NIGO®(ニゴー)氏による「神宮前公衆トイレ(THE HOUSE)」(撮影:永禮賢氏、提供:日本財団)
日本財団が安藤忠雄、伊東豊雄、隈研吾、槇文彦氏ら16人の著名なクリエイターを起用し、渋谷区の公園17か所にトイレを建設したうえ、市に寄付し、維持管理は同財団と市・渋谷区観光協会が行う「THE TOKYO TOILET」プロジェクトの第8弾、「神宮前公衆トイレ(THE HOUSE)」が5月31日共用開始された。
場所は、JR原宿駅から徒歩8分の明治通りに面した渋谷区神宮前1-3-14。トイレは切妻屋根の平屋建てで、男子トイレ(約8.6㎡)・女子トイレ(約5.7㎡)・バリアフリートイレ(約5.3㎡)。施工は大和ハウス工業、トイレ機器・レイアウトはTOTOが担当。
担当クリエイターは、日本財団によると「90年代に自身が立ち上げたファッションブランドが世界中を席巻。ストリートカルチャーのパイオニアとして有名に。ライフスタイル全般のクリエイションは世界中で高い評価を得ている」NIGO®(ニゴー)氏。
同氏は、「コンセプトは温故知新。まずなによりトイレとして入りやすさを第一に考え、高いビルが建ち並び、日々変わりゆく東京とは対照的に、原宿の片隅にひっそりと建つ、古き良き一軒家をイメージしました。世代によって、トイレを使われる方が懐かしくも感じ、新しくも感じていただけるようなデザインです」とのコメントを寄せている。
「THE TOKYO TOILET」プロジェクトは、昨年7か所で共用が開始されており、今回は8か所目。今後、6月24日には隈研吾氏による「鍋島松濤公園トイレ」がオープンするほか、8月までに佐藤可士和氏、伊藤豊雄氏、佐藤カズ一氏、小林純子氏のトイレも予定されている。残りの4か所は今冬竣工を予定している。
撮影:永禮賢氏、提供:日本財団
以下は記者撮影
ドーマーが付いているのを自分が撮った写真で初めて知った
サイン
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プロジェクトの概要などは添付した記事を参照していただきたい。記者はこれまで7か所すべてを見学しており、今回もとても楽しみにしていた。若い人を中心に〝知らない人はいない〟と言われるNIGO®氏が、名だたる建築家に挑戦状をたたきつけるのではないかという期待感もあった。
ところが、外観デザインは、小生も小さいころに図画の時間に描いたような、どこかから移築したようなどこにでもありそうな切妻屋根だったので、肩透かしを食らったような気分を味わった。
しかし、また一方で、NIGO®氏の狙いはまさに肩透かしを食らわすことにあるのではないかという考えにも及んだ。懐かしくも新しくも感じるトイレが原宿の若者の心をとらえるかもしれない。
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記事をアップしてから、日本財団からプロカメラマン永禮賢氏が撮影された写真が送られてきた。小生の写真と比較していただきたい。同じトイレを見たはずなのに全然違う。これはカメラの違い(小生のは6万円くらい)だけではない。永禮氏の見る目の凄さだ。実に美しい。見る目のなさを恥じ入るばかりだ。前段の「肩透かしを食らった」という文は改める必要がありそうだが、記事はそのままにする。
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