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「オーベルグランディオ横浜鶴見」のモデルルームを見学して

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「オーベルグランディオ横浜鶴見」全体外観

 大成有楽不動産、京浜急行電鉄、菱重エステート、長谷工コーポレーション、ナイスの5社が12月7日から分譲を開始する横浜市鶴見区の大規模マンション「オーベルグランディオ横浜鶴見」(全553戸)もモデルルームを見学した。

 千代田化工建設の本社・研究所跡地を再開発するもので、周辺にある企業や大学と協力して工場見学、スポーツ観戦、さらには子どもからシニアまで幅広い世代交流ができるプログラムが計画されているマンションだ。

 今回のマンションに限ったことではないが、高さが7階建てに制限されていることについて触れたい。

 横浜市では現在、地区計画や市街地環境設計制度などで緩和許可を受けたものを除きほぼ全域に用途地域や容積率によって建物の絶対高さが第1種高度地区から第7種高度地区まで7段階わたって規制されている。第1種が10m、第2種が12m、第3種が15m、第4種から第6種が20m(斜線制限もあり)、第7種が31mだ。

 今回のマンションが建つエリアは順工業地域で、高さ制限は20mなので7階建てになっている。

 この数値でも分かるように、10-15-20と5ないし10m刻みで規制がかけられている。31mというのは100尺(1尺は約30.3cm)で、尺貫法を用いていた時代の名残だ。つまり旧来の尺貫法をmに置き換えただけで、10mも20mも根拠はあいまいだ。

 記者は以前からこの建物の絶対高さ規制には反対してきた。建物は機能とともに美しさも大事だと思う。機能面で言えば、居住性能を考えれば階高は3mぐらい必要だし、最近では3.4mぐらい確保したマンションもある。つまり、高さ規制は3~3.3m刻みで行なうべきだし、居住性能の高いものについては、日影規制もあるだろうが、さらに高さ規制を緩和すべきだと思う。

 したがってこの20m規制は住宅のレベルを押し下げるものとして機能する。さらに言えば、戸数を抑制することから地価を押し下げるとともに、その逆に規制内で最大の利益を追求するならば分譲価格を絶えず押し上げる要因としても働く。

 美しさはどうか。建物のスカイラインが一定なのは美しいともいえるし、そうでもないといえる。難しい問題だ。街並みから突出したスカイツリーは本当に美しいのか、山頂に突き出た大仏像は美しいか。近くで見るのと遠くから眺めるのとではまた違ってくる。建物の高さと景観美は重要な要素ではあるが、絶対的な相関関係はないと思う。

 今回のマンションで言えば、高さ規制を守り、容積率をこなすため単調な板状の外壁が建ち並ぶことになる。それよりも、高さ規制を緩和して、公開空地、緑地を十分確保したほうが街並みとしては美しくなると確信する。

 建築物の高さ規制は居住性能と街並み景観の視点からもう一度見直すべきだと思う。

大成有楽不動産他「オーベルグランディオ横浜鶴見」販売開始へ(2013/12/5)

絶対高さ制限の背景にある100尺規制とは(2008/6/10)

 

カテゴリ: 2013年度

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「(仮称)新日比谷プロジェクト」完成予想図

 三井不動産は12月6日、千代田区有楽町一丁目の「三信ビルディング」(昭和5年竣工)および「日比谷三井ビルディング」(昭和35年竣工)の跡地を一体開発する「(仮称)新日比谷プロジェクト」が同日、都市計画決定されたと発表した。

 計画地は、日比谷公園、日生劇場や宝塚劇場、スカラ座・みゆき座などの劇場・映画館、帝国ホテル東京などに隣接するとともに、国際的なビジネス拠点である大手町・丸の内・有楽町地区、官公庁が集積する霞が関地区などにも近接。
 同社は、この立地条件を最大限に活かし日比谷地区を日本橋地区に続く都心におけるスマートシティ第2 弾として進化させ、東京の都市再生に貢献できる街づくりを推進する。

 計画では最新のBCP 性能を備えたオフィス、都心の賑わいを醸成する商業施設などを主要用途とした大規模複合ビルを建設するとともに、計画地内のオープンスペースと隣接する千代田区の広場を一体的に整備することにより、まちの中心に約4,000 ㎡の広場空間「(仮称)日比谷ゲートプラザ」を創出する。

