国立市議会 上原元市長に対する求償権行使を求める決議
国立市議会は5月19日、先の市議選で上原公子元市長を支持する国立・生活者ネットワークの候補3名が全員落選したため議会勢力図が逆転したことを受けて、上原元市長に対する求償権の行使を求める決議を賛成13名、反対8名で可決した。
議決では、これまでの経緯に続いて「さる4月26日に実施された統一地方選挙の結果、佐藤市長は、圧倒的多数に支持を受けて再選され、国立市議会の議員構成にも大きな変化が生じた。この選挙結果は、国立市における直近の民意を反映するものであることは言うまでもない。そこで、国立市議会は、改めて上記放棄決議に反対の意思を表明するとともに、佐藤市長に対して下記のような求償権の行使を求める」としている。
「下記のような」とは、東京地裁平成21年(行ウ)第249号損害賠償請求事件(住民訴訟)のことで、上原元市長に3,123万円と金利分を支払うよう求めた判決。
国立「求償権裁判」 被控訴人(上原元市長)側が弁論・意見陳述
公判後の集会で挨拶する上原氏
国立市が上原公子元市長に損害賠償金の「求償」を求めた裁判(東京地裁平成26年9月25日判決言渡し)の控訴審第2回口頭弁論が5月14日、東京高裁で行われ、被控訴人(上原氏)と代理人が意見陳述・弁論した。市側は「求償権に関する決議の採択がなされる予定で、これを書証として提出するには1カ月はかかる」とのみ答弁し、閉廷。次回は7月16日の予定。以下、被控訴人側の意見を紹介する。
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中村晋輔弁護人は事実論として、先の住民訴訟判決について触れ、「このような裁判所の認定こそ、強引かつ異例な認定であり、証拠に基づくことなく、被控訴人(上原氏)に対する悪意や偏見に基づいた不公平かつ不相当のもの」と指弾。明和マンション訴訟についても、運動は「被控訴人が扇動したものではなく、住民が自主的・自発的に結成して、進められたもの」で、地区計画も同様に住民が主導したもので、また、「被控訴人は、明和地所という特定の企業の営業活動を狙い撃ち的に妨害しようとしたのではなく、あくまで景観保持という政治理念に基づいた行為」であり、「原判決は正当なものであり、本件控訴は棄却されるべき」と主張した。
田中隆弁護人は違法性論に言及。上原元市長が行った地区計画・条例改正、市議会での答弁、東京都への要請など一連の行為には違法性がないと主張。さらに、「にもかかわらず、明和訴訟控訴審判決などは、それぞれの行為がいかなる意味で違法性を帯びるか明らかにできないまま、恣意的な3つの基準を持ち込んで、『全体的に観察すれば違法』と決めつけただけのもので、法的評価に値しない」と論じた。求償権の行使は、私利私欲による場合などに限定すべきという考えを示した。
上原氏は、自らが取った一連の行為について、「市民の血のにじむような努力に応えて、議会を含めて、行政も『オール国立』の問題として全身全霊をかけて取り組んできました。そして、その結果が、『保護すべき景観利益』という最高裁判断と、『景観法』制定という形で、国を動かした…地方自治の成果に対して、後に、退職した市長に求償という形で責任を負わせることが認められるならば、今後、民意を一身に受けた首長の決断に大きな制約を生じることはあきらか…この裁判の判決如何によって、今後の地方自治のあり方に、大きな影響があることは間違いない…より個性的で価値あるまちづくりの模範的ケースである国立市の景観問題が、政治的圧力の事例にならないよう、裁判所の公正なご判断がなされるよう、切に希望します」などと陳述した。
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裁判後の住民側の集会で、窪田之喜弁護人は「秋に行われそうな第2回目の裁判で結審となりそうだが、(市側から)どのような内容が出てこようが切り返す」と決意を述べた。
また、国立市議会は先の求償権放棄決議に反対する新たな議決を準備していることが報告された。5月19日に行われる議会で決議される模様だ。
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法廷で3名の弁護人の陳述に続いて、淡いグリーンの和服姿の眼鏡をかけた女性が立ち上がり、用意した文章を読み上げた。40席ある傍聴席はすべて埋まり、最後列に座っていた記者は顔がよく見えず、弁護人が上原氏の陳述を代弁しているのかと思った。
