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 5月9日付「住宅新報」には「週刊住宅」が破たんしたことが全く掲載されていない。「週刊住宅」が事業を停止し自己破産する意向であることは5月1日に分かった。「住宅新報」もWebで短く報じた。それから1週間近くあったはずなのになぜ掲載されていないか。他の記事には相変わらず日にちの明示がないものや「このほど」などいつのことやらわからない記事もあるのだが、5月1日に行われた会見記事も掲載されているので、書く時間的ゆとりがなかったということでもなさそうだ。

 媒体が何を書こうが無視するか、それぞれ社の方針や編集責任者の判断に任される。「週刊住宅」の破たんを報じないのも同社の勝手といえば勝手だ。

 しかし、書くに値しない出来事ならともかく、業態がほとんど一緒の競合紙であり、また時には手を携える〝身内〟のような存在の〝死〟に対して無視ではないだろうが1行も触れないという意図が分からない。

 この点について別の記者は〝明日は我が身と考えているから〟と話し、また別の記者は〝武士の情け。書けないことがたくさんあるのでしょ〟とかばった。言い得て妙ではあるが、記者は身内の〝死〟を報じない何と非情な媒体であり、書けない事情があるとすればそれほど深刻な事態を抱えているのかと勘繰らざるを得ない。

 住宅・不動産業界の日々生起する事象を読者に伝え、業界紙ならではの視点で論評するのが業界紙の役割・使命であるとするならば、今回の「住宅新報」は大きな汚点を残した。追悼、追従の記事でもいいから書いてほしかった。

 「週刊住宅」の破たんについて、先の記者は「高度情報化社会がもたらした情報の相対的な価値の低下」が背景にあると語っているが、書く側がその情報の価値判断ができず、独自の視座を持たないとすればそれはジャーナリズムではない。

カテゴリ: 2017年度

 「週刊住宅」の破たんについて業界関係者にコメントを求めたところ、今から11年前、70歳で亡くなられた住宅評論家の佐藤美紀雄先生に言及された方がいた。佐藤先生には記者も大変お世話になった。自称〝弟子〟を名乗ったほどだ。今あるのも先生のお陰だと思っている。

 佐藤先生に「週刊住宅」紙上に「佐藤美紀雄のワンポイント時評」を連載していただくようお願いしたのは昭和57年だった。当時、住宅評論家と呼ばれる方はたくさんいた。ところが、多くの方は「建設省のデータによれば」「〇〇会社の発表によれば」などと、マクロデータや会社発表ニュースをもとに論評されていた。佐藤先生は違った。「私の取材によると」などと自らが情報源となり、舌鋒鋭く批評されていた。

 執筆を快諾していただいたのだが、その時、「先生、先生の好きなように書いていただいて結構です」とお願いした。その後、「ワンポイント時評」の連載回数は先生が亡くなる直前まで1,031回に及んだ。週刊住宅紙上でもっとも読まれたコラムだった。デベロッパーはマンションの販売現場に「ワンポイント時評」をコピーして張り出した。もちろん都合のいい部分だけだったが。

 とはいえ、業界紙の宿命ともいうべき、営業サイドの圧力もかかった。あまりにも鋭い指摘に記者も編集長もたじろぎ、経営者の意向を忖度し何度も原稿を書き換えていただいた。情けない記者は佐藤先生に書き換えをお願いする勇気などなかった。すべて当時の編集長が〝悪役〟を引き受けて、コラムの変更・書き直しを先生にお願いした。「佐藤さん、これはちょっと営業的(つまりスポンサー)にまずいので…」「わかりました。そうしてください」二人のやり取りを電話口でハラハラしながら聞いていた。

◇       ◆     ◇

 いまなぜ佐藤先生のことを書くか。佐藤先生が評論活動を始めるとき、「業界ジャーナリズムと同じ原稿など書いていて存在価値はない。現場主義に徹し、自分の目を通じて業界のために働こう」と話されたのをよく覚えている。

 先生が生きておられたらいまの事態をどうみられるか。「牧田さんよ、流れに掉さすことも逆らうこともできていない。どこまで流されればいいんだよ。病葉か」と言われるような気がしてならない。

