小野由記子氏もハイブリッドキッチン提案 西武池袋本店「くらしのデザイン展2022」
西武池袋本店7階のくらしのデザインサロン、インテリアフロア特設会場で10月22日(土)~11月7日(月)まで行われている「くらしのデザイン展2022」をのぞいた。
主催しているのは、くらしのデザイン展実行委員会[一般社団法人ケアリングデザイン(代表理事:小野由記子氏)]だ。記者は、もう14年も昔だが、小野氏が手掛けたマンションのモデルルームを見学して惚れ込んだ。小野氏のデザインのどこがいいか。一言でいえば、マンションのモデルルームにありがちな過剰な装飾・演出がなく、とても端正で、抑制されたカラーリングが見事で美しいということだ。
2013年にケアリングデザインを設立されてからは、マンションのモデルルームを手掛けられるのは少なくなったのがとても残念なのだが、今回の会場でも小野氏ならではのデザインを確認することができた。障がい者のアートを北欧家具に取り込み、テキスタイルとしてコーディネートしているのもその一つだ。写真を添付したので見ていただきたい。
驚いたのは、ハイブリッドキッチンの提案だった。写真のようにIHとガスコンロを併設しているのが特徴だ。小生もIHが普及しだしたころ、中華料理などは鍋をあおって作るからおいしいのだから、両方を兼ね備えたものにすべきとずっと主張してきた。しかし、そのようなキッチンを採用している物件は数えるほどしかない。
まだ遅くない。商品企画担当の皆さん、このハイブリッドキッチンを導入していただきたい(トーヨーキッチンはそのような商品がある)。小野さんにコーディネートを依頼すべき(デザイン料をけちり、細かな注文を付けないことだ。モリモトが成功しているのはそのような失礼なことをしないからだ)。小野さんもマンションをもっと手掛けていただきたい…と書いたところで、小野氏が代表を務める小野意匠計画のホームページで「WORKS」を検索したら「DUOSENE豊田」がヒットした。このシニア向け分譲マンションは取材しているが、小野さんが関わっていたことなどまったく知らなかった。
小野さんのことばかり書いてきたが、今回のイベントはケア、アート、デザインの三つをテーマに「ケア×アート」、「ケア×デザイン」などの切り口からさまざまな展示やアイテムを紹介しており、東京藝大とヤマハが開発した指一本で弾ける自動伴奏付き「だれでもピアノ(R)」や、2022年度グッドデザイン賞を受賞したセルフケアプロダクト約30点が展示されている。皆さんも足を運ばれることをお勧めしたい。
「くらしのデザイン展2022」会場内
小野氏による寝室・浴室の提案
IHとガス併用のハイブリッドキッチン
多点居住(5か所)を実践 有元さん×八木さん 小野さんが進行役FRKのセミナー視聴(2021/3/20)
フージャースHD シニア向け「デュオセーヌ豊田」竣工 半分強が契約済み(2019/8/7)
「モデルルームでは 新鮮な暮らし方の提案が要」小野意匠計画 代表・小野由記子さんに聞く(2008/6/2)
全室にパソコン装備 VRChatも楽しめる コスモスイニシア「MIMARU東京 池袋」
「MIMARU東京 池袋」
コスモスイニシアが11月1日オープンしたアパートメントホテル「MIMARU東京 池袋」を見学した。宿泊者がVRChatを客室内のPCで楽しめる「メタバースルーム」を日本で初めて全室に設置し、パソコンも標準装備しているのが特徴。
施設は、JR線・東京メトロ池袋駅から徒歩5分、豊島区池袋2丁目に位置する14階建て107室。客室は、40㎡のファミリータイプ(4名定員)24室、和室があるジャパニーズタイプ(4名定員)24室、60㎡の2ベッドルームのスイートタイプ(6名定員)32室、eスポーツが楽しめるゲーミングルーム「Quintet eSports Room」(5名定員)2室など。宿泊料金は4人部屋利用で1泊23,250円〜。
「メタバースルーム」はマンガ、アニメ、アート、ゲーム、コスプレなど、サブカルの発信地として注目を集める池袋の立地に着目し、アバターを使ってVRChatに参加し、宿泊者同士が情報交換できるもの。
