知る人は懐かしく、知らない人は行きたくなる 地所「TOKYO TORCH」仮囲いアート
「TOKYO TORCH Park」仮囲いアート
三菱地所が11月1日から掲出している「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」に整備する「TOKYO TORCH Park」の仮囲いアートを見学した。全国1,741市町村すべての写真撮影を達成した写真家・仁科勝介氏と連携したもので、全長63m、高さ3mに全47都道府県の写真がそれぞれ1枚ずつ掲出されていた。どこにでもありそうな日常風景ばかりだが、だからこそ鑑賞する人の心を揺さぶるのだろうと思った。設置期間は2022年11月から2024年9月の予定。
下手な小生のコメントなど書かない。江東区木場に住んでおり、常盤橋タワーをよく利用するという20~30代の子ども連れの女性が全てを語ってくれた。
「普段意識しないメジャーでもない都道府県のありのままを見ることができるのがとてもいい。知っている人は懐かしいと思うでしょうし、知らない人は新鮮に映り、行ってみようと考えるかもしれません。新しい発見ができる」と。
三菱地所関係者も仁科氏も小躍りして喜びそうなコメントだ(まさか三菱地所関係者ではないだろう)。小生も嬉しくなって、仁科氏が大学生のとき2年間休学して、2年を待たずに全国47都道府県の全1,471区市町村を全て踏破したこと、旅費はアルバイトして稼いだことなどを伝えた。
左から静岡、愛知、三重、滋賀(岐阜の方には申し訳ない)
左から埼玉、千葉、東京、神奈川(柵があるのでうまく撮れない)
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仁科氏の著書「ふるさとの手帳」(KADOKAWA)を図書館で借りて読んだ。約300頁に写真は1~2枚から多い頁では20枚以上掲載されている。その数はざっと4,000枚か。旅行雑誌、ガイドブックによくある名所旧跡、景勝地はむしろ少なく、田舎のどこにでもありそうな日常の風景が切り取られている。
添えられているエトキ(キャプション)も、わが故郷・三重県を例にとると「気づけば稲穂は黄金色(いなべ市)」「江戸時代の風情を残す河崎へ(伊勢市)」「いつもの道路(度会町)」「友人が作ってくれた朝食(伊勢市)」「美味しいみかんあります(御浜町)」「土佐犬のゆりこさん(亀山市)」などといった具合だ。伊勢神宮も赤福も的矢の牡蠣も登場しない。全頁が「旅の決めごとはひとつ。『訪れたまちで写真を撮ろう』」(はじめに)で貫かれている。
仁科氏は著書で「市町村一周は遠い夢だった。全てのまちを巡った後、一体どんな景色が目の前に広がるのだろう。ただ知りたくて、旅に出た。そして旅は終わり、様々な景色が教えてくれた答えはシンプルだった。『知らない景色は、永遠にあるのだ』と。市町村を全て巡ろうが、日本を知ったつもりになんて到底なれない。行ったことがある、ないの問題でもない。知ることに並行して、何も知らない自分に気づく。市町村という果てしない単位は、終わりのない景色をわたしに見せてくれた」と綴り、「旅をしていたわたしは、主人公ではない。旅をすることで、何者かになりたかったわけでもない。踏切を駆ける列車、風に揺られる木漏れ日、雨でも咲く花々、誰かの散歩道。訪れた先々で出会ったわたし以外こそ、旅の主人公であった」「この本を読んでくださったみなさんも、わたしにとっては主人公である」(おわりに)と締めくくっている。
皆さんにも鑑賞をお勧めだ。隣には学生さんが経営する47都道府県地域産品セレクトショップ「アナザー・ジャパン」があるし、仮囲いの前は常盤橋タワーだ。レストランで食事しながら観るのがいい。小生は白ワインを1杯飲んだ。ハッピーアワーとかで550円だった。仁科氏風に書けば「日本一の街のど真ん中でワインが550円とは」(東京)か。
わが故郷・三重県の宣伝も一つ。東京建物の本社がある東京建物八重洲ビルの地階には「伊勢角屋麦酒 八重洲店」が入居している。いい店です。
東京建物八重洲ビル
わが国初の「5階建て純木造ビル」/「カベワンGP」7度目V アキュラホーム
「5階建て純木造ビル」
アキュラホームが川崎住宅公園に11月5日オープンしたわが国初の「5階建て純木造ビル」モデルハウスを見学した。一般流通材とプレカット技術で建設できる「普及型純木造ビル」のモデル棟で、①混構造ではない木造軸組工法による5階建て②免震構造ではなく耐震構造で特殊金物を使用していない③実物大耐震実験で強度を実証-しており、組子格子デザインの構造壁や柱を極力「現し」で表現しているのが特徴。
モデルハウスは木造ビルを普及させるために開発したもので、木造軸組工法による5階建て延べ床面積約439㎡。1階が店舗、2階が事務所、3階が賃貸住宅、4・5階がオーナー向け専用住宅を想定した複合ビル。
同社は、今後1年から1年半の間に同様のモデルハウスをさいたま市、錦糸町などで建設し、木造ビルの普及を目指す「Re:Treeプロジェクト」を本格化する。さいたま市で着工した純木造の8階建て新社屋は2年後に完成する。
モデルハウス1階
「現し」の組子格子デザイン
階段室にも木造デザインを採用
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同社はモデルハウスオープンに先駆け11月4日メディア向け見学会を行っており、同社常務執行役員・井草健二氏が約40分にわたって説明・質疑応答した。そのビデオを視聴した。
