平成30年度手づくり郷土賞 「大歩危」「小樽雪あかり」がグランプリ賞
平成30年度手づくり郷土賞グランプリ&ベストプレゼン賞に選ばれたJR大歩危駅活性化協議会(東京国際交流館プラザ平成で)
国土交通省は12月16日、平成30年度手づくり郷土賞に選定された全23団体(一般部門20団体、大賞部門3団体)活動報告・グランプリ発表会を開催し、一般部門は「徳島県三好市・地域の駅から世界の大歩危駅へ」(JR大歩危駅活性化協議会、以下「大歩危」)を、大賞部門は「北海道小樽市小樽雪あかりの路」(小樽雪あかりの路実行委員会、以下「小樽雪あかり」)をそれぞれグランプリに選んだ。また、会場参加者の投票によるベストプレゼン賞には、投票総数119票のうち36票を獲得した「大歩危」が選ばれた。
「大歩危」は、平成22年10月に無人化されたJR大歩危駅に賑わいを取り戻そうと、同年11月に協議会を設立。駅構内や周辺の清掃活動、サクラの植樹やライトアップなどを行い、駅事務所を観光案内所に改装し、国内外に情報を発信した結果、駅利用者は平成22年の約2万5千人から平成30年は約4万人に増加する見込みになっており、駅の利便性向上や地域の活性化に寄与していることが評価された。
「小樽雪あかり」は、従来では観光資源として考えられなかった厳寒地の冬の夜という条件を逆手にとって、延べ12万本のキャンドルの灯かりを歴史的世界遺産である小樽運河の街の夜を演出するイベントを開催。韓国や中国からの海外ボランティアもPR活動に一役買うなど冬場の来街者、宿泊客が劇的に増加したのが評価された。
ベストプレゼン賞の受賞理由は明かされなかったが、総勢10人くらいが法被や菅笠姿で壇上に上がり、中国語や韓国語などの外国語を含めた幟を立てて活動をアピールし、「限界集落から玄関集落へ」などと親父ギャグを放ったのが圧倒的な人気を呼んだ模様だ。
選定委員長の横浜市立大学国際総合科学部教授・鈴木伸治氏は、「応募があった53作はみんな個性的かつ魅力にあふれており、23作に絞るのに苦労した。とてもハードルが高い賞だ。これほど地域を巻き込んだ活動をしているのは他の国にはない。その意味でわが国は先進国だ。廃線、廃校など危機的状況に直面し、生活が衰退していくという危機感がきっかけになっているというのが特徴でもある。これら地域資源を支える活動を多くの地域に伝えていただきたい」と講評した。
グランプリ賞に選ばれた「大歩危」(左)と「小樽雪あかり」(いずれも写真左は鈴木氏)
「小樽雪あかり」プレゼン
W受賞を喜ぶ「大歩危」関係者
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参加者全員がベストプレゼン賞を選べるというので、伊勢出身の記者は「三重県伊勢市 伊勢河崎・町並みと川を生かしたまちづくり~伊勢河崎商人館を核とした暮らしのデザイン~」(特定非営利活動法人伊勢河崎まちづくり衆)に一票を投じようと決めていた。
しかし、みんな甲乙つけられない素晴らしい活動をされているので、これは公平に選ばないと失礼と改め、約3分のプレゼンを完璧に演じた「岐阜県美濃市 美濃和紙あかりアート展」(美濃和紙あかりアート展実行委員会)を選ぼうか、それとも「限界集落から玄関集落へ」などと〝親父〟ギャグと呼ぶにはあまりにも年を取りすぎたおじいさん・おばあさん(皆さん70歳代のようだ)たちの奮闘ぶりに感動した「大歩危」を選ぼうかと判断に迷ったが、「美濃和紙」は他のイベントでも表彰されているはずなので、「大歩危」に投票した。他の参加者の皆さんも同じように考えたのだろう。
グランプリを逸した他の団体は、3分間しかない時間を有効に使えていなかったような気がした。訴えたいことよりも聞き手は何を知りたいかを考え、ワンフレーズで決める工夫をすべきだと思った。総じてしゃべりすぎだった。
国土交通省の担当者の方へ。一般参加者が増えるようイベントの方法を考えるべきだと思う。1団体に付き3分のプレゼン時間は短すぎるし、他方で休みなく23団体のプレゼンを聞かされるのもまたかなり苦痛だ。