専用デスクとハイスペックゲーミングPCを5台揃えたゲーミングルーム「Quintet eSports Room」2室ではeスポーツをみんなでプレイできる。
2階ラウンジは、コミュニケーションエリアとしてイベントやコスプレ体験・撮影スペース企画などを通じユニークな日本文化を発信していく予定。
また、「NEO IKEBUKURO TOURISM(新しい池袋の旅)」をテーマにサブカル、メタバース、eスポーツ、デジタルなど、次世代の池袋を表現するグラフィックを募集し、最優秀賞に輝いたアート作品でエントランスの壁面を装飾している。
「メタバースルーム」
ゲーミングルーム「Quintet eSports Room」
エントランス・ホールのアート
◇ ◆ ◇
スマホはほとんどが電話機能のみで、頼みもしないのに突如画面にどうでもいいニュースが表示されるのに腹を立て、電車内では本を読むことしかしない小生は、みんなが小さなガラス面に手指をせわしなく這わせるのに感動を覚え、かつ病気ではないかと心配するほどなので、VRChatやeスポーツのどこが楽しいのかさっぱりわからなかった。猫に小判、豚に真珠だ。
ただ、全室にキーボードとマウス付きのパソコンが備えられているのはとてもいいと思った。画面が大きいので、濁音、半濁音、句読点、促音の間違いもなくなりそうだ。プリンター機能があるのかどうかは聞き逃した。
エントランス周りには「ゴヨウマツ」などふんだんに植栽を施し、柱の外周をナグリ調仕上げにしている演出もいい。外国人には受けるはずだ。
それにしても、現地までの池袋駅北口の街並みは凄い。飲食店、ラブホテル、風俗店、宿泊特化型シティホテル、マンションなどが混在している。新宿・歌舞伎町と同じだ。〝なんでもあり〟の商業地だから、これはこれでいいのだろう。
エントランス
ゴヨウマツ
エントランス・ホール
「使われ活きる公園」 逆読みは〝使われず危機に瀕する公園〟 国交省「公園検討会」
公園とマンション敷地の垣根を取り払った「デュオヒルズつくばセンチュリー」
国土交通省都市局は10月31日、「都市公園の柔軟な管理運営のあり方に関する検討会」(委員長:蓑茂壽太郎東京農業大学名誉教授)の提言をまとめ発表した。
令和4年2月~9月にかけて議論・検討を行っていたもので、都市公園は、ポストコロナの新たな時代において、人中心のまちづくりの中で個人と社会の「Well-being」の向上に向け、地域の課題や公園の特性に応じ、多機能性のポテンシャルを更に発揮することが求められているとし、パートナーシップの公園マネジメントで多様な利活用ニーズに応え、地域の価値を高め続ける「使われ活きる公園」を目指すべきであるとしている。
「使われ活きる公園」の実現のためには、従来の公園整備・管理運営から、「都市アセットとしての利活用」、「画一からの脱却」、「多様なステークホルダーの参画」の3つの変革が必要とし、①グリーンインフラとしての保全・利活用②居心地が良く、誰もが安全・安心で、快適に過ごせる空間づくり③利用ルールの弾力化④社会実験の場としての利活用⑤担い手の拡大と共創 ⑥自主性・自律性の向上⑦デジタル技術とデータの利活用-7つの具体的取組が重要としている。
また、とりまとめでは「来年、都市公園制度誕生150年目を迎えるこのタイミングを、公園本来の役割と、公園の多機能性、多様な可能性を改めて認識する契機とすべきである」と述べている。
◇ ◆ ◇
検討会の議事録からいくつかの意見を以下に紹介する。
「先進的な地方公共団体では取組が進んでいる一方で、特に技術者がいない地方公共団体では旧態依然の部分が多い。人材育成や公園評価等の地方公共団体を支える仕組みをつくらなければ、前回検討会の成果は完結しないだろう」
「つくる公園行政の延長線上では成果が出てきている一方、使う公園行政という側面ではあまり進んでいない印象を受ける。つくる公園行政から使う公園行政へシフトしていくという方向性で整理していけるとよい」
「P-PFI 等で新しい事業については取り組みが進んでいるが、街区公園のような小さな公園、まちなかの公園については各自治体が課題を抱えている状況でもある。そのような公園について、ハード・ソフトを含めてどのようにリノベーションしていくべきか」
