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「都市の生物多様性フォーラム」(左からアナウンサー木佐彩子氏、八木氏、菊池市、河村氏、仲井氏、村松氏、今森氏、河口氏=神田スクエアで)

 積水ハウスが11月30日に開催した「都市の生物多様性フォーラム」をアーカイブで視聴した。12月7日(日本時間8日)にカナダで開幕するCOP15(生物多様性条約第15回締約国会議)第2部を見据えた基調講演やディスカッションが行われた。同フォーラムは昨年11月の第1回に続く第2回目。

 基調講演では、積水ハウス代表取締役社長執行役員兼CEO・仲井嘉浩氏は、同社「5本の樹」計画と琉球大学のビッグデータシステムを共同検証し、世界初の都市の生物多様性の定量評価システム「ネイチャー・ポジティブ方法論」をオープンデータ化してから1年経過したことを踏まえ、「この1年間で予想外の嬉しい取り組みが3つあった。一つは都市緑化機構さんと連携して企業緑地の生物多様性評価を強化すること、二つ目は教育分野への展開、三つ目は東京大学とのウェルビーイングの共同研究が始まったこと」などと同社の生物多様性の取り組みが前進していることを報告した。

 これを受け、国際自然保護連合日本委員会事務局長・道家哲平氏は、多くの国・団体から「情報開示義務がなければ、政府も企業(金融)も、目隠しして空を飛ぶようなもの」との声があることを紹介し、COP15では企業の生物多様性の取り組み状況を開示し、義務化すべきという論議が行われる可能性を示した。

 このほか、環境省大臣官房 総合政策課 環境教育推進室長・河村玲央氏は同省の環境教育プログラムについて、都市緑化機構企画調査部主任研究員・菊池佐智子氏は同機構の「SEGES(シージェス)」の「育てる」「都市オアシス」「計画(つくる緑)」についてそれぞれ報告した。

 このあと行われた、積水ハウスESG経営推進本部環境推進部スペシャリスト・八木隆史氏が司会役とする、写真家・今森光彦氏、千葉大学非常勤講師でNPO法人生態教育センター理事、生態計画研究所主席研究員・村松亜希子氏、立教大学特任教授で不二製油グループ本社CEO補佐・河口眞理子氏3氏によるディスカッションでは、生物多様性の取り組みは点から線へ、さらに面的に広げなければならないことが強調された。

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仲井氏

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 フォーラムの全てを紹介する余裕はないが、出身地・大津市の45年間も管理が放棄された、シカやイノシシも避けて通る山林や耕作放棄された農地を取得し、自ら農業も行っている写真家の今森氏が興味深いことを話されたので紹介する。

 今森氏は写真を撮るときは被写体と距離を置き、冷静な目で俯瞰的、鳥瞰的に眺め、そしてその被写体の中に入り込むようにして、中から見える世界を切ると話した。そうすると自然と人間の関係性がよく分かるのだという。

 記者が好きな作家・丸山健二氏は、同じようなことを語っている。丸山氏は、小説を書くうえでもっとも大事なのは人間やものを徹底して観察することだとし、例えていえばカメラだと話している。サングラスをかけているのは、目を保護するためでもあるが、じろじろ眺めていることが相手に悟られないからだという。丸山氏の小説には、人間だけでなく動植物、あるいは無機物を主人公にしたものが多い。

 生物多様性を考えるとき、今森氏や丸山氏のような視点が必要だと思う。人間と自然界の関係性をしっかり捉えることだ…小生などは自分の物差しでしかものごとを測れないが…。

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 演壇に飾られていた樹木がまた素晴らしい。同社に樹種を聞いた。シラカシ、アオキ、コナラ、イスノキ、ナンテン、サツキツツジ、ユズリハ、ハクサンボク、アセビ、タブノキ、カクレミノ、ソヨゴ、アオダモ、アカマツ、ドウダンツツジ、シャリンバイだそうだ。

画期的 世界初の生物多様性定量化システム公開 積水ハウス&琉球大学(2021/11/17)

ネガティブにならざるをえない 無残な街路樹 ネイチャー・ポジティブを考える(2021/11/17)

カテゴリ: 2022年度

 国土交通省は11月30日、2022年10月の新設住宅着工戸数をまとめ発表。総戸数は76,590戸(前年同月比1.8%減)で3か月ぶりの減少。利用関係別内訳は持家21,834戸(同18.7%減)で11か月連続の減少、貸家31,996戸(同7.3%増)で20か月連続の増加、分譲住宅21,841戸(同4.8%増)で3か月連続の増加。分譲住宅の内訳はマンション9,298戸(同10.2%増)で3か月連続の増加、一戸建住宅12,462戸(同1.4%増)で18か月連続の増加となった。

 首都圏マンションは4,633戸(前年同月比37.9%増)で、都県別では東京都3,359戸(同62.5%増)、神奈川県344戸(同33.1%減)、埼玉県274戸(同60.6%減)、千葉県656戸(同690.4%増)。

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 記者が注目しているのは、持家と分譲住宅の着工戸数だ。1~10月では持家は212,008戸(前年同期比10.7%減)で、分譲住宅は214,645戸(同5.6%増)となっており、分譲住宅が2,637戸上回っている。残り2か月。分譲住宅が持家を上回れば2006年(平成18年)以来16年ぶりとなるが…。

