事を添付する。

 もう一つ、気になるのはレジデンスだ。取材を申し込んだが断られた。森ビルはクローズドで販売するのだろう。記者はこれまでマンションの坪単価の最高峰は東京駅の坪3,000~5,000万円(建設されればだが)だと予想してきた。今回、麻布台ヒルズを見学して同クラスに格上げする。「うめきた2期」が上回る可能性があるが、街並みの美しさは現段階ではここが一番ではないか。

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ガーデンプラザ外観(ⒸDBOX for Mori Building Co., Ltd. - Azabudai Hills)

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GREEN_麻布台ヒルズアリーナ(ⒸDBOX for Mori Building Co., Ltd. - Azabudai Hills)

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中央広場外観(ⒸDBOX for Mori Building Co., Ltd. - Azabudai Hills

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フードマーケット(ⒸDBOX for Mori Building Co., Ltd. - Azabudai Hills)

まさに紙わざ ヒントは「6」 坂茂氏が設計した芝浦工大のレストラン&カフェ(2022/10/25)

目がくらむ白17か所目の藤本壮介氏「西参道」 日本財団「THE TOKYO TOILET」PJ(2022/3/31)

第1期211戸を半年で販売済み 三井不レジ「神宮北参道」全体の坪単価は900万円弱(2021/11/10)

三菱地所 常盤橋PJの街区名称「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」に決定(2020/9/17)

あの「青山」の美しい流線形 今度は「銀座築地」 大和ハウスがエリア最高峰(2019/11/8)

日比谷の新しい顔曲線美に震えた三井不動産「東京ミッドタウン日比谷」竣工(2018/1/30)

マンションはアートだ 三井不レジ「パークコート青山 ザ タワー」竣工(208/4/11)

非日常の極み 三井不レジ「パークコート青山 ザ タワー」は坪単価950万円(2016/10/18)

 

 

 

 

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山梨県北杜市須玉町 森林整備活動現地 (左)企業の森づくり活動呼称

 三菱地所ホームは11月30日、山梨県北杜市、金ヶ岳山外二字恩賜林保護財産区、有限会社藤原造林との間で「森林整備協定」を11月21日に締結し、同社社員による森づくり活動「三菱地所ホームの青空オフィスYAMANASHI BASE」を始動したと発表した。

 同社はこれまでも、FSC認証を受けた山梨県産材の供給を受けており、新築注文事業での構造材に占める国産材比率は平均80%を超えている。

 今回の協定では、同市須玉町の山林2haで同社社員が植林や下刈りなどの森林整備活動を行い、カーボンニュートラルや国内林産業や木材産業に関する課題認識や知見を深める講演や研修を実施する。

 「三菱地所ホームの青空オフィスYAMANASHI BASE」の活動期間は2023年11月21日~2029年3月31日まで。植林、下刈り、森林・林業体験を行う。

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「森林整備協定」締結式

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 記者はこれまで4度、北杜市に取材で訪れている。とても楽しい取材ばかりで、なによりも田園風景がきれいで、空気と水と酒「丸の内」が美味しいのに身も心も洗われたのを思い出す。取締役会長・吉田淳一氏(当時常務執行役員)も参加されたイベントでは、お互い田んぼの肥溜めに落ちたことなどを話し合い大笑いもした。

 この日(11月21日)の協定書締結については同社から取材の案内が届いていたのだが、別の取材が入っており取材できなかった。「YAMANASHI BASE」はいい取り組みだ。メディア向け見学会はやらないのだろうか。

住友林業が施工し、新素材研究所が設計した清春芸術村ゲストハウス「和心」公開(2019/4/7)

積水ハウス×山梨県×森林協会 県産材の利活用で協定締結 「甲州檜」の家発売(2017/12/16)

〝ケロ、ケロ、ケロ〟カエルも歓迎 三菱地所・空土プロジェクト田植えツアー(2015/6/3)

三菱地所グループ「空と土プロジェクト」体験ツアーに同行取材(2012/1/10/19)

 