また、大学教授など専門家の審査員を呼んでいるのだから、講演や受賞団体を交えたパネル・ディスカッションなどを行ってもいいのでは。プレゼンより、各団体のブースを設け、参加者が自由に聞けるようにしたほうが効果的ではないか。
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住宅ローン控除 3年延長結構だが…はるかに効果大きい面積要件引き下げを
国土交通省は12月14日、来年10月に予定されている消費税率10%への引上げ後の平成31年10月1日から平成32年12月31日までの間に入居した場合を対象に、住宅ローン減税の控除期間を3年間延長(建物購入価格の消費税2%分の範囲で減税)することが平成31年度与党税制改正大綱で決定したと発表した。
適用年の11年目から13年目の控除限度額は住宅借入金等の年末残高(4,000万円を限度)×1%と建物購入価格(4,000万円を限度)×2/3%のいずれか小さい額(長期優良住宅や低炭素住宅の場合は借入金年末残高の上限5,000万円、建物購入価格の上限5,000万円)。
また、消費税率10%への引上げ時に採用されるすまい給付金は、対象となる所得階層を拡充し、給付額も最大50万円に引上げる。さらに、贈与税の非課税枠も最大1,200万円から最大3,000万円に引上げることも決まっている。
消費税率引上げによる駆け込み需要とその反動減が生じた場合の経済に与える影響が大きいと考えられることから今回の決定となった。
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住宅が景気の〝調整弁〟として利用されるのは不愉快だが、今回の措置によってこと住宅に関しては消費者の買い控えは減殺され、増税の影響は少なくなりそうだ。
しかし、ローン減税制度の決定的な欠陥は取得住宅の50㎡以上という面積要件にある。
不動産経済研究所の調査によると、首都圏供給マンションのうち専有面積が30~50㎡未満のいわゆるコンパクトマンションの供給比率をこの10年間でみると、最高だったのは2009年の10.5%で最低だったのは2014年の3.7%になっている。14年以降は増加傾向を示しており、2017年は7.5%に上昇。1戸当たりの価格も2018年上半期は4,466万円となり、前年同期比6.2%上昇している。
首都圏マンション供給量の10%前後を占めるこれらの30~50㎡のマンションをローン減税対象外とするのは法の下に平等という憲法の原則からしても問題だ。このことは今年8月、不動産流通経営協会(FRK)が面積要件の引き下げを要求したときにも記事にしているのでぜひ読んでいただきたい。FRKが指摘する「住宅ローン減税制度などの面積要件が『一次取得時のハードル』を高くし、最低居住水準や誘導居住水準以下の世帯の住宅取得意欲を減殺するように働いている」ことは否定できないと思う。
つい先日、中国の書道家・唐思領氏と話す機会があった。わが国の今年の社会全体を漢字一文字で表わすと「災」だと話したら、唐氏は「国としてもわたし個人としても漢字一文字で表現すれば『福』です」と語り、色紙に「福」と書いてくれた。このところの中国の躍進をみれば唐氏だけでなく多くの中国の人はそういうのではないか。
一方のわが国の「今年の漢字」は過去13年間をみたら震・倒・毒・末・戦・災・偽・暑・安など暗いイメージのオンパレードだ。希望が持てるのは「愛」と「新」くらいだ。「福」などと言えばそれこそ〝袋叩き〟にあう。
「景気の気は気分」というではないか。国民を前向きにさせてくれる、うそでもいいから猪突猛進してみたくなるような思い切った住宅支援策は打ち出せないものか。気分はシュリンクする一方ではないか。
アキュラホーム&キャピトル東急 世界初の「木材ストロー」開発・導入へ
「木材ストロー」(ザ・キャピトルホテル東急で)
アキュラホームとザ・キャピトルホテル東急は12月11日、世界初の「木材ストロー」を企画・開発し、住宅展示場やホテルレストランなどに順次導入すると発表した。