「公園関連のデータについては、台帳など情報が古かったり散逸していたりする公園も少なくない」
「『つくり育てるみんなの公園』のキャッチコピーはそのとおりだが、もう一歩進んでこれを具体化する明確なキャッチコピー、例えば国としてこれから公園を見直す、再生する、あるいは開放する、それらを全国的に取り組んでいくというメッセージを出した方がいい。公園の評価の話が埋没しつつある。公園の管理を良くするという意味では、評価制度は非常に大事。公園の管理水準の見える化は引き続き検討してもらいたい」(梛野委員)
「何のために都市公園の柔軟な管理を進めるのかというそもそものところがもう少し明確になるとよい。公園は、SDGsのウェディングケーキモデルの3層(自然環境、社会環境、経済環境)を実現できる場所であり、大きな拠点としてSDGsを発揮していく、持続可能なまちづくりの貢献していける拠点である」(佐藤委員)
「本検討会の取りまとめは、首長に読んでもらえるものにしなければ前に進まない。その意味でWell-beingといった言葉は非常に重要」(蓑茂委員長)
「全体として、公園というボーダーの内側の議論に閉じこもっていないか。グリーンインフラの議論において、グリーンインフラは入口であり、出口はグリーンコミュニティの形成ということを訴えてきた。地域コミュニティの形成に公園が果たす役割は極めて大きい。公園の利用だけでなく、公園同士のネットワークをどう考えていくかも非常に重要。民間ディベロッパーがPark-PFI や指定管理に非常に強い関心を持っているのは、公園を核とした地域づくりにどれだけ関与し、新しいビジネスチャンスを生み出していくかという点。パークマネジメントへの興味は、エリアマネジメントへの興味に通じる」(涌井委員)
「検討項目と論点の組み立ての順番が違うのではないか。一番重視すべきこととして、街の活力を支える発展的な公園利用のあり方が先に来て、次に、そのために誰もが快適に過ごせる公園管理はどうしたらよいか、その中で民の活力をどう利用するのかという組み立てかたが大事ではないか。大きなフレームから、普遍的な部分に戻していくアプローチの方が、政策の議論においては現実的ではないか」(涌井委員)
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「使われ活きる公園」というタイトルは結構なものだと思うが、逆読みすれば、いかにわが国の公園は使われていないか、活かされていないかを如実に示したものだと受け止めた。涌井史郎委員の「全体として、公園というボーダーの内側の議論に閉じこもっていないか」という指摘は辛らつだし、蓑茂委員長がいみじくも語ったように、「本検討会の取りまとめは、首長に読んでもらえるものにしなければ前に進まない」と思う。
記者は、とりまとめでも述べられている「十分に利活用されていない公園ストック」が全国約11万か所、約13万haのうちどれくらい存在するか知りたいのだが、「公園関連のデータについては、台帳など情報が古かったり散逸していたりする公園も少なくない」(議事録)とあるのみで、検討会の議事録を読んだ範囲内ではそのような公園の実態を議論した形跡はない。国交省でも全国の公園の利活用の実態を調査したデータは把握していないとのことだ。
ものごとは実態把握から始めるのではないか。先進事例・成功事例もいいが、悲惨な実態をあぶり出すことが先決ではないか。公園は危機に瀕していると思う。
このことと関連するのだが、とりまとめでは、「各地方公共団体の緑の基本計画のうち、都市公園の管理の方針に係る記載がある計画は182都市」「都市緑地法運用指針において、36都市の計画で立地適正化計画に係る記載がみられる」「現在、全国に111の協議会が設置されており、イベント実施に向けた調整、新施設・再整備等の方針・計画等を協議内容とする協議会が多い」「ウォーカブル推進都市は、2022年6月30日時点で328都市」などとある。
