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山岸氏

 不動産業界で先駆的な「女性活躍」の取り組みを行っているのが大京だ。オリックス専務執行役だった田代正明氏が社長・グループCEOに就任した2005年あたりから急激に変わった。

 2006年、新しいシンボルマークを導入し、グループ全社員共通の「家族想い」を「Family First.」という言葉(ブランドタグライン)に込めた。2007年には「時短」「休日・休暇取得促進」「仕事と家庭の両立支援」を大幅に拡充し、2008年には大京、大京アステージ、大京リアルド(現大京穴吹不動産)が「仕事と子育ての両立支援に取り組む企業」として厚労省の認定マーク「くるみん」を不動産業界ではスターツに次いで2番目の早さで取得。現在、業界最多の3回目を取得している。

 2009年には「大京グループ子ども参観日」を開催し、2010年には育児休暇取得者のスムーズな職場復帰を支援する先輩ママ社員との「情報交換昼食会」を行っている。

 そして今年3月、グループのマンション管理会社・大京アステージが女性専門職による「お客さま係」を立ち上げ、2017年度までに全国24カ所の全支店に配置すると発表した。「お客さま係」は、従来の顧客対応では拾いきれなかった潜在的なマンション居住者の〝困りごと〟を女性ならではの気配りで掘り起し、大規模修繕や商品企画に反映させようというのが狙いだ。

 「女性活躍」第3弾は、「お客さま係」の育成・マネジメントに携わる「大京アステージ ライフサービス事業部CA推進室CA推進課(CAはカスタマーアドバイザーの略、「お客さま係」の社内呼称)課長代理」の山岸真樹氏(44)にお願いした。

 山岸氏にお会いするのは3年ぶりだ。初めて会ったのは、2011年に分譲された「ライオンズ志村坂上レジデンス」「ライオンズ多摩センター ステーションブライト」のモデルルームで、当時は「大京 商品企画部 リビングラボ課 課長代理」だった。エネルギッシュに東奔西走する行動力と説得力のある話し方、商品企画力の確かさなど、その活躍ぶりを目の当たりにして、彼女のバイタリティに惚れ込んだ思い出がある。

◇     ◆     ◇

 山岸氏は開口一番、「わたしたちは御用聞きではありません」と切り出し、次のように続けた。

 「わたしたちはマーケッターです。スタッフはアルバイトやパートではなく、いろいろな部署で働いてきた女性専門職ばかりです」

 「お客さまの声は各部署にフィードバックできるようにしています。たとえば、かつてわたしが商品開発に携わった『L's KITCHEN(エルズ キッチン)』が企画意図通りに使われているかどうか検証することで、わたしもすごく参考になりました」

 「マンションの排水管掃除などに立ち会って、入居者宅を訪問し、困りごとや設備の不具合をお聞きしていますが、作業する男性が部屋に入ってくるのを不安に感じていらっしゃる女性の方が多く、わたしたち女性がいることでその不安が解消されます」

 「細かいことですが、上層階に住んでいる方から『どうして清掃はいつも1階からなの。うちも午前中の早い時間にやってほしい』という声があがりますが、『上の階からやると下の階の排水管が詰まることがあります』と説明すると、納得していただけます。このようにお客さまに近い距離にいるから対応も敏速に行えます」

 同社は、「お客さま係」を立ち上げてからこれまで2,000戸以上の居宅訪問を行っているが、人員はまだまだ増やす考えのようだ。

 山岸氏は「スタッフは総勢14名。近い将来50名くらいに増やしたい。男性中心の職場と違うところは、とにかく時間厳守。保育園の迎えの時間は決まっていますので、だらだらと会議などしていられません」と語った。

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 大京の「L's KITCHEN(エルズ キッチン)」を知ったとき、記者はそのきめ細かな商品企画に驚嘆した。その後の業界全体の収納や水回りの設備仕様を劇的に変えたと思っている。