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神田警察通り第Ⅰ工区のイチョウの落ち葉(11月30日写す) 

  昨日(12月1日)行われた「神田警察通りの街路樹を守る会」緊急記者会見から一夜開けたこの日(2日)、会見を報じたメディアは2段見出しの東京新聞(50行はあったか)とベタ扱いの朝日新聞(20行くらいか)のみ。日経も読売も毎日も(産経は確認しなかった)1行もなし。記者会見と同じ日に選ばれた今年の「新語・流行語大賞」の「アレ」を「仮処分申立書」=「暗黒社会」「ファッショ」「テロ」に置き換えて考えてみた。

 申立書の趣旨には「(工事現場の)土地について、午後8時ないし翌日午前6時までの間、債務者自ら又は債務者と意を通じた第三者をして、座込み、自動車の駐車その他の方法により、立ち入り、又は、立ち入らせてはならない」とあり、「申立ての理由」には「債務者らは工事に反対し、たびたび工事を妨害するため、工事が実施できていない」とある。

 小生はこの文言に震え上がった。「債務者ら」とあるように、「ら」抜きではなく「ら」付きであることに注意する必要がある。文脈からすれば、現在の債務者10人にとどまらず「債務者と意を通じた第三者」もまた債務者に転落(イチョウの側からすれば名誉市民に昇格か)する危険性をはらむ。昨日も書いたように「工事妨害」の定義はないので、現場付近をぶらつくだけで「工事妨害」とみなされ、酔っぱらいを含め「工事に反対する」全ての人が「公務執行妨害者」の烙印を押されかねない。これはもう戒厳令下の赤の広場か天安門広場だ。

 小心者の小生は「債務者と意を通じた第三者」になりうるか、大城弁護士に訪ねたのだが、大城氏は否定も肯定もしなかった。

 何度も書いているが、小生は「イチョウの味方」-つまりイチョウは道路の付属物だから区の財産でもある。広義にとらえれば、小生の言動・記事は千代田区だけでなく全国の自治体の利益につながるはずだ。もう一人の小生が〝もっと書け〟と背中を押している。

 ついでに、わが多摩市の対応について紹介する。市は令和3年、市議会で議決されたレンガ坂のユリノキ伐採工事説明会を開いた。伐採しないでほしいなどの声が寄せられたことから、市は計画を変更し、約100本のうち19本を残すことにした。工事については、安全性の観点から夜間工事はありうるとしながら、夜間工事はコストもかかることから、ユリノキの伐採は昼間に行ったはずだ。

 また、図書館の新設に伴う中央公園内の樹木を伐採する際の令和3年4月、には、市は小学生などを対象に「樹木伐採起工式」を行い、阿部市長と藤原マサノリ多摩市議会議長の挨拶、多摩グリーンボランティア森木会(かつて内閣総理大臣賞を受賞)の川添会長の指示のもとで、参加者は樹木伐採作業を体験した。

 千代田区が行っているのは真逆だ。住民をだまし討ちにし、人間にすれば志学の15歳か、破瓜の16歳か、芳紀の18歳か、伸び盛りのイチョウの死刑を執行しようとしている。人倫にもとる蛮行だ。「たびたび工事を妨害」とあるが、工事を行う場合は事前に住民に告知する約束ではなかったのか。約束をほごにしたから住民が行動を起こした。今回の騒動の責任は全て行政にある。

 曲がりなりにも憲法でわが国民は、基本的人権は侵すことのできない永久の権利として保障され、思想、信条、宗教、集会、結社、言論、行動を含む一切の自由を有するわれわれが、突如として「公務執行妨害者」とみなされることになりかねないことを、申告書は示している。権力が〝怪しい〟と判断したら、債務者は365日24時間監視される社会になる。

 千代田区長、この仮処分申告書を即刻取り下げていただきたい。申告が受理されたら全国に燎原の火のごとく広がる。貴殿はごく一部の「権力」の英雄に祭り上げられるかもしれないが、長い歴史で考えれば「全体主義へ道を開いた男」へ転落する危険性もある。千代田区民もまた歴史的選択を迫られている。自由かファッショか。