 もう一つの注目点は近畿圏とその他地方のマンションの着工戸数だ。今年1~10月では、近畿圏は20,704戸(前年同期比16.0%増)で、その他地方は20,591戸(同19.4%増)と拮抗している。

 その他地方の着工戸数が近畿圏を上回ったのは平成20年以降で平成20年、同29年、令和3年の3度ある。今年はどうなるか。

 

カテゴリ: 2022年度

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イメージ図(提供:積水ハウス)

 東京大学大学院農学生命科学研究科と積水ハウスは11月30日、生物多様性と健康に関する共同研究を2022年12月1日から開始すると発表した。身近な庭の自然とのふれあいが、居住者の自然に対する態度・行動や健康に及ぼす影響を総合的に検証するもので、この種の試みは世界初となる。

 同研究科は、都市の生物多様性の保全や生態系サービスの活用に関する研究を行っており、2020年に緑地の利用頻度と家の窓からの緑の景色という2つの自然経験の尺度が、都市住民のメンタルヘルス(自尊心、人生の満足度、幸福度、鬱・不安症状、孤独感)とどのように関連しているのかを検証。その結果、緑地の利用頻度が高い人だけでなく、窓から緑が良く見える家に住む人もこれら5つのメンタルヘルス尺度が良好な状態にあるという結果が得られたとしている。

 今回の共同研究では、同科保全生態学研究室が構築した分析手法と同社の「5本の樹」計画を組み合わせて研究することで、「生物多様性の豊かな庭の緑」が「人の健康・幸せ」にどのような影響を与えるかを科学的に検証する。

 同科准教授・曽我昌史氏は共同研究について「積水ハウスの保有する全国の植栽データによって、これまで検証が難しかった『庭の生物多様性と健康および自然に対する考え・行動の関係性』が世界で初めて総合的に検証されることになります」とコメントしている。

 積水ハウスは2001年から「5本の樹」計画として〝3本は鳥のため、2本は蝶のため〟に、地域の在来樹種を植える取り組みを行っており、2019年から行っている琉球大学久保田研究室・シンクネイチャーとの共同検証では、生物多様性の劣化が著しい都市部で植樹を行ってきた効果が確認されている。

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 「5本の樹」計画で樹木を植える際、顧客が望む樹種を積水ハウスに聞いた。別表がそれだ。同社によると、地域によっては樹種が異なるとのことだ。以下に特徴を紹介する。

 ソヨゴは常緑の中木で、赤い実がなることから庭木として人気も高い。シラカシは常緑樹で、地質にもよるが樹高は20mくらいになる。強剪定すると枝葉が繁茂するので注意が必要とされる。

 イロハモミジはよく知られた落葉樹。基本的には剪定は行わないとされている。アオダモはバットの材利用としてよく知られた落葉広葉樹。樹高も10mくらいにしか成長しないので、庭木としてよく植えられる。

 エゴノキは落葉小高木。白い小さな花が咲き、庭木や公園などによく植えられる。ヤマボウシも庭木や街路樹によく用いられる落葉樹。初夏に白い花を咲かせる。クロガネモチは常緑広葉樹。冬季に真っ赤な実を付ける。美しい樹形を描く。街路樹としても用いられる。

 

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左から加藤氏、秋葉氏、佐藤氏、坂村氏、浦川氏(羽田イノベーションシティで)

  大和ハウス工業、日立物流、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所の3者は12月1日、ロジスティクスデータ活用コンテスト「大和ハウス工業 スマートロジスティクス オープンデータチャレンジ」を2022年12月9日から開催すると発表した。同日、メディア向け説明会を実施した。大和ハウスグループはこれまでこの種のコンテストを3回行っており、今回が4回目の開催。

 コンテストは、日立物流の安全運行管理ソリューション「SSCV-Safety」(Smart & Safety Connected Vehicle)から得られる実際の物流(ロジスティクス)システムのデータを公開(オープンデータ化)し、その有効利用方法を競うもの。AIをはじめとしたデジタル技術を用いた新たなサービスやアプリケーションの提案を、国内外問わず一般の方から募集する。

 また、コンテストの趣旨への理解を深めてもらうためのTRON(トロン)シンポジウム「2022 TRON Symposium -TRONSHOW-」(開催日:2022年12月7日~12月9日、場所:東京ミッドタウン)の中で、「『大和ハウス工業 スマートロジスティクス オープンデータチャレンジ』シンポジウム」(12月9日(金)15時00分~16時30分)を開催する。

 物流業界では人手不足や長時間労働といった課題を抱えており、コンテストを通じて大和ハウス工業と日立物流が目指す「スマートで安全な物流」を、デジタル技術と開発者の知恵を借りして実現するのが目的。

 説明会の冒頭、大和ハウス工業取締役常務執行役員 建築事業本部長・浦川竜哉氏は、「労働時間の上限規制が適用される2024年問題をはじめ、人手不足、労働環境など物流業界は大きな課題を抱えており、今回のコンテストが持続可能な物流業につながることを期待している」と語った。

 羽田みらい開発SPC統括責任者、鹿島建設開発事業本部事業部長・加藤篤史氏は「『HANEDA INNOVATION CITY(羽田イノベーションシティ)』は、当社や大和ハウス工業さんら9社連合の先端技術と日本文化の融合をキーワードに、新産業創造・発信拠点として開発を進めているもので、デジタル基盤整備、クリーンエネルギー、無人自動車運転、警備ロボットの実装を進めている」と街づくりについて説明した。