 「L's KITCHEN」の誕生は2005年。女性だけのスタッフ8名で構成するデザインインテリアチームが、座談会やヒアリング、アンケートなどを通じてライオンズマンションに居住する女性、仕事と家事を両立させている女性、専業主婦、子育て中の女性などライフスタイルの異なる女性の声を商品企画に反映させ、女性のため、家族のための使い勝手のよいキッチンが誕生した。

 2006年発売のライオンズマンションから採用され、その後、どんどん進化を遂げていった。例えば、2009年に見学した「ライオンズ石神井公園ステーションゲート」は次のような仕様になっていた。

 調理台には「LILカウンター」と名付けた補助調理台が付いており、三面鏡の裏側には化粧用の拡大鏡が付いていた。カウンタートップには、化粧グッズがたくさん入るボックスもあった。天井のライトは「キレイライト」と呼ぶ自然光、夜用、昼用の3種の調光ライトが付いていた。浴室は音楽が聞け、浴槽をライティングできるようになっていた。玄関のシューズボックスは奥行きを3 センチ広げることで、収納力を通常の1.5倍に広げる工夫もされていた。

 当時、水回り・収納で話題を集めた野村不動産の「Luxmore(ラクモア)」があるが、「ラクモア」の商品化は2008年。「リビングラボ」のほうが3年早い。

 山岸氏は「リビングラボ課」のメンバーの一人。商品企画の意図を理解してもらうため、「もういい。分かった。耳にタコができる」と言われるまで、全国の各支店を東奔西走した。

 その甲斐あって、「L's KITCHEN」は同社だけでなく業界に瞬く間に広まり、その後の商品企画競争に火をつけた。

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お客さま係 イメージ図

大輪が咲くはず 大京アステージ 「お客さま係」新設 将来60名体制(2015/3/17)

大京「ライオンズ志村坂上レジデンス」 浴室と和室の襖に新工夫(2011/10/27)

「量の王者」から「質の王者」へ 大京・ライオンズ(2011/10/28)

カテゴリ: 2015年度

 国立市が明和地所のマンション建設をめぐる訴訟で、市が同社に支払った損害賠償金約3,120万円は当時市長だった上原公子氏が賠償すべきとした裁判(東京地裁平成26年9月25日判決言渡し)の控訴審弁論が9月10日、東京高裁で行われ、判決言い渡しは12月22日(火)と決まった。小林明彦裁判長が言い渡した。

 冒頭、控訴人(国立市)の代理人弁護士が民法422条に基づく技術的な問題をあげ、被控訴人(上原氏)の弁護士もこれを了承。裁判は約3分で終了した。

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 この問題については何度も書いてきたが、記者は東京地裁の判決を支持する。判決文次のようにある。

 「被告(上原氏)は、普通地方公共団体の長として行政目的を達成する上での中立性・公平性が要請される立場にありながら、建築基準法に違反しない適法建築物である本件建物の建築・販売を阻止することを目的として、少なくとも重大な過失により、自ら主体的かつ積極的に一連の本件違法行為に及び、これにより(明和地所)に損害を与えたことから、国立市らを相手とする(明和から)訴訟を提起され,国立市において(明和)に本件損害賠償金を支払わなければならない事態を招いたものであり、上記一連の行為により国立市が受けた経済的不利益は本件損害賠償金にとどまるものではないことに照らすと、国立市が(明和)から本件寄附を受けたことや国家賠償法1条2項が公務員に軽過失があるにとどまる場合に求償権の成立を認めない趣旨等を考慮しても、なお国立市が被告(上原氏)に対して本件求償権を行使することが信義則に反するとはいえないというべきである」

