RBA OFFICIAL

武蔵小杉に来年4月オープン

 

0902-1.jpg

「三井のすまいのモール」武蔵小杉店 位置図
 

 三井不動産92日、同社の住まいのワンストップサービス店舗「三井のすまいモール」3号店の「武蔵小杉店」を来年4月中旬にオープンすると発表した。「すまいモール」は、

「新築・中古」「所有・賃貸」「建て替え・リフォーム」などあらゆる住まいに関するニーズにワンストップで応える施設で、2012 4 月に目黒、同年11 月に横浜にオープンして以来、累計約7,000

組の来場者がある。

 「武蔵小杉」店は、東急東横線・目黒線武蔵小杉駅から徒歩1分。出店会社は三井不動産レジデンシャル、三井不動産リアルティ、三井ホーム、 三井不動産リフォーム。店舗面積は約125坪。

 また、「すまいモール」の開設と同時に開始したメンバーシップサービス「すまいLOOP」の利用者も増加しており、会員数は約10万人にを突破した。サービス提供店舗・施設数は約350カ所に拡大した。

◇      ◆      ◇

 3号店の武蔵小杉店は当初から予定されており、いよいよ来年に開設することが決まった。武蔵小杉はマンション供給ラッシュが続いており、その中でも同社がもっとも供給量が多い。今後も駅周辺で2,000戸超(他社とのJV含む)を供給する。坪単価も10年前は220万円だったのが、最近の駅近では300万円近くになっている。晴海や豊洲、川崎などを凌ぐ単価水準だ。

 

「住んでみたい街」3位 脅威の売れ行き野村不動産「武蔵小杉」

 

カテゴリ: 2013年度

ポラスと第三企画のCSRが意味するもの

 


「南越谷阿波踊り」フィナーレ

 記者はこの10年間、本場徳島を含めて3大阿波踊りと呼ばれる南越谷と高円寺の阿波踊りをほとんど欠かさず見学している。

 前者はハウスメーカー各社の広報担当者やメディアとの懇親が目的の「広報連絡会 臨時会」の参加者の一人として、後者は「第三企画」が「第三企画連」として踊りに参加しているのを写真に収めるためだ。前者の場合は、飲むのも目的の一つだから踊りを見るころにはかなり酔っ払ってはいるが、それでも「虹」とか「菊の会」など世界をまたに駆けて公演しているトップクラスの連の舞台踊りをみている。後者もまた、地元の有名連の一つ「殿様連」が第三企画連と一緒に踊っているので、やはりどこにも負けない踊りを見学している。この10年間を振り返って、阿波踊りの果たしている役割などについて考えてみた。

 まず、南越谷阿波踊りについて。いうまでもなく、この阿波踊りは徳島県出身でポラスグループの中央住宅の創業社長・故中内俊三氏が呼びかけて始まったものだ。昭和60824日に第1回目が行なわれている。観衆は約3万人だったという。それが、最近では毎年約60万人が集まるという。60万人といえば越谷市の人口の2倍近い数だ。参加連は70を越え、踊りに参加する人は延べ5000人にのぼるという。

 中内氏が開催を提唱したころのポラスの売上高はせいぜい数百億円だったのではないか。今ではグループの平成253月期の売上高は1,531億円(前期比13.9%増)、経常利益は110億円(同1.1%増)にものぼる。従業員数は2,425人で、これもまた当時より数倍に増えているのではないか。中内氏が亡くなられて8年が経過する中内氏が存命であれば今日の盛況振りをどう評価するだろうか。

 記者がもう一つ考えるのは地域貢献のあり方だ。中内氏は「会社がつぶれても阿波踊りだけはつぶすな」と語ったそうだが、世間には宣伝のためにイベントを行う会社がたくさんある、しかし同社は地域密着企業として、地域と一緒になって努力し汗をかいてきたからこそ共感を得られたのだろうと思う。CSRはどうあるべきかを考える意味でもこの南越谷の阿波踊りは参考になるはずだ。

 