井草氏は冒頭、木造の歴史について触れ、13万戸の家屋が全壊、44万戸が焼失した関東大震災と、1959年の伊勢湾台風の被害をきっかけに、「木造禁止令のような規制が進んだ結果、木造は劣勢に回った」と口火を切り、「この20年間は、技術者や学者などの取り組み・研究により歪んだ部分、世界観を是正する時代で、『仕様規定』から『性能規定』に変化した時代」と述べた。
そして、関東大震災から100年を迎えた今年は、地球温暖化防止、脱炭素社会実現に向けた「黎明期」と話し、「さらに改善を進め、向こう2年間で木造ビルは本格的に普及する」と語った。
一方で、本格普及のためには、「コストの壁」「工法の壁」「偏見の壁」の3つの壁を乗り越えるのが課題で、コスト的には、今回のモデルハウスは鉄やコンクリとほぼ同様ではあるが、工期が予定より延び労務費がかさみ、無駄な柱や梁もあるとし、競争力を高めるためには構造計算をできる設計者の育成も欠かせないと語った。
4階から5階の階段室
3階賃貸スペース
5階バルコニー
5階
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木造ファンの記者も、井草氏が語ったように「純木造ビル」が日常の街並みになることを願っているのだが、一つお願いしたいことがある。木造の「断熱性」「調湿性」「快適性」「デザイン性」などの「優位性」のエビデンスデータを各社で共有し、定量的に示すことで〝見える化〟を図ることだ。
同社の施設では、さいたま北支店とつくば支店がある。社員の病気が減ったとか生産性が向上したなどのデータは集まっていないのか。
第5回「カベワンGP(壁‐1グランプリ)」で優勝したアキュラ・チーム匠
同社は11月11日、ものつくり大学(埼玉県行田市)が主催して10月22日、23日に行った第5回「カベワンGP(壁‐1グランプリ)」にアキュラ・チーム匠として参加し、通算7度目のトーナメント優勝を達成したと発表した。
同社グループの耐力壁は、「柔よく剛を制す」をコンセプトに開発した「檜三四郎」で参戦。面材を使用せず、木材は国産材のヒノキとシラカシにより3本の横枠と4本の縦貫で構成され、横枠への縦貫のめり込みにより、高耐力と高い靭性を兼ね備えたもの。
「カベワンGP」は、東京大学・稲山正弘教授が阪神淡路大震災の後、木造は弱いという偏見を払拭し、構造耐力の向上や技術者の育成などを目的にスタートした前身の「木造耐力壁ジャパンカップ」から計25年間続く大会。今年はハウスメーカー、ゼネコン、大学や専門学校の研究者グループなど10組が参加した。
同社グループの耐力壁開発に加わっている稲山教授は「埼玉県でアキュラホームの新しい8階建ての社屋が着工しました。この社屋は耐震構造を純木造で実現しています。『耐力壁ジャパンカップ』からチーム匠でやってきた経験が、高強度の耐力壁の開発の礎となって8階建てに至っている」とコメントしている。
「檜三四郎」
健全な街路樹を「枯損木」として処分 問われる住民自治 千代田区の住民訴訟
神田警察署通りⅡ期道路整備区域のイチョウ(左は「テラススクエア」の公開空地の樹木)今年5月撮影
東京都千代田区が進めている「神田警察通り」の街路樹であるイチョウ並木の伐採工事の是非を問う住民訴訟の第1回口頭弁論が11月8日東京地裁であり、伐採工事の中止を求める住民ら原告3人は、「区は私たちと3回話し合いの機会を持ったと主張いているが、単なるアリバイ作りにしか思えない」「伐採決定は全くの寝耳に水。区には『住民の声』を聞くシステムや機能が働いていない」「区職員の虚偽の答弁に基づく議会決定は無効。誰のためのまちづくりか」とそれぞれ述べた。次回は2023年1月17日13:30から703号法廷で行われる。
口頭弁論後、原告側は記者会見を行い、訴訟代理人弁護士・大城聡氏は「区の行ってきたことには重大な瑕疵がある。住民の声は反映されず、住民自治が無視されている。極めて前代未聞の事態」と区を批判。虚偽答弁によって議決された決議は無効、違法であり、健全なイチョウを「枯損木」として伐採するのは、地方自治法2条14項、地方財政法4条にも違反すると主張した。
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最初に旗幟を明らかにしておく。記者は原告でも被告の側でもないが、街路樹の味方だ。まずは、20代の女性原告の口頭弁論の一部を紹介する。
「『人中心のまちづくり』を謳っていながら、こうした地域住民を分断してまでなぜ木を伐らなくてはならないのでしょうか。街に『賑わい』さえあれば、住民間の溝が深まり続けても良いのでしょうか。なぜ区民が『まちづくり』に参画できないのでしょうか。私たちは道路拡張工事に反対しているのではなく、ただ一期工事でそうしたように、イチョウを残して道路整備をしてほしいだけです。なぜ立派な前例がありながら、同じような工事を使用としないのでしょうか。環境まちづくり部の職員には、いったい誰のためにまちづくりをしているのか今一度考えて頂きたいです」
「今回の沿道整備にあたり、区は当初イチョウの木を保存した上で整備を進めるとしていました。しかし、ごく一部の地元住民とデベロッパーのみが参画している沿道整備推進協議会の中で一方的に当初の計画を変更し、伐採の意向を決めました。さらには、区自らがガイドラインに定めた意見公募や住民説明会などを一切行わず、計画の変更を区民に周知することはありませんでした。区議会に対しては虚偽の答弁を行うなどし、故に区議会はその誤った情報に基づき本件を議決しました。事業者である大林道路との工事請負契約書には、樹木診断結果に反し、二期区間のイチョウが『枯損木』と記載され、工事契約が締結されました」