 「国立市長による本件求償権の不行使は、違法な怠る事実に当たるというべきである」

カテゴリ: 2015年度

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「大崎ブライトタワー」商業エリア内観

 三井不動産は9月9日、今年5月に竣工したオフィス・住宅など7棟からなる「パークシティ大崎」の1~2階の低層部を中心に出店する商業ゾーン「パークシテシィ大崎 オリーブテラス」を11日(金)グランドオープンするのに先駆けプレス内覧会を開催した。

 出店するのは、日本の野菜フレンチの第一人者小峰敏宏氏が総料理長を務める「アロムヴェール&ラ・クール・ド・コンマ」や名古屋が本拠の「若鯱家」の新業態「若鯱家-Beyond-」などの飲食店とショップ27店舗。

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 記者のお勧めは、わが三重県と親戚のような愛知県の名古屋本拠の「若鯱家-Beyond-」と「アロムヴェール&ラ・クール・ド・コンマ」だ。

 「若鯱家」は、土鍋カレーシチューとワインが楽しめる名古屋めしダイニングで、愛知、三重、岐阜の東海三県の地酒なども楽しめる。

 「アロムヴェール&ラ・クール・ド・コンマ」は、ワインの輸入が本業の「ヴィノラム」が出店するもの。梅原茂順社長は、「ウォークインセラーには常時1,200種を揃え、倉庫には60万本ある。レストランでは基本的に店頭で販売する価格にプラス1,000円で飲んでいただけるようにした」と、小峰氏は、「ディナーは5,000円から。ランチは10月からは3,500円だが、9月いっぱいは1,800円で提供する」とそれぞれ話した。

 店には全国から集めたオーガニック果実酒も600円から飲める。梅原氏によると「焼酎や砂糖ではなく、フルーツシュガーでじっくり時間をかけて漬け込んでいるので味は普通の果実酒と全く異なる。フルーツそのものの香りがする。このような果実酒はうちしかないのでは」ということだ。ワインは高額なものでは1本560万円もするものがあるそうだ。

 酒が店頭価格に1,000円プラスして飲めるというのはいかにも安い。飲食店は料理より酒で儲けるというが、梅原氏は「レストランだって値段は下げられるはず」と語った。

 ディナーは9月はほとんど満席だそうで、予約(電話03-6277-4108)したほうがよさそうだ。

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「若鯱家-Beyond-」

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「アロムヴェール&ラ・クール・ド・コンマ」

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小峰氏

カテゴリ: 2015年度

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ポラスグループの「建築技術訓練校」

 国土交通省は9月4日、平成27年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)の6つのプロジェクトを決定した。

 この事業は、木造・木質化による先導的な技術の普及啓発に寄与する住宅・建築物のリーディングプロジェクトを公募の中から採択し、整備費などの一部を補助するもの。

 今回採択されたのは、埼玉県越谷市のポラスグループの「(仮称)ポラスグループ建築技術訓練校」事務所、大阪市豊中市の学校法人・森友学園の小学校校舎と体育館、江東区の太陽工業のスポーツ練習場、宮城県石巻市の中心市街地再生町家スタイル推進プロジェクトなど6件。

 「(仮称)ポラスグループ建築技術訓練校」は3階建ての事務所棟と平屋の実習棟で、延べ床面積1,371㎡。一般流通集成材を集束して形成する「合せ柱・合せ梁・重ね梁」を用い木造の準耐火建築物(60分耐火)として建築。実習棟内部に合板パネルを意匠的に配置するなど、内装を積極的に木質化したのが評価された。完成予定は来年3月。

 森友学園の校舎・体育館は3階建て延べ床面積は5,678㎡。防火地域で鉄骨造ではあるが、建物の内外部、また教室の床材に不燃化した杉材などの木質材料を使用しているのが特徴。

 太陽工業のスポーツ施設は延べ床面積1,745㎡。トップパラリンピア育成支援の拠点として計画するとともに、ランニングをテーマに地域コミュニティを形成する機能を持つ施設。工場加工によりユニット化した6角形架構を現場で組み上げ、アーチ形状の屋根を形成。接合部が簡易で、仮設建築にも応用可能。ユニークな外観も特徴。