 敷地面積は約10,700 ㎡、建物は地上35階建て、地下4階。2014年度に着工し、2017年度に竣工予定。

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 「ECO ONE(エコワン)」など「エコプロダクツ2013」に初出展

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「ECO ONE(エコワン)」
 

 リンナイが12月12日(木)~14日(土)、東京ビッグサイトで開催される日本最大級の環境展示会である「エコプロダクツ2013」に初出展する。

 「HYBRID ECO LIFE(ハイブリッド・エコライフ)」がテーマで、電気とガスを利用する掃除用効果で環境性、経済性、快適性に優れた世界初のハイブリット給湯・暖房システム「ECO ONE(エコワン)」など3つの製品技術を紹介する。

 「ECO ONE(エコワン)」は2010年に発売した商品で、電気のヒートポンプで少ない電気量で効率よく湯を沸かし、ガスでいつでも利用できる十分な給湯を実現した。ヒートポンプと高効率給湯器を組み合わせた家庭用給湯・暖房システムは世界初。家庭で使われるエネルギー効率は、ラインナップを広げることで一次エネルギー効率は従来の107%から現在は業界最高レベルの125%を達成したという。一次エネルギーとは、石油・石炭・天然ガスなどの自然界にあるエネルギーのことで、この一次エネルギーを電気やガスに変えて利用している。投入した一次エネルギー量に対しどれだけのお湯を得られたかを比率で示したのが「給湯器における一次エネルギー効率」と呼ぶ。

◇       ◆     ◇

 この「ECO ONE(エコワン)」もいいが、記者は同社製のガスコンロとIHヒーターの両方が利用できるハイブリット調理台をトーヨーキッチンで見てから忘れられず、その後どうなっているのか聞きたくて問い合わせた。

 同社担当者によると、ガスも電気も利用できるハイブリット調理台は海外のメーカーが以前から発売しているが、わが国ではガスコンロは過熱防止や消し忘れ消化機能などを盛り込んだSIセンサーを平成20年4月から装備しなければならなくなり、海外製品はわが国から撤退したという。

 リンナイが開発したハイブリット調理台は、横幅が30㎝×3枚ユニット=90㎝とスペースも取り、それだけ価格も高くなるので一般にはなかなか普及しないのだという。また、もともとガス会社と連携してきたため、電気(IH)は扱いづらいという背景もあるようだ。

 しかし、ガスもIHも併用できたらいいと思うユーザーは相当いるはずだ。小型のハイブリット調理台が開発されたら大ヒットするのではないか。

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講義する鯉沼教授(帝京大で)

 三菱地所グループの三菱地所リアルエステートサービス(旧・三菱地所住宅販売)、三菱地所ホームの社長を務め、三菱地所顧問兼京葉土地開発社長を最後に2010年4月に退職し、2011年4月から帝京大学経済学部経営学科教授を務める鯉沼宏治氏(69)の講義を聴講し、歓談させていただく機会に恵まれた。

 不動産会社から大学の教授になったのは現在、テレビのコメンテーターとして活躍されている東京都市大学教授・涌井史郎氏しか記者は知らない。涌井教授は東急不動産グループの石勝エクステリアの社長を務めていた。

 なぜ大学教授になったのか。鯉沼氏は「リタイアしたら気ままに暮らそうと思っていたら、知人から「実業界で経験を積まれた方を求めている大学がある。社会の現場が求めている人材を育てるお手伝いをする気はないかと話を持ち掛けられた。女房に相談したら、『まだのんびり引退する歳でもないでしょ』と勧められ、これも何かの縁だと思って決断した」と教授を引き受ける経緯を語った。

 「自分が学生のときは、勉強より遊び優先の不真面目なほうだった。1回90分、年間90回も何を話せばいいんだろうかと正直不安でしたね。でも、やる以上はいい加減なことはできないので必死に準備しましたよ。これほど力を入れて勉強したのは初めての経験じゃないかなぁ。最初は戸惑ったが、そのうちに90分では足りなくなった。単に企業戦略の講義だけでなく、実社会では、あらかじめ決まった正解はないという事を前提にして、自立した人間として求められる教養的なものにも学生の関心を高めるために、その時々のニュースを話題にするようにもしたし、質疑応答やグループディスカッション形式の授業も増やし学生と双方向型の授業ができるようになった。この前は憲法改正と安全保障問題についても議論した」とこれまでの講義を振り返る。