この原告の「誰のためのまちづくりか」との訴えには、日ごろ再開発事業などを取材している記者はドキッとしたのだが、大きな争点になりそうな「枯損木」について。
「枯損木」であるかどうかは樹木医の診断を受けて決定するのが一般的で、千代田区も事前に診断を受け、健全であることを確認している。にもかかわらず、区の担当者は「枯損木」として住民に説明し、工事契約書に記載したことの是非が問われている。
原告側は、不要な支出を禁じる地方自治法2条14項(地方公共団体は、その事務を処理するに当っては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない)、地方財政法4条(地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない)を新たな盾として行政の不法行為を難じるようだ。
この問題について、先の住民監査請求に対する監査結果は「契約書に添付された種別内訳書の『種別・細別・内訳』欄には、『枯損木』との記載があるが、これは東京都積算基準(道路編)の施工単価を適用したことからその施工単価名称(枯損木伐採工)を引用したものである。また、同じ契約書に添付された図面には『枯損木』とではなく『高木』と記載されており、本件街路樹が『枯損木』ではないという点については、本件工事契約の発注者である区と請負者である大林道路とが共通認識に立っていたものであって、本件工事契約に錯誤による瑕疵があったとはいえない」と住民の訴えを棄却している。
区の担当者は「神田警察通り沿道整備推進協議会」で「枯損木」と説明し、その後「枯損木」でないことを認めている。工事業者との契約では「高木」としているから瑕疵はないと主張している。
イチョウの立場からすると、これは都合のいいように言葉を使い分ける二枚舌、三枚舌といわざるを得ない。監査委員が「錯誤による瑕疵」はなかったというのを言い換えれば「確信犯による不法行為」だ。どうして「支障木」としなかったのか。これならまだ一理ある。
健全な街路樹を「枯損木」として殺処分することはあるのかについて、東京都と「つくばの財産である街路樹を守り育てていく」と五十嵐立青市長が宣言しているつくば市にも聞いた。そのような事例は双方ともないということだった。千代田区のケースはやはり異例のようだ。
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もう一つ、原告の「『神田警察通り沿道賑わいガイドライン』が街路樹伐採に都合のいいように改変され、区議会での虚偽答弁に使われた」という主張も大きな争点になりそうだ。この「ガイドライン」は法的根拠があるのかどうかという問題だ。
区は、当初ガイドラインに盛り込まれていた「豊かに育った既存の街路樹を活用する(白山通りのプラタナス・共立女子前のイチョウなど)」の文言を、誤字脱字の訂正のように軽微な変更事項として課長権限で「など」を削除した。この是非が問われている。
これも難しい問題だ。行政が定めるガイドラインには条例、その他の法令条項が明示され、行政や住民に対して命令・禁止する権限を有するものも少なくないと解されるが、今回の「ガイドライン」はそれに該当するのか。
記者は、「等(など)」は法的に例外を設けない、すべてを捕捉する極めて行政側に都合のいい助詞だと思う。区が「など」を削除したのは、例外を認めないという強い意志が働いたからだと考える。これを原告らは突き崩すことができるか。
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もう一人の原告の口頭弁論を一部紹介する。
「私が疑問に思うのは、そもそも行政が区民の意見を聞いた、とする『神田警察通り沿道整備推進協議会』とはどういうものだったかという点です。沿道協議会は、13の町会長及び商店会や観光協会からの代表者、有識者2名、行政担当者など合計21名で構成され、その委員は千代田区長が任命(略)果たしてこの沿道協議会で了承したことが、『住民の総意』であったかどうかということです。(略)沿道協議会には『住民の声』を聞く十分なシステムや機能がなかったのではないかと思われます」
任意団体である町内会会長が果たして住民代表になりうるかという問題だ。これも難しい問題だ。ただ、「協議会」は「沿道整備推進」と名付けられているように、沿道整備を推進するのが目的だ。だからこそ、区と区の別動隊である都市再生機構が樹種の変更の必要性を訴え、住民アンケートも街路樹伐採を誘導するような中身になっている。
一連の「協議会」の議事録などを読む限り、町内会は上意下達の区の下請け機関になり下がっていと言わざるを得ない。街路樹伐採に賛成の人だって、都合のいいように利用され、利用価値がなくなると「枯損木」「支障木」としてごみのように捨てられる可能性もあるといったら失礼か。ある原告は「街路樹伐採に反対する人と賛成する人に分断されたという意味では双方とも被害者。加害者は千代田区」と話した。これは本質をついている。
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馬鹿馬鹿しくて書く気にもならないのだが、イチョウ(果実)が臭いとか、落ち葉が排水溝を防ぐとかの意見について。
確かにイチョウの実は悪臭を放つ。しかし、イチョウを含めた街路樹の果たしている役割をもう一度冷静になって考えて頂きたい。「臭い」というのであれば、もっとも「臭い」のはわれわれ人間ではないか。小生は今でも恥じているのだが、かつてわれわれ日本人は「臭い」といってニンニク臭のする人を嫌悪、排除した。「臭い」「汚い」「醜い」などはむやみやたらに用いるべきではない。人は死ねばみんな死臭を放つではないか。