ポラス「北辰連」

後片付けをするポラスの社員

◇      ◆      ◇

 次に高円寺の阿波踊りについて。これももう説明するまでもなく全国に知れ渡っている。今回で57回目を数え、参加連は90を越え、観衆は本場の約130万人に匹敵する約120万人を動員するというから驚きだ。

 第三企画はこの高円寺の阿波踊りに平成元年から参加している。同社の社長・久米信廣が連長を務める。徳島出身で若いときはミュージシャンを目指したという久米は重さ10キロもある鉦を軽々と片手に持ち、約10人の大太鼓の「暴れ太鼓」を鼓舞する。久米が「音の魔術師」なら太鼓の部隊は神業師だ。太鼓の部隊のほとんどは第三企画の印刷工場で重さ数十キロの紙と踊る紙業が日課だからだ。

 この暴れ太鼓に呼応するのが殿様連の暴れ踊りだ。手に「弓張提灯」を持ち、腰を落として鳴り物を合図に一気に駆け上がる差込が得意技で、ドドドッと十数メートルも駆け回る。

 この光景はどう控え目に見ても他を圧する。鳴り物の腕前は、殿様連の連長が「みんな本場に連れて帰りたい」と真顔で語ったほどだ。2年前は「観衆を楽しませた」として「青梅市友好賞」を受賞している。

 記者のモットーである「記事はラブレター」は、第三企画の理念「人の前に明かりを灯す」と同義語だ。

 

第三企画連&殿様連

     

殿様連(左)と第三企画連

◇      ◆      ◇

 この10年間の見学でたどり着いた結論は、阿波踊りこそ究極の盆踊りということだ。おんな踊りは極楽鳥ではないかということだ。編み笠は鳥の羽で、背を大きく見せつつも満月の光を遮り、かつ炬火の光で下から顔を照らす効果を狙っているかのようだ。浴衣の赤やピンクの裏地は日本古来の鴇色が基本だという。ステップを踏むごとに裾から白い脛がのぞく。久米の仙人(久米信廣ではない)は、洗濯する女性の白い脛を見て神通力をなくしたと徒然草はいう。記者も日本の女性をもっとも美しく見せるのは阿波踊り以外にないと思う。

 

  

第三企画連

     

殿様連  

  

 

   

 

   

 

  

 

第三企画連&殿様連

カテゴリ: 2013年度

参入障壁が低く報酬額が守られているのが要因 

 

 国土交通省が平成24年度の宅地建物取引業の施行状況をまとめ発表した。調査によると、平成25 年3月末(平成24 年度末)現在の宅地建物取引業者数は大臣免許が2,137 業者、知事免許が120,373 業者で、全体では122,510 業者となっている。監督処分は免許取り消しが129件、業務停止や指示処分を含めた全体は258件で、全体の処分件数は平成15年度と比較すると28.3%減となっている。

 業者数は平成15年度と比較すると大臣免許が5.3%増、知事免許が6.2%減、合計が6.0%減。過去20年間で業者数は13.8%減少している。

      ◆      ◇

 一般の方も読まれるので、宅地建物取引業(宅建業)について少し説明しよう。

 宅建業法は、宅建業の健全な発展と消費者保護を主な目的とする法律で、免許を受けなければ業として宅建業を営むことは禁止されている。免許を申請する際、1つ以上の都道府県に事務所を設ける場合は大臣免許を、1つの都道府県内に事務所を設置する場合は知事免許を受けなければならない。知事免許が多いのは、いわゆる「街の不動産屋」さんが業者の数としては圧倒的に多いからだ。

 免許基準のハードルはそれほど高くない。もっとも重要なのは、一定の宅地建物取引主任者(宅建主任者)を置かなければならないことだが、宅建主任者の資格は高校卒業程度の学力があり一生懸命勉強すれば取得できる。試験範囲は民法、建築基準法、宅建業法などに限られており、他の国家資格と比較して範囲は広くない。

