一般社団法人大手町歩専道マネジメントと三菱地所は10月20日、東京・大手町の歩行者専用道路「大手町川端緑道」の未来の空間活用を見据え、神田と大手町を繋ぐ場所として“外空間”の居方を検証するための社会実験「BATON PARK-KAWABATA-RYOKUDO-」(BATON PARK)を10月24日~30日の7日間、大手町仲通りで実施すると発表した。
実証実験を行うのは、三菱地所の「大手町ビル」北側の「大手町フィナンシャルシティグランキューブ」と「大手町フィナンシャルシティノースタワー」間の丸の内仲通りで、期間中は利用者の観察調査とアンケート調査を実施し、大手町フィナンシャルシティのテナントや神田エリアの地元店舗による出店も予定している。また、休日には、遊具を利用した子どもの遊び場を設け、ファミリーで楽しめる空間も提供する。実証実験には千代田区と都市再生機構が後援している。
実証実験が行われる道路の北側には、2014年に日本橋川沿いに整備された全長約780mの歩行者専用道路「大手町川端緑道」があり、さらにその北側の三菱地所が事業参画している2025年竣工予定の「(仮称)内神田一丁目計画」で予定されている人道橋架橋に繋がっている。
「BATON」には“川端緑道の将来へ繋ぐ、神田と大手町を繋ぐ、未来へのバトンの役割を担えるように”という想いが込められている。
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結構な取り組みだ。三菱地所はいま、「就業者28万人×8時間から、多様な就業者100万人×最適な時間、交流し価値を生み出す」大丸有の街づくりを進めており、全長約1.2㎞の「丸の内仲通り」はその大動脈だ。道路は一方通行になっていることから車は少なく、2019年から行っている「Marunouchi Street Park」は、わが国でもっとも美しい「ウォーカブルタウン」ではないかと思う。
ただ、今回のリリースを読んでおやっと思ったことが一つあった。後援に千代田区とUR都市機構が名を連ねていることだ。両者は2017年に行われた「神田警察通り賑わい社会実験」を主導した。
双方は表となり裏となり、その後「神田警察通り沿道賑わいガイドライン」策定。2016年の第1期工事では街路樹のイチョウ並木を伐採する計画に住民らが反対したのを受け、区は「説明不足だった」と伐採せずに整備した。
ところが、今年5月、樋口高顕区長は「現在の一致点が見出せない状況が長く続けば、意見の対立を深め地域に亀裂を生じさせることにもなりかねないと認識」「(令和4年4月25日から神田警察通り道路整備Ⅱ期工事を再開したのは)行政として苦渋の決定」として神田警察通りの2期工事で街路樹のイチョウ32本を伐採することを決めた。これに対して、街路樹の伐採に反対する地域住民らは〝寝耳に水〟とし、裁判にまで発展している。
今回の両者は主役から脇役に回るのだろうが、神田警察通り2期工事の是非が問われているいま、どのような役割を演じるのか、興味津々。
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