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2024/11/19(火) 08:22

調整区域&風致地区 開発要件満たし生物多様性の取り組みに挑戦 ポラス「馬込沢」

投稿者:  牧田司

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「リーズン馬込沢SuBaCo project」

 ポラスグループ中央住宅は11月18日、船橋市の分譲戸建て「リーズン馬込沢SuBaCo project」(全4棟)のメディア向け見学会を開催した。市街化調整区域の開発要件に適合させ、かつ、市が推進する「生物多様性ふなばし戦略」にも沿う商品企画が特徴で、1戸あたり敷地面積を55坪以上、全体で約40本の中高木を配するなどして緑化率を高め、各敷地に地役権を設定し承役地として居住者が利用できるようにしているのが特徴だ。

 物件は、東武アーバンクライン馬込沢駅から徒歩15分、船橋市馬込沢町の市街化調整区域(建ぺい率40%、容積率100%)に位置する全4棟。土地面積は181.87~186.36㎡(コモンスペース含む)、建物面積は102.38~111.38㎡、価格は4,280万~4,680万円。建物完成は2023年10月。施工はポラテック。従前は畑。

 コンセプトは、「Sustainability(サステナビナリティ)」「Biodiversity(バイオダイバーシティ)」「Community(コミュニティ)」で、この3つがシームレスにつながることを願って物件名を「SuBaCo(スバコ)」とした。

 市の取り組みにも沿うよう「GROUNDING(基礎調査)」「DESIGNING(街家設計)「SUSTAINING(持続化)」に力を入れてデザインにしている。

 2023年4月から分譲を開始し、建物が同年9月までに完売した。物件は昨年の「キッズテサイン賞」と「GERMAN DESIGN AWARD WINNER2023」、今年の「グッドデザイン賞」に受賞しており、来年の「インターナショナルデザインアワード(IDA)」の受賞も内定している。

 見学会で同社戸建分譲設計本部設計一部営業企画設計課課長・山下隆史氏は「現地の従前は畑で、調整区域。馬込斎場に隣接しており、滝不動風致地区内にあることからこのよぅな商品にした。緑地率を15%確保し、中高木は全体で40本植えた」と語った。

 同課係長・山﨑正吾氏は「調整区域で風致地区。これらの開発規制をクリアするとともに市の『生物多様性ふなばし戦略』にも沿うよう企画したので、コンセプトをきちんと説明し、賛同していただける方に購入していただいた」と話した。

 また、ポラス暮し科学研究所住環境G係長・福代昇一氏は「生物多様性の重要性は世界的に理解されているが、現場での取り組みは今一つで、消費者の方も二の足を踏まれる現状に危惧している。今回のプロジェクトをきっかけに当社グループ全体で標準化する仕組みを考えていきたい」と今後の方向性を示した。

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センターテラス

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フットパス

 

 

◇        ◆     ◇

 同社グループの調整区域開発物件を取材するのは、「春日部」「八千代緑が丘」に次いで3回目だ。今回はすべて入居済みなので、各氏の説明を聞き、外観・外構しか確認できなかったが、企画意図はストレートに伝わってきた。福代氏が話したように、開発物件すべてに生物多様性の視点を盛り込むように期待したい。

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現地

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現地

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現地

 

 

 

◇        ◆     ◇

 物件は2024年グッドデザイン賞を受賞している。審査員は「敷地を4宅地に分割し、それぞれに建売住宅を建設する、いわゆる『ミニ開発』のプロジェクトである…敷地を超えた『見えない関係性』をデザインの対象として意識している点に、業界としての大きな進化が見られ評価した」とある。

 これには異論をはさまざるを得ない。「ミニ開発」の定義は様々だが、記者は1戸当たり敷地面積が30坪(100㎡)未満の建売住宅だと40年くらい前に定義づけた。敷地面積が30坪未満だと〝街〟はつくれないと判断したからだ。

 今回の物件は敷地面積が55坪(181㎡)以上で、建ぺい率40%、容積率100%の市街化調整区域だから、ミニ開発には当たらない。市の「都市計画法に基づく開発行為等の基準に関する条例」と「生物多様性ふなばし戦略」の要件を満たしているから実現した開発行為だ。

記者はもう市街化区域と市街化調整区域を一律に分離・遮断するのは時代遅れで、双方を緩やかにつなげる街づくりが大切だと思っている。その関係性を「見える化」したのがこのプロジェクトだ。コンセプトに「生物多様性」を掲げているように、小鳥が飛来し、虫も棲息できるようデザインされている。生物多様性に配慮したマンションや分譲戸建ては多くはないが、真剣に取り組んでいるハウスメーカー・デベロッパーは少なくない。「業界としての大きな進化」はなんだか業界全体が見下されているようで不愉快だ。

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