落ち葉の処理に困るというが、サクラの花と同様、イチョウほど散り際が見事な落葉樹はそうない。受忍責任について考えて頂きたい。
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神田警察通りの賑わい創出について。
記者は前途多難だと思う。この通り面する施設を西から東に向かって列挙すると、共立女子学園・防災センター・学術センター-学士會館・興和一橋ビル-テラススクエア・神田税務署・神田警察署-錦町トラッドスクエア-寿ビル・正則学園・錦城学園-神田スクエア・竹橋スクエア-島津製作所などだ(千代田通りまで)。
これらのうち、総合設計制度などの適用を受けて道路側に公開空地を設けているのはテラススクエア、錦町トラッドスクエア、神田スクエアくらいだ。あとは、総合設計制度ができる前だろうからやむを得ない部分もあるが、ほとんどが道路と街に背を向け、敷地いっぱいに建物を建てている。賑わいを生み出す飲食・商店も少ない。ヨウコウザクラを植えても賑わうのはほんの1~2週間だ。桜が散れば閑古鳥が鳴くのではないか。
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長くなるのでもうやめるが、最後に沿道協議会で発言された住民の声を紹介する。
「私は、祖父が明治34年に、この地に製函業をはじめまして、それから、震災、戦火を免れまして、ずっとここに住んでおります。私が生まれまして、80年弱になりますが、私はこの木とともに、生活してきたと思っております…皆さん、どんなにこの木に思いを込めて頑張って復興なさったんだろうなって、そういう思いが近頃すごく思うんです。それを、それだけ見守ってくれたイチョウを、じゃあ邪魔だから、いらないからって伐るのはとってもいたましいと思います…あんなに今までの歴史を見守ってくれた木々を、このまちの歴史がなくなってしまうんじゃないかと、ものすごくそれが悲しいです。だから皆さんいろいろ、思いはおありだと思いますけれど、ともかく、その木のためにでも、少しでも議論を重ねて、何か妥協点を見出していけたらなって思います」
「我々は、いつも日陰にいる者ですから、いつも思うことは(イチョウを)残していただきたいなと思っているだけです」(車椅子利用者)
記者はこの「我々は、いつも日陰にいる者」の言葉に肺腑をえぐられた。と同時に、今回の裁判では「雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ 丈夫ナカラダヲモチ 慾ハナク 決シテ瞋ラズ イツモシヅカニワラッテヰル」(青空文庫)、そして〝伐れ、伐るな〟の罵詈雑言にも泰然として聞き流す物言わぬ街路樹の尊厳が認められるかどうかだと思っている。
色づくことも許されず6mくらいで強剪定されているケヤキ(久喜市・南栗橋駅近くで)
狂っているのは人間か 〝手足〟をもぎ取られ発狂しそうなケヤキ(同上)
街路樹伐採やめて 住民の監査請求棄却 千代田区監査委員 区のアリバイ作り追認(2022/7/1)
住民監査請求の行方 街路樹の価値の可視化必要 千代田区の「街路樹が泣いている」(2022/5/18)
民主主義は死滅した 千代田区のイチョウ伐採 続またまた「街路樹が泣いている」(2022/5/13)
野村不・JR東日本 板橋駅直結の再開発 12月着工へ マンションは388戸
野村不動産と東日本旅客鉄道は11月9日、共同で推進している「板橋駅板橋口地区第一種市街地再開発事業」の権利変換計画の認可を10月28日に受けたと発表した。2022年12月の着工、2027年6月の竣工を予定している。
事業は、JR東日本管内の駅で初となる駅施設に直結した住宅を含む複合開発で、敷地面積約3,860 ㎡、34階建て延べ床面積約51,200㎡。住宅は388戸の予定。設計・監理は東急建設、JR東日本建築設計。施工は東急建設。商業施設運営はアトレ(予定)。
ウルトラ・スーパーラグジュアリーホテル 三菱地所「Torch Tower」に誘致
「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」外観(提供:三菱地所設計)
三菱地所と東京センチュリーは11月8日、東京駅日本橋口前で開発を進めている「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」街区の「Torch Tower」高層部ホテルにウルトララグジュアリーホテル「Dorchester Collection(ドーチェスター・コレクション)」を誘致すると発表した。開業は2028年度の予定。
Dorchester Collectionは、世界5つの都市(ロンドン、パリ、ミラノ、ローマ、ロサンゼルス)で9つのホテルを有するウルトララグジュアリーホテルブランドで、わが国では初となる。2023年には中東エリア初のホテル「The Lana, Dubai」をオープンする。
記者発表会に臨んだ三菱地所執行役社長・吉田淳一氏は「TOKYO TORCHはプロジェクトビジョン〝日本を明るく、元気にする〟を掲げ、東京の玄関口にふさわしい街づくりを進めている。ホテルはその象徴としての重要な位置づけ。Dorchester Collectionとパートナーを組むことを決定したのは、その哲学に強く共感したからで、場所、歴史に応じた強い個性を持ち、それが伝説に残るホテルを手掛けられている。そして、何よりも『人』を大切にしていることに感銘を受けた。ゲストだけでなく従業員を大事にしており、その人と人のつながりが生み出すホスピタリティが真のラグジュアリーにつながっている。同社が長年培ってきた文化とホスピタリティを吹き込むことにより、この場所でしかできない『唯一無二の体験』をこのホテルは提供できるものと確信している」と語った。