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神田警察通り第Ⅰ工区(イチョウは残された)

◇        ◆     ◇

 反社勢力と何ら変わらない「公務妨害者」の烙印を押された債務者の方々には酷だが、書かざるを得ない。刑法第59条には「公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する」と明示されている。債務者10人の方は、この公務執行妨害罪に問われる可能性がある。怪我をさせたら傷害罪に問われることにもなりかねない。

 区は用意周到。イチョウがどうなろうと全然考えていない。皆さんを陥れることしか考えていないことを申告書は証明している。例えば、「令和5年4月11日の妨害工事」には次のようにある。

 「債務者●●●は、同日午前4時32分頃、作業帯内付近を警備していた訴外シンティ警備の警備員の胸ぐらをつかむ暴行に及んだ…その後、債務者●●●が、千代田通り側に急に走り出し、規制帯の端にたどり着くと、カラーコーン及びバーを取り外して作業帯内に突入した。そして、そこにいた訴外大林道路の作業員により制止されるや、同作業員を突き飛ばし、同作業員の背後にいた債権者の職員を転倒させる暴行に及んだ(証拠資料として診断書)。これにより債権者の職員は、腰椎椎間板ヘルニアの急性増悪等により6か月の療養を要する見込みの傷害を負った(証拠の診断書)」

 申告書の記述は具体的だ。証拠資料としてはほぼ完ぺきに揃っている。区は4月17日付で神田警察署に被害届を提出し受理された。産経も含めてマスコミはこれを報じだ。公務執行妨害、暴行、傷害罪に問われたようだ。(メディアの怖いところだ)

 この件だけでなく、申告書の債務者の言動、行動は、建築物の監理業務でかなり普及している音声付き高感度カメラで詳細に記録されているはずだ。債務者の方が「写真撮影は、工事を妨害しているという証拠づくりとしか思えない」と話したが、その通りだと思う。小生が行政担当だったら間違いなくそうする。その道のプロを雇い、債務者の一部始終を記録する。無謬の「公務」だから犯罪に問われることはない。顔認証も普及しているので、債務者の行動はその後も追尾されている可能性がある。申告書が受理されたら、工事が終わるまで追跡される。区は債務者が日常生活に支障をきたすことなど考えていないはずだ。

 そこで債務者の皆さんに提案だ。これまでの活動に全国670万本の街路樹になり代わってお礼申し上げる。しかし、体が心配だ。〝わび状〟を一筆入れるのも一法だと思うがいかがか。〝泣く子と地頭には勝てぬ〟を実証する絶好の機会だ。イチョウが見事に死刑執行されるのを晴着を着て、日の丸の小旗を振って〝日本帝国万歳!〟の拍手・万歳三唱でもって見届けようではないか。みんな死ぬために生きているのだから。

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神田警察署前の道路工事

うろつくだけで工事妨害!? 暗黒社会へ突入千代田区イチョウ守る会を犯罪扱い(2023/12/2)扱い

〝やめてくれよ区長さん千代に千代田のイチョウが泣いている〟30日夜の無法地帯(2023/12/1)

メディアは信頼できるか 「事実(ファクト)」とは何か 読売報道に想う(2023?11/25)

「多摩中央公園改修」の疑問氷解 樹木5000本 うち伐採予定1125本の8割は実生木(2023/10/21)

 

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「極めて異例」「極めて疑問」「極めて異常」大城弁護士(東京高裁司法記者会で)

 千代田区の「神田警察通りの街路樹を守る会」は12月1日、緊急記者会見を開き、先に千代田区が行った債務者10人を対象とした、神田警察通りⅡ期道路工事区間の歩道・車道への午後8時から朝6時までの立入禁止を求める仮処分申し立ては反対者の表現活動を禁止するものであり、住民に対する執拗な写真撮影は、民主主義、住民自治に著しく反する行為と区側の対応を批判した。

