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「つみき」イメージ

 森林保全団体more trees(モア・トゥリーズ)と世界的な建築家・隈研吾氏がコラボし、宮崎県諸塚村の国産スギを素材にした新しいつみきデザインを発表、9月29日(火)まで「クラウドファンディングサイト マクアケ」で開発資金を募っている。

 建築の要素を取り入れたシンプルな山型のつみきは、簡単にインテリアオブジェをつくりだすことができ、デスクや本棚の上に飾るなどインテリアのアクセントや子どものおもちゃにもなる。素材に国産スギの無垢材(無塗装)を使用しているため木の温もりを感じてもらえると、支援参加を呼び掛けている。

 more treesは「もっと木を」をコンセプトに、音楽家・坂本龍一氏によって2007年に設立された森林保全団体。国内では間伐を、海外では植林による森林再生を中心に自治体や現地の人々とも協力し、様々な活動を行っている。

 クラウドファンディングの詳細はこちらから。

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more treesホームページから

東京ミッドタウンに隈研吾氏デザインの国産スギを用いたつみき展示(2015/8/19)
 

カテゴリ: 2015年度

 長谷工グループは11月1日(日)、管理組合の方を対象とした改修・建替えに関する「マンション再生セミナー」を開催する。

 今回は8回目のセミナーで、テーマは「あなたのマンションの将来を考えよう」。同社グループの長谷工総合研究所、長谷工コミュニティ、および弁護士の戎正晴氏が“マンション再生につながる情報を提供する。

 同社グループは1980年に専門部署である「建替え相談室」を設立して以来、32件の建替え事業を推進(竣工済28件、施工中3件、準備中1件)、昨年4月には高経年マンションの相談窓口としてマンション再生事業部を新設している。グループの修繕・改修実績は約43万戸で、マンション管理戸数は約31万戸。

 日時は11月1日(日)13:50~16:50、会場は「建築会館ホール」(東京都港区芝5-26-20)、定員は100名(完全予約制)、参加費は無料。

 参加希望は≪セミナーお申込フォーム≫http://www.haseko.co.jp/saisei/seminar/

 または≪フリーダイヤル≫長谷工コーポレーション マンション再生事業部 0120-095-356(受付8:30~17:00、土・日・祭日除く)へ。

 

カテゴリ: 2015年度

 東京都港区の課税標準額1,000万円以上の納税者は平成27年4月1日現在で19,003人となり、過去最多だった前年度の17,830人より1,173人、6.6%増加していることが分かった。区全体の納税者に占める割合も前年度の14.0%から14.5%に増えた。

 その半面、課税標準額が1,000万円以上の層の総所得額は前年度の1兆776億円から8,112億円へと約2,700億円も減少した。これは税法が改正され、平成25年12月31日までに株式などを売却した場合の税率が10%だったのが、26年1月以降には20%になるため、前年度は駆け込みで大量に株式などが売却されたためのようだ。

 また、所得割額は区全体で628億円であるのに対し、課税標準額1,000万円以上の層は414億円となり、区全体に占める割合は前年度の67.3%から65.9%へと減少した。

 こうした高額所得者の増加やその他の給与所得者の所得が増えたこと、さらには前年に所得が大幅に伸びた人への課税額が増えたことなどで、同区の平成26年度の特別区民税は730億円で前年度比18.6%増の高い伸びを示した。一般会計歳入額も1,605億円で前年度比37.6%増と激増している。

港区 課税標準額1000万円以上の層 過去最高の約18,000人(2014/9/24)

カテゴリ: 2015年度

 国土交通省は10月10日、省CO2の実現性に優れたリーディングプロジェクトとなる住宅・建築プロジェクトを国が公募し、整備費等の一部を補助する「サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」の平成27年度第1回採択プロジェクト9件を発表した。

 不動産業界からは、建築物(非住宅)として三井不動産レジデンシャルの「渋谷区スマートウェルネス新庁舎プロジェクト」が採択された。

 このプロジェクトは、渋谷区の新区庁舎・公会堂の建替計画で、庁舎に適した省CO2技術を結集するとともに、自然採光・自然換気・緑化ルーバーやゆらぎを生み出す空調システムなどによって、健康で快適な執務環境の実現を目指すもの。

 共同住宅は福岡県住宅供給公社の「ふくおか小笹賃貸共同住宅における燃料電池を利用したエネルギー融通プロジェクト」、戸建て住宅はアロック・サンワの「福井発『子育て応援・住教育』プロジェクト」が選ばれた。

カテゴリ: 2015年度

 美しい森林づくり全国推進会議と林業復活・地域創生を推進する国民会議が10月6日(火)、「2020年に向かう、新たな森づくりシンポジウム~都市での木づかいから生まれる森と木の循環、そして地域創生へ~」と題するシンポジウムを全国都市会館「大ホール」(千代田区平河町)で開催する。

 都市での木づかいが、地域における森づくりにや地域創生につながっていく新たな循環を作りあげていくことが必要であることから、産業界、建築業界、林業・木材産業界、行政等の幅広い関係者が集い、オリンピック・パラリンピックが開催される2020年を一つの区切りとして、木づかい・森づくり・地域創生の方策を議論する。

 涌井史郎氏(東京都市大学教授)、林野庁代表者、山本恵久氏(日経アーキテクチュア元編集長)、網野禎昭氏(法政大学教授)などが基調報告、概要報告、パネリストとして参加し、宮林茂幸氏(美しい森林づくり全国推進会議事務局長、東京農業大学教授)がパネルディスカッションのモデレーターを務める。

 参加費は無料。定員約300名になり次第申込を締め切る。

 詳細はhttp://mori-zukuri.jp/topics/2015/09/08/6029.htmlへ。

カテゴリ: 2015年度

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山岸氏

 不動産業界で先駆的な「女性活躍」の取り組みを行っているのが大京だ。オリックス専務執行役だった田代正明氏が社長・グループCEOに就任した2005年あたりから急激に変わった。

 2006年、新しいシンボルマークを導入し、グループ全社員共通の「家族想い」を「Family First.」という言葉(ブランドタグライン)に込めた。2007年には「時短」「休日・休暇取得促進」「仕事と家庭の両立支援」を大幅に拡充し、2008年には大京、大京アステージ、大京リアルド(現大京穴吹不動産)が「仕事と子育ての両立支援に取り組む企業」として厚労省の認定マーク「くるみん」を不動産業界ではスターツに次いで2番目の早さで取得。現在、業界最多の3回目を取得している。

 2009年には「大京グループ子ども参観日」を開催し、2010年には育児休暇取得者のスムーズな職場復帰を支援する先輩ママ社員との「情報交換昼食会」を行っている。

 そして今年3月、グループのマンション管理会社・大京アステージが女性専門職による「お客さま係」を立ち上げ、2017年度までに全国24カ所の全支店に配置すると発表した。「お客さま係」は、従来の顧客対応では拾いきれなかった潜在的なマンション居住者の〝困りごと〟を女性ならではの気配りで掘り起し、大規模修繕や商品企画に反映させようというのが狙いだ。

 「女性活躍」第3弾は、「お客さま係」の育成・マネジメントに携わる「大京アステージ ライフサービス事業部CA推進室CA推進課(CAはカスタマーアドバイザーの略、「お客さま係」の社内呼称)課長代理」の山岸真樹氏(44)にお願いした。

 山岸氏にお会いするのは3年ぶりだ。初めて会ったのは、2011年に分譲された「ライオンズ志村坂上レジデンス」「ライオンズ多摩センター ステーションブライト」のモデルルームで、当時は「大京 商品企画部 リビングラボ課 課長代理」だった。エネルギッシュに東奔西走する行動力と説得力のある話し方、商品企画力の確かさなど、その活躍ぶりを目の当たりにして、彼女のバイタリティに惚れ込んだ思い出がある。

◇     ◆     ◇

 山岸氏は開口一番、「わたしたちは御用聞きではありません」と切り出し、次のように続けた。

 「わたしたちはマーケッターです。スタッフはアルバイトやパートではなく、いろいろな部署で働いてきた女性専門職ばかりです」

 「お客さまの声は各部署にフィードバックできるようにしています。たとえば、かつてわたしが商品開発に携わった『L's KITCHEN(エルズ キッチン)』が企画意図通りに使われているかどうか検証することで、わたしもすごく参考になりました」

 「マンションの排水管掃除などに立ち会って、入居者宅を訪問し、困りごとや設備の不具合をお聞きしていますが、作業する男性が部屋に入ってくるのを不安に感じていらっしゃる女性の方が多く、わたしたち女性がいることでその不安が解消されます」

 「細かいことですが、上層階に住んでいる方から『どうして清掃はいつも1階からなの。うちも午前中の早い時間にやってほしい』という声があがりますが、『上の階からやると下の階の排水管が詰まることがあります』と説明すると、納得していただけます。このようにお客さまに近い距離にいるから対応も敏速に行えます」

 同社は、「お客さま係」を立ち上げてからこれまで2,000戸以上の居宅訪問を行っているが、人員はまだまだ増やす考えのようだ。

 山岸氏は「スタッフは総勢14名。近い将来50名くらいに増やしたい。男性中心の職場と違うところは、とにかく時間厳守。保育園の迎えの時間は決まっていますので、だらだらと会議などしていられません」と語った。

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◇          ◆     ◇

 大京の「L's KITCHEN(エルズ キッチン)」を知ったとき、記者はそのきめ細かな商品企画に驚嘆した。その後の業界全体の収納や水回りの設備仕様を劇的に変えたと思っている。

 「L's KITCHEN」の誕生は2005年。女性だけのスタッフ8名で構成するデザインインテリアチームが、座談会やヒアリング、アンケートなどを通じてライオンズマンションに居住する女性、仕事と家事を両立させている女性、専業主婦、子育て中の女性などライフスタイルの異なる女性の声を商品企画に反映させ、女性のため、家族のための使い勝手のよいキッチンが誕生した。

 2006年発売のライオンズマンションから採用され、その後、どんどん進化を遂げていった。例えば、2009年に見学した「ライオンズ石神井公園ステーションゲート」は次のような仕様になっていた。

 調理台には「LILカウンター」と名付けた補助調理台が付いており、三面鏡の裏側には化粧用の拡大鏡が付いていた。カウンタートップには、化粧グッズがたくさん入るボックスもあった。天井のライトは「キレイライト」と呼ぶ自然光、夜用、昼用の3種の調光ライトが付いていた。浴室は音楽が聞け、浴槽をライティングできるようになっていた。玄関のシューズボックスは奥行きを3 センチ広げることで、収納力を通常の1.5倍に広げる工夫もされていた。

 当時、水回り・収納で話題を集めた野村不動産の「Luxmore(ラクモア)」があるが、「ラクモア」の商品化は2008年。「リビングラボ」のほうが3年早い。

 山岸氏は「リビングラボ課」のメンバーの一人。商品企画の意図を理解してもらうため、「もういい。分かった。耳にタコができる」と言われるまで、全国の各支店を東奔西走した。

 その甲斐あって、「L's KITCHEN」は同社だけでなく業界に瞬く間に広まり、その後の商品企画競争に火をつけた。

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お客さま係 イメージ図

大輪が咲くはず 大京アステージ 「お客さま係」新設 将来60名体制(2015/3/17)

大京「ライオンズ志村坂上レジデンス」 浴室と和室の襖に新工夫(2011/10/27)

「量の王者」から「質の王者」へ 大京・ライオンズ(2011/10/28)

カテゴリ: 2015年度

 国立市が明和地所のマンション建設をめぐる訴訟で、市が同社に支払った損害賠償金約3,120万円は当時市長だった上原公子氏が賠償すべきとした裁判(東京地裁平成26年9月25日判決言渡し)の控訴審弁論が9月10日、東京高裁で行われ、判決言い渡しは12月22日(火)と決まった。小林明彦裁判長が言い渡した。

 冒頭、控訴人(国立市)の代理人弁護士が民法422条に基づく技術的な問題をあげ、被控訴人(上原氏)の弁護士もこれを了承。裁判は約3分で終了した。

◇       ◆     ◇

 この問題については何度も書いてきたが、記者は東京地裁の判決を支持する。判決文次のようにある。

 「被告(上原氏)は、普通地方公共団体の長として行政目的を達成する上での中立性・公平性が要請される立場にありながら、建築基準法に違反しない適法建築物である本件建物の建築・販売を阻止することを目的として、少なくとも重大な過失により、自ら主体的かつ積極的に一連の本件違法行為に及び、これにより(明和地所)に損害を与えたことから、国立市らを相手とする(明和から)訴訟を提起され,国立市において(明和)に本件損害賠償金を支払わなければならない事態を招いたものであり、上記一連の行為により国立市が受けた経済的不利益は本件損害賠償金にとどまるものではないことに照らすと、国立市が(明和)から本件寄附を受けたことや国家賠償法1条2項が公務員に軽過失があるにとどまる場合に求償権の成立を認めない趣旨等を考慮しても、なお国立市が被告(上原氏)に対して本件求償権を行使することが信義則に反するとはいえないというべきである」

 「国立市長による本件求償権の不行使は、違法な怠る事実に当たるというべきである」

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「大崎ブライトタワー」商業エリア内観

 三井不動産は9月9日、今年5月に竣工したオフィス・住宅など7棟からなる「パークシティ大崎」の1~2階の低層部を中心に出店する商業ゾーン「パークシテシィ大崎 オリーブテラス」を11日(金)グランドオープンするのに先駆けプレス内覧会を開催した。

 出店するのは、日本の野菜フレンチの第一人者小峰敏宏氏が総料理長を務める「アロムヴェール&ラ・クール・ド・コンマ」や名古屋が本拠の「若鯱家」の新業態「若鯱家-Beyond-」などの飲食店とショップ27店舗。

◇       ◆     ◇

 記者のお勧めは、わが三重県と親戚のような愛知県の名古屋本拠の「若鯱家-Beyond-」と「アロムヴェール&ラ・クール・ド・コンマ」だ。

 「若鯱家」は、土鍋カレーシチューとワインが楽しめる名古屋めしダイニングで、愛知、三重、岐阜の東海三県の地酒なども楽しめる。

 「アロムヴェール&ラ・クール・ド・コンマ」は、ワインの輸入が本業の「ヴィノラム」が出店するもの。梅原茂順社長は、「ウォークインセラーには常時1,200種を揃え、倉庫には60万本ある。レストランでは基本的に店頭で販売する価格にプラス1,000円で飲んでいただけるようにした」と、小峰氏は、「ディナーは5,000円から。ランチは10月からは3,500円だが、9月いっぱいは1,800円で提供する」とそれぞれ話した。

 店には全国から集めたオーガニック果実酒も600円から飲める。梅原氏によると「焼酎や砂糖ではなく、フルーツシュガーでじっくり時間をかけて漬け込んでいるので味は普通の果実酒と全く異なる。フルーツそのものの香りがする。このような果実酒はうちしかないのでは」ということだ。ワインは高額なものでは1本560万円もするものがあるそうだ。

 酒が店頭価格に1,000円プラスして飲めるというのはいかにも安い。飲食店は料理より酒で儲けるというが、梅原氏は「レストランだって値段は下げられるはず」と語った。

 ディナーは9月はほとんど満席だそうで、予約(電話03-6277-4108)したほうがよさそうだ。

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「若鯱家-Beyond-」

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「アロムヴェール&ラ・クール・ド・コンマ」

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小峰氏

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ポラスグループの「建築技術訓練校」

 国土交通省は9月4日、平成27年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)の6つのプロジェクトを決定した。

 この事業は、木造・木質化による先導的な技術の普及啓発に寄与する住宅・建築物のリーディングプロジェクトを公募の中から採択し、整備費などの一部を補助するもの。

 今回採択されたのは、埼玉県越谷市のポラスグループの「(仮称)ポラスグループ建築技術訓練校」事務所、大阪市豊中市の学校法人・森友学園の小学校校舎と体育館、江東区の太陽工業のスポーツ練習場、宮城県石巻市の中心市街地再生町家スタイル推進プロジェクトなど6件。

 「(仮称)ポラスグループ建築技術訓練校」は3階建ての事務所棟と平屋の実習棟で、延べ床面積1,371㎡。一般流通集成材を集束して形成する「合せ柱・合せ梁・重ね梁」を用い木造の準耐火建築物(60分耐火)として建築。実習棟内部に合板パネルを意匠的に配置するなど、内装を積極的に木質化したのが評価された。完成予定は来年3月。

 森友学園の校舎・体育館は3階建て延べ床面積は5,678㎡。防火地域で鉄骨造ではあるが、建物の内外部、また教室の床材に不燃化した杉材などの木質材料を使用しているのが特徴。

 太陽工業のスポーツ施設は延べ床面積1,745㎡。トップパラリンピア育成支援の拠点として計画するとともに、ランニングをテーマに地域コミュニティを形成する機能を持つ施設。工場加工によりユニット化した6角形架構を現場で組み上げ、アーチ形状の屋根を形成。接合部が簡易で、仮設建築にも応用可能。ユニークな外観も特徴。

 石巻市のプロジェクトは、5階建ての店舗・共同住宅・宿泊施設からなる延べ床面積は1,733㎡。1階をRC造、2~5階を木造軸組とし、特殊な技術によらない在来工法による耐火建築を実現した。

 このほか採択されたのは、新潟市の木造2階建て丸太組構法の「(仮称)セルフ片山・新潟屋団地店」と、三重県菰野町の縦ログ構法を採用した2階建て特別養護老人ホーム「(仮称)真菰の里」。

◇      ◆     ◇

 今回採択された6つのプロジェクトに対する補助金総額は約3.6億円。多いのか少ないのかの判断材料はないが、木造が好きで、わが国の森林・林業の再生を願う記者はものすごくいい制度だと思う。残念なのは応募したのは7件しかなかったことだ。補助金を増やせば応募が増えるのであれば、もっと増やしてもいい。国費は使うべきところに注いでほしい。

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森友学園の校舎と体育館

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太陽工業のスポーツ施設

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石巻市の中心市街地再生町家スタイル推進プロジェクト 

 

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 日本木造住宅産業協会は先に「平成26年度自主統計および着工統計の分析」報告会を行なったが、記者は品確法による性能評価住宅と長期優良住宅認定戸数が増えてこないことに注目した。

 品確法は、「住宅性能表示制度」「瑕疵担保責任の10年間の義務付け」「住宅に関する紛争処理体制の三つの柱からなる消費者を保護する法律で、平成12年に施行された。

 長期優良住宅は、平成21年に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」により住宅を長持ちさせ、環境への負荷を減らす認定制度のことをいう。

 詳細は省くが、双方とも似たような制度で、耐震性、劣化対策、維持・管理、省エネ性などの評価項目など半分くらいは重なっている。長期優良は居住環境も評価項目に入っており、税制面でも品確法よりやや優遇されているのが異なる点だ。

◇     ◆   ◇

 考えなければならないのは、品確法も長期優良も〝ビンキリ〟で、最下級にランクされるものは建築基準法に定める「最低基準」とたいして変わらないにも関わらず、戸数が増えないことだ。どちらの制度も受けていない6割以上の戸建ては中古市場でどう評価されていくのかということだ。

 品確法が施行されてからしばらくは順調に戸数を伸ばした。「設計評価」と「建設評価」の合計戸数は平成12年度が約1.1万戸だったのが、19年度には約42.2万戸まで増加した。ところが、「長期優良住宅」制度が始まった21年度以降は頭打ちとなり、消費増税前の駆け込みがあった24年度は約41.3万戸になったものの、26年度は約36.8万戸に落ち込んだ。

 一方、「長期優良」は21年度が一戸建てと共同住宅をあわせた戸数が約5.6万戸で、その後戸数を伸ばし、25年度は約11.8万戸、26年度も10.1万戸と10万戸台を維持している。

 戸数だけでなく、品確法も長期優良も全体の住宅着工戸数に占める割合がここ数年一向に増えないことも問題だ。全国の戸建て住宅に占める品確法の設計評価住宅シェアは22年度の18.2%から26年度は17.1%へ1.1ポイント減少しており、建設評価住宅のシェアも22年度の14.7%から26年度の14.7%へと横ばいとなっている。木住協の会員によるシェアは全国平均と比べやや高く、26年度の設計評価住宅シェアは25.3%、建設評価住宅シェアは15.9%となっている。

 長期優良はどうか。全国の戸建て戸数に占める割合は22年度の19.9%から26年度は18.9%へ1.0ポイント減少している。長期優良に占める木住協シェアは高く、26年度は29.5%になっており、長期優良の3戸に1戸が木住協会員によるものだ。

 数字からは、品確法から長期優良へ切り替えるメーカーが増えているのではないかということがうかがわれるが、関係者によると長期優良のほうが申請の手間などを考えると使い勝手がいいとのことだ。

 ◇           ◆    ◇

 いま、国交省は中古戸建て住宅の流通時の評価方法について検討を進めている。築後20~25年で建物価値をゼロとみなす慣行を改め、基本性能などの客観的な指標を用い、また、リフォームやリノベーションによる使用価値の向上を評価して、建物についても適正に価格として評価しようというものだ。建物を評価する際のインスペクションに関するガイドラインも作成した。

 ここで問題となるのは、インスペクションを行なう際、先に書いた品確法の性能評価住宅や長期優良住宅はともかくとして、評価指標が少ない圧倒的多数の一般の住宅はどのように評価されるかだ。

◇          ◆    ◇

 ついでながら、もう一つ問題を指摘したい。国土交通省は今年7月、不動産鑑定士が既存戸建住宅の評価を行うに際の「既存戸建住宅の評価に関する留意点」を策定し、発表した。建物の性能、維持管理の実態調査、リフォームの価格への反映などを盛り込んでいる。

 これに異存はない。しかし、不動産鑑定士がどうして既存戸建ての性能や維持管理に関する履歴、リフォームなどの価値を判断ができるのか。新たに建築士の資格を取得するのであればともかく、これは絶対に無理だろう。中古流通への不動産鑑定士業の参入は、問題をより複雑化するのではないかという不安もある。

カテゴリ: 2015年度
 

 

 

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