 東洋大学情報連携学部INIAD学部長、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所長・坂村健氏は「データの公開はここ10年間で世界的に広がっており、本流・潮流になっている。私も関わった東京都の新型コロナのオープンデータもその一つ。大和さんはこの種の取り組みでもっとも積極的」と称えた。

 日立物流執行役専務 営業統括本部長・佐藤清輝氏は、「2015年の半年間に同じ事務所で3件の漫然運転による事故が起きたのがSSCVを開発するきっかけ。ドライバーを被害者にも加害者にもさせない、事故を未然に防止するのが目的。2016年以降、社内の1,300台に導入したが、事故はゼロ、コストはCO2排出量を7.4%削減し、車両コストは9,000円/月/1台削減した。最初は〝どうして監視されなきゃいかんのだ〟といった声もあったが、家族も安心なことからみんな喜んでもらっている。システムのリース料は1事務所当たり月額1,000円。物流業界は99%がアナログの世界。みんながシステムを共有することでドライバーのなり手が増え、収入も増えるようにしたい」と語った。

 フレームワークス代表取締役社長CEO・秋葉淳一氏は「以前から佐藤さんに話をうかがっており、オープンデータはとても大きな価値があると思っている。ドライバーだけでなく、いろいろなケースで活用ができるのではないか」と話した。

 コンテストの応募期間は2022年12月9日(金)~2023年6月30日(金)。表彰式は2023年8月の予定。募集内容は、日立物流の安全運行管理ソリューション「SSCV-Safety」から得られデータ・映像を活用した作品(アプリケーション、Webサービスなど)と研究論文。賞金総額: 500万円(最優秀賞200万円、優秀賞50万円×4本)、その他特別賞。

 詳細は専用サイトhttps://daiwa-open-challenge.jp

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 大和ハウス工業から説明会の案内が届いたときは、物流はよく分からないし、車の免許を持たず、スマホすら満足に扱えず、ユビキタスやトロンの意味もさっぱり分からないので、スルーしようかと考えたが、説明会会場の未来都市「天空橋」で何か新しい発見もあるかもと取材を申し込んだ。

 結果は大正解。知らないことばかりに衝撃を受け、必死になって説明者の言葉をメモした。

 とりわけ、日立物流の佐藤氏の話は〝目からうろこ〟だった。佐藤氏の強い意志、熱意が技術者を動かしたのだろう。同社の経営理念には「日立物流グループは 広く未来をみつめ 人と自然を大切にし 良質なサービスを通じて 豊かな社会づくりに 貢献します」とある。

 「SSCV-Safety」には、①車両の位置情報②加速度情報③ドライバーのバイタルデータ(測定日時、体温、血中酸素濃度、血圧(最高血圧・最低血圧)、自律神経機能値、運転中の疲労度と注意レベル)④ヒヤリハット発生イベントデータ(イベントの種別、日時、位置情報など)⑤ヒヤリハット発生時の映像-が搭載されているが、ヒヤリハット発生時の映像を瞬時に「伐り出し」できるものは他にないということだった。

 記者はドライバーだけでなく他の用途にも活用できないかと質問した。佐藤氏は「バスでのトライアルは始まっており、消防車、生協、弁当配達などから引き合いがある。個人? 可能性としてはあるが…」と話した。

 佐藤氏の話を聞きながら、記者は4年前の大和ハウス工業のTVCM「物流×AI」を思い出した。役所広司さんは「物流×AI」の「AI」を日本語の「愛」に置き換え〝物流の未来を変えるんだ 「愛」をローマ字にすると「AI」になるんだ 「AI」は、そうなんだ、「愛」なんだ〟と躍った-〝ドライバーを被害者にも加害者にもさせない〟-これも「愛」だ。

 書き忘れた。隣接の「羽田エアポートガーデン」もいいが、「羽田イノベーションシティ」もまたいい。喫煙所は各所にある。マンションを建設したら申し込みが殺到すると思うが、地区計画はどうなっているのか。

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羽田イノベーションシティ

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何かのイベントのようで数百人の女性が詰めかけていた

大和ハウスの新TVCM 「物流×AI」が最高に面白い(2018/1/5)

スイート、温浴施設が素晴らしい 住友不「ヴィラフォンテーヌ羽田空港」12/21開業(20222/10/7)

 

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右から大畑氏、関藤氏、中尾氏、パーク七里御浜代表取締役社長・辻利文氏、ツーリズムみはま代表理事・湊賢一郎氏

三重県御浜町、積水ハウス、クラダシ、パーク七里御浜、一般社団法人ツーリズムみはまの5者は1128日、「御浜町における食品ロス削減及び特産品のPRに向けた連携協定」を締結したと発表した。

積水ハウスとマリオット・インターナショナルが推進する地方創生事業「Trip Base 道の駅プロジェクト」の地域活動の取り組みとして積水ハウスが主導したもので、「Kuradashi」での商品の販売をはじめ、各者が協力して担い手不足による未収穫産品の解消や不揃い、規格外果実の加工によるフードロスの削減、一次産業における消費行動への変容を促すとともに、御浜町のPRと地域活性化を目指すのが目的。