また、Dorchester Collection CEOのChristopher Cowdray(クリストファー カウドレー)氏は「本ホテルは、日本のウルトララグジュアリーホテルを代表し、新たなベンチマークとして位置づけられることになると確信している。東京はアジアの玄関口であり、世界的にも重要な都市であることから、弊社の成長戦略にとって欠かせない場所。私どものビジョンである“We Care”の哲学と価値観を同じくする三菱地所(ブランドスローガン「人を想う力、街を想う力」)と東京センチュリーとパートナーシップを組み、共に歩めることを大変光栄に思います」と述べた。
TOKYO TORCHは、日本・東京の玄関口として「都心観光の核」となることを目指して建設が進められており、日本一の高さとなる62階建て高さ約390mの「Torch Tower」の53階~58階部分にホテルは設けられる。延べ床面積は約21,400㎡。客室数は110室(予定)。「Torch Tower」の着工予定は2023年度。設計監理は三菱地所設計。施工は未定。59~60階には大丸有初の賃貸レジデンスが併設される。
左から東京センチュリー執行役員副社長・中居陽一郎氏、吉田氏、Christopher Cowdray氏
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熱のこもった発表会だった。記者は、ド―チェスターは、小説に登場するイギリス南部の都市であることくらいしか知らないので、このホテルブランドの価値がいかほどか全く見当もつかなかったのだが、スタッフ約4,000人のうち35%が勤続25年以上で、レジェンドと呼ばれる高齢者の方もいるとか。「競合しても負けない」と自信を見せたのは、人材教育・ホスピタリティの質が高いからだろうと理解した。それを支えているのは哲学だろう。
理解はしたのだが、関係者が「ウルトララグジュアリーホテル」「スーパーラグジュアリーホテル」「唯一無二」を連発したのには面食らった。数えたわけではないが、1時間30分の会見の間にそれぞれ4~5度は飛び出した。
これらの言葉からストレートに「超高級ホテル」と書いても隔靴掻痒。読み手にはなんのことやらさっぱりわからないはずだ。書き手のリテラシー、想像力が問われていると思うから、宿泊料金がいくらになるか以下に大胆予測してみた。
記者は、ここに分譲マンションを建てたら坪単価は最低3,000万円と読んでいる。しかも上層階という条件などを加味すると坪単価は4,000万円から5,000万円になるはずで、10坪(33㎡)だと3億円から5億円。分譲すれば瞬く間に売れるはずだ。
この予想はかなり自信があるのだが、ここからが難しい。ホテル価格は変動制で、ましてや海外市場のことなどまったく分からないからだ。ヒントになるのは、最近の同社の大丸有の様々な取り組みと、吉田社長の言葉「マンションなどは『唯一無二』といってもすぐ真似られる。今回のホテルは常にブラッシュアップして他には真似できない本物を追求していく」だし、関係者が語った「マーケットトップを目指す」の言葉だ。となると、おおよその見当はつくのだが…〝ウルトラマンホテル〟〝スーパーマンホテル〟になりそうということに留めよう。
Sky Hill(提供:三菱地所設計)
ロビー(提供:Dorchester Collection)
車寄せ(提供:Dorchester Collection)
移動商業店舗事業拡大へ 三井不/分かったようで分からない「豊洲」の街
移動店舗「焙煎豆珈琲屋RR COFFEE」
三井不動産とグループ会社のShareTomorrowは11月7日、移動商業プラットフォーム「MIKKE!」が11月で事業開始1周年を迎えたのを機に記者説明会・体験会を開催し、この1年間の事業を振り返るとともに、出店エリアの拡大、新サービスの導入、ロゴのアップデートなどを行うと発表した。
「MIKKE!」は、出店会社へ「車両」「場所」「顧客情報」を提供することで、新たな販路拡大と未開拓の顧客層へのアプローチを狙った移動商業プラットフォームで、この1年間で出店場所は50区画、出店店舗は200店舗、顧客基盤は3.5万人(利用者約6万人)の実績を積み上げてきた。
こうした実績を基に、今後は出店エリアを東京湾岸エリアに近接するゾーンから都内主要エリアに拡大し、出店場所もマンションや商業施設中心だったのを、駅前高架下、スーパーマーケット、有料老人ホームなど多様化させ、新サービスとして場所貸しプラン「&MIKKE! SPOT」を導入する。
また、従来のサービス名称「MIKKE!」から「共生・共存」の理念を象徴する三井不動産グループロゴ「&」マークを付加した「&MIKKE!」へアップデートした。
新しいロゴ
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豊洲公園での体験会では、サントリーホールディングスが運営しているその場で豆を挽きコーヒーを淹れる「焙煎豆珈琲屋RR COFFEE」を利用した。深々炒りで400円。小生が毎日淹れているコーヒー(200gで1,500円)よりおいしかったので、同じ値段の豆を買おうと思ったが、自宅にはコーヒーミルがないのであきらめた。
