潮目変わった 仲井社長 業績挽回に自信 積水ハウス 2021年1月期 業績下方修正
仲井社長
積水ハウスは9月11日、報道陣向けにオンラインによる経営計画説明会を行った。同社代表取締役社長・仲井嘉浩氏は、新型コロナの影響で前日に発表した2021年1月期第2四半期決算で通期業績予想を下方修正した理由、具体的な挽回策、今後の市場見通しなどについて質疑応答を含め約50分にわたり語った。
仲井社長は2023年1月期を最終年度とする第5次中期経営計画について、「この先1年はコロナの影響で経済環境は一進一退で推移し、その後はワクチンの開発も行われ大きく改善する。再度、緊急事態宣言が発令されたら厳しい。それと冬のボーナスは二極化するはずで、消費マインドへの影響は避けられないので、政府の経済・財政出動に期待したい。これがフォロー要因となる」など語った。
業績予想を下方修正したことについて仲井社長は、「下方修正した300億円を中計の最終年度まで残り2年半の中でどこでどこで取り戻すかだが、300億円のうち国際事業の100億円は期ずれではあるが中計のオンライン上にある。残りの200億円は受注額にして約1か月分。トータルとして中計を達成できるよう邁進していく」と述べた。
足元の市場について「期せずしてお客様の住宅に対する関心が高まり、新築やリフォームの機運がフォローになっている。当社のオンラインスキルも高まった。賃貸環境は厳しいがS、Aエリアに特化した戦略が奏功している」などと、コロナの影響を受けステイホームが浸透し、潮目が変わったことなどを指摘した。
主力の戸建て住宅については、全体の棟単価は4,081万円(2019年度3,993万円)と増加したしたことを受け、第一次取得層向けの「1stレンジ」(2,300万~2,400万円が中心)、30~40代のアッパーミドル向け「2stレンジ」(3,300~3,400万円)、富裕層向けの「3stレンジ」(5,000~1億円)の今後について、ビルダーとの競合が避けられない「1stレンジ」の環境は厳しいとの認識を示しながら、「3年後の目標らに掲げている1,000戸を目指し、人材も投入していく」と述べた。国際事業では、アメリカの宅地・住宅販売が好調で、中国・蘇州の3,000戸の大規模開発が完売したと話した。
仲井社長はまた、コロナの影響で3~4月の一時期、瞬間的に賃貸住宅の入居率が落ちたことについてエピソードして触れ、「信販会社を通じて239件の家賃減額申請を受理したという報告を受けたが、当社が管理する約65万戸に対して0.03%。入居率はすぐ回復し、ほとんど影響を受けていない。これは当社が高付加価値型の賃貸に特化している証であり、入居者さまにも感謝したい」と語った。
1円増配の年間82円としたことについては、「増配は何としてでもやりたかった。総還元性向53.4%を維持する。ESGのGでも役員報酬は固定報酬:変動報酬を1:2にすることで、株主と同じ土俵の乗るよう改善した」と述べた。
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同社の2021年1月期第2四半期決算は、売上高1兆1,679億円(前年同期比3.3%減)、営業利益926億円(同18.0%減)、経常利益906億円(同22.2%減)、純利益594億円(同23.2%減)と減収減益。新型コロナの影響を受け、主力の戸建て、賃貸事業などは大幅な減益となった。
通期予想は、売上高2兆4,150億円(3月5日の前回予想は2兆5,850億円)、営業利益1,750億円(同2,060億円)、経常利益1,725億円(同2,050億円)、純利益1,140億円(同1,370億円)に修正した。株式配当は81円から82円へ増配する。
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この種のオンラインによる会見、イベントをかなりこなした。20回くらいではないか。最初のころは視聴環境が悪く、よく聞き取れないケースも少なくなかったが、今回は完ぺきだった。仲井氏の説明も分かりやすいものだった。もう報道陣を一堂に集めてこの種の説明会を開く必要性はない。
それより、同社も先に行ったライフスタイル型モデル「7stories」のような現地見学会などを増やしてほしい。記者にとって座学で仕入れた情報にたいした価値はない。実物、実際をどれだけ見るかが記者の値打ちを決める。記者のレベルを上げることが、ハウスメーカーもデベロッパーも顧客に正確な自社の商品特性を伝えることにつながるはずだ。