「Wood Straw Project」と名付けたもので、環境ジャーナリスト・竹田有里氏が今年7月豪雨の被災地を取材した際、適切な森林管理が行われていないことが大きな災害をもたらしていることに心を痛め、間伐材の製品化を思いつき、〝カンナ社長〟として知られるアキュラホームに話を持ち込み、自然の恵みを提供している同ホテルが賛同して商品化したもの。
「木材ストロー」は、直径4ミリ、長さ21センチ、厚さ0.15ミリ。何度も試行錯誤を繰り返し、国産材のスギをスライスし、らせん状に仕上げることで、使用時の抵抗感をなくし、安全であることが確認されている。意匠登録申請も受理されている。
同ホテルは来年1月16日、3階レストラン「ORIGAMI」で試験導入するのを皮切りに、順次採用していく。
会見に臨んだ竹田氏は、「プラスチック製のストローは世界で1日1億本使われている。間伐材も放置され、森が死んでしまっている。脱プラスチックなどの環境問題や防災、持続的な森林経営の一助になればと考えている。1本1本手作りなので、障がい者の雇用にもつなげたい」と述べた。
アキュラホーム住生活研究所所長・伊藤圭子氏は「当社は、天板に間伐材を利用した机をこれまで11,000脚以上小学校に寄贈しており、社長自らがカンナを削り、名刺や辞令に採用している。匠の心を持っている会社として協力した。1本数十円のコストがかかり、安いストローと戦えないが、環境にやさしくCO2を固定し、森林・林業再生にも寄与する付加価値を伝えたい」と話した。
また、同ホテル総支配人・末吉孝弘氏は、「わたしたちは自然の恵みを提供するのが仕事。常に継続して何ができるかを考えている。素敵な取り組みに参画出来て嬉しい。製品は完成度の高いものに仕上がった。当ホテルは年間8万本のストローを使用しているが、順次木材ストローに切り替えていく。宿泊客の70%が海外でVIPも多い。実際に使っていただいて感動につなげたい」と語った。
左から竹田氏、伊藤氏、末吉氏
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脱プラスチックの動きは世界的になってきた。竹田氏の意を受けてアキュラホームと記者がもっとも好きなホテルの一つであるザ・キャピトルホテル東急が手を組んだことが何より嬉しい。拍手喝采。
記者団からはコストの質問が多く寄せられたが、伊藤氏が「安い(プラスチックの)ストローとは戦えない」と話したように、そもそもが環境=人と生態系に有害なものと、地球環境にやさしい森林・林業の再生にもつながるものを同じ俎上に載せ論じるべきではない。
確かに価格からしたら一般家庭への普及には時間がかかるだろうが、飲食店などが取り組もうと思えばすぐにでもできることだ。若い方は知らないだろうが、記者が小さい頃はストローといえばムギワラで出来ていた。いまもたまに飲む野菜ジュースとか牛乳以外にプラスチック製のストローを使用することはない。
そのうちにプラスチックを使用する店が消えてなくなることを期待したい。酒や味噌の樽はスギ材だし、ワイン樽はオークなので、関係者にヒノキはダメなのかクスノキもいいのではと質問したが、ヒノキは問題があり、クスノキは香りが強すぎて使えないとのことだった。
野村不動産 効率化・労働力不足に対応する物流施設「Landport青梅I」運用開始
「Landport青梅I」外観
野村不動産は12月7日、物流の新たなコンセプト「カテゴリーマルチ」を採用した大規模物流施設「Landport青梅I」の運用を開始し、2期棟の「Landport青梅II」(敷地面積約40,826㎡、延床面積約67,107㎡)を着工したと発表した。
現地は、JR青梅線小作駅から徒歩約10分(圏央道青梅ICから約2.5km)、青梅市末広町2丁目に位置する敷地面積約39,391㎡(11,916.05坪)、延床面積約61,121㎡。設計・施工は錢高組。2018年11月に竣工した。日野自動車がグローバルパーツセンターとして利用する予定。
旧東芝青梅工場跡地約3.6万坪(約119,965㎡)を3期に分割し開発するプロジェクトの1期棟で、シリーズ14棟目となる。
