
「ポラス建築技術訓練校」カンナ削り
ポラスグループは6月16日、越谷レイクタウンの「ポラス建築技術訓練校」のメディア向け見学会を開催。ポラスハウジング協同組合部長・島影裕樹氏、ポラス建築技術訓練校主幹・加藤敏子氏らが概要を説明し、同訓練校内部指導員係長・古川元輝氏が訓練生の実習風景などを案内した。また、訓練生2人と修了生2人が取材に応じた。
訓練校は1987年、「社員大工」の育成を目指し開設。1998年、埼玉県知事の認可を受けた職業訓練法人として発足。一般的な専門学校とは異なり、「社員として雇用し、給与を支給しながら訓練校生として1年間全寮制で技術を習得する」「学ぶ×働く」という独自の教育システム・指導方針に基づき、訓練生はポラスハウジング協同組合、ポラスハウジング千葉の社員として所属。ポラス建築技術訓練校へ1年間派遣される仕組み。カリキュラムは「建築施工系木造建築科」と「建築内装系インテリアサービス科」の2科。これまで966名(2026年3月31日時点)の修了生を輩出(今年度の訓練校生は32名)。修了後は、ポラスグループの施工現場で働いている。
技能レベルが客観的に評価される外部の技能競技大会へも積極的に出場しており、これまで、技能五輪全国大会(23歳以下)には延べ94名が出場、48名が入賞、技能グランプリ(年齢制限なし)には延べ24名が出場、20名が入賞している。
訓練校生と修了生4人のコメントは次の通り。
小間颯也さん(18) 父が電気関係の仕事をしており、あこがれていた。父が電気なら自分は家を作ろうと考えたのが小学2年生のころ。寮生活では仲間も増えた。将来は2級技能士、さらに10年後には造作大工になって、友達や自分の家を作りたい
吉川瑠一さん(18) 自宅の近くで木造の家が建築されており、かっこいいと思った。人に喜んでもらえるし、形になるので大工になりたいと思った。入校した時は友達が出来るか不安だったが、毎日寮生活を楽しんでいる。しっかり技術を身につけて、自分の家を建てたい
千葉大樹さん(21) 入社して4期目。山形県の工業高校出身。訓練校では座学では学べない現場実習などが学べた。現在はセットアッパーの段階で、様々な全国の大会出場を目指している。近い将来には造作大工になり、楽しみながら仕事をし、お客さんにも喜んでもらえるようになる。旅行が好きなので、休暇は旅行にあてている
志村渉さん(21) 私も入社して4年目で、山梨県の工業高校卒。高校では学べない現場を一から学ぼうと訓練校を選択した。造作大工を目指している。高校時代の彼女とは、お互い遠く離れていることもあり疎遠になった。クルマが好きなので、ローンで買って、休日はドライブなどを楽しんでいる

古川氏

手工具

左から小間さん、吉川さん、千葉さん、志村さん

訓練校
◇ ◆ ◇
見学会会場となった「ポラス建築技術訓練校」は竣工した2016年に取材しており、おおよその概要は分かっていた。登壇者には、かつての同社野球部の主砲で名監督だったポラスハウジング協同組合埼玉施工推進課課長・成田超洋氏の名もあったが、お互い席が離れていたためか確認できなかった(取材後、〝恵比寿様〟のように激太りした成田氏から声を掛けられた。とても元気そうだった)。
成田氏に出会えたこともそうだが、何よりうれしかったのは今年4月に入校したばかりの2人の訓練生と、2人の修了生から話が聞けたことだった。
この機会を逃すまいと、小生が訓練生になったつもりで、ぶしつけなのは承知のうえで、次のような質問をした。
私の先祖は大工。蔵や納屋に大工道具が揃っており、いつも遊んでいた。大工になろうとは思わなかったが、建築現場では大工さんたちの会話から社会を学んだ。頂いた資料からすると、年間1,400時間のカリキュラム(実際の拘束時間は午前8時から午後6時まで)では、週休2日だとすると、1日当たり4.7時間しかない。皆さんはあり余った時間をどう過ごすのか。また、年頃だから、交じって遊ぶ、つまり不純異性交遊ではなく、純粋に恋愛という意味の異性交友はどうなっているのか、寮には門限はあるのか、挫折はないのか、給与はいくらなのか
皆さんの答えが最高に素晴らしかった。給与は27万円(高卒初任給は約20万円、防衛大生は14~16万円とある)とかで、そのうち数万円は両親に還元(仕送りか)しているという。えらい!の一言だ。
人生の先輩としていくつかアドバイス。とにかく1年間は石にかじりついて技術を習得してほしい。必ず道は開けるはずだ。志村さんはかわいそうだが、恋愛はそれからでも遅くはない。自立することが先決だ。
もう一つは、取材会場の「研修室での基本姿勢」として掲げられている⓵元気な挨拶と、はっきりした返事②社会人としての、正しい身だしなみ③常にメモを取る④居眠り厳禁⑤時間厳守-この5つは無条件に守ってほしい。当たり前のことだが、これはなかなかできない。
特に小生がお願いしたいのは③だ。この日、会場には主催者とメディア関係者合わせて40人くらい集まっていたはずだが、メモを取っていた人は多分3分の1もいなかったはずだ。中にはボイスレコーダーを利用していた人もいるが、会場や人の様子、だれが何を話したか、その時の表情はどうだったかをしっかりメモすることだ。メモは将来必ず生きてくる。メモる癖をつけていただきたい。
さらにもう一つ加えるなら、中内晃次郎代表がいつも口酸っぱく話しているように、新聞をよく読み、本をたくさん読んでいただきたいということだ。これは長い人生の〝肥し〟になるはずだ。本でいえば、最近、大和ハウス工業の芳井敬一会長が朝日新聞の「好書好日」で、原田ひ香「三千円の使いかた」(中公文庫)を推奨している。皆さんも、会社の幹部や上司が勧める書籍を読んでいただきたい(自分の視点で)。互いの〝距離〟は一挙に縮まる。
長々と取り留めないことを書いた。とにかく〝鉄は熱いうちに打て〟だ。〝三日、三月、三年〟の言葉もあるが〝石の上にも3年〟だ。一人前になるため一心不乱に励んでいただきたい。
見学会で改めて感じたことについて。質疑応答で記者団から訓練校運営に関するコストの質問が飛んだ(小生はよく聞き取れなかったが)。同社からどのよう回答があったか分からないが、訓練校は職人の確保、コスト削減などの損得勘定だけで運営しているはずはない。企業理念に掲げる「住まい価値創造企業」の実現を目指す使命感ではないか。



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