ナイス 同社元会長・平田氏らと合意 142百万円の支払い受ける 金商法違反問題
ナイスは9月3日、金融商品取引法違反(虚偽有価証券報告書の提出罪)の容疑で、証券取引等監視委員会の強制調査、横浜地方検察庁の強制捜査を受けた問題について、不適切な会計処理を行った元代表取締役会長・平田恒一郎氏、元代表取締役副会長・日暮清氏、元取締役・大野弘氏ら元関係役員に対しその責任を問うため弁護士を通じて協議を行ってきた結果、同社が蒙った損失の補填として平田氏らから現金総額142百万円の支払いを受け、平田氏が100%株式を保有しているゼニヤニシサダ及びエイワ設計などの株式を同社グループ会社が譲り受けることで合意したと発表した。
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この事件の初公判が9月4日横浜地裁で行われ、平田、日暮両被告と同社はいずれも無罪を主張したとメディアが報じた。
オープンハウス 2020年9月期 3Q 戸建て・仲介好調 経常利益56%増
オープンハウスは8月14日、2020年9月期第2四半期決算(2019年10月1日~2020年6月30日)を発表。売上高は383,551百万円(前年同期比4.6増)、営業利益は38,445百万円(同5.7%増)、経常利益は53,241百万円(同56.1%増)、純利益は41,896百万円(同71.1%増)となった。
主力の戸建関連事業は、新型コロナの影響で外出を控え、家族が揃って自宅で過ごす時間が増えたことに加え、Web会議などの在宅勤務の機会が増えたことを受け、個室並びにワークスペースを確保しやすい戸建に対する関心が高まり、5月及び6月の仲介契約件数は極めて好調に推移。売上高は274,021百万円(前年同期比11.0%増)、営業利益は28,969百万円(同26.9%増)となった。戸建て分譲戸数は1,888戸で、売上高79,784百万円(前年同期比18.6%増)。
通期予想は、売上高570,000百万円(前期比5.5%増)、営業利益62,000百万円(同7.3%増)、経常利益77,000百万円(同40.2%増)、純利益59,000百万円(同49.7%増)。
明和地所 2021年3月期1Q マンション引き渡し 前期から今期に変更し売上大幅増
明和地所は8月11日、2021年3月期決算を発表。売上高は19,711百万円(前年同期比139.1%増)、営業利益は2,510百万円(同916.7%増)、経常利益は2,378百万円(前年同期は109百万円)、純利益は1,994百万円(前年同期は110百万円)となった。
新型コロナ対策としてマンションの引渡しを前期から当期に変更した住戸があったため、計上戸数は343戸(前年同期比185戸増)と大幅に増加し、売上高は18,275百万円(同167.6%増)となった。
ケイアイスター不 2021年3月期 1Q 売上高は過去最高 販売費、営業外費用増え減益
ケイアイスター不動産は8月11日、2021年3月期第1四半期決算を発表。売上高は28,129百万円(前年同期比8.1%増)、営業利益は1,015百万円(同20.9%減)、経常利益は927百万円(同24.3%減)、純利益は565百万円(同20.9%減)となった。
売上高は過去最高を記録したが、営業利益は販売費、一般管理費が増加したことにより、経常利益は営業外費用が増加したことによりそれぞれ減益となった。
住友不 2021年3月期 1Q 主力のオフィス増収増益 好採算のマンションも増益に寄与
住友不動産は8月11日、2021年3月期第1四半期決算を発表。売上高は3,159億円(前年同期比5.5%減)、営業利益は827億円(同1.7%増)、経常利益は840億円(同3.1%増)、純利益は654億円(同17.3%増)で、営業・経常利益は4期連続、純利益はそれぞれ第1四半期の過去最高を更新した。
ホテル、イベントホールなどで新型コロナの影響を受けたが、主力のオフィスは過去最低水準の空室率を維持するなど増収増益となり、好採算のマンションの引き渡しにより利益率が改善し、二けた増益となった。マンションの今期計上予定戸数(4,500戸)の契約進捗は約85%(前年同期90%)を確保。
不動産流通事業は新型コロナの影響を受け取扱件数は7,937件(前年同期比1,716件減)と大幅に減少したが、5月以降は回復基調で推移している。