      ◆      ◇

 さて、この全国で約12.3万の業者数が多いか少ないか。判断材料として総務省の「平成18年事業所・企業統計調査」を紹介する。この調査はわが国の全ての産業の事業所、企業の数や従事者をまとめたものだ。

 これによると、不動産業の事務所は全国で約32.0万、従事者は約101万人となっている。これは全産業(約591万事業所、従事者約5,863万人)を16に分けた大分類では事業所数としては7番目、従事者数としては11番目で決して多いほうではない。

 ところが、事業所を420の小分類に分けた数字では、いわゆる街の不動産屋さんと呼ばれる「不動産賃貸・管理業」は約25.5万にのぼりトップに君臨する。

 いかに多いかを他と比較してみよう。次いで多い「食堂・レストラン」が約23.5万で、以下、「医療業」23.3万、「教育・学習支援業」23.2万、「総合工事業」22.5万と続く。「美容業」17.6万、「バー・キャバレー」15.2万、「酒場・ビアホール」15.2万、「理容業」11.7万、「喫茶店」8.1万、「書籍・文房具小売店」5.1万などをはるかにしのぐ。

 事業所の減少スピードも緩やかだ。「不動産賃貸・管理業」は平成13年と比べて2.9%減少しているが、これは全産業の減少率6.9%と比較しても少ない。「医療・福祉」や「ネット関連」の事業所以外の製造業や小売り・サービス業が激減しているのと対象的だ。比較が適当かどうかは分からないが、規制が強化されて激減している「貸金業」(約0.7万)は39.4%減少しているし、「野菜・果実業」(約2.6万)もスーパー・コンビニに押されてか19.4%も減少している。

 注目すべきなのは、事業所の数が多いのに比べて従事者の数が少ないことだ。「不動産賃貸・管理業」の従事者は68.1万人だから、1事業所当たり約2.7人だ。「食堂・レストラン」の1事業所あたり従事者は約7.8人だ。いかに「不動産賃貸・管理業」は零細・個人業が多いかが分かる。

 少人数でも業として不動産業を営むことができるのは、事業参入障壁がほとんどないこともあるが、取引額が400万円以上の場合、報酬額は「取引価格」×3%+6万円として法律で守られていることと無関係ではないと思う。

 今回の調査で処分には至らない「勧告等」が848件で、15年度比34.8%増えているのは気になる材料だが、処分件数は平成15年と比べ約28%減少しているのはせめてもの救いだ。

カテゴリ: 2013年度

 「おとな3人リビング」を提案

 

「おとな3人リビング」

 旭化成リフォーム823日、「熟年夫婦と単身の子」が快適に暮らすためのLDKリフォーム新商品「おとな3人リビング」を826日(月)から発売すると発表した。

 新商品は、同社のくらしノベーション研究所の調査結果を踏まえて発売するもので、近年増加しているおとな3人世帯に向け、暮らしの質をより豊かにするとともに熟年夫婦の将来の暮らしにも配慮した暮らし方を提案する

 主な特長は、①おとな3人が集うリビングをスッキリさせる収納「パーソナルファニチャー」②家族の家事協力を促す「回遊型キッチン」③通常はリビングとして使い、時には家族の気配を感じながら篭れる趣味空間となる「マルチコーナー」など。高齢期・介護期にはマルチコーナーを両親の寝室として利用できるよう配慮している。

 販売価格はプロトプランで525万円。販売目標は年間200棟。

 2010年の国勢調査によると、団塊世代を中心とする60歳代の世帯主の家族構成では、熟年夫婦と単身の子で暮らす「おとな3人世帯」の数のほうが夫婦のみで暮らす世帯数を上回った。

カテゴリ: 2013年度

木造耐力壁ジャパンカップ アキュラもポラスも優勝逸す

 


優勝した東大×LIXIL×キダテの「ITAMADO2」

優勝は東大×LIXIL×キダテの「ITAMADO2

 