 石巻市のプロジェクトは、5階建ての店舗・共同住宅・宿泊施設からなる延べ床面積は1,733㎡。1階をRC造、2~5階を木造軸組とし、特殊な技術によらない在来工法による耐火建築を実現した。

 このほか採択されたのは、新潟市の木造2階建て丸太組構法の「(仮称)セルフ片山・新潟屋団地店」と、三重県菰野町の縦ログ構法を採用した2階建て特別養護老人ホーム「(仮称)真菰の里」。

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 今回採択された6つのプロジェクトに対する補助金総額は約3.6億円。多いのか少ないのかの判断材料はないが、木造が好きで、わが国の森林・林業の再生を願う記者はものすごくいい制度だと思う。残念なのは応募したのは7件しかなかったことだ。補助金を増やせば応募が増えるのであれば、もっと増やしてもいい。国費は使うべきところに注いでほしい。

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森友学園の校舎と体育館

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太陽工業のスポーツ施設

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石巻市の中心市街地再生町家スタイル推進プロジェクト 

 

カテゴリ: 2015年度

 日本木造住宅産業協会は先に「平成26年度自主統計および着工統計の分析」報告会を行なったが、記者は品確法による性能評価住宅と長期優良住宅認定戸数が増えてこないことに注目した。

 品確法は、「住宅性能表示制度」「瑕疵担保責任の10年間の義務付け」「住宅に関する紛争処理体制の三つの柱からなる消費者を保護する法律で、平成12年に施行された。

 長期優良住宅は、平成21年に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」により住宅を長持ちさせ、環境への負荷を減らす認定制度のことをいう。

 詳細は省くが、双方とも似たような制度で、耐震性、劣化対策、維持・管理、省エネ性などの評価項目など半分くらいは重なっている。長期優良は居住環境も評価項目に入っており、税制面でも品確法よりやや優遇されているのが異なる点だ。

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 考えなければならないのは、品確法も長期優良も〝ビンキリ〟で、最下級にランクされるものは建築基準法に定める「最低基準」とたいして変わらないにも関わらず、戸数が増えないことだ。どちらの制度も受けていない6割以上の戸建ては中古市場でどう評価されていくのかということだ。

 品確法が施行されてからしばらくは順調に戸数を伸ばした。「設計評価」と「建設評価」の合計戸数は平成12年度が約1.1万戸だったのが、19年度には約42.2万戸まで増加した。ところが、「長期優良住宅」制度が始まった21年度以降は頭打ちとなり、消費増税前の駆け込みがあった24年度は約41.3万戸になったものの、26年度は約36.8万戸に落ち込んだ。

 一方、「長期優良」は21年度が一戸建てと共同住宅をあわせた戸数が約5.6万戸で、その後戸数を伸ばし、25年度は約11.8万戸、26年度も10.1万戸と10万戸台を維持している。

 戸数だけでなく、品確法も長期優良も全体の住宅着工戸数に占める割合がここ数年一向に増えないことも問題だ。全国の戸建て住宅に占める品確法の設計評価住宅シェアは22年度の18.2%から26年度は17.1%へ1.1ポイント減少しており、建設評価住宅のシェアも22年度の14.7%から26年度の14.7%へと横ばいとなっている。木住協の会員によるシェアは全国平均と比べやや高く、26年度の設計評価住宅シェアは25.3%、建設評価住宅シェアは15.9%となっている。

 長期優良はどうか。全国の戸建て戸数に占める割合は22年度の19.9%から26年度は18.9%へ1.0ポイント減少している。長期優良に占める木住協シェアは高く、26年度は29.5%になっており、長期優良の3戸に1戸が木住協会員によるものだ。

 数字からは、品確法から長期優良へ切り替えるメーカーが増えているのではないかということがうかがわれるが、関係者によると長期優良のほうが申請の手間などを考えると使い勝手がいいとのことだ。