飯田グループHD 2021年3月期1Q 増収減益 主力の戸建て売上高は前年同期比7.8%増
飯田グループホールディングスは8月7日、2021年3月期第1四半期決算を発表。売上高は3,219億円(前年同期比7.6%増)、営業利益は157億円(同22.2%減)、税引前利益は161億円(同15.3%減)、純利益は109億円(同14.1%減)となった。
セグメント別では、主力の戸建て事業は10,749件、売上高283,217百万円、前年同期比 7.8%増となった。各社の戸建て事業は次の通り。数字は件数、売上高(百万円)、前年同期比(%)の順。
・一建設 3,018件 76,566百万円 17.9%増
・飯田産業 1,615件 50,281百万円 8.6%減
・東栄住宅 1,175件 38,238百万円 8.9%増
・タクトホーム 962件 26,695百万円 20.9%増
・アーネストワン 2,933件 65,761百万円 9.0%増
・アイディーホーム 1,042件 25,566百万円 1.6%増
三菱地所 2021年3月期1Q 減収増益 コロナの影響受けるもビルなど賃貸利益は増加
三菱地所は8月7日、2021年3月期第1四半期決算を発表。売上高は2,574億円(前年同期比3.2%減)、営業利益は542億円(同15.7%増)、経常利益は513億円(同16.7%増)、純利益は292億円(同10.8%増)となった。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、商業施設及びホテル事業の利益が大きく落ち込んだが、新規オフィスビルの通期稼働及び既存ビルでの賃料増額改定などによるビル賃貸利益の増加のほか、オフィスビルや物流施設の売却益の増加などにより増益となった。
減収の主要因は、国内分譲マンション事業における引渡戸数の減少、当期竣工物件の減少ならびに新型コロナウイルス感染症対策にともなう販売活動の停滞による。
なお、緊急事態宣言期間中に休館対応等を実施した商業施設やホテル等の施設については、休館対応等の期間における一部費用約57億円を営業原価から特別損失に振り替えて計上しているが、当該調整による影響を除外しても営業増益となっている。
サンフロンティア不 2021年3月期1Q コロナ影響受け経常80%減
サンフロンティア不動産は8月6日、2021年3月期第1四半期決算を発表。売上高は136億円(前年同期比58.1%減)、営業利益は20億円(同78.8%減)、経常利益は19億円(同80.0%減)、純利益は12億円(同81.5%減)となった。
セグメント別では、不動産サービス業は順調に推移したものの、新型コロナの影響により不動産再生事業は前年同期比売上高、利益とも大幅に減少し、オペレーション事業では7か所のホテルホで休館を余儀なくされたためセグメント損失は357百万円(前年同期はセグメント利益108百万円)を計上した。
沖縄県恩納村で進めている当社初の分譲型コンドミニアムホテル「日和オーシャンリゾート沖縄(204区画)」は順調に進捗しており、第1期販売から第4期販売まで合計140区画を完売した。
通期業績は、売上高700億円(前期732億円)、営業利益69億円(同165億円)、経常利益65億円(同161億円)、純利益41億円(同106億円)を予想。
三井不動産 2021年3月期1Q(4~6月)新型コロナの影響受け経常利益40%減
三井不動産は8月6日、2021年3月期第1四半期決算を発表。売上高は4,070億円(前年同期比△4.7%減)、営業利益は368億円(同27.6%減)、経常利益は297億円(同39.8%減)、純利益は137億円(同58.5%減)となった。特別損失として118億円を計上した。
新型コロナウイルス感染拡大を受け、賃貸部門は首都圏オフィス空室率(単体)は2.1%と堅調に推移したものの商業施設などで影響を受け204億円減収、110億円減益、施設営業はホテル・リゾート施設を休館したことなどにより188億円減収、78億円減益、仲介件数は8,120件(前年同期比2,190件減)となった。
新築マンションの契約進捗率は当期計上予定戸数3,800戸に対して83%と堅調。完成在庫は326戸(2020年3月末は186戸)で、内訳はマンション260戸(同128戸)、戸建て66戸(同58戸)。
全体として業績は期初に公表した連結業績予想の想定の範囲内で推移しているとしている。