 木造耐力壁の強さなどを競い合う「第16回木造耐力壁ジャパンカップ」(主催:NPO法人木の建築フォラム)が816日~18日、静岡県富士宮市の日本建築専門学校で行なわれ、16チームによるトーナメント戦の末、東大×LIXIL×キダテの「ITAMADO2」がチーム匠(アキュラホーム+東京大学木質材料研究室+篠原商店)の「矢来」を破り優勝した。コストパフォーマンスが最も優れた耐力壁に贈られる「ジャパンカップ優勝杯」は滋賀職業能力開発短期大学校の「初代MOTONARI」が獲得した。

 各部門賞の耐震部門は東大×LIXIL×キダテITAMADO2デザイン部門は四国能開大格剛V加工、施工部門は四国能開大格剛V環境部門は四国能開大格剛V審査員特別賞はアキュラホーム+東京大学木質材料研究室+篠原商店/矢来がそれぞれ受賞した。

 過去6度のトーナメント優勝を果たしているポラス暮し科学研究所の「REBORN(リ・ボーン)は8強で争う初戦で「ITAMADO2」に敗れ敗退した。


稲山准教授

      ◆      ◇

 

 記者がこの大会を取材するのは8度目ぐらいだろうか。いまだに耐力壁にかかる加重単位KN(キロニュートン)がどれほどのものかよく分からないし、「込栓」「雇い」「「貫」「めり込み」などの専門語の意味や、ビスなどの「金物」の補強効果がどれだけあるのか理解できないところもあるが、競技そのものは綱きひのようなものだから見ていて面白い。ほんの数分で決着が付く。

 しかし、評価そのものは極めて詳細に定められている。耐力壁に使用する材料、寸法はもちろん、加工費、環境負荷費 なども円単位で評価される。例えば国産材が50円/㎏であるのに対し、輸入材は150円/㎏だし、ひのきは110,000円/㎥、すぎは70,000円/㎥で、壁の重量は釘1本、チリまで重さに加えられ、施工工具、施工時間、解体時間、作業人数などもこと細かに評価される。デザイン・意匠にも審査員のチェックが入る。参加チームが必死で取り組んでいるのが伝わってくる。

      ◆      ◇

 今回の耐力壁で注目したのは四国能開大/格剛Vだった。デザインはシンプルな縦横の格子で、材料は四国のヒノキとスギのみで、金物は一切使用されていなかった。地元材しか使用していないというのが記者をひきつけた。チームは優勝した「ITAMADO2」に準々決勝戦で敗れたのだが、加重圧力は30KNを突破していた。

 大会委員長で東大木質材料研究室・稲山正弘准教授も「金物を使わず30KN超でも戦えるこの壁は究極の壁」と称えた。

 チームを代表して香川県出身の浅野智弘さん(20)は「参加した耐力壁は5体目。3カ月ぐらいかけて完成させた。地元材を用いているのが特徴で、デザインもシンプなものにした。卒業したら現場に出たい」と誇らしげに話した。チームの北尾凌さん(19)も出石麻理さん(19)も「希望は現場」とのことだった。

 指導した同大学校職業能力開発准教授・宇都宮直樹氏は、「これまで総合優勝や2位もあったが、今回は全体的にバランスが取れていた。木材は実際の山を見て選んでいる。同じ四国でも地域によって木材の質が異なることを学ぶことが大事で、卒業してから現場経験が生きてくるはず」と語った。

 ジャパンカップ杯は獲得できなかったが、デザイン部門など3つの部門賞を受賞したということは記者にも少しは見る目があるということか。

  
左から四国能開大の浅野、出石、北尾の各氏      「ITAMADO2」に敗れた「格剛Ⅴ」(写真左)

      ◆      ◇

 京都の町屋でよく見かける「矢来」をモチーフにし、壁の名前も「矢来」とし、大会連覇、4度目の優勝を狙った「チーム匠」の担当者は、「50KNには耐えられるはず。アキュラホームを代表する大工が一分の隙もないものに仕上げた」と胸を張ったが、決勝では58KNあたりで相手に土台を破壊された。

