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2020/03/09(月) 15:56

全ての中堅デベに贈る メジャー7に勝つマンションプロジェクトはこれだ!

投稿者:  牧田司

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京阪電鉄不動産「ファインシティ新越谷」ホームページから

 テレワークに突入したとたんに現場取材が途絶え、俎板の鯉というよりは水を抜かれ、息すらできなくなりつつある青息吐息の池の鯉の心境にある記者が放つ、伸るか反るか乾坤一擲のマンションプロジェクトだ。

 ただのプロジェクトではない。コロナウイルスのパニックに陥り、死語と化したと思っていた〝欲しがりません勝つまでは〟が亡霊のようによみがえり、暗黒時代に突入した観を呈す世の中にあって、ちょっとやそっとの危機にはびくともしない大手デベロッパーに互角の戦いを挑める中堅デベロッパー向けの究極のバーチャルプロジェクトだ。

 手ごわい仮想敵の大手デベロッパーとは、マンション市場を制圧しつつある三井不動産、三菱地所、住友不動産、野村不動産、東急不動産、東京建物、大京(オリックス)のいわゆるメジャー7で、立ち向かうプロジェクトメンバーは以下のメジャーではないかもしれないが、企画力は勝るとも劣らないプロ中のプロの7社だ(順不同)。

・モリモト

・ポラス

・コスモスイニシア

・大和地所レジデンス

・ナイス

・京阪電鉄不動産

・山田建設

 失礼ながら、これらメンバー単独では絶対大手に勝てない。資金力、ブランド力で圧倒的に劣るからだ。例えて言えばかつてのわが日本軍。徒手空拳で大国に挑むようなもので、赤子の手をひねるように却って弾き飛ばされるのがおちだ。

 しかし、この7社の頭脳、商品企画力、技術力を結集させれば、敵はたじたじとなり白旗を上げる確率はかなり高いと記者は思う。

 どんなプロジェクトか。想定するのは、お金持ちではない普通の単身・DINKS・ファミリー向けの準都心・郊外マンションだ。

 まず、基本設計・外観デザイン・インテリアはモリモトだ。年間1,000戸近く供給し、プライスリーダーとなる物件も少なくないというのに在庫をほとんど出さない同社は中堅の星だ(森本社長は「うちは中堅じゃないぞ」と怒るか)。

 同社は三菱地所、丸紅、東急不動産などともJVし、大手と互角以上に戦ってきた実績もある。グッドデザイン賞を受賞した内廊下・ワイドスパンが特徴の「モリモトデザインコード」を採用する。

 建築家は、三井不動産や大和ハウス工業、旭化成ホームズなどの大手物件も手掛けているが、数の上ではモリモトが勝るアーキサイトメビウスの今井敦氏を起用する。インテリアデザイナーは鈴木みずゑ氏、横堀健一氏&コマタ トモコ氏だ。

 最近のモリモトのインテリアはケミカル製品が増えているが、以前はそんなことをしなかった。床は本物の石かデザイン性の高いタイル、壁は突板を使用していた。多少価格が高くなっても今井氏や鈴木氏などの好きなように仕上げてもらう。

 各住戸には、実用新案取得済みのピアキッチンをはじめ痒いところに手が届くポラスのアイテムを採用する。先に書いた「ルピアグランデ浦和美園」の記事を読んで頂ければ、その威力が分かるはずだ。ユーザーの心を捉えるのは間違いない。大手を脅かす大きな武器になる。

 今は大小を問わず、マンションのダイニングテーブル、バックカウンター・吊戸棚はオプションだ。ピアキッチン並みに揃えるとすれば百万円をはるかに超える。現金で買う余裕がなくともローンにすればいくらもかからない。

 コスモスイニシアには〝頭脳〟を期待する。添付した「イニシア武蔵新城ハウス」の記事を読んで頂きたい。これほどコストパフォーマンスに優れたマンションを記者は知らない。

 同社はここ数年、実用新案を取得済みの〝魅せる玄関〟(ウェルカムホール)を売りの一つにしている。これを全住戸に採用するほか、「parkERs(パーカーズ)」とコラボしたフェイクではない本物の緑をふんだんに用いた販売事務所とモデルルームを演出してもらう。「イニシア中央湊」がその代表作だ。

 大和地所レジデンスにもプロジェクトに関わってもらう。売りづらい1階住戸を中層住戸より価格を上げても売れるようにしたのは同社だし、ほとんどが100㎡以上という全1805戸の「レイディアントシティ横浜」を早期完売した実績は燦然と輝く。ここ数年業績も伸ばしており、在庫を出さない数少ない企業だ。同社には実用新案を取得済みの奥行き4mのオープンエアリビングパルコ―を提供してもらう。

 ナイスを起用するのは免震工法だ。創業家の元会長と副会長が有価証券虚偽記載で逮捕される事態となったが、全供給物件を免震にすると宣言しているのはこの会社だけだ。コストアップは避けられないが「安心・安全」の価値はお金には変えられない。

 マンションのパンフレット、WEBデザインは京阪電鉄不動産だ。同社自身が制作しているわけではないだろうが、緑など共用部分の見せ方が突出している。とにかく美しい。設備仕様の〝見せる化〟も巧みだ。

 施工は山田建設だ。最近は取材していないが、アイデアマンの山田健治会長は元気なようだ。同社がイタリアから輸入したドアを採用したのを見てびっくりしたのを思い出す。表面は突板のように映え、カチッと閉まるドアは億ションくらいしかお目にかかったことがない。同社は中国にも現地法人を持っており、自然石なども安く仕入れられるのではないか。

 どうだ、これで完成だ。この記事を大手デベロッパーの社長が読んだら腰を抜かすのではないか。ひょっとすると、三顧の礼をもって〝ぜひうちと一緒に〟などと抱き込みにかかるのではないか。

 そんな甘言に易々と乗るわが中堅7社ではないと思うが、普通のファミリーの取得限界は坪単価にして180万円、70㎡で約3,800万円だ。この値段で供給できるのは遠隔地しかなく、そこにこれだけ優れた商品企画を盛り込んだところでミスマッチが浮き彫りになるだけで、販売力が心もとない7社には無理だ。

 となると、もっと都心寄りの坪単価250万円くらいのエリアまで拡大せざるをえない。70㎡で5,500万円だ。これなら勝負できるか。場所は〝母になるなら〟〝父になるなら〟の流山もいいかもしれないが、わが街多摩センターはどうか。そんな土地は残っていないか…。

 坪250万円でも難しいとなると、あとはもう坪500万円以上の都心で勝負するしかない。縷々書いてきたようにバーチャルプロジェクトは大手デベロッパーを蹴散らすことも不可能ではないと思うが、問題は土地が手に入るかどうか、銀行が融資するかどうかだ。これが難問だ。7社が束になってかかっても大手には敵わない。コスモスイニシアの親会社、大和ハウスが資金面で援助するかだが、金を出すなら口も出し、主導権を握ろうとするはずだ。

 …こうなると、もうお手上げだ。そもそも記者のこの提案に乗る社長はこの7社の中にいるか…〝バカヤロー〟の声が返ってきそうだ。せっかくの労作も雲散霧消するのか。残念至極。

 一つ書き忘れた。ZEHだ。これからは必須アイテムになる。野村不動産が「亀戸」で全館空調&樹脂サッシを採用するように、サッシ窓枠はアルミではなく樹脂にすべきだ。各社にそんな勇気はあるか…。

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