カテゴリーマルチとは、利用するテナントの業種(=カテゴリー)を物件ごと、あるいはフロアごとに特定したマルチテナント型物流施設であり、一般的な汎用スペックに、ターゲットとするカテゴリー特有の機能を標準仕様として付加した施設。物流業界全体の課題として挙げられている「物流の効率化」と「労働力不足」の解決に寄与することを目指す。
「Landport青梅II」は敷地面積約40,826㎡、延床面積約67,107㎡。鴻池運輸が利用する予定。
空撮
三井不レジ シニア向け第2弾「(仮称)パークウェルステイト鴨川計画」着工
「(仮称)パークウェルステイト鴨川計画」
三井不動産レジデンシャルは12月5日、千葉県内最大規模となる鴨川市のシニア向け「(仮称)パークウェルステイト鴨川計画」を着工したと発表した。
元気な高齢者(入居時年齢:概ね60歳以上)を入居対象とした「シニアのためのサービスレジデンス」で、同社が建物を開発したのち、三井不動産レジデンシャルウェルネスに建物を賃貸し、同社が老人福祉法に基づく有料老人ホームとして運営する。2021年秋の開業を予定している。
建物は、太平洋を望む標高約46mの高台に立地する22 階建てトライスター形状。約2/3の住戸からは、太平洋や日本の渚百選に選ばれている前原・横渚海岸の海岸線が眺望できる。日本で初めてJCI 認証を取得した亀田総合病院をはじめとする亀田グループの医療・介護サービスと連携、自分らしく充実した日々を過ごすためのアクティビティプランも提案する。
同計画は2019年6月開業予定の「パークウェルステイト浜田山」に続く第2号物件。
木造ゼネコン目指す 建築物の木造化に注力 すてきナイス・日暮副会長
2階天井(構造材は欧州アカマツ)
ナイスは11月29日、横浜市保土ヶ谷区の木造2階建て保育園・準耐火建築物現場見学会を行った。
すてきナイスグループ代表取締役副会長・日暮清氏は、「鉄やコンクリは、気が遠くなるほどのCO2を発散させているが、木は100年、200年にわたってCO2を固定化し、再生も可能。国も国産材の活用に大きく方向転換した。当社は『木造ゼネコン』を商標登録済で、一般建築物の木造化も新しいビジネスとして積極的に展開していく。SDGsの視点からも意義のある事業」などと語った。
保育園は、地元商店街が中心になって設立した「西谷保育園」の分園として建設されるもので、設計を担当した雄設計室代表取締役・古谷雄一郎氏は「木造にしたのはコストが一番の理由。本園とのつながりを重視し、1階には奈良県材のヒノキの柱を現しで使用し、すのこを敷いて自然の雰囲気を取り込んだ」と話した。
建物は、相模本線西谷駅から徒歩9分、横浜市保土ヶ谷区西谷に位置する木造2階建て(パワービルド工法)延床面積290.87㎡。設計・監理は雄設計室。施工はナイス。工期は平成30年9月~平成31年3月。
日暮氏
奈良県産材ヒノキの現わしの柱(樹齢250年、長さは4m。価格は30万円だとか)
積水ハウス・マリオット 横浜・みなとみらい21地区に「「ウェスティンホテル横浜」
「ウェスティンホテル横浜(The Westin Yokohama)」
積水ハウスは11月30日、横浜・みなとみらい21地区にマリオット・インターナショナルの「ウェスティンホテル横浜(The Westin Yokohama)」を2022 年春に開業すると発表した。
積水ハウスが事業主となりプロジェクトマネジメントを行い、マリオット・インターナショナルがホテル運営を行う。
「ウェスティンホテル横浜」の総客室数はホテル373 室、レストラン、バンケット、フィットネスなど。長期滞在対応型ホテル201 室も併設する。
ホテルは、みなとみらい線みなとみらい駅から徒歩5 分、横浜市西区みなとみらい4-2-4、敷地面積約9,604.59㎡(約2,905坪)、24階建て延床面積約64,700㎡。
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横浜・みなとみらい地区のホテル戦争が激化している。これからも10棟くらいが建設されるのではないか。「ウェステティンホテル」は恵比寿しか知らないが、もっとも好きなホテルの一つだ。初めて宿泊したとき、あのえも言えぬベージュに魅了された。