 優勝6度の最強チーム、ポラス暮し科学研究所の「REBORN(リ・ボーン)について同社主席研究員・上廣太氏は、試合前に「今回はシードされたが、16日の加圧の段階でバキッと土台が壊れてしまった。もう無理、満身創痍。8月開催になったのでみんな夏休みを返上して取り組んできたが、準備が足りなかった」語り、早々と白旗をあげていたが、その通り決勝トーナメント初戦であっけなく敗退した。

  
左から「チーム匠」の冨谷、武原、並木、和田、稲山の各氏     「ITAMADO2」に敗れた「矢来」(写真右) 

  
  左からポラスの大浦、立花、原田、上廣、高橋の各氏                  「RE・BORM」                                    

カテゴリ: 2013年度

6月の建設工事受注高6兆3,530億円(前年同月比14.2%増)

公共事業、住宅・不動産が増加に寄与


 国土交通省は8月9日、平成25年6月の建設工事受注動態統計をまとめ発表。受注高は6兆3,530億円(前年同月比14.2%増)で、このうち元請受注高は4兆4,382億円(同23.7%増)、下請受注高は1兆9,148億円(同3.1%減)となった。

 元請受注高のうち発注者別では公共機関からは1兆4,984億円(同43.1%増)、民間などからは2兆9,397億円(同15.7%増)となっている。

 民間などからの受注工事で多いのは「住宅」1,923億円、「店舗」750億円、「医療・福祉施設」619億円。発注者別でもっとも多いのは不動産業の2,166億円(同31.4%増)。公共工事と住宅、不動産が受注増に大きく寄与している。

 また、平成25年9月の主要建設資材月別需要予測では、「セメント、生コンクリート」が4,500千t(前年同月比21.4%のプラス)、「木材」は875千?(同12.0%のプラス)、「普通鋼鋼材、形鋼、小形棒鋼」は2,000千t(同 18.3%のプラス)などいずれも大幅プラスを予測している。..

カテゴリ: 2013年度

マンションは総体として評価すべき

週刊住宅「首都圏優秀マンション」表彰について


 「週刊住宅」の平成24年度「首都圏優秀マンション」表彰で最優秀賞に三井不動産レジデンシャル「パークコート千代田富士見ザタワー」と野村不動産・三菱商事「プラウド船橋」が選定された。また、「都心中規模マンション」では野村不動産・三井物産「プラウド南麻布」、「都心小規模マンション」には野村不動産「プラウド高輪三丁目」、「郊外中規模マンション」では大京「ライオンズ立川グランフォート」、「週刊住宅新聞社賞」には東急不動産「ブランズ四番町」がそれぞれ選定された。「郊外中規模マンション」は該当作がなかった。

 この受賞について異論を挟むつもりはない。それどころか、パークコート千代田富士見ザタワー」と「プラウド船橋」は2物件とも、記者も昨年の「ベスト3マンション」に選んだぐらいだから、もっともな評価だろうと思う。異なるのは記者は「甲か乙か」というような評価をしていないという点だ。都心の富裕層向けと郊外の第1次取得層向けの物件に点数を付けて比較することなど記者はできない。

 残念なのは、都心、郊外、大規模、中・小規模ともほとんど全てが「大手」物件で、中小デベロッパーが得意とする「郊外中規模マンション」に該当物件がないことだ。これは、リーマンショック後、加速度的に進んでいる大手の寡占化市場の反映だろう。

 しかし、それでも中小デベロッパーの事業、物件を顕彰する意味でも選定する努力をしてほしい。そもそも千葉や埼玉の物件というだけで基礎点が少ないというのも問題だし、都心に近い物件ほど、中小規模より大規模物件のほうが基礎点が高いという配点は再考の余地があるのではないか。これは不公平だ。

 つまり、「立地」「専有部」「住環境」「建物・構造」などを点数化・ランク付けして評価すること自体に問題がある。マンションの性能をレーダーチャートに落とし込むことは簡単ではない。仮にそうしたところで、マンションを評価したことにはならない。