これらの数値も圧倒的に少ないのではないか。全国には市の数だけで800近くあり、都市計画区域も1,000か所以上ある。「ウォーカブル」の取り組みは、三菱地所などが推進する素晴らしい「Marunouchi Street Park」を取材しているが、その一方で、千代田区神田警察通り整備では地域住民を分断するような計画が実行されており、この前取材した愛知県一宮市でも「ウォーカブル」の取り組みが行われているが、イチョウ並木は丸裸にされていた。
街路樹虐待は許されるのか、殺していいのか 愛知県一宮市のイチョウは丸裸(2022/10/28)
「街のシンボルになる」来場者 公園との垣根なくしたフージャース「つくば」に感動(2021/4/28)
素晴らしい槇文彦氏、田村奈穂氏、片山正通氏 日本財団 渋谷公園トイレPJ(2020/9/21)
激減する利用者 激増する1人当たり占有面積 公園のあり方考える(2020/8/3)
分譲住宅が持家上回り、マンションは地方が顕著な伸び 1~9月の住宅着工
国土交通省は10月31日、令和4年9月の住宅着工戸数をまとめ発表。総戸数は73,920戸(前年同月比1.0%増、2か月連続の増加)となった。内訳は持家22,248戸(同13.3%減、10か月連続の減少)、貸家30,555戸(同8.1%増、19か月連続の増加)、分譲住宅20,766戸(同10.1%増、2か月連続の増加)。分譲住宅の内訳は、マンションが8,386戸(同15.7%増、2か月連続の増加)、一戸建住宅が12,290戸(同6.8%増、17か月連続の増加)となった。
首都圏分譲住宅は9,265戸(同24.1%増)で、マンションは3,961戸(同41.7%増)となった。都県別では東京都2,395戸(同68.8%増)、神奈川県1,210戸(同94.2%増)、埼玉県109戸(同61.9%減)、千葉県247戸(同47.1%減)。
2022年1~9月では持家が190,110戸(前年同期比9.8%減)、分譲住宅が192,795戸(同5.7%増)となっており、分譲住宅が上回っている。
また、1~9月の分譲マンションは63,555戸(前年同期比1.7%増)で、内訳は首都圏38,491戸(同3.2%減)、中部圏6,778戸(同2.0%減)、近畿圏18,286戸(同15.6%増)、その他19,136戸(同27.5%増)となっており、その他が中部圏や近畿圏を上回っているのが注目される。
あきる野市、江東区、神川町、台東区、三芳町…これは何か 首都圏 用途地域全調査
今週はほとんど取材の予定が入っていない。暇に飽かせて、国土交通省の平成31年都市計画現況調査をもとに首都圏区市町村の用途地域について調べてみた。何かの参考にしていただきたい。
低層住居指定比率がもっとも高いのはあきる野市
低層住居がゼロなのは江東区、八潮市など30区市
まず、第一種低層住居専用地域と第二種低層住居専用地域の低層住居系用途指定の多いところと少ないところから。
全用途地域に占める割合が50%以上の区市町は34自治体で、もっとも比率が高いのはあきる野市の72.7%。以下、東大和市、日の出町の順。都県別では、埼玉県でもっとも比率が高いのは鳩山町の63.5%、神奈川県は逗子市の60.3%、千葉県は四街道市の55.3%。低層用途指定面積が最も広いのは八王子市で、町田市、世田谷区などが続く。
低層住居専用地域の指定がない区市町は30自治体。用途指定の大きい順では江東区、八潮市、戸田市、墨田区、千代田区、台東区、荒川区、中央区の順。港区は全用途に占める低層住居は0.1%存在するが、四捨五入するとゼロなので31番目とした。
都県別の低層住居指定割合では、東京都が37.4%、東京23区が20.4%、埼玉県が18.1%、千葉県が31.4%、神奈川県が31.0%となっている。東京都は意外と高く、埼玉県の割合が低いのが目立っている。
埼玉県神川町は用途指定全てが工業専用地域
工業系地域がないのは箱根町、千代田区など
工業系用途地域の占める割合が100%なのが埼玉県児玉郡神川町。用途指定されている33haすべてが工業専用地域。ただ、行政区域面積は2,317haなので、住めない町ということではない。人口は約1万3千人とある。