 会見に臨んだ「守る会」の代理人弁護士・大城聡氏は約1時間の会見時間中に「極めて異例」「極めて疑問」「極めて異常」と「極めて」を3度も用い、仮処分申し立ては住民自治を根幹から揺るがすものと語り、「本日(1日)も工事が強行されるかもしれない。ぜひ現場を取材していただきたい」とメディアに訴えた。

 このほか会見で住民代表は「わたしたちは工事自体には反対していない。イチョウ並木を残してほしいと訴えているだけ。今回の仮処分申し立ては住民同士の溝を拡大するもの」「写真撮影は、工事を妨害しているという証拠づくりとしか思えない」と話し、元区議も「悔しくてしようがない。議会決議には瑕疵がある。工事強行には断固反対する」と語った。

◇        ◆     ◇

 この千代田区神田警察通りの街路樹であるイチョウ伐採に関しては数えきれないほど記事にしてきた。仮処分申し立ては昨日初めて知った。

 この日(1日)配布された申立書を読んで驚愕した。申立書は38ページにわたるもので、債権者は道路所有者の千代田区で、債務者は千代田区神田地域に住む住民8人と区議会委員2人の合計10人。具体的な「工事妨害」行為の証拠資料も添付されている。

 百歩譲って工事が合法とすれば、工事現場の立ち入りを禁止するのは当たり前だ。ところが、今回は妨害予防請求権なるものを根拠に「工事妨害者」を特定し、その人の道路通行を禁止するものだ。昨日も書いたが、これは反社会的勢力と同じ扱いだ。反社勢力だって公道を通ることは禁止されていない。これはもう魔女狩り、赤狩り、ホロコーストと本質的に変わらない。

 「妨害行為」とは何か、大城氏にその定義を訪ねたが何もないということだった。そこで、申立書に記載されている具体的な妨害行為について読んだ。中には「警備員引き倒す暴行」「債権者の職員を転倒させる暴行」などと、事実であれば行き過ぎた妨害行為と受け止められるかもしれないが、記者が知る「守る会」の人たちは圧倒的に女性が多く、年齢も60歳以上が大半だ。屈強な警備員を引き倒す力があるとはとても思えない。わが国には伝統的な大岡裁きもあるではないか。

 これらの事例はともかく、見逃せないのは、定義などないからそうなのかもしれないが、「妨害行為」かどうかの判断は区側に委ねられていることだ。区=善、祷民=悪の構図のもとに申立書は作成されているということだ。行政の無謬主義は改めるべきだと思う。

 具体的事例をいくつか紹介する。「債務者●●●は、本件工事区域の作業帯付近をうろつき工事を妨害した」「債務者●●●は、作業帯付近にいて、『なんで住民をいじめるんですか』などと大声で主張した」「債務者●●●は、作業帯付近をうろつき、債権者職員や作業員に対し、文句を言うなどの行為に及んだ」「債務者●●●は、債権者の職員や訴外大林道路の作業員等を自らの携帯電話のカメラ機能により撮影していた」「債務者●●●は、債権者の職員の行動を携帯電話で執拗に撮影していた」…。

 みなさん、いかがか。記者は昨夜、「撮影班」の背番号を付け、住民らを撮影してる人に取材目的である旨を告げ「わたしも同じように撮影していいか」と尋ねた。写真は債権者も債務者も区別なく撮影したが、「工事妨害」に該当するのかしないのか。

 これに関連することだが、記者は公務上の公務員には肖像権は存在しないという説に賛成だ。とくに今回のような事案では、むしろ公務員の行き過ぎた行動を監視する意味で写真撮影は有効だと思う。

 次にメディアについて。この日の緊急記者会見に出席していたのは小生を含め数人しかいなかった。裁判所データブック2023によれば、令和4年の全裁判所の新受全事件数は3,375,246件・人だ。一方、日弁連によると、2020年3月31日現在で弁護士は 42,164 人だ。全ての裁判に弁護士がつくかどうかは分からないが、1人当たり792件の計算になる。