小生が「これは美味しい」とほめちぎったからでもないだろうが、ペット用のバギーに子犬を載せた(乗せたか)若い女性グループが群がってきた。この「焙煎豆珈琲屋RR COFFEE」はヒットすると直感した。「RR」には「いつの時代にも私たちに欠かすことのできない、人間らしい生命の輝きを取り戻すこと(Restoration)。そんな当たり前の幸福を、お客様と一緒になって目指す、ヒト懐っこいコーヒー屋(Roasters)です」(同社ホームページ)の思いか込められている。
媚びを売る犬は好きではないが、あまりにもけたたましい鳴き声に小生は反応し、インタビューを敢行した。その子犬は1歳4か月の♀の独身で、飼い主の女性は「香りに敏感なの。カメラを向けるとそっぽを向くの」と代返した。
傍にいたおとなしいもう1匹は4歳の♂の独身だった。♀犬はコーヒーの香りではなく、♂犬のフェロモンに刺激されたからだと小生は結論づけた。そろそろ色気づく年ごろだ。♂犬だって独身かどうか怪しいもんだが…。
同社の担当者3人ともしばし歓談した。糖尿の小生は体に良くないと言われるのでビールは飲まないことにしているのだが、同社の「TOKYO CRAFT」にほれ込み、最近は毎日のように1本飲んでいる。なので「どうしてビールを売らないのか」と聞いたら、検討中とのことだった。
また、同社の工場見学ではビール、ウイスキー、ワインをただで頂いたこともあるので、その話をしたら「お客さん優先なので、ウイスキーを含めて(ただで)飲めない」とぼやいていた。社長!そんなケチなことしないで、溺れるほど飲ませてやっていただきたい。
車両店舗では酒類の提供はなかったので、坂茂氏が設計した芝浦工大のレストラン&カフェに向かった。大学祭とかでレストランは休み。カフェでワインとクロワッサンを注文した。720円だった。店のスタッフから「教職員じゃありません? そうでしたら30%引きになります」と聞かれた。とっさに「そうです」と答えようと思ったが、〝嘘つきは泥棒の始まり〟ときつく親から諭されてきたので、「ハイと答えると証明するものは必要ですか」と返したら、身分証明書が必要ということだった。
芝浦工大ではもう一つ驚いたことがあった。通りかかった男女2人組の学生さんに坂茂氏のことを話したら、「坂茂? 」全然知らなかった。「何年生? 専攻は? 」と畳みかけたら、双方とも1年生で建築学部ではなかった。それにしても坂茂氏を知らないとは。SNSの情報は氾濫しているのに肝心のことは知らない。世の中はどこか狂っている。
狂っているといえば、信じられない光景を目の当たりにした。オフィス「豊洲フロント」の前のけやき通りには見事な街路樹が植わっていたのだが、明らかにサクラと思われる樹木に「イチョウ」の名札が付けられていた。誰かのいたずらだろうとは思ったが、針金は樹木に食い込んでおり、昨日今日のことではないことも分かった。道路管理者はどうしているのか。
世界を独り占めしている1歳4か月の♀犬(左)とおっとりした4歳の♂犬(大人の世界も一緒か)
「イチョウ」の名札が付けられたサクラ
美しい豊洲の街並み
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名札といえば、さすが三井不動産。記者説明会会場となった同社の「豊洲ベイサイドクロス」ビルの公開空地にはクロマツ、クロガネモチ、ケヤキ、イロハモミジ、シマトネリコ、ヤブニッケイ…樹齢数十年と思われる立派な樹木が植えられており、名札も付けられていた。豊洲エリアは計画的に整備されてきたこともあるが、総じて街路樹のレベルは高い。マンションが人気になるのもうなずける。(公園など区が管理する施設には名札などない)
「ららぽーと豊洲」では嬉しいこともあった。「牧田さん、どうしたの? 」とだしぬけに声をかけられた。すぐ、RBA野球の名物男で三井不動産リアルティの野球部関係者だと分かった。「ららぽーと豊洲」には同社の店舗があり、宮沢りえさんのTVCMもここで撮影されたそうだ。
以上、記事は4時間かけて歩いた成果だ。現場取材は楽しい。「あなたはマンションに詳しいかもしれないけど、何もわかっていないわよ」かみさんが言い放った。狂っているのは小生か。
「豊洲ベイサイドクロス」の公開空地(手前はクロマツ)
「豊洲ベイサイドクロス」の見事なクロガネモチ
宮沢りえさんの撮影が行われた三井不動産リアルティの店舗
まさに紙わざ ヒントは「6」 坂茂氏が設計した芝浦工大のレストラン&カフェ(2022/10/25)
ワインを飲みながら唯一無二の傑作完成 アート体験イベント「ノーガホテル上野」
「使ってはいけない絵の具はありません」(「NOHGA×artwine アート体験」で)
野村不動産ホテルズが運営する「NOHGA HOTEL UENO TOKYO(ノーガホテル上野)」の開業4周年イベントとして11月4日から行われている「NOHGA×artwine アート体験」を6日、見学取材した。参加者は14名。大人になってからは絵を描いたことなどないと思われる人ばかりで、油絵が趣味の記者はハラハラドキドキ、ビールと白ワインを飲みながら観察・鑑賞したが、でき上ってみればみんな素晴らしい作品ばかり。最高の取材ができた。結構なことではあるが、真似するホテルが続出するのではないかと心配になったほどだ。
イベントは、ノーガホテル上野と「artwine.tokyo」がコラボしたもので、「artwine.tokyo」のエキスパートが画題に合わせたペアリングイメージを伝え、ホテル内レストラン「Bistro NOHGA」のソムリエが厳選したワインとシェフ特製カナッペを楽しみながら、講師によるレッスンを受け、自由にアートを仕上げ、作品は持ち帰りができるというもの。