具体的には、全国の大学生・大学院生を対象に1212()1218()、社会貢献型インターンシップ「クラダシチャレンジ」を実施する。定員は6名で、道の駅パーク七里御浜に隣接する「フェアフィールド・バイ・マリオット・三重御浜」を学生の宿泊場所として利用し、学生は担い手不足により未収穫となってしまう可能性のあるみかんの収穫を支援するほか、学生が収穫したみかんを、道の駅パーク七里御浜内のジュース工場でみかんジュースに加工する。期間中に学生と役場職員の意見交換会も実施する予定。

クラダシは、フードロスや地方創生に興味のある学生が日本全国の人手不足で悩む地域・農家を訪れ、収穫支援や現地での交流を行う社会貢献型インターンシップ「クラダシチャレンジ」を2019年から実施しており、参加学生の旅費や滞在費、食費などすべて同社が設立したクラダシ基金から拠出している。

積水ハウスは、「未知なるニッポンをクエストしよう」をコンセプトに、道の駅と隣接するホテルを拠点として、「地域の知られざる魅力を渡り歩く旅」を提案し、地域や自治体、パートナー企業とともに、観光を起点に地域経済の活性化を目指す地方創生事業「Trip Base道の駅プロジェクト」を展開している。

202010月から開業したホテル「フェアフィールド・バイ・マリオット」は現在、9道府県20か所(約1,600室)を展開。2025年には26道府県、約3,000室規模への拡大を目指している。

協定式に臨んだ御浜町町長・大畑覚氏は、「町は長年にわたって年中みかんがとれる町として産業支援を行っているが、近年は高齢化や人口減少により収穫が困難になってきており、雇用も伸びていないのが現状。今回の協定が食品ロスの解消と街のPRにつながると期待している」と話した。

クラダシ代表取締役社長・関藤竜也氏は「当社は〝ソーシャル・グッド・カンパニーであり続ける〟をミッションに、〝日本で最もフードロスを削減する会社〟をビジョンにそれぞれ掲げている。会社設立以来、1万トンの食品ロスの削減を実現したことから様々な賞も受賞している。今回の協定で、町の未来が明るくなるよう事業を推進していく」と語った。

積水ハウス開発事業部トリップベース事業推進室長・中尾茂樹氏は「地方創生、持続可能な社会の実現を目指す非常に意義深い協定。地域を元気にするため全力で応援していく。同様の取り組みをこれからも展開していく」と述べた。

御浜町は三重県のほぼ南端に位置する人口約8,100人の町。「年中みかんのとれるまち」をキャッチコピーに様々な品種のみかんが栽培されているが、近年は高齢化や後継者の減少による担い手不足、それに伴う遊休農地や耕作放棄地の増加、農地の集積の停滞、獣害の増加などの課題を抱えている。町は「第6次御浜町総合計画」の重点プロジェクトの一つに「みかん産地の再生」を掲げている。

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5者連携模式図

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 三重県出身の記者は、御浜町は町名だけは知っていたが、和歌山県境に近い最南端なので行ったことはなく、「年中みかんがとれる町」であることも知らなかった。とてもおいしいさんまの丸干しの産地ではなかったか。今回の協定で〝全国区〟になりそうなので、とても嬉しい。

 そしてまた、このような社会貢献型インターンシップがあることも全然知らなかった。三菱地所の学生が経営する「アナザー・ジャパン」も最高に素晴らしいと思ったが、「クラダシチャレンジ」は労働力を提供するだけで旅費、滞在費、食費が掛からず、役場の人たちと意見交換できる。大学にもよるだろうが、単位も取れるはずで、申し込みが殺到するのではないか。近ければ、飛んで行って取材したいのだが…。

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ミカンの収穫作業

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「フェアフィールド・バイ・マリオット・三重御浜」

最高に素晴らしい! 学生が経営する「アナザー・ジャパン」TOKYO TORCHIに開業(2022/7/27

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「つなぐ森」全景

 野村不動産ホールディングスは11月28日、東京都奥多摩町が保有する約130haの森林について30年間の地上権設定契約を2022年9月に締結し、地産地消を目指す「森を、つなぐ」東京プロジェクトの取り組みを進めると発表した。

 森林の川上(林業)⇒川中(加工)⇒川下(消費)をつなぎ、森林サイクルを再構築し、地球環境保全、土砂災害防止機能、水源涵養などの森林の有する多面的機能の回復に貢献するのが目的。

 「つなぐ森」は約130haで、樹種はスギ、ヒノキの人工林が74.2%、広葉樹の自然林が25.8%。主伐、間伐、植林などを適切に行うことで、30年間で森林のCO2吸収量は約16,600t (森林放置時の約1.4 倍)を見込んでいる。管理は東京都森林組合に委託する。

 伐採を予定しているのは約500㎥で、2025年に本社機能を移転する「芝浦プロジェクト」のトライアルオフィス床に「つなぐ森」の木材を活用するほか、同社グループの事務所、店舗などの内装材や住宅・オフィスにも活用していく予定。

 奥多摩町は東京都の面積の約1割で、面積の94%を森林が占め、都民の水源地として知られているが、伐採適齢期を迎えているにも関わらず伐採されない森林も多く、人口はかつての約15,000人から3分の1の約5,000人に減少。空き家の発生などの社会課題も抱えている。