「道の駅」ハブに地方創生 ホテル事業 第一弾15カ所1000室 積水ハウス・マリオット
イメージ図
積水ハウスとマリオット・インターナショナルは11月28日、国内の各自治体と連携し、「道の駅」をハブにした「地域の魅力を渡り歩く旅」を提案する地方創生事業「Trip Base(トリップベース)道の駅プロジェクト」を展開すると発表。ファーストステージとして、ロードサイド型ホテルを2020年秋以降に5府県15カ所約1000室の規模でオープンする。
「未知なるニッポンをクエストしよう」をコンセプトに、地域に根差した文化・風習・暮らし・食などの資源を提供することで、新しい体験型の旅のスタイルを提案する。
ホテル事業は、マリオット・インターナショナルの日本初上陸となるホテルブランド「フェアフィールド・バイ・マリオット(Fair field by Marriott)」により、シンプルにゆったりとくつろぐことのできる宿泊特化型とするのが特徴。
記者会見に臨んだ積水ハウス代表取締役社長・仲井嘉浩氏は「『道の駅』は拡大しているが、宿泊機能を備えたものは少ない。ホテルをハブに地域のポテンシャルを高め、地域創生に貢献したい。そのために地元の観光事業者、自治体、地域住民、農林水産事業者など多くのアライアンスパートナーとの連携を密にしていく。ファーストステージの投資額は1室2,000万円として200億円。今後10年間でそれぞれ1,000室と仮定すると2,000億円の建築需要が見込まれる」と語った。
マリオット・インターナショナルアジア太平洋社長兼マネージングディレクター クレイグ・スミス氏は、「地方のデスティネーションを開拓したいという需要が増えているのにも関わらず、そういった地域には限られた宿泊施設しかない。積水ハウスとともにフェアフィールド・バイ・マリオットが提供するシンプルさと信頼感により、こうしたトレンドを取り込む」と話した。
開業するのは栃木県の宇都宮市、茂木町、日光市、岐阜県の美濃市、郡上市、美濃加茂市、高山市、三重県の御浜町。大台町、京都府の宮津市、京丹波町、南山城町、和歌山県のすさみ町、串本町、田辺市の15カ所。
施設は3~7階建て、延床面積は約2,020~4,240㎡。客室数は50~96室。1室30㎡前後になる模様。
仲井氏(左)とクレイグ・スミス氏(ウェスティンホテル東京で)
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会見場には約120名の記者が詰めかけ、関心の高さをうかがわせた。記者団からの「地方でホテルを展開することのリスクはないか」という質問に対し、クレイグ・スミス氏は「リスクは感じていない。モノを買うよりコトを消費するほうが上回っているように、ミレニアル世代のバランス感覚は鋭く、そうしたニーズを取り込める。むしろワクワクしている」と言下に否定した。
記者もそう思う。ミレニアル世代は訳が分からず、つかみようがないのに困惑するばかりだが、世の中はミレニアル世代が主役の座に鎮座する時代になりつつある。そのニーズをいかに取り込むかが勝敗の分かれ目になるような気がしてならない。
もう一つ、記者が期待したいのはやはり地方再生・創生だ。地方はいま〝青息吐息〟の苦境に陥っている。再生・活性化は喫緊の課題だ。
これまで政府主導による様々な取り組みが行われてきたが、成功しているとは思えない。今回、世界最大のホテルチェーンを展開するマリオットと、やはり世界最大のハウスメーカーが組み、さらに地域との連携を強化すれば間違いなく「未知なるニッポンをクエスト」することができるはずだ。
地方に眠っている文化を掘り起こし、元気を取り戻すプロジェクトになることに期待したい。
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会見場では5府県知事からのコメントが紹介され、「道の駅 銘菓」も振舞われた。三重県知事・鈴木英敬氏は次のようなコメントを寄せた。
「三重県から大台町と御浜町の2カ所が選定されたことを大変うれしく思います。
大台町は、ユネスコエコパークに登録の大杉谷と日本一の清流宮川など雄大な自然に囲まれた地域で、SUPやハイキングなどアウトドア体験が満喫できる地域です。御浜町は、熊野灘を望む温暖な気候を生かし、年中みかんのとれる町として有名で、みかん狩りや世界遺産熊野古道ウォークなどが楽しめます。
県内には、伊勢神宮や忍者、海女をはじめとする歴史文化や、松阪牛、伊勢えびなどの山海の幸にも恵まれ、旅の目的地として訪れる価値がある場所です。今後、世界中からの多くの旅行者に、三重にお越しいただき、楽しんでいただけるよう、本プロジェクトの成功に期待しています」
会見場
大阪・万博開催は日本の新たな国際競争力をもたらす 三菱地所・吉田社長
三菱地所・吉田淳一氏は、2025大阪・関西万博の開催決定について次のようにコメントした。
2019年のラグビーワールドカップ、2020年のオリンピック・パラリンピック、2021年のワールドマスターズゲームズ開催に続いて、日本がますます国内 外の注目を集める機会となり、人やモノ、投資資金を呼び込むことで、日本の持続的な成長につながるだろう。
2024年夏には、当社を代表とするJV9社が開発を進める「うめきた2期」 が先行まちびらきを迎える予定であるが、同プロジェクトでは、「みどりとイノベーションの融合拠点」をまちづくりの目標に掲げ、中核機能として国際集客・ 交流施設のほか、最先端技術を積極的に採り入れたイノベーション創出拠点を整備する。こうした未来志向性は、この度決まった大阪万博の方向性と類似しており、相乗効果があるだろうと感じている。
万博は、地域経済の活性化や日本の魅力発信につながるだけでなく、最先端 技術など世界の英知が結集し、新たなアイデアが創造され、イノベーション創 出の場となる。創造的・革新的なイノベーションは、関西ひいては日本に新たな国際競争力をもたらすと期待している。
ポラス 南柏の木造在来2階建て認定こども園 構造見学会
2階の屋根の部分
ポラスグループのポラテックは11月22日、同社が施工している千葉県柏市の木造在来工法2階建て認定こども園の構造見学会を行った。
12社による指名競争入札で同社が入札した案件で、建物は、学校法人岩崎学園くりの木幼稚園の敷地内の法22条に位置する敷地面積約4,972㎡、保育園機能を備えた認定こども園。構造・規模は木造在来2階建て延べ床面積約1,440㎡(435.60坪)。設計は時設計。引き渡し予定は平成31年3月。
構造材は、同社のプレカット工場で製造可能な住宅などにも利用されているアカマツの集成材を極力採用することでコストを下げ、約10mスパンの空間を確保するため2本1組の120×390トラスや2階の床を吊るすM20のボルトを採用しているのが特徴。
同社は、わが国最大の木造プレカット工場を擁し、年間約3,000戸の住宅を施工・販売しており、非住宅の受注にも力を入れている。2017年度の受注実績は12棟、12.5億円。2018年度は16棟、21.5億円の受注めどが立っているという。
M20のボルト
完成予想図
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トラスの接合についてだったか、工事関係者が「通常の5倍くらい難しかった」と話した。しかし、ゾウの大きさを知らないカエルのお母さんと一緒の記者は、通常の工事の難易度がさっぱり分からない。〝浦和レッズに勝つほどではなく、西武打線を抑えるくらい難しい〟とでも言ってくれれば多少は理解できただろうに。この点については、解説のしようがない。
もっとも興味があるのは〝現わしの見える化〟だ。この2点について質問したら、期待通りの答えが返ってきた。
設計を担当している時設計建築設計部建築設計課課長・吉野達也氏は、「森の中の木造園舎を目指しており、腰壁、柱などに木を貼って、自然なもの、木に囲まれている環境にする」と話した。
ポラテック木造推進課課長・篠田和弘氏は、「建基法の改正により、現わしが可能になった部分も多い。今後も木造の構造美を大切にしたい」と語った。