その女性が着席し眼鏡をはずしてやっと上原氏だということが分かった。10数年振りにお会いする上原氏はずいぶんほっそりと見えた。
記者がこれまで書いてきた一連の国立マンション問題の記事に対して、〝上原バッシング〟だとか、〝明和からお金をもらっているんじゃないか〟などといった批判もあるようだが、これはまったく的外れであることを断言しておく。
記者は上原氏に対して個人的にはなんの恨みつらみもないし、むしろかわいい人だと思っている。市長として行った行動が、明らかに法律を逸脱していたからこそ書いているにすぎない。
〝お金…〟については〝おほめ言葉〟として受け取る。記者は当時、この問題は「国立市対明和」ではなく「全国の自治体対不動産業界」の問題であると考え、「こんな違法な行為を許せば、全国いたるところで建物の絶対高さを規制する動きが始まる」と主張し続けた。明和問題がきっかけに燎原の火のごとく、建築物の絶対高さを定める条例が広まったのは周知の事実だ。「上原さんの暴走がなければ…」と今も悔しい思いをしている。その意味では上原氏は憎い。
しかし、記者はこれまで40年近く、いかなるデベロッパーからもお金をもらってその企業を利する記事を書いたことはない。仮に明和からお金をもらって記事を書けるのなら、ほかのデベロッパーからもお金をもらって記事を書く。
そんな記事を書いてきたら、田園調布は無理としても家の一つや二つは建つはずだ。上原氏の一連の行為は〝私利私欲〟に基づくものでないと主張されることと同様、記者はお金では動かない。そんなことをしたら自殺行為だ。自死する勇気は記者にはない。
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以下は取材に同行した岡田寛子記者が書いたもの。ほとんど手を加えず紹介する。
記者は、今回の国立市対元市長上原氏に対する求償事件の発端ともなった国立マンション事件(民集60巻3号948頁)から、一連の経緯について関心を持ってきた。
先日、国立市議会議員選挙のあと、国立市役所へ取材に行くため、初めて駅に降り立ち、一橋大学まで続くイチョウや桜並木は素人目で見ても緑の芽は鮮やかで美しく、非常に綺麗な街並みを「みんなで守っている」ということが伝わってきた。
また取材を受けてくださった市議の方々も、今後の活動について市民のための街つくり・環境つくりに取り組み、住民のための政治をしたいと口にする議員もいた。この街における「景観」を守ろうという意識の高さを感じた。
そして、市民の方々にも今後の市政に対する期待や意見等を伺ったのであるが、当時の上原氏の政治活動については「きっと上原さんは、市民を思って行動してくれていたと信じていますよ」と。そして求償権については「もう終わったことだから、水に流していいんじゃないのですか」と非常に寛容な意見を頂戴した。
記者は、原審の判決言渡しにある通り、上原氏の行為に「違法性」はなかったと考えている。
確かに、当時(詳細は本HPの関連記事を参考にされたい)市長のとった一連の行為は、「明和地所を狙い撃ちにする行為であり、明和地所を街から排除するためのものだ」との強い批判も多くあった。
しかし、今一度ここで考えてほしい。
果たして、市長が「そこに住まう人のよりよい生活を確保するために」した公務を裁判所が“違法”と判断したことが、ただちに市長個人に直接の賠償請求を安易に認めることが民主主義のあり方なのだろうか。
これがまかり通る社会になっては、市長の公務に委縮効果をもたらし、憲法92条に定める「地方自治の本旨」を絵に描いた餅にしてしまうのではないか。
民主主義社会の実現のために市民と行政がパートナーシップを築くことで、より市民に配慮の行き届いた行政活動をすることが、市長の役割であり、望ましい市民自治のあり方なのではないかと考える。(岡田寛子)
国立市議会勢力図が逆転 どうなる上原氏への損害賠償請求(求償権)(2015/5/1)
上原・元国立市長への求償は当然 議会「決議」の法的効力は? (2015/1/31)
「求償権の放棄」は問題 国立市は上原元市長に賠償請求すべき(2014/10/1)
不動産協会が総会 「2020年の先を俯瞰する提案もしたい」木村理事長
不動産協会は5月14日、第55回定時総会終了後に懇親会を行った。
冒頭に挨拶した木村惠司理事長(三菱地所会長)は今年度の重点活動について4点を挙げ、「第一に、都市と住まいに関しては、2020年の先を俯瞰し、中長期的な視点から民間の役割、政策はどうあるべきかなどを提案し情報も発信していきたい。第二は大都市問題。国家戦略特区、規制緩和などについて行動していく。第三は豊かな住生活はいかにあるべきかについて。国交省も住生活基本計画の見直し作業に入った。スマートウェルネスシティなどについて考えていく。第四は税制問題。固定資産税や消費税の軽減税率などについて理論武装していく」と語った。