 同社と同町が2021年8月に締結した「持続可能な社会の実現に関する包括連携協定」では、地元の産業・雇用の創出などにも貢献していくことが盛り込まれている。

 オンラインの記者説明会で同社執行役員サステナビリティ推進担当 コーポレートコミュニケーションサステナビリティ推進部担当・中村篤司氏は「伐採を予定している500㎥は多くはなく、現段階で住宅の構造材として利用することはコスト、耐火基準などの壁があり難しい。まずは身の丈から始め、脱炭素社会の実現に貢献するよう取り組んでいく」と話した。

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「森を、つなぐ」伐採シーン

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師岡伸公・奥多摩町長(左)と沓掛英二・同社代表取締役社長

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21回都市計画基本問題小委員会(国土交通省 合同庁舎3号館)

国土交通省は1125日、第21回都市計画基本問題小委員会を開催し、まちづくりのグリーン化について議論した。

政府は今年6月、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画~人・技術・スタートアップへの投資の実現~」を発表し、新しい資本主義に向けた計画的な重点投資として①人への投資と分配②科学技術・イノベーションへの重点的投資スタートアップの起業加速及びオープンイノベーションの推進GXGreen Transformation=グリーン・トランスフォーメーション)及びDXDigital Transformation=デジタル・トランスフォーメーション)への投資-の4つを掲げ、では今後10年間に官民協調で150兆円規模のGX投資を実現すると謳っている。政府は7月、首相を議長とする「GX推進会議」を設置し、国土交通省も9月、斉藤鉄夫国交相を本部長とする「国土交通省グリーン社会実現推進本部」を設立している。

今回の小委員会はこのような経緯を経て開催されたもの。会合を振り返って同省都市局都市計画課課長・鈴木章一郎氏は「これまで緑に関する取り組みは制度設計も含めて弱かったのではないかという反省があり、世の中の価値観が変わってきたのを受け、なるべく多くのプレーヤーの方に参加していただこうというのが今回のテーマの底にあった。委員の方々から多くの示唆を頂いた。携帯の話も頂いたように、緑が多機能であるがゆえに、緑の定義を含めてわれわれの頭も整理しないといけないと痛感した」と総括した。

GXは、脱炭素社会を目指す文脈からすれば、Green (グリーン)=緑ではなく、多義的な意味を持つ。都市計画の観点から具体的にどのようなGXの取り組みを行うかが大きなテーマになっている。

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オンラインも可能だったが、リアルで傍聴した。同省から配布された資料は55頁もあり、日本政策投資銀行の「ESG投資・インパクト投資の潮流と評価について」(10頁)と参考資料「13頁」合わせると78頁にもわたる膨大なものだった。資料冒頭に都市緑地のグリーンインフラとして23の機能(効果)が記載されていた。「緑の価値」が余すところなくフォローされていると思った。GXのテキストになるはずだ。

これらの機能(効果)については誰もが認めるところだが、現実はどうかというと、緑被率(みどり率)は年々下がり、生物多様性は喪失されつつあり、都市農業は生活の糧として成り立たなくなり、森林・林業は危機に瀕している。

これを劇的に転換するにはどうしたらいいのかが今回の「まちづくりGX」のテーマだ。論点は①都市の緑地の確保や向上を図るための民間資金導入の可能性について②森林への都市の貢献のあり方について③市街地整備と一体となったエネルギーの面的利用について④自治体における「まちづくりGX」の位置づけについて-の4項目。

黒澤幸太郎・専門委員(むつ市都市整備部都市計画課長)は「『まちづくりGX』は市民に説明しやすい。国土交通省都市局のメインの事業になる」とエールを送ったが、記者は④の自治体の「まちづくりGX」に対する認識の薄さが大きな壁になると感じた。村木美貴委員(千葉大学大学院工学研究院教授)も「(何かは聞き取れなかったが)日本は欧州と比べ2周くらい(地球規模なのか400mのトラックか)遅れている。〝見える化〟と言われても、見に行かないと見えないではないか」と指摘した。

配布資料もそのことを裏付けている。例えば、都市計画区域設定を行っている自治体(n1,375)に対する国土交通省が行ったアンケート調査。2050年カーボンニュートラルに向けた取り組みについて自治体に聞いたところ、「目標なし」は66%にのぼっている。

また、市町村マスタープランにおける緑地保全・緑化推進の位置づけの設問でも、立地適正化計画で「位置づけなし」が5770にのぼり、緑の基本計画に立地適正化計画に係る記載がある市町村は5.2%(36692)にしか過ぎない。

記者も、これまで都市公園や街路樹、緑被率(みどり率)などについて取材してきた限りでは、首都圏自治体のこの種の取り組みは全然進んでいないどころか「緑の価値」について全く認識していないと思わざるを得ない。都市公園がどのように利用されているか実態を把握しておらず、どこにどのような樹種の街路樹が植えられているかも答えられず、墓標のように強剪定されることに何の痛痒も感じていない担当者が多すぎる。千代田区は、健全な街路樹を「枯損木」(「枯損木」の言葉すら知らない職員も多い)として処分を決定した。

国土交通省がいくら旗振りしても、自治体が積極的に取り組まないと前に進まない。絵に描いた餅だ。どなたかの委員が「自治体頑張れ」と叱咤激励した。(記者は、同省が令和2年に立ち上げた、個人参加資格も含めた多様な主体の参画による「グリーンインフラ官民連携プラットホーム」に期待している)