 鯉沼氏は1944年生まれ。横浜国大を卒業後、1967年4月、三菱地所に入社。2000年6月に同社取締役兼三菱地所住宅販売(現・三菱地所リアルエステートサービス)社長、2003年4月、同社取締役常務執行役員兼三菱地所ホーム社長、2004年6月、同社取締役専務執行役員兼三菱地所ホーム社長、2008年、三菱地所顧問兼京葉土地開発社長に就任した。来年3月で帝京大学教授も定年で退職する。

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 16:30~18:00の鯉沼教授の「企業戦略」の講義を聴講した後、ロードサイドのレストランで話を聞いた。鯉沼教授は車を運転するのでノンアルコール、遠慮などしたことのない記者は日本酒。

 鯉沼教授は次のように思い出を語った。「大学を卒業して、就職するなら身近で夢があり形として残る不動産か建設に決めていた。最初に試験を受けたのが三菱地所。中田(乙一)専務(当時。のちに社長)から面接を受けたが、あの頃の就職試験はおおらかでしたね。当時の地所は発展途上にあり、知名度も今ほど高くありませんでしたが、株をやっている叔父から『いい会社に入った』と褒められた」 

 「戦後復興から高度成長期の丸の内の再開発は区分所有法などの法制度も萌芽期で、建設資金の調達もままならない時代。賃料とは別に地所で独自に発案した建設協力金を募って事業を進めていた」 

 「(1974年の)三菱重工ビル爆破事件では、重工ビルの担当責任者として、現場保全をかたくなに主張する捜査陣に対して『我々もお客さんの財産を守る責任がある』などと丁々発止のやりとりをして業務再開に取り組んだ。割れた2,700枚のガラスを旭硝子さんやゼネコンが協力して集めてくれたのはうれしかった」

 「再建を託された三菱地所ホームでは、『うちの売りは何だ』と徹底して社員と議論して、その後のエアロテックの商品戦略につなげた。なかでも一番重視したことは、住宅は『お客様の大切な人生をお預かりする仕事』との想いを、社員一人一人が共有することでCSR活動にも取り組んだこと」

 鯉沼教授の話がはずめばはずむほど記者の酒も進んだ。5杯は飲んだはずだ。取材メモの最後には「退職したら地球一周する…来年7月にピースボートに乗船、横浜から出港して10月に横浜に戻ってくる」「ハワイ-中米-南米-アフリカ-スペイン-黒海-トルコ-エジプト-スリランカ-東南アジア」

 「(奥さんに)お前、どうする? 」「3カ月も狭い船の中はいや」などと文字がのた打ち回っている。(つまり、奥さんには断られたのか、もっと広い部屋を取れと言われたのか…メモには○○○万円と料金も書いてあるので2人一緒なのは間違いない?)
 鯉沼教授の第3の人生にボン・ヴォヤージュ!

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 飯田グループホールディングス代表取締役会長・飯田一男氏が平成25 年11 月29 日(金)死去した。享年75歳。故人の遺志により葬儀は近親者のみで執り行う。後日「お別れの会(仮称)」を執り行うが、日時・場所などは未定。

◇       ◆     ◇

 グループ全体で売上高が住宅・不動産業界で5番目の9,075億円、主力の建売住宅の販売戸数は29,459戸というガリバー企業にまで成長させた方だ。最近は体調を崩されていたのは関係者を通じて聞いていた。

 平成21年に一建設がジャスダックに上場したとき、コメントを取ろうとご自宅までうかがったが、家族の方から「もう一線から退いておりますので」とお会いすることも出来なかったのが心残りだ。ご冥福をお祈りしたします。

建売住宅のガリバー企業誕生 飯田グループホールディングス(2013/11/2)

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 法廷では「どのような答えが返ってくるか分からない質問はしてはならない」というのは弁護士の鉄則だそうだが、われわれ記者も同様だ。懇親会や記者発表会ではいつもそれを心がけている。