 時代や読者ニーズの変化に鈍感になり、ゆでガエルのように気が付いたときはすでに手遅れの状態に陥っているのではないかということだ。「週刊住宅」の破たんの遠因はこんなところにありはしないか。

 先生が亡くなられたときの追悼文を添付する。首を垂れるしかない。

「業界の羅針盤」住宅評論家の佐藤美紀雄氏逝く(2005/9/24)

 

 

 

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 住宅・不動産業界紙「週刊住宅」が破たんした。業界にショックが走った。そこで、①週刊住宅の破たんをどう思うか②なぜ同社は破たんしたか③週刊業界紙が1紙になることをどう思うか④業界紙に望むこと・課題⑤その他-について業界広報担当者やメディア関係者に声を聞いた。

 以下は建築家の声。

①週刊住宅の破たんをどう思うか

 紙媒体の専門紙は余程特徴がなければ、しょうがないのでは…と思います。

 ちなみに、日経BP社の「日経アーキテクチャー」も読者が減りかなり苦戦を強いられているようです。

②なぜ同社は破たんしたか

 牧田さんがお辞めになった後に「ピリ辛」記事が全くなくなり読んでいましても「提灯記事」ばかりで「週刊住宅」の特徴が全くなくなったので、読者が減ったと思います。

 また、宣伝を載せている「スポンサー」に気を遣い過ぎでそれが紙面に表れている感じがしました。

③週刊業界紙が1紙になることをどう思うか

 「住宅新報」は購読していませんでしたので、内容は分かりませんのでコメントは差し控えます。

④業界紙に望むこと・課題

 不動産関連の記事だけでなく、建築的な専門分野の記事を載せて欲しい。

 また建築的な見地から不動産物件に関するメリット・ディメリットを載せないと、不動産業界はいつまでも浄化しないと思います。

⑤その他

 ネットの時代になって、全ての紙媒体の新聞や情報誌は,余程特徴がなければ破綻するのではないかと思います。

◇      ◆     ◇

 記者自身についても書かれており、削除しようかとも考えたのですが、「コメント全文を掲載します」とあらかじめ約束しており、〝おほめ〟の言葉は改めて姿勢を正せ、お叱りの言葉だと受け止めて原文のまま掲載しました。

「このままでは生き残れない業界紙」東急不動産HD・金指潔会長が苦言(2017/3/9)

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 住宅・不動産業界紙「週刊住宅」が破たんした。業界にショックが走った。そこで、①週刊住宅の破たんをどう思うか②なぜ同社は破たんしたか③週刊業界紙が1紙になることをどう思うか④業界紙に望むこと・課題⑤その他-について業界広報担当者やメディア関係者に声を聞いた。

 以下は大手不動産流通会社の広報担当者の声。

①週刊住宅の破たんをどう思うか

 驚き&ショックです。

②なぜ同社は破たんしたか

 正直なところ、週刊住宅の記事に関しては、あまり面白くなかった(発見がない、深い考察もない)というのが本音です。

 メディアとしてこれを言いたいというような主張も、これを世の中に広めたいというようなジャーナリズム精神も感じず、毎号ニュースリリースのネタと、取って付けたようなまとめサイト的な一面記事で、紙面を埋めているという印象が強いです。

 業界紙特有のナアナアな感じが、良くも悪くもこのような結果を招いてしまったのではないでしょうか。

③週刊業界紙が1紙になることをどう思うか

 住宅新報との違いがよく分からなかったので、特段何も思うところはありません。

④業界紙に望むこと・課題

 広報の立場として、業界紙に取り上げられるメリットが乏しいのが実態です。牧田さんがやられていた日経住宅サーチへのリンクといった、世間一般に拡散する可能性があれば別ですが、未だに昔ながらのやり方でWebは会員制とし、紙に固執したようなやり方であれば、今後も縮小の一途ではないかと思います。

 コンテンツはあるのですから、もっとWebを上手に活用すべきだと思います。

 その中から選りすぐりのネタを、ニュースアプリやキュレーション系サイトに提供するなどして、拡散される可能性があれば、各社も業界紙にどんどん情報提供を行うようになるのだと思います。

「このままでは生き残れない業界紙」東急不動産HD・金指潔会長が苦言(2017/3/9)

 

