
古木氏(左)と清水氏
〝テクノロジーで、住宅を変え、世界を変えていく。〟をミッションに掲げるrobot homeは1月20日、新サービス発表会を開催。同社代表取締役CEO・古木大咲氏(46)は、新たな展開として、AIレコメンド機能をアプリに実装することでポートフォリオ(PPM)全体を可視化し、賃貸アパート共用部カメラをAIが分析しリスクを回避し、IoT導入による再配達課題の解消や、入居者アプリを通じた入居者満足度の向上を図っていくと発表した。発表会では、ゲストとして招かれた一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科教授の清水千弘氏(58)と古木氏が「AIが変える不動産経営のスタンダードとは」をテーマにクロストークとモデルルーム見学会も行われた。
古木氏は、新たな展望として「AIエージェントの活用」により、AIレコメンド機能をアプリに実装することで投資家に最適な物件を提案するシステムを開発し、共用部カメラをAIが解析することで放置ごみや不審者、盗難などの異常を早期発見してリスクを回避、物件の美観維持や入居者満足度の向上を図り、新しいサービスの提供により様々な社会課題の解決につなげたいと語った。
クロストークでは、古木氏はAIがアセットマネジメントの役割を果たし、情報格差・非対称性の解消を図ることを強調した。清水氏は、古木氏とはシンガポール大学に勤務していた10年前からの付き合いであることを明かし、「われわれ教授が話すことの95%はAIで得られる」「1990年代のリート市場は投資利回りしか考えていなかったが、これからは管理が大事になってくる」「ポートフォリオに不動産を入れリスク分散を図るのは必須要件。良質な住宅は不足している」などと語った。
古木氏は鹿児島県出身で、26歳の2006年にrobot homeを起業、36歳の2016年に東証一部に上場。同社は2025年に土地から始めるアパート経営robot homeサービスを開始。管理戸数は約27,600戸/入居率は約98%。
〝土地を選ぶ-デザインを選ぶ-シミュレーション-建築進捗の確認-不動産経営‧売却〟までをアプリ一つで完了するのがビジネスモデルで、ターゲットは、5大都市を中心に、市場規模が949兆円、1,133.9万世帯のアッパーマス層から富裕層・超富裕層。
同社の2024年12月期決算は売上高13,157百万円(前期比52.6%増)、営業利益1,043百万円(同39.4%増)、経常利益1,018百万円(同38.0%増)、純利益912百万円(同3.0%増)。2025年12月期決算予想は売上高24,000百万円(同82.4%増)、営業利益1,400百万円(同34.1%増)、経常利益1,350百万円(同32.6%増)、純利益1,100百万円(同20.5%増)。
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スマホを満足に扱えない記者だが、AI技術が長足の進歩を遂げているのはよくわかる。例えばChatGPT。記者は2023年4月、自治体として初めてChatGPTを採用した横須賀市のリリースの粗捜しをやったところ、A4一枚の短い文章で4か所の文法的なミスを見つけた。普及に課題があると思った。
今はどうか。小生は月に400字原稿用紙にして200~300枚、年間にして源氏物語の2,500枚くらいの「こだわり記事」を書いているが、この記事をChatGPTが〝読んでいる〟ことが分かった。いつも馬鹿な記事を書いている小生のような記者はもちろん、清水氏が話した大学教授や弁護士、裁判官もその職をAIに奪われる時代がやってくるかもしれない。恐ろしいの一言だ。
ただ、AIは考える力がない、ものを見る目がない(いま、ChatGPTに「ChatGPTの欠点は、考える力がない、ものを見る目がないと思いますが、いかがか」と聞いたところ、「ご指摘はかなり本質を突いていると思います。結論から言うと、その認識は概ね正しいです。ただし、『どういう意味で欠点なのか』を整理すると、誤解も減ると思います」と即座に答えた)。
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取材の目的の一つに、LIFULL HOME'S総研の「Sensuous City(センシュアス・シティ)[官能都市] 2025」報告書に寄稿している清水氏の論文についていろいろ聞くことがあった。
清水氏は論文で、首都圏の人口分布と様々な施設分布、子育てしやすい街、各国料理を楽しめる街、老後に安心して生活できる街の分布などを図示し、「東京駅から概ね10㎞圏内の都心部においては、(a)施設数が集中しているのみならず、(b)多様な種類の施設-すなわち都市機能の多様性-が高密度に立地している」「1990年から2020年の30年間における夜間人口の推移をみると、(千代田区・中央区・港区は)30年間でおよそ18万5000人の夜間人口が増加している」としている。
これはこれで結構、よくわかるのだが、記者は東京駅を中心に都市の魅力を考えることはやめたほうがいいと思っている。都心3区のマンション価格は坪1,000万円どころか2,000万~5,000万円が当たり前になる。住めるのは東京都民の人口比率にしてほんの数%だろう。
清水氏に聞きたかったのは、例えばわが多摩センター、この前取材した調布を中心に半径5キロ圏(清水氏は自転車で移動できる20分圏としている)にどのような施設が分布しているか分かる図はないのかということだった。清水氏はAIと同様即座に「私の研究室と日建設計総研が開発したものがある」と答えた。「無料ですか」と聞いたら「有料」だったが、これは使える。
もう一つ、「Love of Variety」(都市アメニティの多様性=清水氏の造語ではないようだ)をひっくり返し「Variety of Love」にしたらどのような街になるかだったが、聞き忘れた。清水さん、是非、LIFULL HOME'S総研の島原万丈さんらと「官能都市」に関するシンポジウムを開いていただきたい。街づくりは劇的に変わるはずだ。
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モデルルームは木造による23㎡。観葉植物は全て本物で、引き戸が多用されているのはいいと思ったが、外観・室内仕上げはケミカル製品ばかりだった。〝木質化を図った方がいい〟とAIもアドバイスするのではないか。

モデルルーム

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