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 いま、国交省は中古戸建て住宅の流通時の評価方法について検討を進めている。築後20~25年で建物価値をゼロとみなす慣行を改め、基本性能などの客観的な指標を用い、また、リフォームやリノベーションによる使用価値の向上を評価して、建物についても適正に価格として評価しようというものだ。建物を評価する際のインスペクションに関するガイドラインも作成した。

 ここで問題となるのは、インスペクションを行なう際、先に書いた品確法の性能評価住宅や長期優良住宅はともかくとして、評価指標が少ない圧倒的多数の一般の住宅はどのように評価されるかだ。

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 ついでながら、もう一つ問題を指摘したい。国土交通省は今年7月、不動産鑑定士が既存戸建住宅の評価を行うに際の「既存戸建住宅の評価に関する留意点」を策定し、発表した。建物の性能、維持管理の実態調査、リフォームの価格への反映などを盛り込んでいる。

 これに異存はない。しかし、不動産鑑定士がどうして既存戸建ての性能や維持管理に関する履歴、リフォームなどの価値を判断ができるのか。新たに建築士の資格を取得するのであればともかく、これは絶対に無理だろう。中古流通への不動産鑑定士業の参入は、問題をより複雑化するのではないかという不安もある。

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「女性が輝くまち・東京シンポジウム」(都庁で)

 東京都は8月31日、「女性が輝くまち・東京シンポジウム」を開催した。国が主催する「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」と連携して行うもので、世界的に活躍するデボラ・ギリス氏(カタリスト プレジデント兼CEO)の基調講演や、パネルディスカッションを通じて、都の今後の目指すべき方向性をさし示した。約250名が参加した。

 冒頭あいさつした舛添要一都知事は、「知事に就任した時から『女性活躍』は重要な政策の一つと考えていた。5年後には東京オリンピックが開催され、内外から多くの方が集まるが、人種や性別を超えて多様性の象徴となるようレガシーとして残したい。女性活躍の機運は高まってはいるが、まだまだ不十分。いま都の女性職員比率は3人に1人で、管理職比率は15%。国や民間レベルと比べ高いほうだが、管理職比率は近い将来20%に高めたい。地域ニーズを取り込んだ保育施設も都庁内に設置することを決めた。今回の成果は東京都女性白書にも反映させる」などと語った。

 デボラ・ギリス氏は、女性活躍をめぐる世界の趨勢とわが国の現状や課題について語り、「世界に先駆けて女性活躍を国の重要課題として掲げた」ことや「男性が家事労働に参加し、育児休業を取得するロールモデルも出てきている」などと、高い教育を受けているわが国の女性が活躍できる機運が高まっていることを評価し、期待した。

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 デボラ・ギリス氏はわが国の諸外国と比べて遅れている女性活躍の現状と問題点をあげつらうのではなく、外交辞令的ではあったが過不足なく語ったと思った。残念なのは、同時通訳はされたのだが、20分の間にかなり早口で話されたので、内容をよく理解することはができなかったことだ。

 都は近くホームページでシンポジウムの模様を伝えるとのことなので、そちらを是非見ていただきたい。

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左からデボラ・ギリス氏、舛添氏、ワドゥワ駐日インド大使

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和田会長

 ハウスメーカー10社とその流通グループで構成される「優良ストック住宅協議会」が8月26日、記者会見を開き、同協議会会長・和田勇氏(積水ハウス会長兼CEO)は、建物と土地の総額表示で、築20年を経過すると建物の価値がほとんどゼロになる現在の中古住宅の査定方法を改め、土地と建物価格を分離評価して、良質なものが適正に評価される仕組みを構築しなければならないと語った。