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 住宅・不動産業界紙「週刊住宅」が破たんした。業界にショックが走った。そこで、①週刊住宅の破たんをどう思うか②なぜ同社は破たんしたか③週刊業界紙が1紙になることをどう思うか④業界紙に望むこと・課題⑤その他-について業界広報担当者やメディア関係者に声を聞いた。

 以下は大手デベロッパー広報担当者の声。

①週刊住宅の破たんをどう思うか

 老舗の業界紙がなくなることは非常に残念でなりません。残された方々で故長尾社長の後を継いでいただけると信じていましたが、経営はよほど厳しかったのでしょうね。

②なぜ同社は破たんしたか

 詳細がわからないのでコメントは差し控えさせていただきます。

③週刊業界紙が1紙になることをどう思うか

 業界新聞は複数紙あり常に競いながらあった方が良い記事も書くことができるのではないでしょうか。

④業界紙に望むこと・課題

 業界紙は一般紙では書けない業界事情や専門知識があるので、やはり必要と思います。今後は、他の業界紙が週刊住宅新聞社のやってきた事業の一部でも継承されることを望みます。

「このままでは生き残れない業界紙」東急不動産HD・金指潔会長が苦言(2017/3/9)

カテゴリ: 2017年度

 住宅・不動産業界紙「週刊住宅」が破たんした。業界にショックが走った。そこで、①週刊住宅の破たんをどう思うか②なぜ同社は破たんしたか③週刊業界紙が1紙になることをどう思うか④業界紙に望むこと・課題⑤その他-について業界広報担当者やメディア関係者に声を聞いた。

 以下は大手ハウスメーカー広報担当者の声。

①週刊住宅の破たんをどう思うか

 非常に残念。

③週刊業界紙が1紙になることをどう思うか

 住宅業界自体が歴史の浅い業界でありながら、住生活基本法が施行されて以降、国の内需だけでなく国民生活の豊かさ向上のために欠かせない産業として重視されてきたし、課題先進国の我が国においてはもっと注目されるべき産業になってきた。

 むしろ業界専門紙ならではの情報発信による業界の発展と成熟がもっと期待されるべき時だっただけに、最新の業界動向、政策提言や議論に資する週刊媒体が少なくなることは残念。

④ 業界紙に望むこと・課題

 昨今、大手メディアで住宅業界にまつわる一面的な理解の記事が散見され、目立っている。(「賃貸住宅市場の空室率」など)

 また、国が「既存住宅」という言葉を利用している中、いまだ「中古住宅」という単語が利用され続けている。

 業界について良い点も課題も一番理解し、正しく発信、話題提起のできる立場として、またオピニオンリーダーとしての立場を期待したい。

「このままでは生き残れない業界紙」東急不動産HD・金指潔会長が苦言(2017/3/9)

 

 

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 2大不動産業界紙のうち「週刊住宅」が破たんした。「日刊不動産経済通信」を除き、週刊業界紙は「住宅新報」1紙になった。業界紙のことはよくわからないが、複数紙ある業界が多いと聞く。オピニオン紙として切磋琢磨し、業界の親睦・発展を促すのが業界紙の役割とすれば、どうして週刊住宅は破たんに追い込まれたのか、業界紙1紙はどのような影響を今後及ぼすのか、紙媒体はどうあるべきかなどを、火の粉が降りかかることを承知の上で機会あるごとに書いてみたい。

◇           ◆     ◇

 記事は鮮度が命だ。1日でも1分でも1秒でも先に書いたほうが勝ちだ。そして「5W1H」を盛り込むことを新米記者は徹底して叩き込まれる。「住宅新報」も「週刊住宅」も週刊紙だから鮮度はあまり問われないが、記者独自の調理方法によって読ませる工夫が欠かせない。

 ところが、この不動産業界紙2紙は鮮度が落ちるばかりか、まるで記者の工夫がない。その例を示す。

 両紙ともなぜか「このほど」が好きなようだ。慣用句か枕詞か機能語のように頻繁に使用する。両紙とも発行日は月曜日(週刊住宅)と火曜日(住宅新報)だから、記事は発行した時点で3~10日遅れとなる。鮮度落ちは否めないにしても「このほど」ほど読者を軽視した書き方はない。

 住宅新報4月25日号は企画記事などを除き全8ページに40本の記事が掲載されているが、このうち「このほど」の記事が13本で、日にちが明示されていないものは14本ある。合計27本。半数以上が「このほど」と日にちの明示がない記事だ。