中川雅之・臨時委員(日本大学経済学部教授)もこのあたりの現状を踏まえてか、「テーマが多岐にわたり一般的すぎる。都市計画決定部局として具体的にどうすればいいか論点を整理すべき。森林への貢献と言われても都市と森林の関係性を明らかにしないと論議は進まない」と指摘した。

さらに、横張真・臨時委員(東京大学大学院工学系研究科教授)も一口にグリーンと言っても文脈は様々。多様な概念をきちんと整理しないといけない。『まちづくりGX』も、個別の役割や機能の高度化ばかりを追求するのでなく、携帯情報端末のようにオールインワンであることの特性を伸ばすよう、その施策のあり方にかかわる発想の転換が必要」話した。

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 記者は、この種の会合で決まって海外との比較が論じられるのに辟易している。外国は中国とモンゴルしか知らないし、日本語しか話せないので劣等意識もあるのだが、わが国のあらゆる社会・経済指標は先進国の中で最低レベルだと指摘されると、それがどうしたと言いたくなる。

だが、しかし、政府のGX・DXに関する資料の中に「米国市場の企業価値評価においては、無形資産(人的資本や知的財産資本の量や質、ビジネスモデル、将来の競争力に対する期待等)に対する評価が大宗を占める。日本市場では、依然として有形資産に対する評価の比率が高く、企業から株式市場に対して、人的資本など非財務情報を見える化する意義が大きい」とあったのには〝ガラパゴス〟と揶揄されても仕方ないと思った。村木委員の手厳しい批判も心地よく響いた。

村木氏のほかにも「GXの見える化」が遅れているという指摘が相次いだ。「ESG投資・インパクト投資の潮流と評価について」話した日本政策投資銀行ストラクチャートファイナンス部・井栄階一氏も「私見」としながら「ESG投資家は定量的かつ客観的な評価を重視する」とし、わが国にはそれが欠けていると指摘した。

このことと関連する例を一つ。欧米では樹木などのグリーンの価値をを定量的に計る「i-Tree」が定着しているようだが、わが国は一部の研究家でしか流通していない。鈴木都市計画課長が「緑が多機能であるがゆえに、われわれの頭も整理しないといけないと痛感した」と話したように、数えきれないほどあるグリーン・みどりの価値を誰もが分かる定量的な指標で示さないといけない。

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 斉藤大臣と幹部の方にお願いが一つある。小生は、扇千景氏が国交大臣に就任したとき、希望していた文部大臣などではなかったことから「冷や飯を食わされた」と語ったのに腹を立て、就任記者会見の会場で「冷や飯とはどういう意味か」と詰め寄ったことがある。今でも国交省と職員を冒涜するものであり、即辞任に値する暴言だと思っている。

 その点、国交大臣を務められた齊藤氏の先輩、公明党の冬柴鐵三氏は立派だった。退任するとき国交省の職員を「わが国のシンクタンク」と称えた。

 前書きが長くなった。何を言いたいかといえば、そんな優秀なシンクタンクが働きやすいよう国交省の本館である合同庁舎3号館に喫煙所を復活していただきたいということだ。

 隣接する2号館の駐車場わきに喫煙所はあるのだが、3号館から喫煙所までは往復で68分かかる。喫煙時間を34分とすると10分以上だ。16回利用すると1時間を超える。これは職員にとっても国交省にとっても大きな損失だ(喫煙中に名案が浮かぶこともあるが)。

 いったい、どれくらいの損失か計ってみた。写真を見ていただきたい。左は25日の会合が始まる午後5時前の灰皿だ。目視したところ吸い殻は40本くらいか。水に沈んで見えない層もあるはずで、その数は少なく見積もっても80本はある。ちょうど灰皿の水を入れ替える時だった。作業している方に聞いたらほぼ2時間置きで1日4回だという。

 右の写真は、取材を終え帰るときの午後7時過ぎだ。やはり同じくらいの吸い殻が捨てられていた。

 そこで計算した。灰皿は全部で8つ。2時間ごと4回掃除すると80×8×4=2,560本だ。これを労働時間に置き換えると2,560本×10分÷60分=427時間だ。職員の労働時間を8時間とすると、実に427÷853人分だ。一人年間200日働くとすると53×20010,600人分(来庁者含む)の貴重な時間と莫大な金額が浪費される計算だ。これに、タバコが吸えないことによるストレスをお金に換算したら…これも〝見える化〟していただきたい。

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17時前の吸い殻(左)と19時過ぎの吸い殻(合同庁舎2号館で)

健全な街路樹を「枯損木」として処分 問われる住民自治 千代田区の住民訴訟(2022/11/12)

 


 

 

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港区 課税標準額段階別納税義務者 推移.xlsx

 日本一お金持ちが多い東京都港区の課税標準額1億円超の富裕層(以下、富裕層、またはお金持ち、億万長者)が令和4年5月現在、前年度より241人増の1,250人となり、この層の所得割額総額は前年度より65.8%増の約280億円となり、人数、所得割額とも過去最多だった令和元年度を上回った。われら庶民は相次ぐ値上げラッシュに青息吐息だが、お金持ちはまったく関係なし。〝富める者はますます富み、貧しき者はますます貧しくなる〟-聖書の言葉は健在だ。