 このような数字を見ると、今回の事案などはメディアも無視するのかもしれないが、大城弁護士が「極めて」を3度も口にしたように、民主主義、地方自治の根幹を揺るがす問題だと思う。会見で記者の方が〝回り道もある〟と行政側の考えを紹介したが、問題はそんなことではない。住民を犯罪者扱いすることの是非が問われている。

 これが通れば民主主義は死に(とっくに死滅したか)、ファシズムは床下あたりまで侵入していると考えたほうががいい。気がついたときは手遅れだ。

〝やめてくれよ区長さん千代に千代田のイチョウが泣いている〟30日夜の無法地帯(2023/12/1)

 

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11月30日20:00ころの神田警察通りの道路

 11月30日20:00前後の千代田区神田警察署前の出来事だった。「来た!」という声が聞こえた。振り返ると、工事車両と思われる数台の車が車道を封鎖した。記者より体重が2倍もありそうな交通整理のおまわりさんでもない、何と呼べば分からない制服姿の一団と、それを取り巻く制服組がどたどたと駆けつけてきた。そして、だしぬけに「作業の妨げになります。大変危険です。離れてください。作業帯に入らないでください。ご協力をお願いします。通行者の皆さんは立ち止まらないでください。足元に気を付けて通行してください」とハンドマイクでがなり立てた。

 何度も修羅場を潜り抜けてきた記者だが、権力の牙城である警察署の目の前で起きたこの出来事に思考力が停止した。二・二六事件もかくや。

 寒さのせいか空腹と酒が切れた禁断症状か、手足口が震え、恐怖と怒りがこみ上げてきた。それでも記者の端くれだ。必死でメモを取ることにしたのだが、真っ暗なせいで何を書いているやらさっぱりわからなかった。

 闇夜ではメモることはできないことを知った。口は達者なほうなので、「記録班」「撮影班」の背番号をつけた人に片っ端から声を掛けた。取材であることを告げ、「皆さんが撮影しているように、わたしも撮影していいか」と。誰も答えてくれなかった。らちが明かないので「責任者の方と話したい」と頼んだ。ようやく口を開いた方は「わたしの判断では(記者が撮影することについて)いいともダメともいえない」と話した。

 取材については、別の方が「(取材に来ていることを)報告しなければならない」とのことだったので、その義務はないとは思ったが、記者は名刺を渡し、「誰に報告するのか」とただしたが、返事はなかった。これはアンフェアだ。

 この間約10分。押し問答を繰り返しても何の収穫も得られないと考えた記者は、徒歩で10分くらいの区役所に向かった。ダメもとだとは思ったが、「責任者」にこの日の事態について説明を聞くためだ。

 案の定、門前払いを喰らった。担当部署と思える庁舎内の灯りはついていたが、警備員によると、22:00まで開館している図書館を除き、17:00以降の一般の人の立ち入りは禁止とのことだった。「ドアの外で退館する人に声を掛けるのはどうか」と聞いたら、「(声を掛けられた人から)『怪しい人がいる』と通告が入ったら、不法侵入の疑いがあると、警察に連絡します」とのことだった。当然だ。

 そこで、また現場に戻った。21:00ころか。工事の後片付けが行われていた。イチョウを伐採することはできなかったようだ。

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「作業の妨げになります。大変危険です。離れてください」(危険なのは区だ)

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道路をふさぐ車両

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担当部署と思われる区庁舎5~6階の灯りはついていた(30日20:30ころ)

◇        ◆     ◇

 上段は、今朝(30日)、「神田警察度通りの街路樹を守る会」の方からの「また伐られた」との一方で現場に駆け付けた顛末だ。

 もうくどくどと書かない。全ての責任は樋口高顕・千代田区長にある。どうして文字通り闇討ち作業を強行するのか。令和4年3月17日に行われた区議会企画総務委員会でも嶋崎委員長は「そうだね。それは、協議会の合意が必要だよね…そこのところの知恵出しというか、やり方というか…多少瑕疵があったのかもしれない…」と議会議決には瑕疵があったと認めたではないか。どうして区民同士の分断を助長するのか。「過ちて改めざる是を過ちという」諺があるではないか。

