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2025/11/17(月) 23:53

住宅用地が工業用地として売却できる米国 大和ハウス2026年3月期2Q説明会

投稿者:  牧田司

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芳井さん(山﨑さんかそう呼んだので「さん」付けする)

 大和ハウス工業は11月17日、「2026年3月期第2四半期決算 マスコミ向けスモールミーティング」を開催。同社代表取締役会長/CEO・芳井敬一氏、同社代表取締役社長/COO・大友浩嗣氏らが出席して、記者団の質問に答えた。

 同社の2026年3月期第2四半期決算は、売上高26,309億円(前年同期比0.8%減)、営業利益2,213億円(同5.6%減)、経常利益2,053億円(同7.1%減)、純利益1,377億円(同11.9%減)となり、開発物件売却の減少などにより減収減益。

 セグメント別では、戸建住宅事業は売上高5,412億円(前年同期比7.9%増)、営業利益234億円(同6.4%増)。賃貸事業は売上高7,031億円(同6.4%増)、営業利益750億円(同14.0%増)。マンション事業は売上高1,342億円(同1.0%増)、営業利益75億円(同44.2%減)。商業施設事業は売上高6,371億円(同3.8%増)、営業利益850億円(同8.1%増)。事業施設事業は売上高5,918億円(同17.5%減)、営業利益617億円(同26.2%減)。環境エネルギー事業は売上高652億円(同3.6%増)、営業利益78億円(同9.8%増)。

 2026年3月期の業績予想(退職給付数理差異等償却額を除く)は、売上高56,000億円(前期比3.0%増)、営業利益5,100億円(同14.6%増)、経常利益4,610億円(同11.2%増)、純利益2,900億円(同13.4%増)に上方修正。1株当たり年間配当も前回予想の期末95円を100円に増配し、年間175円(2025年3月期は150円)とする予定。

◇        ◆     ◇

 会場で受付をしたら、同社広報担当の方から「牧田さん、これをどうぞ」と、ワイヤレス受信機を渡された。耳が遠くなり、この種の発表会で芳井会長が何を話されたかさっぱり分からなかったことを同社の広報の方に話したことがあり、そのことを覚えてくださったのだろう。ワイヤレス受信機を利用したのは多分小生一人だったはずだ。そのお陰で、発表会の一部始終を聞くことができた。まずは同社広報に感謝申し上げる。

 さて、何から書くべきか。決算発表があったのは先週の13日(金)だ。前段ではその数値をほとんどコピペしたのだが、そんな数値を繰り返しても「か・ち・も・な・い」。多分、誰も書かないことを以下に紹介する。

 驚いたのは、米国の戸建住宅事業が好調に推移していることについて質問した記者に対し、芳井会長は「住宅用地として取得した土地が、データセンターになるかどうかは分かりませんが、たまたま工業用用地として売却できたからということ。勘違いしないで頂きたい。住宅用地がデータセンターになるということ、(米国の)ゾーニングがそうなっているという国であるということです」と答えたことだ。芳井氏は、米国での住宅用地は向こう10年分の72,000区画を取得済みとも語った。

 なるほどと思った。米国の都市計画・建築基準法がどうなっているのか小生は分からないが、わが国では住宅用地として購入した土地が工業用地として売却されることはまずありえない(工業専用地域が、何でも可の準工業地域に用途変更された事例はあるが、ごくまれだ)。

 小生はこれまで「嫌悪施設」について何度も記事を書いてきた。物流施設や墓地などが法律用語でも何でもない「嫌悪施設」として扱われ、重要事項説明書に明記し、説明しなければならないことになっている。データセンターも「倉庫」扱いになっており、「嫌悪施設」として扱われ、住宅系用途地域では建築することは小規模を除き不可だ。小生は「嫌悪施設」とは何か、もう一度原点に戻って考え直すべきだと思う。

 記者団からは、決算短信の定性的情報には一言も触れられていない、リブネス事業についての質問も飛んだ。とてもいい質問だと思った。待ってましたとばかり、大友社長は「住宅系『Livness(リブネス)』とビジネス系の『BIZLivness(ビス リブネス)』の2本柱で展開しているが、目標としていた売上高4,000億円を昨年度に達成し、今年度は4,500億円に上方修正した。2030年代には1兆円に伸ばす道筋をつけていく。『BIZLivness(ビス リブネス)』は宝の山」と話した。小生も大きな柱の一つになると思っている。

 同社には一言いいたい。社長は記者団の質問に対して「(当社は)プレハブのオピニオンリーダー」と話した。その通りだろうが、ハウスメーカーとかデベロッパーとかの垣根・バリアなどないと思っている小生は、同社は住宅・不動産業界の断トツのリーダーだし、そうあるべきだと思っている。

 にもかかわらず、マンション事業の業績はいま一つだ。年度によって上下する売上高1,342億円はともかく、売上総利益率15.5%、営業利益率5.6%は低すぎるし、地方物件比率が高いことを考慮しても完成在庫が504戸(2025年3月期の売上戸数1,504戸)もあるのは信じられない。

 劣悪なマンションを分譲しているわけではない。近年では「船橋塚田」「昭島」「大倉山」など素晴らしい物件を供給した。大和ライフネクストが2022年9月から開始している外部管理者サービス「TAKSTYLE(タクスタイル)」の導入実績は2025年9月末で174件に達している。業界のビジネスモデルになると思っている。

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大友さん(芳井氏がそう呼んだから「さん」付けする)

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 前段の冒頭に戻る。芳井会長はミーティングの冒頭、「いつもと違う。司会の山﨑さんは長年、私の秘書役を務めてきた。失敗しないかひやひやしている。『芳井さん』と呼ばれるのも久しぶり。自分が自分でないような気がする。山﨑さん、頑張って」と切り出した。

 ものすごくクリアに聞こえた。ワイヤレス受信機を装着していなかったら、絶対聞き取れなかった言葉だ。小生は何のことかさっぱり分からなかったのだが、山﨑さんは「最初はとても緊張しました。大役を果たせられたかどうか…」と語った。

 山﨑さんの肩書は「広報企画部東京広報グループ上席主任」とあり、これまで7年間、芳井氏の秘書を務め、今年4月に着任した。スモールミーティングの司会を務めるのは初めてのことだった。

 皆さん、いかがか。口さがない同業の女性記者は「孫娘、初舞台」と称した。また、別の男性記者は「年齢からしたら、孫娘はありえない。親子の関係」と横やりを入れた。

 小生はどちらの意見にも与しない。芳井会長は67歳。山﨑さんの年齢は不明だが、孫娘か実子かどっちでもいい。〝自分が自分でないような気がする〟-芳井氏の言葉は何となくよくわかる。

 それにしても、デベロッパーの三井不動産、三菱地所、住友不動産の3社が束になってもかなわない、売上げが5兆円超の社長・会長の秘書の仕事とはどのようなものだろうか、コロナ禍では〝おじいちゃん(お父さん)に感染させちゃいけない〟というプレッシャーは相当なものだったはずだ。その任務・重責から解放されて、山﨑さんはほっとしているのか、それとも別離を悲しく思っているのか…小生だったら前者を取る。

 ワイヤレス受信機(パナガイド)の値段を調べた。4万円もする。高い。買えない。各社にお願いだ。この種の発表会に希望者に配布してほしい。

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山﨑さん(芳井氏がそう呼んだから「さん」付けする)

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会場で手渡されたワイヤレス受信機

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