イベント・画題(テーマアート)は、11月4日・ゴッホ「ひまわり」、11日・クリムト「接吻」、18日・ルノワール「桃」、25日・葛飾北斎「富嶽三十六景」の金曜日コース(19:00~21:30、限定10名)と11月6日・モネ「睡蓮」、13日・ゴッホ「星降る夜」、20日・アルコールインク、27日・アルコールインクの日曜日コース(15:00~17:00、限定16名)の2通り。
料金は一人8,800円(税込)。事前予約制で「artwine.tokyo」公式サイトhttps://artwine.tokyo/へ。
「皆さん、生涯で200作の睡蓮を描いたモネも奥さんを亡くしたときは描けませんでした」
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絵画教室は珍しくともなんともないが、これは取材しないと悔いが残ると、早速取材を申し込んだ。何に興味を引かれたかといえば、ホテルワインが飲めることと画題(テーマ)だ。記者はワインではないが、このホテルで「TOKYO CRAFT」のおいしさを知ったし、ゴッホ・ひまわり、モネ・睡蓮、クリムト・接吻、ルノワール・桃、葛飾北斎・富嶽三十六景など誰もが知っている絵を、どのように模写・表現するのか見たかったからだ。
参加者を写さない、写すのは絵のみという条件付きで取材が許可された(1回のみ)。ホテルと、創作過程を取材することを了解していただいた参加者のみなさんにお礼申し上げます。
取材は、狙い通り大成功。ワインは飲み放題ではないようだが、スタッフは惜しげもなく空のグラスに継ぎ足していたし、キャンパス(6号)、絵具(アクリル)、絵筆、エプロンなどが用意され、講師から失笑を浴びることも怒られることもなく、自由に描けるこの種の教室・イベントなどはまずないはずだ。レベルの高い「プラウド」を取材するのもそうだが、こんな楽しい取材ができるのはめったにない。
記者が見学した6日のテーマは、モネが86歳で亡くなるまで200作品を描いたという「睡蓮」。参加者は14名。年齢は20代から40~50代のカップルや友人同士か。記者のような年配者はいなかった。
これは想定内だった。主催者の読み通りだったはずだ。新しい自分の可能性を探ろうとか、美とは何かを突き止めようと考える年寄りなどいるはずはない。
絵筆など小中学生以来握ったことなどない人かほとんどだったのも納得だ。講師の方が、ウルトラマリンブルーらしきアクリル絵の具で下塗りをするのを皆さんがぎこちなく真似るのを見てすぐそれはわかった。多少なりとも絵を描く人はまず模写などしない。絵画教室などに通っている人は、鉛筆か木炭のデッサンから始まり、モデルやモチーフに向かって車座になって描くのが普通だ。
だからこそ、最初は期待より不安が募った。講師の指導に忠実に従おうという必死さがひしひしと伝わってきた。それはもう痛々しかった。幼稚園児だってもっとましな絵が描けるのではないかと思ったほどだ。描いているご本人もいったい何を描いているのか見当もつかず、こんなことにお金をかける価値があるのか、家に帰ったら家族に笑われるのではないかと疑心暗鬼に陥ったのではないか。
ところが、講師の方が「パレットに使ってはいけない絵の具などありません。好きなように描いてください」「さて、皆さん、プルシャンブルーです。藍色と呼ぶ色で濃淡、影を付けましょう」と語りかけたころからか、信じられないほど、どんどんよくなっていった。(プルシャンブルーはブラックより重宝する絵具)
もう、あれやこれや書かない。皆さんの作品を写真に撮ったので見ていただきたい(うまく写っていないのは記者の腕前でも、皆さんの作品が劣っているからでも断じてない。全ては安物のデジカメのせいだ)。世界に二つとない、唯一無二の傑作ばかりだ。
その前に断っておく。絵画であろうと音楽、小説であろうと芸術は全て上手いとか下手などといった物差しで測るべきではない。好きか嫌いかだけだ。記者がもっとも好きな作家の一人、丸山健二氏の小説「月は静かに」(新潮社、2002年初版)で、主人公でもある北辺の一角に存在する五百坪の庭は次のように語っている。
「大所高所からおのれを眺めれば、私が希求してやまず、渇望してやまなかった美などというものは、所詮、束縛を助長する窮屈な尺度でしかなかった。本来大らかで、人間の悟性を超越しているべき美を条件付きの方向に局限してしまうのは、とりもなおさず美そのものの本質に背馳することだった。
美が完全なものであるならば、醜もまた完全なものであらねばならなかった」
以下、皆さんの作品
記者の作品 柘榴(油絵 6号)
新宿副都心エリアで社会実験「FUN MORE TIME SHINJUKU」11/19~11/27
ファンモアタイム新宿実行委員会(代表:一般社団法人 新宿副都心エリア環境改善委員会)は11月19日(土)~27日(日)、“いつもと違う新宿を楽しもう”と銘打って、都心4号街路を中心とした新宿副都心エリア内の公開空地(都民広場を含む)や道路空間(歩道)などを一体的に利活用し、多様な人々の滞在・交流を促進するための社会実験「FUN MORE TIME SHINJUKU」を実施する。
都庁に隣接する都民広場に芝生広場を設置しイベントを開催するほか、歩道空間には休憩、食事、仕事など自由に使えるラウンジ空間を提供し、スマホで参加する西新宿デジタルウォークラリーを実施する。
エリアで実施される「大東京商店街まつり」(11月12日~13)、「スマートシティフェスタ」(11月25日~27日)とも連携する。
イベントには東京都が共催し、住友不動産、大成建設、東京ガス、京王電鉄、野村不動産、都市再生機構が協賛している。
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協賛企業・団体が少ないような気がするが、結構な取り組みだ。小生は今年、同じような社会実験「Marunouchi Street Park 2022 Summer」と「BATON PARK-KAWABATA-RYOKUDO-」(BATON PARK)を見学取材している。素晴らしかった。だが、しかし、この種の取り組みで三菱地所が〝独走〟しているのは面白くない。新宿副都心4号街路歩道に植えられているケヤキの巨木の樹齢は、丸の内仲通りのケヤキや大手町仲通りのセンペルセコイアに負けない。
もう一つ、負けないものがある。住友ビル三角広場に設置されている「誰でもピアノ」だ。これを歩道に引っ張り出したら受ける。オリックスの優勝パレードで賑わった大阪に対抗するなら「つば九郎」を呼んだらどうだ。東京ドームや西武ドームに広告を出している住友不、野村不が難色を示すか。
一つ注文を付けたい。新宿中央公園入口に設けられていた喫煙所はコロナ禍で撤去された。国土交通省の「都市公園の柔軟な管理運営のあり方に関する検討会」は「使われ活きる公園」を打ち出し、画一的な規制の見直しを提言したばかりだ。喫煙所を復活すべきだ。喫煙難民が増えるばかりだ。
「使われ活きる公園」 逆読みは〝使われず危機に瀕する公園〟 国交省「公園検討会」(2022/11/1)
落葉のメタセコイアとよく似た常緑のセンペルセコイア 名前つけて 大手町仲通り(2022/10/30)
丸の内仲通り ウォーカブルな街づくり「Marunouchi Street Park 2022 Summer」(2022/8/3)
住友不 同社初の「ZEB Ready」認証 「三田三・四丁目地区」再開発
「三田三・四丁目地区第一種市街地再開発事業」
住友不動産は10月31日、同社が事業協力者、参加組合員として参画している「三田三・四丁目地区第一種市街地再開発事業」の中核施設のオフィスタワー棟(地上42階、地下4階)が同社としては初の築物省エネルギー性能表示制度(BELS)の「ZEB Ready」認証を取得したと発表した。
同地区は、田町駅に近接する同社としては最大級の総延床面積約22万9千㎡の大規模複合開発。約4haの開発区域にオフィス、住宅、文化・交流施設、商業・生活支援施設、教育施設を含んだ4棟から構成。
オフィスタワー棟は42階建て延べ床面積約200,000㎡。隣接する同社オフィスビル「住友不動産三田ツインビル西館」の外構と同様の赤煉瓦調のデザインを継承するほか、約15,400㎡の緑地・広場を確保。建物は、高断熱ガラスなどを採用することで断熱性能を高め、高効率な空調・照明機器の導入により、50%以上の一次エネルギー消費量を削減。免震+制振のハイブリッド構造で、標準階面積は4-11階が約3,980㎡(約1,200坪)、12-42階が約2,940㎡(約890坪)、天井高3.0mの整形無柱空間を実現。低層フロアには飲食店舗区画などを整備する。建物完成は2023年3月。
このほか、三田通り沿いには学校や幼稚園、北側の聖坂沿道には2棟の都市型住宅(225戸)を設ける。全体完成予定は2025年。
全国1,741市町村を走破した写真家・仁科氏の仮囲いアート 地所「TOKYO TORCH」
仮囲いアート(提供:三菱地所)
三菱地所は11月1日、東京駅日本橋口前で開発を進めている「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」に整備する「TOKYO TORCH Park」に、全国1,741市町村すべての写真撮影を達成した写真家・仁科勝介氏と連携し、日本全国の魅力を発信する仮囲いアートを作成、掲出すると発表した。
仁科氏は1996年岡山県生まれ。大学在学中の2018年3月から日本全国1,741市町村を巡る旅を始め、2020年1月に走破した。現在はフリーの写真家として活躍中。著書に「ふるさとの手帖」((KADOKAWA)。仮囲いにはこの写真集に収められている写真を使用する。
仮囲いは全長63m、高さ3m。設置期間は2022年11月から2024年9月の予定。
同社は2022年10月から日本ビルなどの解体工事を開始しており、「TOKYO TORCH Park」も一部縮小しているが、引き続いて様々なイベントを行っていく。
(提供:仁科勝介氏)
(提供:仁科勝介氏)
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凄い人がいるものだ。2年弱で全国の市町村を走破するとは。移動に飛行機や電車、バスなどを利用したらまず回れない。バイクなのだろう。野宿してもガソリン代、飲食代などで1日3,000円はかかるはずだから3,000×665日≒200万円だ。尖閣諸島(石垣市)、竹島(隠岐の島町)、沖ノ島(小笠原村)、まほろ町(架空の都市)はスルーしたのだろうが、離島は船か飛行機を利用したはずで、たまにはホテル・旅館に泊まり風呂にも入ったのだろうから、金額はこの倍はかかっているはずだ。お金はどうしたのだろう。親が負担したのか、托鉢でもしたのか。その2年間は休学したのだろうが、単位はどうして取れたのか。その足跡が興味深い。
ネットで調べた。「ふるさとの手帖」は320ページ、大きさは横長のB5サイズ。価格は3,498円(税込み)とあった。わが故郷・三重県をどのようにシャッターに収め、表現しているのだろう。酒代と比べれば安いものだが、買うかどうかは仮囲いを見学して決めることにしよう。
(提供:三菱地所)