 これが〝絶版〟となった週刊住宅4月25日・5月1日合併号は、住宅新報ほどではないがそれでも「このほど」は7本ある。

 このように書くと、些細なことだ、針小棒大にあげつらうべきではないという反論が返ってきそうだが、一事が万事という言葉もある。「このほど」の多用は間違いなく慣れからくる慢心だ。読者に寄り添う姿勢が欠けている。

 記事を書く当事者は旧聞を際立てさせたくない気持ちが働き、副詞的に用いて読ませようという意図もあるのかもしれないが、読者にとってみれば〝鮮度が落ちていますよ〟と言われているようで、完全に肩透かしを食らったような気分になる。心がこもっていないことがすぐわかる。落語の「えー毎度馬鹿馬鹿しい噺を…」ではないが、本当に馬鹿にされたような気になる。

 副詞的に用いる場合「このほど」にさほど意味はないのだから、速報性より記者独自の視点からみた論説的な内容に重きを置くべきだと思う。

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岩沙氏

 政府は4月29日、2017年春の叙勲受章者を発表した。住宅・不動産・建設関係では三井不動産会長で不動産協会会長の岩沙弘道氏(74)と元清水建設社長・会長で元日本建設業団体連合会会長の平島治氏(85)が旭日大綬章を、銭高組会長で元全国建設業協会会長の銭髙善雄氏(73)が旭日重光章を受章した。

 また、明治大学名誉教授の百瀬恵夫氏(82)が瑞宝中綬章を受章した。百瀬氏は中小企業研究の第一人者で、RBA活動にも多大な貢献をされている。「武士道 日本の心」(第三企画出版)などの著作多数。

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百瀬氏(百瀬氏が主宰する今年の「紺碧会」で)

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名取市美田園第一仮設住宅で南越谷阿波踊りを披露する慰問団

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ナビゲーターを務めるpo連連長の土屋氏

「わたしがあなただったら」土屋氏

 前日(4月22日)に語り部などから閖上地区の被災状況と復興の現状などを学んだ名取市美田園第一仮設住宅阿波踊り慰問団は市内のコンテナホテルに宿泊。この日(23日)早朝7時から活動を開始。ゆりあげ港朝市で1回、仮設住宅で2回、南越谷阿波踊りを披露。やんやの喝さいを浴びた。 

 仮設住宅の自治会長・高橋義夫さん(75)は、「仮設は4.5畳が2つとキッチン、バス、トイレで9坪。費用は300万円。追加工事だけでその倍はかかっている。良心的な住宅を建てていただいたが、まだまだ足りないものがある。安心・安全して暮らせる環境をつくるのが私の役割。ここ(集会所)にくれば余計なことを考えなくて済み、しゃべる人がいない時間を少なくする努力をしてきた。

 この仮設住宅は来年5月で廃止になることが決まっているが、新しい住居ができたら復興が完了したことにはならない。住宅は抽選だからコミュニティがなくなっちゃう。人と人の関係が希薄になるのを危惧している。行政には被災者の声が届かないもどかしさがある」と語った。

 当初128世帯270名だった仮設は現在、75世帯150名だという。

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高橋氏

◇       ◆     ◇

 東日本大震災が起きたとき、土屋氏は39歳。連日報道される震災の惨状を見て「この図体、がれき処理ならできるか」と会社を辞めることも本気で考えていた。体重は120キロ。体力に自信はあった。

 ちょうどそんなとき、木住協から仮設住宅建設の話が同社に持ち込まれた。2011年3月18日だった。そこから土屋氏の奮闘が始まる。4月2日、現場監督として現地に入った。惨状に声を失った。現地に泊まる施設はなく、松島のホテルに宿泊しながら県との打ち合わせなどを行った。実質的に3日間でプランを決めた。128戸を4月12日に着工、5月7日に完成した。県の検査などを経て5月下旬に入居が始まった。