 この日(30日)の作業開始の手順にも問題がある。だしぬけに「作業の妨げになります。大変危険です。離れてください」はありえない。〝千代田区役所です〟〝神田警察署です〟(これはないと思うが)とどうして名乗れないのか。責任者も立ち合い、きちんと説明すべきだし、撮影班が周りの人を撮影する法的根拠を示すべきだ。

 もう一つ、重大なことがある。「守る会」は11月30日付で千代田区長宛て「抗議書兼要望書」を提出した。その文書には「本件に関連し、千代田区から、神田警察通りの街路樹を守る会のメンバーに対し、午後8時から午前6時までの間、工事区間付近の道路への立ち入り、通行を禁止することを求める仮処分の申し立てがなされています」とある。

 記者は仮処分申請書を読んでいないが、これでは「守る会」は反社会的勢力と同じではないか。仮に法的根拠があるとすれば、どのようにして「守る会」のメンバーを特定するのか。記者のような区の敵でも「守る会」の味方でもないニュートラルのイチョウの味方はどう扱われるのか。道路の附属物としてごみ箱か豚箱に捨てられるのか。

 もう一度区長へ。来年早々に80歳になるというお母さんがこの夜もイチョウの傍に座っていた。貴殿はそれでも男か。〝やめてくれよ区長さん 千代に千代田のイチョウが泣いている〟。

 端っこで成り行きを見守っていた21歳のガードマンは「ここに来いと言われてやってきただけ。どうなっているのか全然分からない」と話した。どこかで聞いたセリフだ。そうだ、ロシア兵だ。上段の美しい女性も「テロだ」と吐き捨てた。

「約束を反故。許せない」住民怒る 健全木のイチョウ 新たに4本伐採 千代田区(2023/2/7)

健全な街路樹を「枯損木」として処分問われる住民自治千代田区の住民訴訟(2022/11/12)

「苦汁」を飲まされたイチョウ 「苦渋の決定」には瑕疵 続「街路樹が泣いている」(2022/5/14)

民主主義は死滅した千代田区のイチョウ伐採続またまた「街路樹が泣いている」(2022/5/13)

千代田区の主張は根拠希薄イチョウの倒木・枯死は少ない「街路樹が泣いている」(2022/5/12)

ぶった斬らないで神田警察通りのイチョウの独白続またまた「街路樹が泣いている」(2022/5/11)

なぜだ千代田区の街路樹伐採強行またまたさらにまた「街路樹が泣いている」(2022/5/10)

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「三井ショッピングパーク ららテラス TOKYO-BAY

三井不動産は1129日、千葉県船橋市で開発を進めてきたライフスタイル型商業施設「三井ショッピングパーク ららテラス TOKYO-BAY」をオープンした。開業に先立つ1128日、プレス向け説明会・内覧会を行い、一般向けにプレオープンした。船橋市の「JR南船橋駅南口市有地活用事業」の事業者公募に同社が選定されたもので、公民連携による商業施設と分譲住宅の開発を推進する。

施設は、JR京葉線南船橋駅直結、船橋市若松2丁目に位置する敷地面積約16,740㎡、鉄骨造地上2階建て延床面積約11,200㎡。店舗数36店舗。基本設計は東急設計コンサルタント、実施設計・監理・施工は三井住友建設。運営・管理は三井不動産商業マネジメント。

関東初出店のタイ最大のコーヒーチェーン「Café Amazon」など36店舗が出店するほか、ドッグランや遊具広場を備え、フードフェスやスポーツのパブリックビューイングなどのイベントも実施する約5,000㎡の広場空間「MIXI FUN PARKLaLa terrace Green Park)」を整備した。事業地内には三井不動産レジデンシャルの15階建てマンション「パーク・ホームズ南船橋」(212戸)と「パークリュクス南船橋」(133戸)が建設中。