 その意味で、記者は昨年も今年も掟破りの質問を敢えて行なった。住宅金融支援機構が11月29日行った恒例のプレスセミナー・懇親会の場で、リスク管理債権について質問したことだ。当然のことながら昨年は明快な答えが返ってこなかった。そのような質問が飛ぶことなど機構は予測していなかったはずだ。それでも質問したのは、機構もそうだが同業の記者にもこの問題について考えて欲しかったからだ。機構に対する質問というより、同業の記者に向けて発した質問だった。

 今回も同じ質問をした。質問は概ね次の通り。「私は、住宅ローン債権は優良債権だと思うし、それを前提としてお聞きしたい。リスク管理債権のうち、既往債券は償還が増え、不良債権が沈殿し濃縮されていくのでのリスク債権比率が高まっていくのは理解できるが、額としては2兆円もあるのは由々しき問題。買取債権のリスク債権比率は金額的には1,000億円しかないが、今後どんどん積みあがっていく。機構は健全なリスク債権比率をどの程度に設定しているのか」

 質問の背景にあるのは、ローン審査の選別融資(厳格化)の問題だ。審査を厳しくすれば不良債権は減るだろうが、その一方で中・低所得者のマイホームの夢がしぼむ。いわば両刃の剣だ。記者は旧公庫から機構に移行してから、審査の厳格化が進み、時計の針でいえば右から左へと振り切った状態にあると考えており、振り戻し、つまり中・低所得者のマイホームの夢をしぼませてはならないという考えがあるからだ。

 今年も機構側からたいした答えは返ってこないだろうと思いつつ、あるいはしっかりした答えが返ってくるのではという期待もあった。融資のプロが同じ轍を踏むとは思えなかったからだ。

 答えは期待以上だった。同機構経営企画部長・池谷(いけのや)文雄氏は、質疑応答の大半の時間を割いて次のように説明した。平成24年度末のリスク管理債権比率は7.47%で、金額は約2兆円。このうち半分は(債務者の再建、支援を目的とした金利の減免、利息の支払猶予など)支払い条件の緩和を行なったもので、この方たちの約7割は7年後には正常に戻っている。既往債権の回収は順調に進んでおり、買取債権のリスク管理債権は、まだ始まったばかりで、7年後当たりに増えだし10年後から安定した数値で推移するというものだ。

 民間のリスク管理債権比率については、都銀が1.9%、地銀が2.94%、第2地銀が3.81%、信金などが4.87%で、機構の7.47%は決して低くないことを明らかにした。池谷氏は「システマティックな融資を行なってきた旧公庫の反省を踏まえ、『貸さない親切』をわれわれは学んだ。以前と比べ確かに厳格化は進んでいる」と話した。

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 記者は、支払い条件緩和者の7割が正常に戻ると聞いたのがうれしかった。機構は以前のように(貸した金を返せというような)督促状を何度も送りつけるようなことはしないで、今年度からは(デフォルト化しない事前相談の)「ご案内」の送付、カウンセリングなどキメ細かな対応を行なっているそうだ。

 池谷氏は、民事再生法の住宅ローン特約を利用することも勧めた。住宅ローン特約とは一定の要件を満たせば、競売にかけられずに返済期間を延長してもらえるものだ。

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 機構のリスク管理債権が約2兆円もあることは重大な問題だ。人数にしたら数万人に上るはずだ。何とか救済する方法はないものかと頭をひねるが、妙案はない。バブルが崩壊してほぼ一貫して資産デフレが続いているのがこうした悲惨な事態を招いている最大の要因だ。

 しかし、記者は「買う勇気」をとくに一次取得者には持って欲しいと思う。賃貸住宅は基本性能、居住性能も分譲より比べようもないほど劣っているし、ばかばかしい「賃貸か分譲か」などのマスコミの記事など読まないでいただきたい。「賃貸か分譲か」の選択肢があるのは富裕層だけだ。しっかり生活設計、資金計画を練ってチャレンジして欲しい。

 マンション管理組合には、大規模修繕や建物の耐震化の工事を無担保で融資する「マンション共用部分リフォーム融資」を積極的に利用して欲しい。建て替えは一部の条件のいいものを除き絶望的だと思う。

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 平成24年度決算では2,000億円余の当期総利益を計上し、2期連続で黒字となったことなどから、宍戸信哉理事長の機嫌がすこぶるよかった。東南アジアからわが国の住宅金融システムについての問い合わせが殺到していることも明かした。そのうちにシステム丸ごと輸出できるのではないか。