 別表をしかと眺めていただきたい。港区が公表している課税標準額段階別納税者・所得割額の推移をみたものだ。

 課税標準額とは、総所得から様々な控除額を差し引いた住民税(市町村民税・都道府県民税)の計算の基礎となる金額で、住民税は「均等割額」(都民の場合は区市町村民税3,500円+都民税1,500円)と「所得割額」(課税標準額の10%)からなる。

 これによると、富裕層は令和元年度に人数、所得割額とも最多となり、その後はコロナの影響などで減少していたが、令和4年度は一転して激増。人数、所得割額とも過去最多を更新した。

 総所得割額から単純に総所得を推計すると、富裕層一人当たり約2.2億円となる。納税者の1%に満たないお金持ちが住民税の3割超を払っている-感謝すべきことなのか、それとも格差社会を呪うべきなのか…。

 注目すべきなのは、億万長者だけでなく、課税標準額が1,000万円超(アッパーミドルと呼ぶ)もまた着実に増加していることだ。令和4年度のこの層は25,893人(全納税者に占める割合17.7%)で、5年前の平成29年度より5,129人(同2.7ポイント増)増加している。

 富裕層が激増したことについて、区の課税課は「転入もそれほど増えているわけでもなく、外国人の動向にも変化はなく、お金持ちが株などで儲かったと分析しています。IT企業の社長さんも区内に多く住んでいます」と話した。

 なるほど。だが、しかし、わが国の日経平均株価は昨年5月末の28,860円から今年5月の27,279円へとむしろ下落している。一方、米国のダウ平均は過去最高値圏ではあるが、昨年よりは下落している。

 記者は、やはり不動産価格が上昇しており、その売買差益も所得を大幅に増やしている大きな要因ではないかとみている。

 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)のデータによると、今年10月の首都圏中古マンション成約坪単価は229万円で30か月連続、在庫坪単価は243万円で57か月連続でそれぞれ前年同月を上回っている。23区の中古マンションの坪単価は340万円で、2020年10月の272万円から25.3%も上昇している。新規登録単価上昇も続いており、先高観も強い。

 また、東京カンテイは今年10月末の都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、渋谷区)の70㎡換算の中古マンション価格は前年同月比16.4%増の9,950万円と13か月連続で上昇したと発表している。

 株と不動産-錬金術の王道は今も昔も変わらないということか。

億万長者100人減少 人口も25年ぶり減 日本一裕福な港区財政 コロナが直撃(2021/10/13) 

 

 


 

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「FUN MORE TIME SHINJUKU」(京王プラザホテル東京前で)

 11月19日から始まった、ファンモアタイム新宿実行委員会が主催し、東京都が共催し、住友不動産、大成建設、東京ガス、京王電鉄、野村不動産、都市再生機構が協賛する「FUN MORE TIME SHINJUKU」の街を歩いた。

 三菱地所が中心になって行っている「Marunouchi Street Park」のような賑わいを期待していたのだが、新宿副都心4号街路に用意された椅子に腰かける人はなく、都民広場(議会棟前)のイベント参加者は数えるほどで、新宿中央公園は目視した限り一番賑わっていたのは喫煙所だった。期待は見事に裏切られ、失望から絶望に代わった。課題山積だ。

 〝口ワル〟なのがよく似ている分だけ小生と相性が悪いハシブトかハシボソかは判別できないカラスは、残飯あさりで生活習慣病を患っているのか〝バーカー、バーカー〟と訳の分からないことを口走り、どこかは知らない塒に帰っていった。

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都民広場のイベント

◇      ◆     ◇

 まず、都民広場を訪ねた。人工芝の上では何やらイベントが行われていた。利用者は10人いるかどうか。「誰でもピアノ」も隅っこに置かれていたが、白いビニールに覆われていた。気を付けても見つからないはずだ。

 少しはイベントに貢献しようと、「ビールを飲んでいいですか」と主催者らしき人に尋ねた。「売っているかどうかは分かりませんが、コンビニが地階にありますから」と言われたのでセブン・イレブンに入った。酒類は売られていなかった。

 仕方なくタバコだけ買ったのだが、酒類の販売が解禁となった20年くらい前にタイムスリップしたかのような気がした。近くのレストランは閉まっていたが、看板には「おつまみ290円~」「2時間食べ放題・飲み放題3,580円~」「晩酌セット1,280円~」(「2」の部分は上書きされていた。値上げしたのか値下げしたのか)と表示されていた。路地裏の飲み屋と一緒だ。

 そこで、都財務局に確認した。コンビニでは酒類を販売しないよう当初から指導しているとのことだった。

 そんなこともあるのかと、県歌の〝(ダ)さいたまー、(ダ)さいたまー〟の軽快なメロディの電話呼び出し音が流れる埼玉県にも電話した。職員健康支援課によると、タバコは第2庁舎の屋上で吸えるが、1店あるコンビニでの酒類の販売は禁止しており、飲食店もコロナ禍で酒類の提供を中止しているとのことだった。

 官公庁はみんな右へ倣えなのだろうと考え、ほかの県庁に聞くのをあきらめた。役所を利用する住民もそうだが、職員はストレスがたまらないのか、仕事の能率はどうなるのか、かわいそうになった。締め付けが厳しいから、時にはうっぷんを爆発させ、住民に対し権力を振り回すのではないか。

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〝誰でもピアノ〟(新宿住友ビルのピアノではない。サクラでいいから誰か弾くべき)