また、海外からのインバウンドにどう対応していくか、エネルギー・資源問題も大きな課題であること、都市再生を地方創生につなげていくことも大事などと話した。
乾杯の音頭を取った岩沙弘道会長(三井不動産会長)は、「今年はデフレからの脱却、強い経済を取り戻す正念場であり、成長戦略の道筋を構築しよう。明るさは見えてきている。2015年が日本再生元年になるようにしなければならない」などと語った。
来賓として挨拶した鈴木馨祐・国土交通大臣政務官は、大都市圏での容積率の緩和にも言及した。
マンション管理協 「マンションいい話コンテスト2015」募集
マンション管理業協会がマンション居住者や管理組合などによるマンションライフを豊かにする様々な工夫や活動を応援するマンションライフ総合支援キャンペーンの第2弾として「マンションいい話コンテスト2015」を実施する。
マンションを舞台に、管理組合や居住者がマンションライフを豊かにするための様々な工夫や活動を通して、人と人とのつながりの中から生まれた「よろずエピソード」を広く集め、これを顕彰することで、管理やコミュニティの重要さについて普及啓発をするのが目的。
募集期間は平成27年5月1日(金)から7月31日(金)まで。9月に入賞作品を発表し、12月10日(木)の表彰式でグランプリの発表を行う予定。
詳細は、「マンションのWa」ホームページ内の「マンションいい話コンテスト2015」特設サイトhttp://mansion-wa.com/へ。
豊島区新庁舎 盲導犬トイレがあるのにどうして食堂や喫煙室はないのか
豊島区新庁舎が本格稼働した5月7日、マンション管理推進条例の取材のために訪れた。完成してから2度目の訪問だった。条例の記事を書く前に横道わき道回り道。
新庁舎が立派なビルであるのは完成時も書いた。環境に配慮し、ユニバーサルデザインにも工夫を凝らしている。オフィス全体もゆったりしていていい。しかし、どうしても納得できないことが2つある。
ひとつは職員食堂がないことだ。新庁舎の2階には飲食店が和食の「季の庭」と中華の「梅蘭」(現在は工事中)が入居するが、あとはコンビニのみ。庁舎外の近くには飲食店は少なくとも徒歩数分圏内には記者が歩いた限りほとんどない。
区によると、職員が食堂を利用するのは限られた時間で効率的でなく、近隣の飲食店にも配慮して設けなかったという。旧庁舎時代でも職員食堂はなく、23区では唯一職員食堂がなかったそうだ。
しかし、職員食堂がないというのはいかがなものか。もちろんコンビニで弁当を買おうが、飲食店を利用しようが、自宅から弁当を持参しようが職員の勝手だし、オフィスワーカーの昼食がどのようなものか記者は知らないが、豊島区新庁舎には約1,300人が働き、一般の人も利用する。職員も一般の人も安い料金で利用できる食堂くらい設置していいのではないかと思った。職員食堂はコミュニケーションの場でもある。
他の庁舎はどうか。農水省はごはんがおいしい。国交省もまずまず。国会図書館は全然改善されていない。港区はもちろん一般の人も利用できる職員食堂があり、庁舎外の提携している飲食店を職員が利用した場合、割引料金になるそうだ。豊島区は職員が庁舎内の飲食店を利用しても一切割引はない。
丁度昼時だったので、庁舎から徒歩数分のタバコが店の外で吸える小さなラーメン屋さんでラーメンを食べ、店の人に聞いた。「お客さんが増えると期待していたが、1割くらい増えたのみ」と話した。職員はいったい昼食をどうするのだろうと気になった。多目的スペースが1階にあるはずだが、全然気が付かなかった。
もう一つは喫煙室が全くないことだ。これについては多く触れないが、都庁はタバコが吸える食堂もあるし、喫煙室も随所に設けられている。最近のオフィスビルは喫煙室を設置するのが常識だ。2階のコンビニには喫煙室があるそうだが、まさかタバコを吸うためにコンビニを利用するわけにはいかない。何か買うことになる。
職員食堂も喫煙室もない豊島区新庁舎で働く職員の仕事の能率が下がるのではないかと心配になってきた。労働環境としてはいかがなものか。「自然環境」も大事だが、そこで働く「人」の環境も重視すべきだ。隈研吾氏はこのことを知っているのだろうか。「盲導犬」のトイレは設置されていた。
屋上に里山とせせらぎ、格子デザインも美しい豊島区新庁舎が完成(2015/3/26)