神川町を除けば、全用途のうち70.8%が工業系の江東区をはじめ荒川区、袖ケ浦市、神奈川県愛川町、神奈川県中井町、大田区、墨田区、千葉県芝山町が50%以上となっている。袖ケ浦市、愛川町、中井町は工場団地が多く、芝山町は成田空港があるからか。秩父市、横浜市に次いで市域面積が首都圏3番目の市原市は1,975haの工専地域がある。工業系用途が全くないのは箱根町、千代田区、葉山町など8区市町。
商業系用途割合がもっとも高いのは台東区
三芳町、大井町、九十九里町は1%以下
商業系用途の占める割合がもっとも高いのは78.6%の台東区。以下、中央区、千代田区、墨田区、湯河原町、港区、豊島区、新宿区、文京区、渋谷区などと続く。少ないのは三芳町、大井町、九十九里町など。
落葉のメタセコイアとよく似た常緑のセンペルセコイア 名前つけて 大手町仲通り
「BATON PARK-KAWABATA-RYOKUDO-」
一般社団法人大手町歩専道マネジメントと三菱地所が10月24日~30日の7日間、大手町仲通で行った社会実験「BATON PARK-KAWABATA-RYOKUDO-」(BATON PARK)を10月27日見学した。
BATON PARKは、東京・大手町の歩行者専用道路「大手町川端緑道」の未来の空間活用を見据え、神田と大手町を繋ぐ場所として“外空間”の居方を検証するため。
「大手町フィナンシャルシティグランキューブ」と「大手町フィナンシャルシティノースタワー」の間に植えられているスギ科の常緑樹センペルセコイアやケヤキの街路樹がとても美しく、歩行者専用道路「大手町川端緑道」とつながっていた。三菱地所が事業参画している2025年竣工予定の「(仮称)内神田一丁目計画」と大手町仲通りは橋でつなぐことになっている。
「大手町川端緑道」
◇ ◆ ◇
最初にセンペルセコイアを見たときは樹種が分からなかった。メタセコイアと似ているとは思ったが、メタセコイアは落葉樹だ。そろそろ葉っぱが色づくころなのにその気配がなく、青々と茂っていたので、常緑樹のヒマラヤスギの仲間ではないかと考えた。
実証実験を行っている担当者が「常緑のセンペルセコイア」と教えてくれた。樹高は10m以上ありそうだったが、幹回りからして樹齢は数十年だろうとみた。
ネットで調べたらスギ科だった。アメリカなどでは樹高は100mを超えるものもあるそうだ。やっぱり、建築物の「定礎」と同じように、街路樹には名前を付けて、特徴なども分かるようにすべきだ。
センペルセコイア
「大手町フィナンシャルシティノースタワー」(左)と「大手町フィナンシャルシティグランキューブ」(手前は「(仮称)内神田一丁目計画」)
神田と大手町繋ぐ“外空間”の居方を検証 三菱地所「BATON PARK」社会実験(2022/10/20)
丸の内仲通り ウォーカブルな街づくり「Marunouchi Street Park 2022 Summer」(2022/8/3)
街路樹虐待は許されるのか、殺していいのか 愛知県一宮市のイチョウは丸裸
葉っぱを付けることも許されない一宮駅前の街路樹(垂れ下がっているのはクリスマス用のイルミネーションのライト)
一宮・音羽通りのイチョウ(電柱より低くするためか)
以下の記事は、大京の「一宮グランフォート」「桑名八間通マスターフォート」と一緒に読んでいただきたい。「一宮」の記事では坪単価は「安いと思うが…」と書いたのには理由がある。記者はこれまでしつこいほど街路樹について書いてきた。一宮市の街路樹もまたひどい有様だった。
写真を見ていただきたい。樹種は分からないが、一つは駅前ロータリーに植わっていた樹木だ。葉っぱの形からしてナンキンハゼと思われるが、高さは4mくらいに強剪定され、葉っぱもまばら。紅葉することすら許されていない(管理者は鉄道会社か)。
もう一つは、音羽通りに植えられていたイチョウだ。樹幹の大きさから判断して樹齢は30年くらいか。高さは6mくらいにちょん切られ、ほとんど丸裸状態だ。葉っぱを付けることすら許されず、ひこばえもない。それでもよくぞ生き延びられているものだといとおしくなった。
その一方で、生殺し同然のひどい剪定を行う市に怒りが沸々と湧いた。イチョウが話すことができたなら〝いっそのこと一思いに殺してくれ〟と叫ぶのではないか。そうしたら、市民はどんな反応を示すか。小生は「街路樹の虐待はありか、殺していいのか」といいたい。「街路樹暴行罪」「わいせつ物陳列罪」の適用はないのか。
一宮市の緑被率や都市計画(用途地域)を調べた。緑被率は市域面積の35%を占めているのだが、2006年度(平成18年度)~2014年度(平成26年度)の経年変化を見ると、市街化区域では13%から5.1%と約8%減少。一宮駅や市役所が位置する本庁地区は4.8%ともっとも低い。市民一人当たりの都市公園面積は5.4㎡で、国が定める標準値(10.0㎡/人)や愛知県の平均値(7.7㎡/人)より下回っている。用途地域は商業系が10.8%、工専1.2%を含めた工業系が53.2%、第一種低層住居専用地域は1.4%だ。
長々と書いたが、読者の皆さんもお分かりのはずだ。マンション価格を引き上げられないのは、緑の量と質が劣り、街のポテンシャルが低いからだ。民力が低いといったら失礼か。
これほど緑被率が低く、工業系用途が多いのは首都圏でもそうないはずだ。例えば東京都江東区。同区の用途地域には第1・第2種低層住居専用地域は1か所もなく、商業系が10.0%、工業系が73.8%だが、1人当たり都市公園面積は6.6㎡で、緑被率は18.71%だ。
江東区のマンションは、都心に近いことから坪単価は400万円を突破しているところもある。一宮駅は名古屋駅から10分だ。名古屋が坪400万円なら、坪300万円もありかと思うが、住環境を考えるといつまでたっても名古屋に近づくことはできないのではないか。行政担当者には考えてほしい。名古屋から一宮間の景色もグレー一色で、緑は極端に少ない。
参考にはならないが、「BATON PARK-KAWABATA-RYOKUDO-」(BATON PARK)実施エリア(常緑のセンベルセコイアが見事)
3戸1エレベーター、突板フローリングがいい 大京「一宮グランフォート」(2022/10/28)
三重県初のZEH-M 立地、デザインがいい 大京「桑名八間通マスターフォート」(2022/10/28)
神田と大手町繋ぐ“外空間”の居方を検証 三菱地所「BATON PARK」社会実験(2022/10/20)
イチョウ伐採中止求める国家賠償・住民訴訟 千代田区で3件目/街路樹を原告にしたら(2022/8/8)
怒り心頭 イチョウは殺していいのか 船橋・二和向台の無残な街路樹(2021/11/12)
貧しい街路樹 低い緑被率 「緑」に対する市民の不満率44% 「八潮らしさ」を考える(2020/2/15)
大丸有エリア最大級の緑地空間6,000㎡「Otemachi One Garden」 三井物産・三井不
三井物産と三井不動産は10月25日、「Otemachi One」に大丸有エリア最大級の約6,000㎡の緑地空間「Otemachi One Garden」を12月16日(金)にオープンすると発表した。
「Otemachi One」は敷地面積約20,900㎡、31階建て三井物産ビルと40階建てOtemachi One タワーの2棟からなるオフィス・商業・多目的ホール・ホテルなど延べ床面積約358,700㎡の複合施設。
「Otemachi One Garden」は緑地空間6,000㎡。中・高木約300本、低木約6,600本を植樹し、約3,000㎡の芝生を中心としたイベントスペースや水辺空間も整備。対面に位置する皇居の広大な緑との連続性により、大手町における緑のネットワーク形成と豊かな緑地空間の創出に貢献する。
2020年2月に竣工した「Otemachi One」が備える最先端のオフィス、ホール、カンファレンス、ホテル、飲食店、ランニングステーションなどの機能に、今回「Otemachi One Garden」が新たに加わることで、都心で自然を感じながら「憩う」「潤う」「賑わう」「働く」「思索する」場を提供する。「Otemachi One Garden」のオーブンをもって両社による複合開発は完成する。
オープンを記念して12月16日(金)から25日(日)までオープニングイベント「Winter Bloom」を開催。世界的なフラワーアーティスト、ニコライ・バーグマン氏によるフラワーライブパフォーマンスや様々なイベントを行う。
緑地空間約6,000㎡の規模は、三菱地所が開発中の「TOKYO TORCH」の街区中央に位置する約7,000㎡の大規模広場「TOKYO TORCH Park」には及ばないが、「Otemachi One」に隣接する三菱地所「大手町ホトリア」の緑地面積約3,000㎡の2倍。
フラワーディスプレイ
イルミネーション
申し込み殺到するか 松屋福袋にハワイの7億円のコンドミニアム宿泊権20万円 リスト
「WAIEA(ワイエア)」アメニティデッキ
リストグループのリストインターナショナルリアルティ(LIR)は10月25日、7億円相当のハワイの高級コンドミニアム「WAIEA(ワイエア)」の宿泊体験を松屋の2023年福袋商品として1件提供すると発表した。
「WAIEA(ワイエア)」は36階建て全174戸。専有面積は約223㎡(3ベッドルーム、3バスルーム)、竣工は2016年。
福袋の応募期間は2023年1月2日(月)-3日(火)、応募場所は松屋銀座1階特設スペース。応募資格は松屋カード保有者、価格は税込202,300円。商品内容は「ワイエア」滞在権1週間(5泊7日)、松屋商品(キャリーケース、アロハシャツ、リュック、アイマスク、スーツケースタグ、圧縮袋、ネックピロー 各2点ずつ)。宿泊可能日は2023年3月1日(水)-12月31日(日)のうち7日間(別途、航空券代)。
LIRは、高級不動産仲介ブランド「サザビーズ インターナショナル リアルティ®」の日本国内での独占営業権を2010年に取得しており、ハワイでは2か所にオフィスを構え、大規模都市開発計画「ワードビレッジ」の日本におけるオフィシャルパートナーとしてコンドミニアムの売買を手掛けている。宿泊が可能な「ワイエア」は「ワードビレッジ」内で最初に販売されたコンドミニアムでオーシャンフロントに位置している。
プール
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海外のコンドミニアムは全く知らないが、対象住戸の坪単価をはじいたら1,026万円だ。都内にこの単価で総額7億円超のマンションはどれくらいあるだろうか。バブル期を含めた分譲時点で集計すれば300戸くらいありそうな気がするが、現在価格では100戸あるかどうかではないか。
そんな高級マンションに約20万円で5泊7日できるのだから、1泊当たり4万円だ。家族4人だと一人当たり1万円。これは安い。申し込みが殺到するのではないか。
だが、しかし、リスト北見社長、期待が大きいからこそあえて言わせていただく。オープンハウスは三冠王を獲得したヤクルト村上選手に「東京の家3億円」をプレゼントし、事業費5,000万円を投じて「つば九郎ハウ巣」を建設したではないか。ヤクルトが2年連続日本一になったら、オープンハウス荒井社長はまた何かやるはずだ。
北見社長と荒井社長は1965年生まれの同級生で、ともに野球好き。RBA野球大会では直接対決はどれだけあったか分からないが、通算成績はリストが80勝37敗、勝率.684、オープンハウスは41勝22敗、勝率.651だ。リストが上回っている。売上高の多寡など関係ない。オープンハウスの向こうを張って度肝を抜くプランを提案し、荒井社長の鼻を明かしていただきたい。宿泊権1件というのは少なすぎる。50件の申し込みがあるのではないか。
7億円といえば、小生は自慢じゃありませんが、三菱地所ホームの時価7億円はしそうな全館空調「エアロテック」モデルハウスに無料で1泊させてもらった。もう時効だから書くが、加藤社長からは高価なシャンパンのプレゼントもあった。浴室、トイレだけでなく押入れの中まで気温が一定で、あまりにも快適・豪華すぎて、7億円の価値を堪能することはできなかったが、記事へのアクセス数は5,000件を突破した。少しはPRに貢献したはずだ。
効果てきめん 三菱地所ホーム 全館空調「エアロテック」記者も宿泊体験(2017/10/30)
まさに紙わざ ヒントは「6」 坂茂氏が設計した芝浦工大のレストラン&カフェ
「銀座シシリア豊洲店」(芝浦工大提供)
「紙の建築」で知られる世界的建築家・坂茂氏が設計した芝浦工業大学豊洲キャンパス新棟のカフェ&レストラン&カフェを見学した。まさに「紙わざ」、壁から天井、家具、椅子に至るまで紙管がふんだんに用いられ、その美しさに見とれた。