◇        ◆     ◇

 いい加減な公園管理にもあきれ果てた。都庁の隣にはデッキで結ばれた約88,000㎡の新宿区立新宿中央公園がある。学生のとき、彼女とベンチに座り、しっかりと手を握りあい永遠の愛を誓ったところだ。

 愛は雲散霧消したが、あの頃はもっと活気があった。初冬のこの日は人もまばら(スターバックスはそこそこ人の影は見られたが、禁煙なので小生は利用しない)。一番賑わっていたのは公園入口近くの端に唯一設けられている喫煙所で、常時30人くらいが利用していた。この喫煙所の数十倍もありそうな広場では、喫煙所とほぼ同数の人がやはり端っこのベンチに腰かけていた。人は隅っこを好む習性があるのか。

 公園の禁止事項もまた凄い。列挙する。①騒音を出すこと②飲酒による迷惑行為③自転車走行(自転車は降りて押してご通行下さい)④球技(ビニールボールを除く)⑤火気の使用・花火⑥犬の放し飼い・フンの不始末⑦動物への餌やり⑧タバコを吸うこと⑨歩きスマホ⑨自動車/バイク/電動キックボードの乗入れ⑩スケートボード⑪動植物を捕獲又は傷つける、その他施設の破損⑫園内の貼り紙、広告⑬ゴルフクラブ、金属バットなどの使用⑭その他、公園の形を変えたり、傷つけたり、汚したりすること、危険及び他の利用者の迷惑となる行為、適切な用途以外の使用…どうして飲酒と迷惑行為を結び付けるか。酒とたばこを禁止したのはヒットラーであり、イスラム国だったではないか。事なかれ主義を貫徹するお上に唯々諾々と従うわれら庶民にも問題がある。

 問題といえば、区の公園管理だ(指定管理者:一般財団法人公園財団を代表とする昭和造園、日建総業、小田急電鉄)。みどり土木部みどり公園課は、この新宿中央公園を含め公園の利用者がどれくらいいるかなどの実態調査を行っていない。利用実態を把握せずしてどうして円滑な公園管理ができるのか。

 国土交通省は先に「都市公園の柔軟な管理運営のあり方に関する検討会」(委員長:蓑茂壽太郎東京農業大学名誉教授)の提言をまとめた。多様な利活用ニーズに応え、地域の価値を高め続ける「使われ活きる公園」を目指すべきとし、そのためには従来の公園整備・管理運営から「都市アセットとしての利活用」「画一からの脱却」「多様なステークホルダーの参画」の3つの変革が必要とするものだ。

 この「検討会」の提言に照らし合わせれば、区の公園管理も3つの変革が求められていると思うが、実態を知らないのだから何が課題かもわからないのではないか。前途多難だ。

 そもそも、この新宿副都心4号街路に沿った建物は新宿住友ビル、新宿三井ビル、東京建物・新宿センタービルを除き、都庁も大学もホテルも道や街に開かれた造りになっていない。

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新宿中央公園

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公園入口の喫煙所

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喫煙所に貼られているステッカー(これで受動喫煙が防げるなら結構なことだが、喫煙者を絶滅危惧種に指定してほしい)

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喫煙所前の広場

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公園入口に掲げられている禁止事項(もう悪意としか思えない)

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ある都心部のビルの谷間に蝟集する喫煙難民(小生も含め20人以上が利用していた)

新宿副都心エリアで社会実験「FUN MORE TIME SHINJUKU」11/19~11/27(2022/11/4)

「使われ活きる公園」 逆読みは〝使われず危機に瀕する公園〟 国交省「公園検討会」(2022/11/1)

 

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 ケイアイスター不動産グループのケイアイクラフトは11月14日、女性職人だけで新築住宅を1棟建てるプロジェクト「女性1棟プロジェクト」を立ち上げたと発表した。

 同社は、2014年度から社員職人として採用する「クラフトマン制度」を発足。2015年から女性活躍推進の取り組みとして、産休・育休の制度改正を行い、2017年にダイバーシティ推進室を設立。女性管理職の登用や建設現場での女性の現場監督が増えたことをきっかけに女性の現場監督専用の作業服を制作するなどの取り組みを行ってきた。2015年に厚生労働省から子育てサポート企業「くるみん」の認定と、2017年は同省から女性活躍推進企業「えるぼし」に認定され、2019年と2020年は東証・経済産業省による「なでしこ銘柄」に2年連続で選定されている。

 現在、8名の女性クラフトマンが大工職、内装工などで活躍している。

◇        ◆     ◇

 おそらく女性クラフトマンの声を反映した取り組みだろう。2016~2017年だから5~6年前だ。「じゅうたく小町部会」を取材し、建築現場で働く女性の悩みなどを聞いている。建築現場の仮設トイレは使いたくなくて、時間をかけてもコンビニなどを利用するという人もいた。

 その時の記事のアクセス数は3,000件近くあった。東日本大震災でも仮設トイレは利用せず、わざわざ十数分もかけて駅のトイレを利用したという女性の話も聞いた。男性もそうかもしれないが、女性にとってトイレは大きな問題なのだろう。女性ばかりだと、ストレスは少しは軽減されるのか。

「建設現場の仮設トイレ利用しない」 「じゅうたく小町」会員の声をどう聞くか(2017/5/30)

労働環境改善活動にエール 全国低住協「じゅうたく小町部会」に参加して(2016/11/26)

 

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