 建物が完成後、寒さ対策、風除室の追加、風呂の追い炊き機能追加、結露対策など数回の追加工事を施した。

 その都度、被災者が仮設に籠り話をしないのに心を痛めた。元気になってほしいという気持ちを込めて車中に置いてあった南越谷阿波踊りの記念誌を2冊集会室に置いた。家族4人を失くした仮設住宅の自治会会長・高橋義夫氏(当時69歳)は「ここでやったらどうか」と声を掛けてくれたのがきっかけで慰問阿波踊りの実施が決まった。2012年だった。

 「あの時からこれまで通算すると1年半くらいは現地。わたしの第2の故郷となった」

 被災地を何とかしたい-この強い思い入れが土屋氏を突き動かしてきた。そして、仮設住宅の建設と完成後の追加工事を通じてすべての入居者と顔なじみになり、建設事業者-被災者の壁を取り払うだけでなく、そのエネルギーを〝絆〟に転化・昇華させた。

 「〝わたしがあなただったら〟-新海監督が閖上で被災者のことを考え『君の名は。』を創作したように、被災を風化させないヒントがここにある」と土屋氏は話した。

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ゆりあげ港朝市会場で

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黒山の人を前に商品をさばく櫻井氏

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記者も買ったひと山500円のホヤと6個210円の生カキ

◇       ◆     ◇

 阿波踊りの美しさについてはいうまでもないことだが、おさらいの意味で高円寺と南越谷でそれぞれ約15年間、阿波踊りを見続けている記者の私見も含めて少し触れたい。

 何が美しいかといえば、やはり女踊りだ。どんな醜女、太女(失礼、一般論として言っている)でもいざ女踊り姿になるととびっきりの八方美人に変身できる。浴衣の色は赤、黄、青、黒、白が基調。食事の基本色とほぼ同じだ。

 その最大の効果を発揮するのは編み笠だ。半円形だが、後方部分を高くしてかぶるためそれだけで身長は20㎝くらい高く見え、顔の表情は見えなくなる。編み笠なので完全に光を遮断するのではなく、外灯や月明りをわずかに透す。そして、地面からの照り返しや篝火、つまりアッパーライトで丸いあごの線を浮かび上がらせ、団子鼻も高い鼻に見せる。

 後ろ姿がまた美しい。和服は本来きっちりと襟を締め帯で結びつけるが、女踊りの浴衣は後方の襟を下げ、花魁とおなじように白いうなじを見せるように着る。生え際のおくれ毛がたまらなく美しい。〝小股が切れ上がった〟という言葉の意味は諸説があるが、本来はこの女性のうなじの美しさを形容した言葉だ。そもそも日本の女性は西洋のように首筋を際立たせる風習がなかったことを考えれば、〝小股〟は下半身のことでないことが容易に理解できる。

 そしてまた、何よりも美しいのがニワトリかガチョウ(この形容には異論がありそう)のように足を跳ねるごとに覗く白いふくらはぎと浴衣裏地の赤やピンクの裾のコントラストだ。このチラリズムが男心を誘う。

 男踊りは女性を美しく見せる添え物に過ぎない。あくまでもわき役、道化でしかない。(これまた失礼。道化に徹することほど難しい芸ははいと記者も思う)

 鳴り物はどうか。基本的には2拍子で動きが乏しいので易しそうだが、これがまた難しい。鉦叩きはオーケストラでいえば指揮者。連員を自由自在に操り、観衆を興奮のるつぼに引き込む役割を担っている。その鉦や太鼓の重さは数キロもある。体力がないと務まらない。

 三味線や笛は簡単だろうと思っていたがそうではない。みんな師匠の技を見よう見まねで習得する。とくに笛は1時間くらい息を吐き続ける。とてもつらいそうだ。

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久米の仙人も陣痛力をなくしたチラリズム(折からの浜風も応援した)

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観衆と一体となる踊り子

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ポラス 宮城県名取市の仮設住宅で慰問の南越谷阿波踊り その4(フォトページ)(2017/4/29)

ポラス 宮城県名取市の仮設住宅で慰問の南越谷阿波踊り その2(語り部)(2017/4/28)

ポラス 宮城県名取市の仮設住宅で慰問の南越谷阿波踊り その1(死の街)(2017/2/27)

ポラス 宮城県名取市の仮設住宅で慰問の南越谷阿波踊り その2(語り部)(2017/4/28)

ポラス 宮城県名取市の仮設住宅で慰問の南越谷阿波踊り その1(死の街)(2017/2/27)

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