レストランの「銀座シシリア豊洲店」は、再生紙の紙管(丸と四角)を主体材料として天井、間仕切り壁、家具などが作られており、坂氏がこれまで開発してきた紙の建築(紙管による建築の主体構造)の一環。カフェの「SIT Global Caffe empowered by Segafredo」は、このプロジェクトのために新しく開発した、白ブナ材をL字型断面に成型した合板が天井、間仕切り壁、家具などに採用されていた。
双方とも一般利用も可能で、レストランは平日・土曜日11:00~21:00(休業日は休祝日、夏季休業日、年末年始)、カフェは平日8:00~20:00、土日祝日9:00~20:00(休業日は夏季休業日、年末年始)。
「SIT Global Caffe empowered by Segafredo」
椅子とテーブル
「SIT Global Caffe empowered by Segafredo」
レストラン(左)とカフェ
◇ ◆ ◇
開業したのは先月9月21日。早く見たかったのだが、他の取材が結構入っており、この日(10月18日)になってしまった。最初に利用したのはカフェ。紙管は使用されていないが、新開発のL字型成形合板が壁や天井にルーバー状に張り巡らされていたのに目を見張った。飲食メニューも学生さんも利用することからかリーズナブルなものだと思った。
次に見学したレストランは、まさに「紙わざ」。坂先生の真骨頂である紙管が壁から天井、間仕切り、家具、椅子まで随所に使用されていた。紙が用いられていないのは床(実際は床にも紙のチップが用いられているとのことだった)くらいだった。
圧巻は、親子連れの小さな子どもが「ハチの巣みたい」と形容した天井だ。いわゆる「ハニカム構造」と呼ばれるもので、軽くて強度を損なわず、資材を有効に利用できる利点があり、そして何よりも環境に優しいというメリットがある。坂先生はこれを自宅や仮設住宅に採用して話題となった(小生は山形県鶴岡市の「SHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSE」を見たいのだが、お金がない)。
しばし観察した。正六角形の枠内に大きいものから小さいものまで4種類の紙管がはめ込まれ結合され、全体が波打つように天井に張り付けられていた。
紙管の数を数えた。大きい順に7個、19個、37個、61個だった。みんな素数だ。この数値は何を意味するか分からないのだが、より小さい紙管を収めるとどうなるか計算した。次は91個でその次は127個、そして169個⇒217個となった。つまり紙管は1⇒1+6×1=7⇒7+6×2=19⇒19+6×3=37⇒37+6×4=61⇒61+6×5=91⇒91+6×6=127⇒127+6×7=169+6×8=217…前の紙管の数に6の倍数を加えた数ずつ増える…だがしかし、91は1と7と91で割れるから素数ではない。ここで行きどまり。フィボナッチ数でも素数でもない、この数列は何だ。ハチの巣も雪の結晶も六角形であるのと同じ、美しいのは「6」がヒントだ。
もう一つ、これは銀座シシリアのマネージャーが話したことなのだが、波打つ紙管やアール状の間仕切り壁による反響音はことのほか大きく、オペラなどコンサートをやれば素晴らしい音が出るのではないかということだ。坂茂建築事務所に聞いたら、音響効果は特段計算していないとのことだった。
レストラン&カフェは東京メトロ豊洲駅から徒歩10分くらい。少し距離はあるが、大学までの歩道には美しいセンダンの街路樹も植わっている。散歩がてら利用されることを勧めたい。日本財団が整備し、坂先生が担当した渋谷区のシースルーのトイレ記事も添付する。
レストランエントランス
レストラン内
レストラン内
レストラン内
レストラン内 カウンター
日本財団「THE TOKYO TOILET」13か所目 後智仁氏のトイレは植栽にも注目
日本初の手をつかわないトイレ「Hi Toilet」誕生 佐藤カズー氏デザイン 日本財団PJ
坂茂氏も坂倉竹之助氏も素晴らしい 日本財団の民設民営 渋谷区公園トイレ