カテゴリ: 2013年度

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グランプリ作品 「入学の日(hanaさん)」
 

  野村不動産アーバンネットは11月28日、同社の不動産情報サイト「ノムコム」で募集していた「家族の幸せな時間」フォトコンテストの入賞作品を発表した。

 グランプリは「入学の日(hanaさん)」。

 キャンペーンは「ノムコム」の公式Facebookページ 「おうちに帰ろ」(http://www.facebook.com/ouchinikaero)の 「いいね!」数3万人突破を記念して行われたもの。9月26日~10月31日のキャンペーン期間中、全国から765作品が寄せられた。入賞作品は14作品。「家族の幸せな時間」フォトコンテストサイト: http://www.nomu.com/ouchi/enjoy/photo/で公開されている。

カテゴリ: 2013年度

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完成した建物

 三井ホームは11月28日(木)、都内初のツーバイフォー(2×4)工法による木造耐火建築5階建て店舗併用住宅が銀座2丁目で完成したのに伴い、完成現場見学会をおこなった。国交省の「平成24年度木造建築技術先導事業」に採択されたプロジェクトでもある。

 建物は、中央区銀座2丁目に位置するツーバイフォー工法(枠組壁工法)5階建て(1階はRC)耐火建築物。敷地面積は59.69㎡、延床面積は212.05㎡、最高高さは18m。総工費は約1億2,000万円、本体工事費は約8,700万円。補助金額は約2,000万円。

 都心の繁華街のRC造7階建てのビルをRC造1階+木造2~5階に建て替えるもので、建築に当たっては①社独自の中層建築に特化した改良型建て起こし工法を採用②パネル工法を併用して工期を短縮③耐力壁の高強度化のために独自のダイダウンシステムを導入④I型複合梁による耐火構造床を採用⑤湿式外壁による耐火外壁ダブルファイヤーブロック(DFB)ウォールを採用-したのが特徴。

 建物を受注した同社東京東支店支店長・五井尚人氏は、「当初は鉄骨造の8階建てが計画されていたが、エレベータを設置しなければならないこと、柱型が出るため有効面積が確保できないことなどから計画がとん挫していた。当社の技術で階数を5階建てに下げても、昇降機を設置し、居住性能が確保でき、さらに工期の短縮、工事費の圧縮が図れたので実現した。オーナーの方は開業医で、木造にも興味をもたれ、環境や人にやさしい点なども評価された。オーナーの方によるとRC造と比較して2~3割安いとのことだった」と話した。

 建物は1階が喫茶店「グラムール」で、2~3階が賃貸住居、4~5階はオーナーが利用する。

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正面外観

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 素晴らしいプロジェクトだ。敷地がわずか約60㎡、延床面積が約212㎡という狭小敷地の建築物だが、木造耐火の建築物を広げる意味で意義は大きい。

 見学会では専門的な言葉がたくさんでてきたので説明が難しいが、簡単に言えば、RCでは足場の確保やエレベータの設置義務などにより、狭小敷地では建設が難しいのを、現場で床を組み立て、壁を作り内側からジャッキで建てて上方に組み立てていく作業としては簡単な工法を同社が開発して実現したものだ。

 記者は、森林・林業の再生という視点からも極めて意義のあるプロジェクトだと思っている。外観も内装も鉄筋やコンクリート住宅とそれほど変わらないのは残念だが、構造材と4階と5階の縦枠に北海道産のカラマツが使用されている。

 この種の見学会では必ずRC造とのコストの比較になるが、記者はもちろんこれも大事だが、人にやさしい、環境にやさしい木造の良さを金額に換算したら比較ならないほど木造のほうが優れていると考える。ハウスメーカーは、経済合理性だけでなく木の持つ社会的有用性を粘り強くアピールすることが求められる。コスト論争に巻き込まれない強い心を持ってほしい。

 国もまた木材の利用率を高めるため思い切った規制緩和を進めるべきだ。わが国の気候風土にもっとも適しているのは木と紙と土の住宅ではないのか。日本の美しい文化と技術を伝承しているわが故郷の伊勢神宮を見習ってほしい。専門家でも理解できない複雑な耐火・準防火の基準緩和は待ったなしだ。