 現在、国は諸外国と比較して大きく立ち遅れている中古住宅・リフォーム市場規模を2010年時点の10兆円から2020年には20兆円に倍増させる目標を掲げており、木造戸建ては築後20~25年で住宅の市場価値がゼロとなるような取り扱いを改め、住宅の使用価値を適切に評価する方法と評価の根拠となるデータを整理する必要があるとし、その他インスペクション、リフォーム一体型ローンのあり方などを検討している。

 同協議会は7年も前から土地と建物を分離評価するなど独自の価格査定方法を採用し、実績を積み上げてきた。今回の会見は、国の動きを加速させ、ハウスメーカーの戸建ては築年数が経過しても市場で適正に評価されていることをアピールする狙いがある。

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 「優良ストック住宅推進協議会」が発足したのは7年前の2008年。任意団体が「優良ストック」として認定するのはいかがなものかと記者は思ったが、趣旨には大賛成だった。しかし、いかんせん10社の流通部門が束になってかかっても大手流通会社1社の営業網にかなわないし、発足当時の各社の足並みはそろっていなかった。

 その後、どうなるのだろうと静観していたが、このところ中古住宅流通の市場拡大・活性化が大きなテーマになり、中古査定の見直し機運が高まるにつれ、「スムストック」が俄然注目を浴びるようになってきた。

 築20年で建物の価格がゼロになり、建物と土地の価格をひっくるめて総額表示する従来の査定方法でなく、建物と土地を分け、しかも建物は構造躯体のスケルトン(S)の耐用年数を50年、設備仕様のインフィル(I)を15年として分離査定し、価格査定により透明性を持たせたのは業界に大きなインパクトを与えた。

 協議会のデータによると、一般的な木造住宅の査定価格は築20年以降ではゼロになるのに対し、スムストックは築31年以降でも273万円で成約しており、21年以降の平均建物価格は517万円となっている。

 いいものが評価される時代の流れと、協議会がスムストックの普及に力を入れてきた結果、価格を査定し営業も行う「スムストック住宅販売士」は2013年の1,986名から2014年には3,023名へと52%も増加した。

 成約件数も飛躍的に伸びている。10社の戸建てストックは約353万棟あり、このうち年間約1.4万棟が流通しており、10社の流通捕捉率は前年の5.4%から2014年は9.3%の1,297棟に増加すると見込まれている。

 「いつまでにスムストックを10社で1万棟(捕捉率9.3%から71.4%)に引き上げるのか」という記者団の質問に、和田会長は「そりゃ3年以内にやらなきゃいかんでしょ。10社のトップが集まって決意を約束したんだから」と語った。

 1万棟に伸ばすためには倍々のスピードでないと達成できず、和田氏も強調したように「スムストック」の認知度を高め、販売士を増やすことができるかどうかがカギとなる。

 和田氏の強気発言の裏には、スムストックが中古市場で適正に評価されれば新築やリフォームの受注増につながり、ハウスメーカーとその流通グループの市場での評価を高めたいという狙いがありそうだ。本気度が伝わる会見だった。

 同協議会は今年7月、組織をより活性化させるため独立事務所を設置した。

仲介市場に「情報の非対称性」は本来的に存在しない(2015/3/16)

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「ホームステージャー1級」合格者と日本ホームステージング協会関係者

 一般社団法人日本ホームステージング協会(代表理事:杉之原冨士子氏)は8月26日、同協会の資格認定制度「ホームステージャー1級」の第一期合格証授与式を行った。

 「ホームステージング」は、売却予定の自宅の資産価値を高め、より早くより高く売却するために専門のコーディネーターが家具や小物を含めたトータルコーディネートでインテリアを演出し、不動産売買のお手伝いするサービスのこと。わが国では馴染みはないが、米国では30年以上前から当たり前のように行われ、ホームステージャーという職業として活躍しているという。

 同協会は、わが国でも中古住宅流通が増え、ホームステージングなしには売却できない時代が到来すると予測し、日本独自のホームステージングの普及とホームステージャー育成を目的に2013年8月設立。

 「ホームステージャー」は、1日の受講と認定試験に合格した「2級」と、より専門的な知識と実践的な提案力を養う2日間の講座と認定試験に合格した「1級」があり、今回の授与式は1級合格者6名が対象。合格者3名(欠席3名)に同協会から合格証が授与された。

 合格証を授与した同協会理事・野口幸恵氏は、「ホームステージングはわが国にはまだ浸透していないが、ホームステージングの活動が必要な時代は必ずやってくる。合格された第一期生の皆さんは、インテリアに特化したコーディネーターとは異なる総合プロデューサーとして活躍していただきたい」と挨拶した。

 合格した小沼景氏(decora社長)は「18年前からリフォーム会社を経営しており、この資格を生かしてよりスピーディに不動産の取引ができるようにしたい」と話し、舘岡伸博氏(TSUNAGU不動産)は「新しい資格で営業マンとして売りになるものとして差別化を図っていきたい」と語った。もう一人の合格者の前田大樹氏(ポラスグループ中央住宅マインドスクェア事業部主任)は「欲しかった資格で、身が引き締まる思い。今後、不動産の価値をあげられるよう現場力、提案力を高めていきたい」と抱負を語った。

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左からそれぞれ合格した前田氏、小沼氏、舘岡氏(写真右は野口氏)

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 「ホームステージング」なる言葉があることすら知らなかった。似たような資格ではいずれも民間の資格制度「インテリアコーディネーター」と「インテリアプランナー」があり、前者は全国に約5.5万人、後者は約8.6千人いる。

 これらの資格と「ホームステージング」が異なるのは、片付けや掃除、引っ越し・保管なども含めたトータルな「家の演出」によって売却予定の住宅の価値を高めようという点にあるようだ。

 同協会の代表理事を務める杉之原氏は、引っ越しや梱包が主な業務の「サマンサネット」を経営しており、「引っ越しの際にお客さんの自宅にうかがうと、とにかく荷物が多い、遺品などの処理にも困っていらっしゃる。売却のネックにもなっている。片づけを勧めるのだが、『片付け』からのアプローチではなかなかビジネスにつなげられない。しかし、米国ではホームステージングが当たり前になっている。ここにヒントを得て、協会を立ち上げた。これから空き家が激増する。遺品整理もビジネスになる時代がやってくる。これまでとはまったく異なった視点で住環境の提案ができる人材を育てていきたい」と話した。

 取材をしながら、盲点を突いたビジネスだと思った。新築だろうと中古だろうと売買の際にもっとも悩む問題の一つに収納がある。マンションの場合、ほとんどのユーザーは「収納が足りない」という不満を抱えている。

 記者は、〝マンションの坪単価は200万円も300万円もするのだから、不要なものは捨てろ〟というのが持論だが、いざ自分のこととなると例えば本が捨てられない。片づけも掃除も苦手だ。

 このようにどう判断していいか分からない人に、プロとして的確なアドバイスができる人というのはありがたい存在だろう。いまは遺産、遺跡、古民家、骨董・古美術、リサイクル、リユース、レトロなどが流行り言葉になっている。ホームステージングがこれらの業種と連携すれば新たなビジネスも発生するかもしれない。

野村アーバン タワーマンション売りやすくする「ホームステージングサービス」(2014/10/31)

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 東急リバブルは8月25日、リノベーションマンション「L’GENTE LIBER(ルジェンテ・リベル)」で、タブレット端末を利用してカラーセレクトプランの組み合わせをシミュレーションできるアプリケーション「たてものみらいchanger」を試行導入したと発表した。

 アプリケーションは、セールスビジョンが東急ホームズ監修のもと、主に中古物件を取り扱う不動産仲介会社向けに開発したもの。カメラで撮影した物件の写真をもとに、タブレット端末で、アプリ内に格納された建物の部材・建材・色調などを自由に組み合わせ、リノベーション後のイメージを手軽にシミュレーションできるツール。

 同社は、現在販売中の「ルジェンテ・リベル向ヶ丘遊園」のカラーセレクトプラン用にカスタマイズし、業界に先駆けて導入した。この物件では、床と建具の色調を「ウォルナット」「ナチュラル」「ホワイト」の3種類から選べる。

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 国土交通省は8月24日、「第7回 新たな時代の都市マネジメントに対応した都市公園等のあり方検討会」を開き、人口減少・少子高齢化社会におけるオープンスペースの再編と利活用のあり方、まちの活力と個性を支える多様な都市公園の運営あり方などについて検討してきたこれまでの内容をもとに、新たな時代の都市をつくる緑とオープンスペースの基本的考え方を中間とりまとめとして整理・公表した。

 中間とりまとめでは、少子高齢化と人口減少、環境問題、都市基盤ストックの形成、財政制約の深刻化、市民意識の変化・企業の社会貢献など都市を取り巻く社会状況を踏まえ、新たな時代の都市を支える緑とオープンスペースのポテンシャルを最大限に発揮することが重要とし、①ストックの効果をより高める②民間との連携を加速させる③都市公園を一層柔軟に使いこなす観点が必要としている。

 これらの観点から、新たな時代の都市づくりにグリーンインフラとして緑とオープンスペースが寄与していくためには①新たな時代の都市を支える緑とオープンスペースの戦略的な確保・活用②まちの活力と個性を支える多様な都市公園の弾力的な運営③幅広い主体と協働により質を向上させていく仕組みの構築などの具体的な施策を推進することが必要としている。

 今後、広場空間の実態調査、実例と分析と課題抽出、多様な都市公園の運営のあり方の整理などを行い、来年1月ころに最終とりまとめを検討することになっている。

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 何度かこの「検討会」を傍聴した。進士五十八座長(東京農大名誉教授・元学長)を筆頭に各委員が遠慮せず自由に発言していたので、ものすごく面白かった。

 もっとも注目したのは、「都市公園」のあり方だけでなく、「オープンスペース」「緑」「都市空間」などを含めた都市全体のあり方に各委員が言及し、都市公園法などを硬直的に解釈・管理するのではなく、柔軟な運用・運営によって多様な対応が可能だと各委員が指摘したことだ。

 いま、都市公園の中に保育所などの子育て支援施設、老人デイサービスなどの高齢者福祉施設、観光関連施設、にぎわい・地域活性化施設の設置の是非が論議されているが、検討会はどのような方向性を打ち出すか。都市公園はもともとそのような機能を備えており、弾力的な公園運営を進めるべきとしている。

 都市公園内の施設建設につい関連することだが、今から6年前、東京都の民設公園制度を活用して東京建物・西武鉄道のマンション「Brillia L-Sio 萩山」(全184戸)が建設された。

 この制度によって、敷地の底地権はマンションの管理組合が所有し、マンションの維持管理費とは別に月額25万円(1戸当たり平均約1400円)を公園の維持管理費用に当てる。公園を一般に公開することを条件に、公園にかかる固定資産税、都市計画税は減免され、実質的に無料となる。

 東京建物と西武鉄道は公園部分に地上権を設定。管理組合の委託を受けて向こう35年間、公園の維持管理を行う。長期の管理基金として1億500万円を拠出している。東大和市は、公園内に設置されたトイレのみを管理する。

 マンション居住者は広い公園を所有し、維持管理にも貢献しているという満足感を味わえるし、行政は維持管理に関する費用負担を抑えられるという「Win Win」の関係が保たれていると思うのだが、その後、まったく供給されていない。なぜだろう。

なぜ農学、環境、家政学者の会合はおおらかなのか 国交省検討会(2015/3/17)

都の民設公園第1号「萩山 四季の森公園」開園祭り(2009/10/5)

 

 

カテゴリ: 2015年度
 

 

 

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