案内会で主賓として出席した松戸徹・船橋市長は「周辺では、千葉ジェッツのホームアリーナが令和6年春にオープン予定であり、南船橋エリアに新しいまちのデザインが誕生する大きな流れがあります。船橋の新しい魅力を感じることができるこのまちに、皆様もぜひお越しください」と挨拶した。

主催者の同社常務執行役員 商業施設本部長・若林瑞穂氏は「南船橋は特別な思い入れがある場所。1981年にオープンしたららぽーと第一号店『ららぽーとTOKYO BAY』、物流施設『MFLP船橋』のほか、収容人数1万人の『(仮称)LaLa arena TOKYO-BAY(ららアリーナ 東京ベイ)』も来春に開業する。今回の施設は『南船橋』のケートウエイとして位置づけ、施設単独で年間売上高40億円、年間来館者200万人を目指し、エリア全体の売上高は1,000億円を見込む」と語った。

また、同社商業施設本部 リージョナル事業部長・肥田雅和氏は、施設の特徴として駅直結敷地の三分の一が広場日常使い店舗のラインアップ施設の約12%の電力をカバーする太陽光発電搭載、国土交通省の「グリーンインフラ活用型都市構築支援事業」認定事業-などをあげた。

南船橋駅周辺では、開業から40年以上の歴史をもつ国内最大規模の商業施設「ららぽーとTOKYO-BAY」や「ビビット南船橋」、物流施設などのほか、2024年春開業予定の大型多目的アリーナ「ららアリーナ 東京ベイ」の開発が進められており、船橋競馬場も2023年度末にリニューアル工事が完了する。

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左から肥田氏、松戸市、若林氏

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広場と「パーク・ホームズ南船橋」

        ◆     ◇

 取材の目的の一つは、東大野球部出身でかつての同社野球部のエース&主砲の肥田氏(52)がどのような姿を見せるかを確認することだった。あの相手の打者や投手を震え上がらせたぎょろ目の鋭い眼光はすっかり影を潜め、すっかり中年おじさんに変わり果てていたが、体形は全然変わっていなかった。「野球? もう年で体がついていけない」と話した。体・容貌が真逆だった同窓後輩の溝口の近況については、「溝口? 彼はいまマレーシア」と語った。同社は現在、マレーシアで物流施設事業を推進中。

 取材では思いがけない収穫もあった。同業の記者の方が、「三井不動産といえば『日本橋』。『南船橋』も『橋』がつく」と若林氏に語り掛けた。傍にいた小生はそのような切り口もあるのかと驚き、頭をフル回転させ「橋」のつく地名を探した。「水道橋」を思いつくまではものの1分もかからなかった。

 すかさず、「橋といえば水道橋。次の〝東京ミッドタウン〟は水道橋ではないですか」と若林氏にビーンボールを投げた。

 若林氏は微笑を浮かべただけでさらっと交した。代わって同社広報担当者が「東京ドームには愛着があります」と、また別の担当者は「後楽園もあります」とはぐらかした。

 ン…「後楽園」。調べたら、東京ドームを含む「都市計画公園後楽園」(22.1ha)には「未供用」面積が2.83ha存在する。公園街づくり制度の適用要件である「未供用区域の面積が2.0ha以上」に合致する。この制度を活用して東京ドームを含む「水道橋」か「後楽園」がそう長くない将来再開発されるのは間違いない。

 「南船橋」マンションは坪単価275万円のようで、これは安い。大楽勝だろう。

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肥田氏

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男子用トイレ(△△ハウスロゴに似ていないか)

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記者が特別に作ってもらった白菜の具が甘くておいしい「どうとんぼり神座」のお子様ラーメン500円(このほかから揚げジュースが付く)

頂門の一針、蜂の一刺しにならないが アルヒ「本当に住みやすい街大賞」批判(2021/12/12

三井不動産 総延べ床面積70万㎡の「MFLP船橋」全体完成(2021/6/30

三井、三菱、東建など RBA関係者が続々昇格 三井リアルは執行役員27人のうち7人(2021/3/7

駅前4.5haの再開発も三井不グループに決定 三井不レジ「南船橋」人気加速か(2020/10/23

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