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室内(左)と昇降機     

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 1階の喫茶店も紹介しておく。なかなかおしゃれな店だ。写真のように無垢材、突板、銅版などが多用され、コーヒーカップはマイセン、ヘレンド。ゆったりくつろげる空間がコンセプトだ。松屋、三越、歌舞伎座の帰りに立ち寄る人にお勧めだ。近くには馬券売り場もあるが、馬券を買う人はタバコが吸えないのでどうか。味は保障するが…。

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喫茶店「グラムール」

公共建築物の木造化 24年度は100戸のマンション1棟分(2013/11/9)

「木づかい」を国民運動にするシンポジウム(2013/10/8)

鹿島建設・住友林業 スギ耐火集成材を初採用「oto no ha Cafe」(2013/5/15)

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左から中村氏、田中氏

 積水ハウスが11月21日、一般財団法人国際ユニヴァーサルデザイン協議会(IAUD)が主催する「IAUDアウォード2013」の未来世代部門で金賞を受賞した。大賞を受賞したのは本田技術研究所。

 同社が金賞を受賞したのは、2011年から取り組んでいる「ドクターユニバーサルデザイン授業プログラム」。「座学」と「実習」を2時間のパッケージとして小学校へスタッフらが出張して授業を行うもので、座学ではUDを知ると優しくなる、社会に役立つことなどを教え、実習では学内の様々な施設で実証するもの。全体を通じ「知性」「感性」「社会性」「(健康な)身体」を身につけてもらう取り組み。豊中市の小学校で一昨年と昨年の2年間で4回実施した。

 表彰式に参加した同社総合住宅研究所部長・中村孝之氏は、「UDの取り組みはまだユニバーサルデザインの言葉が世の中に知られていないときから行ってきた。最近はUDで通用するようになってきた」と喜びを語った。また、同研究所技術研究室課長・田中眞二氏は「今後は健康、空気環境など研究テーマを広げ、メニューをそろえていく」と話した。

 受章者のIAUDは、ユニヴァーサルデザインの普及と実現を目指す団体で、2003年11月に設立。設立時に総裁を務められた故・寬仁親王は「100%の障害者はいない。100%の健常者もいない。人間は皆、身体(又は精神)のどこかに障害部分を持っており、なおかつ健常なる部分をも合わせ持っている。ユニヴァーサルデザインとは、誰でもが豊かで快適な生活を送るためのものである」(同協議会ホームページ)と述べられている。

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 記者は20年以上前からユニバーサルデザインを取材してきた。中村氏が語ったように、読者にユニバーサルデザインを伝えるのに難儀した。デベロッパーが取り組みだしたのはこの20年だ。ニチモが企業スローガンに掲げたときはうれしかった。その後、扶桑レクセルが積極的にマンションに採用した。社内で認定制度を設け、設備仕様も一新した。

しかし、最近はほとんどのデベロッパーがパンフレットなどでユニバーサルデザインを謳うようになってはきたが、設備仕様面ではむしろ後退している。

どこよりも早くこの問題に取り組んできた積水ハウスの受賞は当然だ。メーターモジュールの廊下・階段などの採用はどこよりも早かった。他のハウスメーカーやデベロッパーももっと真剣に取り組んでほしい。このままではいつまでたっても差は縮まらない。

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 住宅関連では、積水ホームテクノの「ユニットバス」が医療福祉部門で金賞を受賞した。浴槽の位置が変えられ、介護者の負担も軽減できるものだ。浴室の寸法が2m×2.5mとややスペースを取るのが難点と言えば難点だと思った。

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約200人が参加した会場

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 住友林業グループの住友林業クレストは11月20日、木質系住宅部材の製品シリーズ「BeRiche(ベリッシュ)」の国産材を利用し、木材利用ポイント対象商品となる「ベリッシュカラーフロアTR-J」を同日から発売すると発表した。また、これまで発売していた「シストS-J」にベリッシュシリーズ5柄を追加設定した「国産材活用フロアベリッシュシストS-J」を同日より発売する。

 2つの商品は、国産材のトドマツとヒノキをフロア基材として採用。「ベリッシュカラーフロアTR-J」は表面突板にも国産のカバ材を使用している。

 「ベリッシュカラーフロアTR-J」は1坪当たり19,000円。「ベリッシュシストS-J」は1坪当たり26,000円。

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