 最悪の立地条件であっても、商品企画に工夫を凝らしユーザーの心を捉えた物件は数え切れないほどある。子育て環境を重視すれば、駅に近い商業地域のマンションより駅から遠い住居系用途地域のほうがいいことも考えられる。2,000万円台、3,000万円台の第1次取得層向けの中小規模マンションにコストアップ要因となる免震を採用し、共用施設・設備仕様を充実させることなどは極めて困難なことだ。

 さらに言えば、マンションの評価は絶対評価でも相対評価でもない総体として評価すべきだと思う。記者がいつも念頭に置いているのは、その土地の特性を最大限に生かす工夫がなされているか、難点をいかにカバーするか、ユーザーの取得意欲を刺激するものかどうかだ。広い意味でデザイン性にも目を配る。

カテゴリ: 2013年度

6月の住宅着工 消費税にらんだ駆け込みで大幅増加


 国土交通省は7月30日、6月の新設住宅着工戸数をまとめ発表した。総戸数は83,704戸で、前年同月比15.3%増、10カ月連続の増加となった。内訳は持家が30,699戸(前年同月比13.8%増、10カ月連続の増加)、貸家が30,504戸(同13.1%増、4カ月連続の増加)、分譲住宅が22,029戸(同24.3%増、2カ月連続の増加)。分譲住宅の内訳はマンションが10,274戸(同46.0%増、2カ月連続の増加)、一戸建て住宅が11,651戸(同9.4%増、10カ月連続の増加)。

 首都圏マンションは、東京都が2,883戸(前年同月比6.5%減)、神奈川県が1,167戸(同142.1%増)、埼玉県が408戸(同142.9%増)、千葉県が525戸(同5.1%減)。

 着工動向について国交省は「リーマンショックを受けた大幅な下落(平成21年度)以降、緩やかな持ち直しの傾向が続いてきたが、このところ、消費マインドの改善等もあり、堅調に推移している。今後の先行きについては、雇用・所得環境の推移、東日本大震災からの復興状況、建設労働者の需給状況、住宅ローン金利の動向等を引き続き慎重に見極める必要がある」としている。

◇     ◆     ◇

 このところの着工戸数の増加は明らかに消費税率アップを睨んだ駆け込みだ。住宅の場合は、引渡し時期のいかんに関わらず今年9月30日までに契約すれば、消費税率は現行の5%に据え置かれることになっている。住宅は金融商品ではないから冷静な対応が必要だ。

カテゴリ: 2013年度

消費税増税時の住宅購入

最大30万円の現金給付は決まったが…建築費上昇懸念


 マスコミが一斉に報じたように、政府・与党は6月26日、来年4月の消費増税に併せて導入する住宅購入者向けの給付制度を決めた。住宅ローン利用者に対して年収制限を設けて最大30万円の現金を給付するのが骨子だ。また、今年末で期限が切れる住宅ローン減税も4年間延長して、控除額を年間最大40万円に拡大する。

◇      ◆     ◇

 「負担軽減策」が打ち出された26日、不動産協会は木村惠司理事長(三菱地所会長)名で「平成25年度税制改正で措置された住宅ローン減税の拡充等で効果が不十分な所得層に対して重点的に手当てされるとともに、現金購入者に対しても広く配慮されており、住宅購入者の負担軽減に効果があると評価している。また、10%引き上げ時の負担軽減措置も併せて決定されており、中堅所得層まで幅広く手当てされたことも評価したい」「これにより、住宅市場における駆け込み需要の発生とその反動については、かなりの程度平準化されることを期待している」とコメントした。

◇      ◆     ◇

 この最大30万円の現金給付が消費税後の住宅市場にどのような影響を及ぼすかが最大の関心事だ。分譲マンションのケースで考えてみよう。

 計算がしやすいように首都圏の一般的な郊外マンションに当てはまる3,000万円のマンションを全額ローンで購入した場合で、課税対象外の土地価格を1,000万円、課税対象の建物価格を2,000万円としよう。

 現行の消費税率が5%だと消費税額は100万円。消費税率が8%になると160万円となり60万円アップする。仮に年収425万円以下の人が対象となる30万円の給付が受けられるとすると、住宅ローン控除額の年間30万円と合わせ差し引きゼロとなる計算だ。