旭化成リフォーム シニア向けリフォーム商品「家事郎(イエジロー)の一日」
旭化成リフォームは4月30日、2階建ての1階部分を全改装したリフォーム商品「家事郎(イエジロー)の一日」を5月1日発売すると発表。
「家事郎(イエジロー)の一日」は、定年退職期を迎える世代の夫が今以上に簡単・便利・快適に家事に参加できるアイテムをパッケージ化。
具体的には、旭化成ホームズが過去に供給した戸建住宅「へーベルハウス」の2階はそのまま、1階の間取りを全面リフォームすることで「快適ワンフロア生活」を提案。キッチン、浴室、洗面、トイレなど基本設備を含む1階の基本改装工事を行い、調理・収納・洗濯・掃除・DIY・庭仕事をサポートするアイテムを用意する。
現在ある「へーベルハウス」24万棟のうち、60代以上が居住する戸建ての数は10万棟。この10万棟を対象に、1年間で200棟ずつ販売する目標、980万円で発売する。今後は「へーベルハウス」の戸建て住宅だけでなく、旭化成不動産レジデンスのマンションや二世帯住宅にも本商品の販売を展開する予定。シニアのリフォームマーケット拡大を狙う。
(岡田寛子)
国立 市議会勢力図が逆転 どうなる上原氏への損害賠償請求(求償権)
国立・大学通りに面した明和地所のマンション
国立市議会の勢力図が逆転――統一地方選の後半戦の投開票が4月26日行われ、市議会勢力がどうなるか注目されていた国立市議選(定数22)は、自民・公明らの勢力が共産・社民らの勢力を上回り、従来の図式が逆転。元市長・上原公子氏に対する求償権行使・放棄論議に大きな影響を与えそうだ。
国立市では、明和地所のマンション建設をめぐる行政訴訟が係争中で、市は同社に支払った損害賠償金約3,120万円を当時の市長だった上原公子氏に支払うよう求めており、第1審の東京地裁判決は市の訴えを退けた。これに対し市は控訴している。上原氏を支持する共産・社民党らの多数派議員は、求償権を放棄すべきと議会で決議している。
求償請求は当然とする立場の自民・公明党のうち、自民党は今回7人を擁立、一人は落選したが、青木健氏(市議会議長)がトップ当選するなど5人から6人に増えた。公明党は立候補した3人が全員当選。このほか、両党と同じ立場に立つ民主党・稗田美菜子氏、無所属・藤江竜三氏と、新人で女優の石井めぐみ氏らも当選。最大会派の自民党から議長を選出しても過半数の11人を確保することが確実となった。
一方、上原公子氏が1999年に市長当選したときの支持基盤だった国立・生活者ネットから立候補した3人全員が落選。前回平成23年の市議選で当選した3人の得票数約2,900票から約2,000票へ30%も減らし、1991年以来保持しけてきた議席を失った。
また、これまで5期連続当選を果し、現在副議長を務める維新の党・生方裕一氏も前回得票数約1,600票から約1,000票も減らし落選。生方氏は昨年12月、議員提案による「求償権放棄」を議決したときの議案提案者の一人として名を連ねていた。共産党は得票数を増やし3人全員が当選した。
この結果、求償権を放棄するべきと主張する議員は8人程度にとどまると思われる。
前回、上原氏に求償することを選挙公約に掲げ当選した佐藤一夫市長は、対立候補に約1万票の差をつけ再選を果たした。
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今回の選挙で求償権は争点になったのかどうかを探るため、投開票の翌々日28日、国立市に取材に出かけた。
当日午後、国立駅前で当選御礼の街頭演説をしていた公明党・小口俊明氏に早速声を掛けた。小口氏は「もちろんわが党は求償すべきという立場だが、求償権が選挙の争点になったかと問われればノー」と答えた。
当選のあいさつに市を訪れていた石井めぐみ氏も求償権は行使すべきと話した。2期目の当選を果たした無所属・藤江竜三氏は「裁判所に是非を委ねている案件。議会が決議などするべきではない」と、議会の決議そのものに反対の姿勢を明らかにした。
求償権を放棄すべき考えの無所属・望月健一氏は「わたしは選挙でその件ではまったく触れていない。早く収束すべき」と電話口で答えた。共産党のある議員は求償権を放棄すべきと話したが、「正式には党の責任者に聞いてほしい」と話した。
市民数人にも意見を聞いた。「選挙公約にはそんなこと誰も書いていなかった」(30代女性)「市長もその時は市民のことを思って行動してくれていたものと信じているから、過去に起こったことは水に流し、今後の市政に期待したい」(60代女性)。「過去にそういう事件があったことは知っているが、もう済んでしまったこと。元市長に求償することは酷。求償権を放棄することは仕方ない」(70代女性)など、あまり関心がないことをうかがわせた。
このように、議員や市民の声を聞いた限りでは、求償権は今回の選挙でほとんど争点にならなかったことが分かった。
市が上原氏に損害賠償を求めている東京高裁の2審判決は5月14日(木)に出る予定。
国立・大学通り
東京建物 認可保育園を併設したサ高住「グレイプス川崎新町」開業
「グレイプス川崎新町」
東京建物は4月25日、ベネッセスタイルケアが運営する認可保育園を併設したサービス付き高齢者向け住宅「グレイプス川崎新町」を開業した。
1 階に認可保育園、2 階屋上庭園に菜園を設け、草花や稲・野菜といった植物を高齢者と保育園児が一緒に育てる取り組みを予定。日比谷花壇グループのご支援のもと草花や稲・野菜を育てる菜園を設置する。住宅は介護が必要でない人から要介護5の人まで入居できる。
物件は、R東海道本線・京浜東北線・南武線川崎駅からバス7分徒歩3分、川崎市川崎区小田栄2 丁目に位置する6階建て69戸(他に認可保育園・訪問介護事業所・居宅介護支援事業所)。専用面積は18.27~59.51㎡、月額賃料は81,000~287,000 円。月額管理費は15,000円(浴室あり)・20,000円(浴室なし)。基本サービス(税込)37,800円(1人入居)・64,800円(2人入居)。食費(税込)は朝食378円・昼食648円・夕食594円・3食30日分:48,600円。運営受託はツクイ。
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先日は、サ高住と子育て世代向け賃貸住宅が併設されている積水ハウスの「神楽坂」を見学した。
今回のサ高住と保育園が一体となって建設されるケースはそう多くないはずだ。双方が一緒になって植物を育て、収穫し食べる取り組みが、高齢者の健康維持や子どもの成長にどのような影響を与えるのか興味深い。
「花は夫婦の絆・カジノは緑が重要」 的を射た涌井・東京都市大教授の仮説
涌井史郎・東京都市大学教授が、4月24日開かれた国交省第4回「大都市戦略検討会」で刮目すべき仮説を披露した。一つは、田園都市線沿線では花屋とペットショップが増えているのは、花やペットが高齢者夫婦の絆として大きな機能を果たしているからだという。もう一つは、カジノの顧客が大金を注ぎ込むのは賭場にたくさん植えられている「緑」が投機意欲を掻き立てるのだという。本当だろうか。検証してみた。
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まず前者。涌井教授は、「田園都市線で花屋とペットショップだけが増えており、わが家がそうですが、花が夫婦の絆をかろうじてつなぎとめている」と話し、各委員の爆笑を誘った。
さて、田園都市線で本当花屋やペットショップが増えているのか。これは調べようもないが、厚労省や経産省などの全国のデータからすると、的を射ているかもしれない。
ご存じのように農林漁業や建設関係の従事者は激減しているが、花屋はここ10年くらい微減にとどまっている。涌井教授の仮説がまんざらでないことをデータは示している。
さらに、経産省の報告書などは涌井説を後押しもしている。涌井教授のような高額所得層の購入金額が高く、花を買うときは「『自分』の次に『母親』、『妻』のために買うことが多い」とある。「切花は、嗜好品よりも必需品的であると言える」とまで書かれている。将来の需要予測でも、高齢者世帯数の増加要因などで2025年までは微増傾向で推移すると予測している。
つまり、涌井教授が「私の妄想妄言ですから」と断った仮説は当を得ている。みなさん、もうすぐ母の日。お金のない人は野草を贈ろう。記者のお勧めは「ドクダミ」だ。
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もう一つ、カジノ(ギャンブル)と緑の関連性について。記者はカジノなるものを見たことがないので何とも言えないが、わが国の競馬、競輪、競艇、オートについては涌井説が成り立つように思う。
競馬はどうか。儲かっている中央競馬会の東京競馬場は外周部にケヤキ、さくらなどの大木がたくさん植わっている。ターフも、ダート(砂)がないわけではないが「緑(芝)」が中心だ。コースの中も芝が植えられ、子どもの遊び場になっている。緑の効果はてきめんだ。一方、苦境が続く地方競馬は、ほとんどがダート。すべてではないが、涌井説を裏付けている。
次に競輪。これも青息吐息。廃止に追い込まれるところが続出している。競輪場の樹木もどこか元気がないし、競走路(バンク)はコンクリートかアスファルト。緑はない。つまり、涌井説を補強する材料だ。
競艇はどうか。競艇は選手の数が少なく、その割に開催日が多く、つまり回転率が高いせいか財政的には健闘しているようだ。コースは緑と親和性が高い「水」だ。益々涌井説を確固たるものにするではないか。
オートは数が少なく、記者はテレビでしか見たことがないが、売り上げは低迷している。もちろんコースはアスファルト。ここも緑は少ない。涌井説の正しさは論を待たない。
この伝で考えれば、いま検討されているカジノ構想はどこも緑が豊富とは言えない。わが多摩市は都内で有数の緑が豊富な市だ。誘致に名乗りを上げてくれないか。涌井教授は「多摩市みどりのあり方懇談会」の会長を務めた。
涌井教授の名誉のために断わっておくが、涌井先生がこの仮説について話されたのはプレゼンターとして話された30分くらいのうちのわずか1分もない。会を和ませるためのウイットに過ぎなかった。ほんの冗談でいったことでも、このように真剣に考えさせるところが涌井流だ。涌井教授はギャンブルはしないのだそうだ。なるほど、あてずっぽうで話したことではないということか。
積水ハウス サ高住と子育て賃貸共存型の「神楽坂」完成
「マストクレリアン神楽坂」
積水ハウスは4月24日、多世代交流型賃貸マンション「マストクレリアン神楽坂」の記者見学会を行った。事業者メヂカルフレンド社のコンペで選ばれたもので、サービス付き高齢者向け住宅(45戸)と、子育て向け賃貸住宅(71戸)を併設した賃貸マンション。
医療・介護関係の出版社であるメヂカルフレンド社の小倉隆宏専務は、「5つの企業グループによるコンペで積水さんを選んだのは、第一にサ高住と子育て賃貸の『きがなの街』の提案に共感か持てたこと、第二に賃貸のノウハウを持たない当社にとって一括借り上げは安心であること、第三に積水さんの情熱に背中を押してもらったこと。スピード感をもって高い満足度をいただいた」などと話した。
また、積水ハウス常務執行役員の堀内容介氏らは、立地適性に応じて自立型のサ高住を中心に共存型も手掛けていくと語った。
同社は、現在、全国で供給されたサ高住177,824戸のうち5.37%に当たる9,564戸を供給しており、2014年度の受注額は665億円。2020年までに5,000戸の供給を目指す。
「マストクレリアン神楽坂」は、東京メトロ神楽坂駅から徒歩6分の10階建て全116戸。完成は平成27年2月。サ高住の専用面積は52.49~85.67㎡、賃料は19.1万~27.0万円/月。管理費は25.万円。生活支援サービス費は1名入居が3.1万円/月、2人入居の場合1人付き1.5万円/月。食費は朝食が500円、夕食が800円。現在、25戸が契約・入居申込済み。
賃貸は、同じ面積で賃料は約18万~29万円。40戸が契約・申込済み。企業の社宅がほとんど。
屋上テラス
食堂
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記者は、個人的に高齢者ばかりのマンションには住みたくない。サ高住には何だか姥捨て山のイメージが付きまとう。やはり若い世代も住むマンションのほうがいい。
その意味で、同社の「古河庭園」もそうだったが、今回の「神楽坂」はいい。金持ちも貧乏人も歳よりも若者も子どもも一緒に住むのが街だ。今後の大規模な「江古田3丁目」にも期待したい。
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〝これはいい〟と思ったのは、賃貸のサッシクレセントが子どもの手が届かないところに設置されており、物干し竿が天井ではなくサッシ枠から引き出すように設けられていたことだ。よく工夫されている。「オークス」製。難点は、使用するときはカーテンが物干し竿の外側(サッシ側)から閉められないこと。部屋の中が丸見えになる。すっぽりかぶせれば、外から物干し竿と洗濯物が外から浮かび上がる。これは具合が悪いのでは。
一つ解せないのが食事代。サ高住の居住者は500円と800円なのに、どうして賃貸居住者は1,000円と1,300円なのか。その日は明快な説明がなかった。先ほどフロントに問い合わせたら、サ高住の居住者はサービス費から支払っている部分だけ安いのだそうだ。これで納得。しかし、朝食代が1,000円というのは高いのでは。
物干し竿(収納されている状態)
引き出した状態