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2022/05/14(土) 18:51

住民は必ずしもイチョウ伐採に賛成ではない 千代田区の「街路樹が泣いている」

投稿者:  牧田司

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神田警察通りの学術総合センターの公開空地の樹木(カツラだと思ったが何の木か)

 神田警察通り期道路整備計画について、千代田区環境まちづくり部道路公園課は201912月、次の住民アンケートを実施した。対象は整備計画エリアに住む住民ら約4,700通(うち地権者約10%)。回答者は680通で、回答率は14.5%。質問と回答は次の通り。

【問1】『現在の神田警察通りの歩道について、どのように考えますか?』

①通行しやすい 11
 ②通行しにくい 60
 ③どちらとも言えない 26

【問2】『神田警察通りを通行の際に、接触などで不安を感じたことはありますか?』

①ある 56
 ②ない 29
 ③どちらとも言えない 12

【問3】『神田警察通りの歩道の幅を拡げることについて、どのように考えますか?』

 ①今のままで良い 10
 ②拡げてほしい 75
 ③どちらとも言えない 12

【問4】『神田警察通りを自転車で通行の際に、危険や不便を感じたことはありますか?』

 ①ある 57
 ②ない 15
 ③どちらとも言えない 22

【問5】『神田警察通りに自転車走行空間を整備することについて、どのように考えますか?』

 ①今のままで良い 8
 ②整備してほしい 75
 ③どちらとも言えない 13

【問6】『神田警察通りの路上パーキングについて、どのように考えますか?』

 ①今のままで良い 29
 ②整理して(減らして)ほしい 44
 ③どちらとも言えない 24

【問7】『大型車両が長い時間駐車している状況について、どのように感じていますか?』

①仕方がない 21
②迷惑している 44
③どちらとも言えない 31

【問8】『神田警察通りの街路樹について、どのように考えますか?』
今のままで良い 29
植替えを含め課題解決してほしい 47
どちらとも言えない 14

【問9】『神田警察通りの街路樹の樹種について、どのように考えますか?』<問8で②を選択された方>

 ①今と同じ樹種が良い 29
 ②新たな樹種に替えてほしい 47
 ③どちらとも言えない 14
 無回答 1%

【問10『神田警察通りの街路樹には、どのような樹木が相応しいと考えますか?』【複数回答可】<問9でまたはを選択された方>

 ①花の咲く樹木  15
 ②落ち葉の少ない樹木 21
 ③紅葉(落葉)する樹木 9
 ④病害虫の少ない樹木 16
 ⑤樹冠の大きな樹木 5
 ⑥街路空間に適した樹木 25
 ⑦その他 8
 無回答 1%

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皆さんはこの木の名前をご存じか(神田警察通りの学術総合センターの公開空地の樹木)

        ◆     ◇

 皆さんは、この質問と回答をどう受け止められるか。記者は、全体として区の意向に沿う回答が得られるように計算された極めて稚拙で恣意的な質問だと思うが、回答率が低いのが気になる。約1割の地権者(法人か)の回答率は高いはずで、住民(住民も地権者だろうが)は10%くらいにとどまっているのではないか。回答率を高める工夫など行っていないことが分かる。

 それよりも悲しいのは、地球温暖化やCO2削減、SDGsなど眼中にない行政の道路担当部署のこの種のアンケート実施を認める区の姿勢だし、それを是とする議会だ。設問にイチョウが果たす役割について少しでも触れていたら結果はまったく違ったものになったはずだ。

 質問に対する回答では、国道であろうと都道府県道、区市町村道の歩道であろうと通行しやすいと感じる人は少数派のはずで、【問1】で6割の方が「通行しにくい」と回答したのもよく分かる。【問2】以下【問7】までは当然の回答だろう。(記者は、東西に走る神田警察通りⅡ期区間のうち北側は公開空地が整備されており、区道としては優れているほうだと思う)

 問題は【問8】以下だ。【問8】でもっとも回答が多かったのは「新たな樹種に替えてほしい」の47%だが、「今のままで良い」(29%)と「どちらとも言えない」(14%)を合わせると43%あり、ほぼ拮抗している。

 【問9】「新たな樹種に替えてほしい」と回答した人を対象にした質問で、その樹種について「新たな樹種に替えてほしい」と答えた人は47%に上っているが、同時に「今と同じ樹種が良い」の29%と「どちらとも言えない」の14%を合わせると43%に上る。

 これらの回答から判断して、地域の人は必ずしもイチョウを伐採することにもろ手を挙げて賛成していないことが分かる。【問10は至極もっともな回答だ。誰だってイチョウのように花(記者も見たことがない)が咲かない樹木より花が咲くのを選ぶし、病害虫が少なく、紅葉はしても葉を落とさない樹木(あるようだ)かいいと回答するに決まっている。「街路空間に適した樹木」の回答が25%ともっとも多いのも当然だ。

 記者は、街路樹にふさわしいのはきれいな花を咲かせるものもいいが、やはり一番いいのは常緑樹だと思う。好きなのはクスノキだ。剪定などしなくても見事な樹形を描くし、好き嫌いはあるだろうが、記者は葉っぱの香りがたまらない。いつもちぎっては香りをかぐ。鎮静剤の役割を果たしてくれる。多摩センターのようにいい街はこのクスノキが多い。(その代用として値段の安いシラカシが最近は増えている)。

 イチョウは、本来は剪定など必要ない広い幅員が確保された道路にふさわしいとは思うが、これまでの千代田区の道路整備課はイチョウをよしとして植えたのだろうから、行政の無謬主義を継承するのであれば、何とか残しながら整備すべきだと考える。受忍義務とはこのことだ。

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