 しかし、実際の場合、年収425万円以下の人が3,000万円のマンションを購入し、3,000万円のローンを組むのは不可能だ。現金とローン減税で戻ってくるのはせいぜい30万円ではないか。つまり、消費税アップによって30万円の負担増となり、マスコミが報じているように「年収が低い人ほど恩恵が受けられる」というのは正確ではない。この点について、自民党の野田毅税制調査会長が「低所得者のための措置ではなく、駆け込み需要増と反動をいかに抑えるかを軸に考えた」(27日付け日経新聞)と語ったのは的を射ている。 

 そもそも消費税は逆進性が強く、生鮮食品などとともに住宅はその影響を強く受ける。ここでは詳しく書かないが、これは土地に対しては課税されず、建物のみに課税されるという税の仕組みに問題がある。建築費はどんな遠隔地であろうと1坪(3.3㎡)当たり単価は100万円はするので、分譲価格に占める建物価格割合は7割ぐらいになる。一方で、地価が高い都心部などは土地価格の割合は6~7割ぐらいになり逆転する。20坪の3,000万円と1億円、言い換えれば年収が数百万円の人とその数倍の富裕層の人が支払う消費税額は200~300万円の差しかない。

◇      ◆     ◇

 もう一つ重視しなければならないのは、住宅ローン金利動向だし分譲価格の上昇懸念だ。住宅ローン金利動向については専門家に任すとして、すでに建築費の上昇は始まっている。関係者によると10%は上がっているという。

 それでもまだ価格上昇が顕在化していないのは、企業努力、つまり、利益率を落としたり設備仕様レベルを下げたりして対応しているからだ。そのような例はたくさんある。二重床を直床にしたりキッチンの天板を御影石から人造大理石にしたり、食洗機はオプションにする、スロップシンクはつけない、クロスの質を落とす…数えたらきりがないほどある。値段を据え置きし、中身の量を減らしている商品と同じだ。

 しかし、質の低下は競争力の低下にもつながる。いずれは建築費の上昇を価格に上乗せせざるをえなくなる。時間の問題だ。また、「駆け込み需要」に便乗した値上げも行われそうだ。そこがターニングポイントだろう。現金給付やローン減税では吸収しきれない額の値上がりとなった場合、果たして市場はどう反応するか。アベノミクスの真価がそこで問われる。

◇      ◆     ◇

 もう一つ指摘したいのは、詳細はこれから決まるのだろうが、「消費税還元セール禁止特措法」と今回の「負担軽減措置」との整合性はどうなのかということだ。

 特措法では「消費税分を値下げする」「消費税分の家具をプレゼントする」などは違法行為になるのだろうが、現金給付やローン減税によって負担を軽くするというのは主体が民間と国の違いだけではないか。消費税が増税されたらデベロッパーは「春の住宅取得応援キャンペーン」「創業○周年記念 購入資金プレゼント」などと実質的に税負担を軽くする商法に出そうだが、これは違法にはできないはずだ。

 混乱を生じさせないためにも住宅、少なくとも第一次取得層向けは非課税にするべきだと思う。

カテゴリ: 2013年度

建設技能労働者の不足傾向強まる 国交省


 国土交通省は6月25日、建設労働需給調査結果・主要建設資材需給・価格動向調査結果をまとめ発表した。

 5月の全国8職種の需給動向は、4月の1.0%不足から1.4%不足へ0.4ポイント不足率が拡大。特に鉄筋工(土木)の不足率が5.1%と大きくなっている。

 今後の見通しとしては8職種全ての技能労働者が不足傾向にあるとしており、労働者の確保が「困難」と「やや困難」の合計が23.3%となり、前年同月比11.1ポイント上昇している。

 また、6月の主要建設資材需給・価格動向では、価格は「横ばい」、需給は「均衡」、在庫は「普通」となっている。

カテゴリ: 2013年度
 

 

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン